ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale   作:セルフィア

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第52話〜盾に挑む獣と悪魔の狂乱〜

時は準決勝の対戦カード発表の3時間ほど前

 

木乃香達2年生組は朝早くから工作室に籠っていた。

「ま、間に合った!私のバンダースナッチ。」

「6割型弄ったの僕だけどね...名付けるならRe:Incarnation。再転生って意味だよ。」

「生まれ変わったこの子には良い名前ね!」

 

木乃香のバンダースナッチの姿は大きく変わっていて目を引くのは脚部のブーツ部分が巨大な大剣となっていて腕部にも普段使用しているアロンダイトが2つに増えていてバックパックにはトリアイナを改良したものが増設されており、見た目だけで言えば宇宙戦でのレギンレイスジュリアに似ていた。

「随分と実体剣増やしたね。」

「4本腕には4本の刀で対抗するのよ!そのために翼くん呼んだんだから。」

 

「ちょうど僕も奏の頼み物を作ろうとしてた最中だったから良いけど。ほら、奏の分だ。」

「あれ出来たんだ!ありがとー!」

「それって...」

「ふっふぅ。それは戦ってみてのお楽しみだよ!」

 

そして時間は流れ準決勝の対戦カードがスクリーンに張り出されていく。

[準決勝第2試合!霞ヶ関高校対天ヶ崎高校の試合を行います。選手はコートへ!]

 

「よっしゃ!いっちょ行ってくるか!行くぞ拓哉!」

「ちょっと待て、俺のセグエンテはメンテナンス終わってないしそれ以前に選出メンバーは部長と滝沢先輩って決まってるからな?」

「え、いつ決めたんだ?」

「あれはそうだな...お前が小川さんとイチャコラしてる時に決まってたぞ。」

 

「そうですね...私は聞こえてました...」

「ま、そういう事だから。応援よろしく!」

そう言いながらコートへ足を運んだ木乃香と奏は待っていた人に声を掛ける。

「ん、来たか。」

「待たせてしまってごめんなさい。そう言えば貴方の名前を聞いてなかったわね?」

 

「そうか、なら俺の事はイチョウって呼んでくれ。それでこっちは篠崎、そういうあんたは?」

「私は今井 木乃香。相方は滝沢 奏よ。分かったわ、ならとことん斬り合いましょうか?」

「楽しみにしとくぜ。」

残った2人も会釈を交わし読み取り機へ歩き始め

 

「あの人がさっき言ってた?」

「そう!あの人となら本気で斬り合えそうなの。」

そして会話もほどほどに慎重な顔つきになった4人はそれぞれGPベースをセットし機体を読み取り機に置いた。

≪ Damage level set to A≫

 

《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard1,space》

 

《Please set your GUNPLA》

音声に従ってガンプラを置く

 

《BATTLE START》

 

 

「今井 木乃香、ガンダムバンダースナッチRL。最後の殲滅を始めましょうか!」

「滝沢 奏、ダハック改弍号機!援護は任せてよ!」

 

レバーを動かし機体を発進させる。

 

今回のステージは鉄血のオルフェンズで、ガエリオ達とドルトコロニー付近で戦いを繰り広げた所だった。

 

「奏、索敵は怠らないで。」

「分かってるって。それより木乃香ちゃんこそメテオライダーから離れないでよ!」

「ワイヤー牽引してるから大丈夫よ。取り敢えずそこのコロニーへ。」

ゲートから飛び出た後メテオホッパーの改造機である2輪となった名を[メテオライダー]に跨り宇宙空間を掛けていきドルトコロニーの外壁にタイヤ痕を残しながら降り立つ。

 

「うーん、近くに敵機の反応はないね...移動する?」

「いえ、わざと大技撃って誘い出しましょう。」

「木乃香ちゃんならそう言うと思った。周囲の警戒は任せて!」

「ありがと!メテオライダーに接続、わざわざ手持ち式にしてまでアスタロトを引っ張り出してきたんだからデカいの行っくよ!」

 

『調整がまだ完全に済んでいないから撃てて2発が限界だ。撃ちどころを...』

と、翼の言葉が終わるかの所で予備バッテリーも兼ね備えてるメテオライダーに繋いだ上での砲撃はレーダーの範囲外で何かに当たったような命中音が鳴り響く。

 

「あ、当たったの?」

「なんで撃った本人がビックリしてるの...」

「いやだって、ねぇ?」

「でもあれだね、メテオライダーの望遠レンズから送られてきた映像だとなんかビームシールドっぽいのが見えてるから落ちてはないみたい。」

 

メテオライダーからの映像を転送してもらいモニターを凝視した木乃香の眼に映っていたのは、戦国バルバトスの前方には増設されたグシオンリベイクの隠し腕の実体盾と自身の腕・脚から発生させた計4枚のビームシールドを重ね合わせていたズサだった。

「ガン盾過ぎない⁉︎」

「ビッキーの盾より硬そうだね...」

この瞬間何処かでガタっと音がしたような気もするがここは敢えて触れず、奏と共にメテオライダーに乗り込み補助ブースターに火を灯す。

 

3カウントを刻んだのちブースターが爆発的な推力を叩き出すと前方に漂っていたスペースデブリをメテオライダーのメガ粒子砲で蹴散らして進んでいく。

「こんにちは!イチョウさん?」

「手厚い歓迎感謝するぜ、昨日やり合って感覚的だが天ヶ崎のエースさんよぉ!」

「惜しいわね、最近エースの称号は後輩に譲ろうと思ってるの!」

「へぇ、そりゃ残念だっ!」

 

振り下ろされた特殊超合金製太刀による一撃を右脚の実体ブレードで蹴り上げ背部の[天照]から狙いを一点に絞ったビームを至近距離から撃ち込むが戦国バルバトスの右肩アームで握っている菊一文字則宗によって切り裂かれてしまう。

「太刀も硬くて折れなければサブアームで握ってる太刀はビームを切り裂くための粒子変容塗料が塗られてる⁉︎」

「察しがいいなぁ!ご明察通り俺の刀にはそれぞれ加工が加えてるんだよ!」

 

なんとか攻め時を作ろうとトリアイナver3で斬り込んでいき正面から振り下ろすと戦国バルバトスの両手に持った特殊超合金製太刀をクロスにして受け止められつぎの瞬間、バンダースナッチRLには届かないにしても切り払われトリアイナver3がバキィ!と音を立てて砕け散る。

「ほんっとうに硬いんだから!」

「お褒めに預かり光栄!」

4本の太刀を携えた戦国バルバトスと4本の実体大剣を携えたバンダースナッチRLがそれぞれの獲物を構えブーストを噴かしていた。

 

「一つ聞きたいんだけど。攻撃系の武装って積んでるの?」

「それを聞いてどうするの?」

「いやぁ、見たところサーベルすら積んでなさそうだったから...」

バックパックアームを含めた8刀流で斬り込んでいくが守りに特化していたズサ本体にはダメージが通っておらずどっちつかずな戦闘が続いていた。

 

「守りだけで言えばビッキーより硬い、んだけど!」

「私以外に守りに特化させた人がいるの⁉︎」

「特化って言われるとちょっと違うかな。」

「なんだ...所で話を戻すけど、私のビームシールドの防御が勝つか貴女の8刀流が勝つか根比べといきましょう!」

「根比べは苦手なんだよぉ...」

 

ここで奏は攻め方を変えビームシールドの基部を狙って斬り込み対するズサはビームサーベルの切っ先が触れる箇所に的確に追加アームの実体盾を当てていく。

「ビームサーベルかビームライフルでも使ってくれれば吸収し易かったんだけど、ね!」

「ビームシールドのビームを吸収して⁉︎強制終了出来ない⁉︎」

 

ラチが明かないと実体盾をバックパックの腕で押さえ込み展開していたビームシールドに臆する事なくダハック改弐号機がその両腕を突っ込みビームをエネルギーへと変換していく中、なんとか逃げ出そうとジタバタしていたが足まで膝から下をビームシールドの基部にしていたのが仇となりビームシールドを展開するだけの粒子が足りなくなるまで吸い取られ続けていた。

 

「そろそろ吸収限界量...ってやば⁉︎」

「イチョウさんのために私と一緒にぃぃぃ!」

予め設定されていた限界ビーム吸収量を超えそうだったのでズサから手を離そうとした奏だがやはり準決勝まで勝ち進んでいるだけあって簡単には離してくれず逆に叩きつけられたズサのビームシールドの基部が爆発を起こし直撃を受けた頭部が衝撃で吹き飛ぶ。

 

「まだメインカメラがやられただけだから!サブカメラ起動、ホントはバルバトスに使いたかったけどもうビーム吸収出来ないし長引くとめんどくさそうな気がする...」

[change!beast mode。Remaining until the time limit of 150 seconds。]

下半身がひっくり返り獣のような身体つきになると近くに待機していたメテオライダーからビーストモードに必要な機首となるシールドが射出され先ほど吹き飛んだ頭部の位置に嵌め込まれ吠える!

 

擬似的なトランザムの加え制限時間付きの可変形態と言った設定マシマシなのは奏が翼のファランクスを見て思いついたのを私もそれを取り入れたいと駄々を捏ねた結果生まれたもので、無理やり詰め込んだせいで一度変形した後の人形に戻るのは不可能となっていた。

「流石に...これは突破されないよね...⁉︎」

「はぁい!こんにちは!」

「で、で、で、出たぁ⁉︎」

 

小惑星のクレーターに身を潜めていた出力の関係で使えるのが残り2枚となってしまったシールドを自身の目の前でガッチリと組み合わせていたズサの目の前にさっと現れシールド上部に爪を食い込ませて押し倒し頭部に食らいつく。

そうして頭部・右腕・脇腹を喰いちぎりバックパックに装備されているダブルビームライフルが残された両脚を吹き飛ばし胸部を踏み潰す。

 

「潰すつもりなかったのにこのシステムだとそんな感じの制御が難しくなるから考えどころかも。」

ビーストモードのままメテオライダーに乗り込み遠隔レンズから得た情報を元にその場を離れる。

 

「それならとっておきを使いましょうか!SEEDⅢ(ドライ)!」

[SEED system standby。Remaining until the time limit of 60 seconds。]

鍔迫り合いの最中、戦国バルバトスの振り下ろされた菊一文字則宗による一撃がガンダムバンダースナッチRLを貫くその瞬間機体周囲に蒼を纏わせて脚部大剣で蹴り上げる。

 

「流石元エースだけあって面白いもん見せてくれんじゃねぇか!」

「SEED使ってるのに着いてこれるの⁉︎」

[天照]のビームは即座に斬り伏せられ高速戦闘の隙を狙って投げつけた戦艦の装甲板も弾かれてしまい、もうやることは一つだと響程ではないが足技を用いた攻撃を仕掛けた!

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!」

「はは!楽しいなぁ!」

「コロニー⁉︎やられたっ!」

だが蒼を纏った刀身ですら戦国バルバトスの刀を折るには及ばず逆にこちらの大剣が傷ついていき、瞬く間に脚部大剣は2本とも叩き折られていた...

なんとか反撃の一手を探していくうち気付いた時には廃棄されたコロニーの外壁が目前に迫っており急制動を掛けたまではいいが後方から戦国バルバトスが特殊超合金製太刀を牙突の構えでブーストを噴かしながら距離を詰めてくる。

 

「木乃香ちゃん大丈夫⁉︎」

「奏!貴女その形態は...」

「なんだよ!蒼の次は紅い獣かぁ⁉︎」

突き刺さる筈だった特殊超合金製太刀はバンダースナッチRLを突き飛ばしながら突撃してきたダハック改弐号機(ビーストモード)の機首に喰らいつかれて咄嗟に手放してしまう。

 

「ぐるぁぁぁ!」

「言葉まで獣になってない⁉︎けど、貰ったぁぁぁ!」

「はっ!あめぇ!」

再び喰らい付こうと襲いかかったダハック改弐号機を受け止めていた戦国バルバトスの背後から最後のアロンダイトを両手で構え振り下ろそうとするが、いつのまにか背部に移動していた鬼盾に阻まれ逆に追加アームの長曾禰虎徹によって右肩を貫かれていた。

 

「ここまま袈裟斬りにしてやるよぉ!」

「タダでは斬られないわ!そうね...せめてその盾でも貰おうかしら!」

「木乃香ちゃん!今救援に...」

「来ちゃダメ!ここは私が引き受けたぁぁぁ!」

右肩に突き刺さっている曾禰虎徹が徐々にその傷口を広げていくがガッと両腕で掴み[天照]を起動、収束率などの細かい作業をすっ飛ばして木乃香の覇気に乗っているかのように咆哮を上げながら超至近距離で撃ち放す。

 

思いのほかの勢いが強く近くのスペースデブリまでバンダースナッチRLが吹き飛ばされ衝撃でその動きを止め、2人を相手にしても優勢を保っていた戦国バルバトスにしても流石に鬼盾でも完全には防ぎきれずヒビが入ったと同時にコロニーの搬入口まで押されていた。

 

「奏!アスタロトは⁉︎」

「もってこいって言われると思ってメテオライダーに積んであるよ!」

「なら、タイミング任せた!」

「オッケ!この距離なら外さない...飲み穿てアスタロトォォォ!」

「はは、やっぱ手動じゃここらが限界だな...」

 

退路を塞がれた戦国バルバトスへ放たれたアスタロトによるビームの渦は序盤、菊一文字則宗と長曾禰虎徹を正面から振りかぶって受けていたが今までビームを受けるための細かい動作を数秒前に損傷してしまった鬼盾に任せていたため段々と操作が追いつかなくなり徐々に刀が刃こぼれを起こしていきアスタロトが出力を高めた瞬間に戦国バルバトスは搬入口を突き破りコロニー内部の道路へ叩きつけられていた。

 

「まだ立って...」

「いや、あんたらの勝ちさ...」

カメラアイの輝きが消えていた戦国バルバトスが直後ゆっくりと立ち上がってきたのを見た奏がこちらもこちらで擬似トランザムが終了してしまった体で各関節が悲鳴を上げながらもブーストを噴かそうとレバーを動かそうとした瞬間、戦国バルバトスが再び崩れ落ちシステムから撃墜判定が下される...

 

[YOU WIN!!!]

 

スクリーンが解け思わず木乃香と奏は地面に座り込みそうなるがそこはぐっと堪え改めてイチョウ達の方へ歩き出す。

「木乃香って言ったか?今回はアンタらの勝ちだ。おめでとう。」

「あら、ありがとう。けど、私はこれは勝ちであっても勝ちじゃないから。」

「そうかい、ならこれからフリーバトルでもどうだ?」

 

「行きましょうか!そこではっきり白黒つけようじゃない!」

そう言って2人は損傷した機体を回収してフリーバトルスペースへ消えていった。

「逞しいですね...」

「まぁ、あの2人だから。私たちはお茶会でもしよっか?」

「ふふ、そうしましょうか。」

 

そうして、奏と一華はフリーバトルスペースとは反対の位置にあるカフェで楽しくお話ししていたのだが結局何回かバトルして満足した木乃香達も合流して4人は準決勝後のティータイムを楽しんだそう。

 




今回はくすりしさん(@Y_mokei)から戦国バルバトスとファイターであるイチョウをお借りしました!
このようにキャラをお借りした時にちゃんと表現できてるか不安になってしまうのですが、他の方々はどうやっているのでしょう...

beginning taleが始まって早2年。後もうちょっとで完結してしまうと考えると嬉しいような寂しいような複雑な気持ちになります。

今回の機体紹介!
ガンダムバンダースナッチRL
武装:アロンダイト×2、実体大剣×2、トリアイナver3、高出力ビーム砲[天照]、アスタロト
SP:SEEDⅢ
イチョウの駆る戦国バルバトスと戦うために武装を追加した最終決戦仕様。大きく目を引くのは脚部のブーツ部分が大剣に変わっており宇宙空間では大剣の根元にスラスターが付いてるので機動性を損なう事はないが逆に渓谷や森などでは地面に突き刺さってしまうため今回のステージが宇宙で良かったと木乃香本人は語ったという。
今回は早くに壊されてしまったトリアイナだったが本来であれば強度が大幅に向上されてたので腹の部分で受けてもそう簡単に折れる事はないそうなのだが特殊超合金製太刀の前ではなすすべがなかった...
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