一般人生徒リツカ!   作:ブタどもの一人

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同日連続投稿!

筆が乗ったぜ!!

例によってカオスなので色々とお含みおきください。
カオスだけど意味はある、ちゃんとあるから!
カオスだけど。

サブタイトルいいの思いつかんかった……







破綻した正義の聖人

「……わかりました。良い結果を確約いたしましょう」

 

「そうだな、してくれなきゃお前は死んでしまうし」

 

 結局、俺らの話し合いは『ある密約』を交わしたところで終了となった。戦果としては上々だろう。相手が研究者気質であって助かった。

 

 傍らには甘味類をたらふく食べて満足そうなアビーがニッコニコで立っている。いくら太らないサーヴァントとはいえ見ていて胸焼けがするほど食うとかやめて欲しい。

 

「では、地上までは私がお送りしましょう。ご安心を、最速でお部屋まで送り届けます」

 

「うむ、頼む」

 

 クウネルの魔法によって俺たちは学生寮までひとっ飛び、もといワープした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、エリちゃんからネギくんのクラスが試験の成績学年トップとなりネギくんが正式な教師として就任したことを知らされた。

 順調にイベントは消化しているようだ。

 

 他にも、長谷川千雨が服を剥かれたり、双子姉妹とネギくんが散歩したり、お嬢様のお見合いイベントがあったりしたらしい。

 どれも人づてでしかないので定かでないが、ここまで来ても原作の流れは崩れていない。

 

 毎度毎度、面倒なことだが逐一確認しておかないとこの先、何が起こるか分かったもんじゃない。今の所、俺がネギくんに深入りしている部分はないので安心しているが。

 

 

 

 

 

 

 

「あの本を返して欲しい?」

 

 俺は相変わらず高校にキチンと通っている。

 高校では特にこれといった出来事もなく平穏に過ごしていた。

 その最中、俺は意を決して遠坂(黒髪)に『英霊召喚』の本の返却を求めた。

 

「あ、いや。別に遠坂が待っててもいいんだけど、すこーしだけ貸して欲しいなぁ、なんて」

 

 現状、俺が手がかりとしているのはあの本だけなのだ。黒幕がアルビレオじゃなかった今、捜査は降り出しに戻ったと言える。

 というか、今こそキャスタークラスを召喚すべきなのではないだろうか?

 

「とか言って、また英霊召喚する気でしょ。だめよ」

 

 だが遠坂はバッサリ切り捨ててその場を去ろうとする。

 

「待て待て、今の俺たちはすべて後手に回っている。あの本を誰が置いたのかすら分からんのだ。

 ここは、思い切って前進するべきじゃないのか?」

 

 正直な話、俺はキャスターが欲しい。

 いや、ナーサリーとかそういうんじゃなくて真面目な話、ここらで後方支援の適任者を引いておかないと色々とまずい気がする。

 今俺の元にいるのはどちらも戦闘型。エリちゃんはアイドル型だが。

 戦闘においては万が一も死はあり得ないと思う。

 ただ、こと魔法や魔術といった搦め手には弱い俺らだ。

 

 遠坂があくまで転生の黒幕を追っている今、バタフライ効果についての対処は俺のみになる。というか知ってるのが俺だけなので俺がやるしかない。

 もちろん、原作ブレイクを恐れるならエリちゃんを素直に学園に押し込めておけばいいのだが。

 果たして、それで大丈夫なのだろうか?

 

 原作がネギくんたちの視点で描かれている以上は、そちらに支障がなければさしてる問題はないと見ている。というか言い出したらきりが無いのでそこで判断するしかないのが現状だ。

 とはいえ、他の場所で大きな影響が出ていて、それが回り回って原作に致命傷を与えればどうなるか分からない。

 

 つまり、何が言いたいのかと言えば、俺の味方としての後方支援が欲しいのだ。

 サーヴァントであればある程度命令に従ってくれる。だからキャスターが欲しい。

 我ながらサーヴァントに対して失礼だがそんなことを言っていて全滅エンドとか怖くて考えたくない。

 

 目下、敵は『完全なる世界(コズモ・エンテレケイア)』。これはネギくんの敵であるので無理に俺が出張る必要もない。

 しかし、先日、()()()()()()()()()()が真実ならばこの世界はとっくに型月汚染を受けていることになる。

 もし、フェイト一味が魔術を得ていたら? さらには英霊についても知っている可能性だってある。

 だって首魁は魔法の祖・造物主なのだから。

 二千うんちゃら生きてるらしいし、神代についても知っていておかしくない。

 魔術を知らないエヴァが七百年とすると、少なくともそれ以前から生きている奴らは魔術の存在を知っていてもおかしくない。そう仮定しておくべきだ。

 

 あんまり召喚すると世界樹が枯れてしまうかもしれないが、二体で何の異常も見られないので三体目くらいは大丈夫だと思いたい。

 

 

「あのね、前も言ったけど英霊っていうのはそうホイホイ呼ぶもんじゃないのよ。

 例外として聖杯戦争や、白野が言っていた電脳空間、あんたの言ってた人理焼却事件という大事件に召喚が許されているの。

 そもそも、英霊は抑止力が扱う分野よ、人ごときが軽々しく扱うものじゃないわ」

 

 正論だ。実に正しい。

 しかし、俺だって死にたくないのだ。エリちゃんがネギくんたちと関わってしまっている以上、厄介事は降り掛かるものとして見た方がいい。その度にサーヴァントで蹴散らすだけではいずれ問題もでてくるのだろう。

 俺は何としてもキャスターを手に入らねばならない。それもあらゆる分野において有能な英霊を。

 

「分かった。ならば一つ提案だ」

 

「なによ、言っとくけど個人的な協力はしかねるわよ。私たちはあくまで転生なんていうぶっ飛んだことをしでかしたやつを見つける目的で集まってるんだから」

 

 それも正論だ。下手に動くのは下策。

 でも俺はすでに色々と手遅れなのだ。ネギクラスにエリちゃんが入ってしまっている以上は。

 

「俺が召喚するのは()()()()()()()()()()()()だ。

 かの万能の人の協力を得られれば、お前たちの目的も少しは前進すると思うぞ?」

 

「っ、まさかあんたダ・ヴィンチとも契約してたわけ?

 いや、複数のサーヴァントと契約してたのは知ってるけど……いったいどれだけの英霊と契約してたのよ」

 

 遠坂は呆れたように溜息を吐いて片手を頭に添える。

 まあ、通常の聖杯戦争では考えられない数だよな。だって三桁だもん、頭おかしい。

 とはいえそれらを纏めていたぐだはコミュ(りょく)カンストは間違いないと思う。どれだけ魅力的な人間なら最終決戦に座から応援に駆けつけてくれるというんだ。

 

「カルデアでの経験として、ダ・ヴィンチの頭脳は実に優秀だった。逸話通りの万能サーヴァントに間違いはない。

 アトラス院の七大兵器があったとはいえ虚数潜航艇なんてのを作り出してるんだからな」

 

 名探偵や他のサーヴァントの協力もあったらしいがそれは些事だろう。ちょっと誇張して伝える。

 

「虚数潜航ですって!? それに七大兵器って……待って、詳細を聞かなくても機能はなんとなく分かるわ。まったく、どうなってんのよあんたのとこの世界は」

 

 全くだ。おまけにラスボス倒したと思ったら今度は異星からの神と来た。三千年の歴史が燃やされたと思ったら今度は地球全漂白である。

 世界を滅ぼしすぎだと思う。

 三部はどんな形で滅ぼされるのか、今はもう知ることも叶わないが興味はある。

 地球の全滅回数だけで言ったらドラゴンボールに迫る勢いである。

 

 まあ、俺はぐだ本人ではないのだがな。

 ぐだには是非とも今後も頑張ってもらいたい。

 俺も頑張んなきゃいけないけど。

 

「呼んでおいて損はないと思う。結界対策も()なら鼻歌交じりにこなしてみせるだろう」

 

「そうよね、ダ・ヴィンチだもんね……なんか、ほんと、新しい転生者を見つけるたびにとんでもないことになっていて、なんというか。御愁傷さま」

 

 とか言って、あんたの身体も女神の依り代にされてるけどな。

 しかも二柱も。

 金星の遠坂と冥界の遠坂である。

 

「ちなみに記憶を引き継がせた自分のコピーも作ってるぞ」

 

 もはやなんでもありである。ダ・ヴィンチちゃんにできないことはない。

 

「なんでもありね……いえ、だからと言って英霊は呼ばせないわよ」

 

 なんでや!

 

「有能だろ、彼!? なんでそうまでして呼ばないんだ!?」

 

「何度も言わせないで。本来、英霊は抑止力の分野。人の身では扱えないものなのよ……私も前世で嫌という程、実感したわ」

 

「遠坂……」

 

 そういえば、彼女は本編でアーチャーと強い絆で結ばれていた。衛宮との関係からおそらくはUBWルートなのだろうが、それでもアーチャーが全部が全部言うことを聞いたわけじゃない。

 後日談で彼女は聖杯を解体している。あの戦争で多くの悲劇を見てきた彼女だからこそ、ホイホイ英霊を召喚する俺を認められないのだろう。

 当たり前のことだった。

 

「……そうか。分かった。遠坂は引き続き本の管理と解析を頼む」

 

「言われなくてもやってるわ、ラニたちの手も借りてるけど、これがなかなかプロテクトが固くて……」

 

 そんな高度な作りなのかアレ。てっきり即興で作ったもんだとばかり……

 

「いや、召喚は行うべきなんじゃないかな」

 

 唐突に、第三者の声が部屋に響いた。驚いて目を向けてみるとーー

 

「なんだ、レオか」

 

「ノックはしたんだけどね」

 

 金髪緑眼の美少年。前世は西欧財閥の首領であったレオナルド・ビスタリオ・ハーウェイ。

 今世では西欧の複合企業のお子さんだが、なぜか極東の島国の高校に入学している。絶対、何者かの仕業である。

 ちなみに、今俺たちは拠点として活用している空き教室の中で密談している。この部屋は防音は元より、隠蔽のためのあらゆる魔術を重ねがけしてあるためにこうしてペラペラと魔術について話し合える。

 ちなみに内外防音なのでノックは無駄である。

 

「ちょっとレオ、英霊の件については私に一任したはずよね?

 あなたが口出しする問題じゃないわ」

 

 少しイライラしている遠坂はきつめにレオに言い放った。ごめんよご両人、俺が怒らせてしまったんだ。

 

「そうだね、だが、我々が今手詰まりとなっているのは事実だ。そうだろう?」

 

「ぐっ、わざわざ彼の前で言わなくてもいいんじゃない? 彼はーー」

 

「一般人だと?」

 

 見透かしたようなレオの一言に遠坂も口を閉じた。

 

「どれだけの経験があろうが彼が一般人であり、魔術界のいざこざに巻き込むべきではないと提案したのは確か君と衛宮くんだったね」

 

「ちょっ!?」

 

 慌てる遠坂をレオは実に楽しげに眺めている。

 え、もしかして遠坂たち、俺を気にかけてくれてたのか?

 

「やはり君は魔術師としては人間性があり過ぎる」

 

「……ふん、ど素人に勝手に動き回られても面倒だと思っただけよ。それに衛宮くんがどうしてもっていうから」

 

「お前ら……」

 

 なんだか俺は彼女たちを誤解していたようだ。

 いや、正確に理解していなかった。

 なんで、アーチャーが彼女に手を貸したのか、それを明確に理解しておくべきだった。

 無駄な気遣いをさせてしまっていたようだ。

 

 ……というか、言えない。彼女たちに黙って“あいつ”を味方に引き込んだとか、絶対言えない。

 

「僕たちがよく知る遠坂凛と本当に似ているね」

 

「ちょっと、今あいつの話はやめてくれない? というか基本的に私の前で彼女の話はしないで。ただでさえドッペルゲンガーみたいで気分が悪いってのに……」

 

 それはすまなかったね、と言いつつ部屋に置いてある椅子に腰掛けるレオ。その仕草は高貴な身分に相応しいほど華麗である。

 

「話を戻そう。

 今、僕たちはこの高校に僕たちを集めた何者かの行方を追っている。おそらく、その方針は間違いじゃない。同じ世界からの転生者がこうも集積している状況は普通じゃない。

 だが、それを成したのが僕たちの世界を知り得るものなら何らかの術式、儀式、あるいはもっと別の何かの手がかり。何らかの手がかりがあるはずだ。

 

 しかし、現状そのようなものは一切、見つかっていない。魔術師として優秀な人材をこれだけ集めておいて何も分かっていない。

 それはつまり、相手がそれだけ強大な存在ということになる」

 

 それは道理だ。

 衛宮士郎や遠野志貴、両儀や黒桐などの魔術に傾倒していない者たちを除けば実に優秀な魔術師が揃っている。

 その上で、何も分からないのだ。

 そんなことができるのは神霊でも一握りだろう、或いはもっと根本的な、世界の理を司るーー

 

「とはいえ、その存在に敵対の意思があるのかは疑問に残るところではある。

 僕たちを集めたということは、僕たちに『何か』をさせたい、と見るべきなのは既に結論として出ている」

 

 レオはどうやら俺のために話してくれているようだ。

 

「……分かったわ、この子ももう色々と知ってしまっているようだしこの際だから話せるところは話しておきましょう」

 

 諦めたように、また溜息を吐いた遠坂が口を開いた。

 

「何をさせたいのかも分からない。だって手掛かりが何もないのだもの。まあ、異世界から魂を引っ張ってくるなんて常識外れも甚だしいことしでかしてくるくらいだからよっぽどなんでしょう。

 もしかしたら貴方が経験した人理焼却事件くらいの規模の話なのかもね」

 

 やめてくれ。ほんとに彼女の冗談は冗談に聞こえない。

 今は情報がなくてなんとも言えないが、普通の、上位世界から現世を見守っているような神霊ではないのは確かだと思う。

 あの本がまず怪しい。正規の手順ではなく、簡略化した儀式、それも代償が皆無など絶対におかしい。

 魔力がどこから来ているのかも不明だ。

 まあ、エリちゃんの発言から世界樹かなぁ、とは思ってるが。

 

「私たちも表立って派手には動けないの。一応、学園に対しては一般人で通してるからね。

 だから、どうしても調査が遅くなる」

 

 それは仕方ないことだ。彼女らはこの世界では圧倒的に不利な立場に置かれている。魔術が感知されないというのは大きなアドバンテージではあるが、数が足りない。

 対して魔法使いたちは世界中に溢れているし、魔法世界にはそれこそ億を優に超える戦力がある。

 何かと黒い噂が絶えないMMに至っては現実世界でも絶大な権力を誇るのだろう。

 

「僕たちもいつまでも高校生でいられる訳じゃない。現実社会での生活がある以上は卒業後のことも視野に入れなければならないんだ」

 

 レオは真剣に、そう言った。

 

「……そうね」

 

「だからこそ、高校という拠点があるうちに、卒業までに、何としても事態の究明に動くべきだ。

 それに、何事もなく卒業して仕舞えば、僕たちを集めたであろう存在に何をされるか分からない。

 今の僕たちには情報も戦力も人手も技術も足りていない」

 

「……その通りだわ」

 

「ならば、使える手は使うべきだ。切れる手札は多いに越したことはない。幸い、結界のおかげで高校内ならばサーヴァントも感知されない。

 どうだろう、僕は今この時こそ動くべきだと思うけど」

 

 レオの言葉に、遠坂は暫く沈黙していた。

 彼女が俺に述べた言葉はどれも正しい。

 少なくとも俺を危険に晒さないように配慮してくれたことには感謝の言葉だけでは足りないほどの恩義を感じる。

 

 レオの言うことも正しいのだろう。おそらく、彼も動きたくても動けなかったのだ。そこへ現れた俺という存在、おまけに英霊召喚ができる本まで所持している。

 これを好機と捉えるのは実に理にかなっている。

 

 

「……分かったわ。ただし、他のメンバーにも意見を聞くべきだわ」

 

「もちろんだ。我々は共同体、志を共にする仲間だ。誰か一人を王に戴く組織ではない」

 

 レオの口から出たとは思えない言葉だ。いや、別に彼が変質したわけではないのだろう。ただ、今は目的のために合理的な判断を下しただけだ。

 

「じゃあ、明日の放課後、この拠点にみんなを集めましょう。レオは白野たちに連絡を、私はユグドミレニア姉弟に、リツカは魔眼コンビに連絡を」

 

「了解した」

 

「ああ」

 

 こうしてその日はお開きとなった。

 原作はすでに始まっている。ネギくんから離れているが、こうして遠坂たちのもとに異変が発生している。

 エリちゃんたちと暮らすにはこれらの状況を打開するしか道はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校からの帰り道、なんとなく教会に寄り道していた。

 一応、お菓子はスーパーで購入済みだ。

 

「ちーす、ココネちゃんいるー?」

 

 教会の扉は新しく取り付けられていた。

 新品独特の匂いを鼻に感じながら、扉を開く。

 

「ついに、本音を出した」

 

 そこには案の定、ココネ嬢がいた。いつも通り椅子にちょこんと座っている。

 が、その横にーー

 

「あんた……よくものこのこ現れやがったね!」

 

 教会に入るやいなや、ミソラ嬢が全力で襲いかかってきた。一般人たる俺には避けることすらできない。

 

 俺に飛びかかりそのまま押し倒す。少しドキッとしてしまった。

 だが、すぐにミソラ嬢の怒りの原因に思い至る。

 

「すまんかった、だが俺もシャークティの怒りを受けるのは怖いんだ」

 

 怒った時の彼女はもはやシスターではない。鬼、いや悪魔にも等しい恐怖のオーラを放っている。

 

「あたしだってやだよ! というか全然信じてもらえんかったし!」

 

 それは日頃の行いのせいだ、諦めてくれ。

 

「あ、ココネちゃん。お菓子はこの袋に入ってるからーー」

 

「わーい」

 

 棒読みのセリフとは裏腹にすごい速度でお菓子袋を掻っ攫っていくココネ嬢。すでに椅子でもぐもぐと食べ始めている。

 よかった、これで悔いはない。

 

「さあ、美空よ、存分に俺に罰を与えるがいい」

 

 俺は五体投地でミソラ嬢を迎える。

 エリちゃん優先とはいえ、やったことのツケはしっかり払わねばならない。

 

「へぇ、覚悟は出来てるってわけね……じゃあ存分に恨みを晴らさせてもらおうか!!」

 

 俺はその日、またも藁人形を損壊させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、痛い。すごく痛い」

 

 教会の椅子に座りながら俺はボコボコになった顔を押さえていた。

 ミソラ嬢はいつから暴力系ヒロインになってしまわれたのか。

 影薄いのもいけないが属性の盛り過ぎも危険だ。

 生足魅惑の彼女のようになってしまうぞ。

 

「あー、清々したわ。ついでに日頃のストレスも解消されたわ」

 

 それも含めてたのかよ。

 

「というか、またシャークティいないのな。今日は日曜でもないから仕方ないとは思うが……」

 

 会えないと、それはそれで寂しいものがある。

 原作ではさほど描かれなかったが、彼女はあれで立派なシスターなのだ。

 

「あ、それなんだけどそろそろ戻ってくると思うよ?」

 

「なんか知ってるのか?」

 

「いや、アレだって。例の神父の件」

 

 ミソラ嬢の一言で思い出してしまった。せっかく忘れてたのに……。

 

「なんか一緒に来るらしいよ、挨拶だってさ」

 

 なん、だと。

 

「……うむ、ココネちゃんにお菓子渡したし俺もそろそろ帰ろっかな」

 

「いやいや、急にどうしたリツカ。いつもならもちょっと遊んでくだろ」

 

 遊ぶってあんた、主にあんたら二人に罵られてるだけじゃない。遊びなんかじゃないよあれは。

 でも、そこがいい。

 

「いや、今日は遠慮しとくよ。たまには早く帰ってエリちゃんと過ごしたい」

 

 一応本音だ。半分。

 もう半分は是が非でもあの神父に遭遇しないためだ。

 この世界でも良からぬことを企んでいるとは限らないが、そもそも精神が破綻している彼と出会っても良いことがないと思う。

 

 だから逃げる。

 

「じ、じゃあシャークティによろしくなー!」

 

「え、あ、ちょっと!!」

 

 全速力で逃げる、藁人形は壊れてしまったけどそれでも俺の足は平均よりはマシなはず。

 本気出せばいけるはず、そう思い込んで俺は一目散に教会を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リツカが去った教会、そこへ彼と入れ替わるように二人の人物が訪れた。

 

「ただいま帰りました、大人しくしてましたか美空」

 

「毎度のように聞くけど、私もそう毎日イタズラなんてしないですから」

 

 一人はこの教会の管理者、シスターシャークティだ。美空やココネと同じく修道服に身を包んだ褐色の美女。

 

「ふふ、お話に聞いた通り、元気がいい子ですね」

 

 そしてもう一人、()()()()()()()が穏やかに述べた。

 

「ええ、元気が良過ぎるくらいですよ。どうせなら一日くらい預かってみますか?」

 

 冗談交じりに述べるシスターに、神父の()()はやんわりとお断りした。

 

「シスターシャークティ、その人が噂のーー」

 

 美空が恐る恐るといった具合で尋ねる。

 シャークティも思い出したように応えた。

 

「ああ、そうでした。今回は新しく赴任される神父様がご挨拶に参ったのです。しっかりと傾聴するように」

 

「そう、畏ることはありませんよ。私もそんなに偉いわけではありませんから」

 

 言い聞かすように述べるシャークティに、神父はあくまで穏やかにそれを制した。

 そして優雅に胸に手を当て己が名を告げる。

 

「私は『シロウ・コトミネ』。この麻帆良学園都市内に新たに設置されることになった言峰教会を管理する神父です。

 よろしくお願いしますね、お嬢さん(リトル・レディ)

 

 





私も一応、両原作を読んでいますが、万が一、抜けてる部分とかございましたらご報告いただけると嬉しいです。

神父は果たして別人なのか転生者なのか。
その正体はしばらく保留!

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