ガンダムビルドファイターズ Beginning Tale 作:セルフィア
時は一番早く全国大会用の機体が出来上がっていた沙希がベースを決める頃の文化祭の日まで遡る。
「で、委員長さん。寝てた俺言うのもあれなんだけどなんで俺らのクラスの出し物は女装カフェ?なんでしょうか?」
「しかもその賛成票の数だ。比率としては5.5:4.5なのに賛成が7割を上回ってるて...」
つまり何人か女装してみたかった男がいたって事だろう。まぁ学生時代に一度くらい女装したい人もいるだろ。
そんな事を考えているとこの響たちのクラスの委員長である大崎 佳奈が遠い目をしながら口を開いた。
「寝ていたとしてもそれは当然の質問ですね。ですが、簡単に纏めると以前このクラスを受け持っていた先生が去年は男装喫茶をやっていたから今回は女装喫茶で良いんじゃないか?と言う事でこれに決まりました。」
「「決め方適当過ぎないか⁉︎」」
「私もそう思ったんですけど...クラスの人たちが異様にやる気を見せていたのでもうこれでいいかって思ったんです。」
佳奈の説明を聞きここで嫌がったらクラスの女子からバッシングを受けるんだろうなと軽くため息を吐いてもう受け止めることにしようと心に決める。
「分かった。やるからには特別賞目指して女装してやろうじゃねぇか!」
「でも響はともかく俺みたいな顔は女装したら違和感あるんじゃないか?」
「いえ、心配には及ばないですよ。どちらかと言えば中性的な顔立ちの城戸さんはより完璧に安藤さんはクラスから数名の化粧担当を手配しました、抜かりはありません!」
「準備良すぎない?もしかして、今回の女装喫茶手配したの委員長では...」
その後、裁縫部の人たちの採寸を終え自分たちのクラス準備の他にガンプラバトル部の方でもバトル体験会を催す事となった。
そして準備期間を終え当日を迎える。
「似合ってるぞ響、お前は名前変えなくても行けそうだな。」
「そうかい、ありがとよ。そう言うお前も似合ってるぞ拓子。」
「やめてくれぇ!マリにこれをやる話したら写真送れってうるさいのに、まぁ呼んでないから良いけどさ。」
「え?呼んじゃダメだったの?なんか部長がメグ姉さん呼ぶついでにって招待状送ってたよ?」
「見てたなら止めろよ!この姿を見られてみろ?撮影会が始まる、それにこれはお前にも言えるからな?」
「は⁉︎そう言えばこの服で部活の方も行かないと行けないのか!今からでも遅くない、脱ごう...」
だが背中のファスナーに手を伸ばそうとした響の手がピタリと止まる。
「どうした響?あーそうか南京錠の鍵置いてきたもんなぁ。」
「いくらコンセプトがちょっと悪い系のメイドだからって南京錠を付けるって誰が言い出したんだよ...」
「確か俺だ...服の意見求められた時に南京錠付けたらカッコよくね?って言ったら何故か採用されたは良いけどまさかファスナーの所に付けられるなんて思わなかった。って俺の服もそうじゃん!」
教室を出たところで2人して頭を抱え膝をついていたがその行為自体が周囲の注目を集めていた事に数秒たってから気づき俯きながら部室へと駆けて行った。
「すみません遅くなりました!」
「ねぇ2人とも記念写真撮らない?」
「「アンタは鬼か!!!」」
部室に入るや否や木乃香、翼、奏の3人に囲まれてジロジロと見られて逃げ出したい気持ちに駆られたが、1人囲みから離れていた沙希を見つけ響が声を掛ける。
「小川さんのクラスって出し物なんだったっけ?」
「ひゃぃ⁉︎お化け屋敷なんですけど...それより何枚なら写真とっても良いですか...」
「ん?あんまり撮られたくないけど、小川さんならいっかな。なんなら2ショットで撮ろうか?」
「そ、それは恐れ多いと言いますか...!で、でも撮りたいって言うのも...!」
そんなわたふたしてる2人を放置し改めて木乃香が口を開いた。
「拓哉くん残念だったわね。メグとマリちゃんなら部活が忙しいみたいで来ないわよ?」
「そうなんすね...命拾いしたわ。それより既に体験コース並んでるんですか?」
「並んでるね。折角だから経験してみたいって人が多いみたいだよ、貸し出し用のガンダムにみんなの戦闘データから作ったサポートAI[6]を搭載してるから緊急時は自動回避してくれるし程よい感じを出してくれるって好評なんだ。」
「翼さん嬉しそうだなぁ...あっちは置いとくとして俺も受け付け行こうかな。」
「そしたらたっくんは体験者コースをよろしく!あ、新しい人たちだ。こんにちは!どのコースにしますか?」
「えっと、俺とコイツが初心者コースを体験したくてあいつが...おい斗真?」
3人いるうちの経験者らしい斗真と呼ばれたいかにも運動部っぽい彼が響の方を向いたかと思うと突然その手を取った!
「めちゃタイプな女性だ!貴女のお名前を教えて頂けないだろうか!」
「は?」
「え?」
「「「えぇ〜!!!」」」
突如響の頭の中でガンプラバトル議決が開始していた。
木乃香:却下、翼:却下、奏:却下、拓哉:賛成、沙希:却下、舞姫:却下
まぁ当然だな、って拓哉お前覚えてろよ?
(断るにしても本名だと俺が男だって気付いて後、彼が傷つくかもしれない...何か源氏名⁉︎拓子、違う!小川さん?そうだ小川だ!)
出来る限りの高めの声を出し正面にいる斗真に向け若干遠くの方を向きつつ
「わ、私は小川 響です...」
「響さん!良い名前だ、どうでしょう、これから俺と学園祭を回らないか!」
「すみません、これから部活の活動が...」
「なるほど!では活動が終わってからはどうだろうか!」
「えっと、お誘いは嬉しいのですが...」
その問答に痺れを切らした拓哉が割って入り会話を終了に導こうとしたのだが一向に彼[望月 斗真]が譲る気配を見せず話が平行線を辿ろうとしたその時、沙希が机をバンッと叩き響の腕を掴む。
(お、小川さ...)
(突然でビックリしましたが状況が状況なので今は私が城戸さんで行きますね...)
「あ、あの...!騒ぎを大きくしたくないので...」
「む...それはそうだ。なら話を手っ取り早くするため、ここで。」
そう言った斗真がカバンからガンプラの入ったポーチを取り出して筐体を指差す。
「俺とガンプラバトルでどちらが響さんと学園祭へ行けるか決めようじゃないか!俺が勝ったら言わずもがな負けたらそちらの案に従おう。」
「分かりました...!貴方に響は譲れません...!」
珍しく沙希の目付きが鋭いものとなりそれでも斗真の自信満々の顔つきは変わらず2人はGPベースをセットする。
≪ Damage level set to B≫
《Beginning[Plavesky particle]dispersal.Fiard3,Forest》
《Please set your GUNPLA》
音声に従ってガンプラを置く
《BATTLE START》
「城戸 沙希、ガンダムルールブレイク。推して参ります...」
ゲートから飛び出して近くの岩場に砂埃を巻き上げながら降り立った沙希は、早速追加コンテナを地面に下ろして武装をいくつか装着し望遠レンズから敵機の方角を確認する。
「金と青のクロスボーンガンダムですか...真っ直ぐ正面から向かってきてますね、私が本来のアルケインだったら撃ち落とせてたのに...」
誰に言うわけでもなく独り言を呟きつつ近くの木々間を飛び跳ねながら移動を開始した。
「さぁ!俺はここに来たぞ!響さんを巡って争おうじゃないか!」
「もうバトルは始まっているのに正面には立てません...もとより最初からぶつかる気はありませんので...」
オープンチャンネルで二言残し通信を切った沙希がスロットから以前翼が沙希に貸していた物の完成形である[光学迷彩ver.2]を選択、レーダーの熱源反応が消えバーニアを使わずに移動する事で簡単に感知はさせない形態が出来上がる。
『ん?小川さんの機体、レオパルドでもアルケインでもないのか。』
『みたいだな、でもあの機体確か翼先輩がおんみつこうどに特化した機体を作ってる時にベースにしてた機体に似てる気が...』
『あの機体の完成形がアレだよ。全国大会用の機体の基礎設計は僕がしてて預かってるから代わりの機体としてあのガンダムルールブレイクを渡したんだ。』
『『へぇ〜〜〜』』
「何処だ何処から撃ってるんだ!」
「貴方に私の姿は捉えられませんよ...」
斗真のクロスボーンガンダム×7が先程から姿が見えないガンダムルールブレイクに苛立ちを見せ闇雲にビームザンパーを振り回しており、その中でも沙希は冷静にビームガンでABCマントから見えるスラスターを一つ一つ撃ち抜いていく。
「そろそろ終わりにしましょう...」
「クソ!このシノビもどきちょこまかと!」
光学迷彩を脱ぎ捨て初期スタート位置に戻って追加コンテナから近接装備に持ち替え、今もなお複数のシノビビットと戦闘を繰り広げている戦場へバックパックからトリアイナを抜いてそのまま振り下ろしながら接近を仕掛ける。
「お前はホントにさっきコソコソしてた奴なのか?今度は堂々としてるな。」
「あの人の見よう見まねですけど、ね...!」
ビームザンパーによる斬撃を右手のトリアイナでいなしつつ左手のビームガンで地面を抉り近くの木々を撃ち抜いて倒す事で進路を塞いだりしながら気づかれないよう徐々に退路を絶っていく。
その様子をモニターから覗いていた響たちは普段とは違う戦い方をしている沙希に違和感を覚え。
『なぁアレって小川さんだよな...』
『俺の間違いじゃなければそのはずだ。それにしても...』
『切り返し方が俺と同じような気がするんだよ。』
『やっぱりそうだよな?俺もどことなくお前に似てると思ってたんだよ。』
響たちがモニターを眺めて疑問を問いかけあっている間に沙希はバトルを終わらせようと、最後の策を仕掛けていた。
「シノビさんお願いします...」
「この動き⁉︎一つ一つ手動で動かしてるのか!」
ビームクナイを手に持ち飛び回るシノビビットにビームザンパーを振り下ろしたクロスボーンガンダム×7だったがくるりと避けられ前のめりによろけてしまう。
「タイミングは今...!」
「なんとぉぉぉぉ!!!」
バックパックが変形したかと思うと左手にかかる形で弓を型取りそこにトリアイナをかけ即座に撃ち放ち何とか最後にシノビビットを蹴散らした斗真の目に写っていたのはビームを展開しながらバチバチと音を立てすごい速度で向かってくるトリアイナの切っ先だった。
[YOU WIN!!!]
スクリーンが解け響が目にしたのは珍しくテンション高めに見える沙希が上空にコブシを掲げておりその向かいでは斗真が[まさか...]みたいな顔をして膝をついていた。
「望月さん。」
「は、はい!」
「この勝負、私の勝ちなので響は貰って良いですよね?」
「ひゃい!す、すみませんでしたぁぁぁ!」
「あ、おい斗真!」
飛び出すように部室から飛び出していった斗真たちを見送っていたが
その時、にこやかに見えた沙希の目の奥は笑っていなかったと後々拓哉は語ったという。
「いやぁ、城戸さんありがと!これで彼は気まずい思いをしなくてもすみそうだよ。」
「そんな!響の助けになれて私も嬉しかったですから...」
「そ、そっか...」
沈黙が続き時計の秒針が一周した頃、木乃香が口を開いた。
「さ!城戸くんと安藤くんはそろそろ教室に戻った方が良いんじゃない?」
「ん?あ!おい拓子もう交代の時間だぞ!」
「委員長に怒られる!後、響もう小川さんのこと城戸って呼ばなくて良いんだからな?もしくはもう未来予想図ってか。」
「喧しいわ!じゃ、すみません俺たち行きます!小川さんありがとう、嬉しかったよ!」
響と拓哉がスカートを翻しながら急いで部室を飛び出しそれを見送った木乃香たちは室内に戻り改めて沙希を取り囲む。
「嬉しかったって!良かったわね沙希ちゃん。」
「自然と響って呼べてたしね!」
「ふぇ⁉︎あ、いえ、え....」
その後、文化祭の終了を告げるアナウンスが校内に鳴り響くまで違う意味で戦闘不能になった沙希の介抱が続き
ちなみにこの文化祭はガンプラバトル部の斗真の沙希のバトルがエキシビションマッチとして扱われ特別賞という形で幕を下ろした。
アースリィガンダムが個人的に出来過ぎ出て弄るところがホントなくバックパックと肩と武装を弄るだけになりましたセルフィアです。
拓哉の機体も後もうちょいで完成なのについ他のやつを弄り始めるのなんとかしたいな、と
今回の機体紹介!
ガンダムルールブレイク
武装:ビームダガー×2、シノビビット×3、光学迷彩ver2、武装コンテナ(今回はビームガンやトリアイナだったが状況により中身は変わる。)
SP:なし
翼が以前趣味で作った隠密行動に特化させた機体でベースの機体として、初期ガンダムを使用していた。意識的になのか長時間飛行ができなくなっており代わりに地上を走る力は向上している為、光学迷彩を纏いながら敵機に近づき背後からビームダガーで首を切る戦法を取る。