一般人生徒リツカ!   作:ブタどもの一人

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少し強引かも……


まあ、大勢に影響はない。
問題ない。




また小さい子の話してる……。

「では、此度の騒動、その詳細の報告を聞こうか」

 

 学園長室、そこに集められたのは俺とネギくんと明日菜、ついでに無理やり連れてきたエヴァ。

 相対するのは学園長と高畑のみ。

 これは俺のたっての頼みでこの二名だけに聞かせることをお願いした。もちろん、理由としては『英霊に関する秘密事項』に規定されるからだ。

 

 また、ここに来るまでに精霊からお願いされたこともあり、俺は例の本を所持した状態で報告に臨んでいる。

 

「はい。まずはじめに、ここまでの被害を出してしまったことをお詫び申し上げます。誠に、申し訳ございません」

 

 俺は開口一番に頭を下げた。どうあれ、この事態は明らかに俺の責任だ。裏生徒会の面々や学園ではなく、すべての事情を知りながらこの被害を防げなかった俺にこそ責任がある。

 だからこそ俺は頭を下げなかければ気が収まらなかった。

 

「待て待て、こちらとしても想定外、予想外の事件だったが君にのみ責任があるわけではなかろう」

 

 しかし学園長の言葉を聞き、やはりしっかりとした説明の義務があるとして俺は頭をあげる。

 

「温情、痛み入ります。……では恐れながらも私から説明をさせていただきます」

 

「たまに、妙に律儀になるよね、君」

 

 なぜか呆れた様子の学園長と高畑に疑問を抱きながらも、俺はことの詳細を語る。

 まず、この報告にあたって俺は『真祖アルクェイド』と『ギルガメッシュ』についての言及は避けられないと判断していた。

 理由はエヴァやネギくんにもその単語、詳細をある程度聞かせてしまっているのと、これだけの被害を出しておいて今更、あからさまな隠し事は避けるべきと思ったからだ。

 

「まず、今回の事件の犯人。それは吸血鬼の中でも最強と目される真祖の姫君たる存在です」

 

「吸血鬼とは……いや、まさかあれほどの力を持った存在がいたのか?」

 

 学園長の疑問は最もだ、この世界でどれだけ真祖が暴れたか知らないが、魔法先生や関係者の間で話題になるのは竜種や大戦で猛威を振るった『完全なる世界』などの悪党で、吸血鬼の話題としてはエヴァのものくらいしか聞かなかった。

 だからこそ吸血鬼という存在について詳しく知っている者は少なくとも学園では限られていると見ている。

 

「ええ、最も、私よりもエヴァンジェリンの方が詳しいのでしょうが」

 

「なぜここで私に振る!? いや、私も知り合いにその存在を又聞きしたに過ぎない。

 ……というか、お前の方が知ってるだろ」

 

 ううむ、そうだよね。いや、そうなんだけどさ。

 ここで、それ言っちゃう?

 言わないとダメ?

 だって、絶対高校まで突き止められるよ。

 裏生徒会発覚間違いなしだよ。

 

 いやぁ、精霊の言ってた奸計ってそういうことね、どちらが勝とうが、結局、俺や裏生徒会は引き摺り出されることになる。

 まったくクソ面倒くさいことをしてくれたものだ。

 

 まあ、今更隠すなんてのは難しいのかも知れないしやったことは事実なのだからどうしようもないか。

 

「……そうですね。彼女が言うならば」

 

 俺は語る。この場において最適と思われる情報を。

 

「この襲撃については私も想定外でした。しかし結果として対抗しうる英霊の召喚に成功し『撃破』したのは事実です」

 

 嘘は言ってないよ、事実、あの状態では復活には時間かかると思うし。

 

「ふうむ……ネギくん、そしてエヴァくん。この発言に誤りはないかね?」

 

 こちらを見定めるように眺めてから学園長はネギくんたちに確認をとった。

 

「は、はい。英霊の方は消えてしまいましたが」

 

「ああ、間違いはあるまい。ま、倒したのは王様だけどな!」

 

 なぜかどやってくるエヴァ。そんなに王様気に入ったのか。でもあれかなり機嫌よかったからね?

 いつもなら一秒と経たず塵にされてたからね?

 

「ふむ。では、今後吸血鬼による襲撃は考えられるかね?」

 

「いえ、奴は個体性能は高いですが単独行動を好むタイプです。仲間と呼べる吸血鬼はいないでしょう」

 

 まあ、基本的には吸血鬼の敵だしな。吸血衝動を抑えきれず本能に生きることを選択した真祖・魔王を討滅するために生み出された存在だ。そうそう吸血鬼と友好関係になることはあるまいよ。

 

「ならば今後の襲撃はないと?」

 

「極めて低いと思います。第一に麻帆良を狙う理由がなく、吸血鬼という種自体が単独プレイを好むアウトローどもの総称でしょう」

 

「おう、こら、私に喧嘩売ってるのか? ん?」

 

 いちいち突っかかってくるなこのロリババア。

 間違っちゃいねぇだろ。

 

「まあ、私も知識で知っていただけなのでなんとも言い難いですが」

 

「そうか。まあ、既に撃破したというなら問題なかろう。

 ……それより、ワシ、弁償代の方が心配なんじゃが」

 

 割とあっさりと話題が変わる。

 というか弁償代って、確かにアレらの修理ってどうなるのかなぁとは気になってはいたが。

 

「まあまあ、そこはいつも通り。なんとかするしかないでしょう」

 

 あくまで冷静な高畑だが、なんかフワッフワした表現である。いやマジで大丈夫なの?

 

「……いちおう、討伐報酬ということで。修理、お願いいたします」

 

 俺は素直に頭を下げた。いやだって仕方ないじゃん、寧ろアルクとやり合ってその程度で済んでるの奇跡だからね?

 

「まあ……君に背負わせようなんて思ってないけどさ。ワシも金欠なんじゃよ、今度から気をつけてね?」

 

「はい……」

 

 ちょっと元気ない声の学園長に俺は居たたまれなくなった。

 

「じゃあ、明日菜くんとネギくんはもう帰ってよろしい。……すまなかったね、君たちは巻き込まれた側だろうに。

 今日のところは帰ってゆっくり休んでほしい」

 

「え、あ……は、はい」

 

 やけにあっさり帰されたからかどこか戸惑い気味に答えながら、部屋を出て行くネギくんと明日菜。

 ……おおっと、これは嫌な予感してきたぞ。

 

 案の定、ネギくんたちが去るのを確認してから学園長が爆弾発言をかました。

 

「……次に、麻帆良本校高等部にて確認された正体不明の組織のことなんだがね」

 

 その一言に俺は内心ドキっとしてしまった。

 あくまで普段通りの口調で述べられたあたり、結構調べついてそうではある。

 俺はあくまで平静を装い応える。

 

「初耳です。それはいかな組織ですか?」

 

「ほほう、いやな、先ほど結界の修復をする際に、一部結界の効果が中和されてしまった部分があってな。

 ……それがその高校。加えて何者かが出入りするところも確認されておる」

 

 なるほど。カマをかけてきているか。

 おそらくは結界のあたりまでが本当だろう。

 あとは確証を掴めていないはずだ。出入りで見つかるなど彼女らに限って有り得ないだろう。

 

 だがどうしたものか。

 俺が一番懸念するのは学園長がMMに降ってしまうこと。事あるごとに本国という単語が出てきていたあたり、この学園も例外ではなくMMが上を抑えているはず。

 

 と。

 

「失礼するわ」

 

 バタン、勢いよく扉が開かれ中にゾロゾロと若い男女が入ってきた。

 

「ぬっ!?」

 

 反射的に居合い拳の構えを取る高畑。

 

 ……いや、というか入ってきたのは遠坂たちだった。

 

「なんで、お前ら」

 

 困惑する俺に、遠坂がニッと笑みを一瞬浮かべ、隣の衛宮に何事か呟いた。すると、衛宮が俺を守るようにして立った。

 

「……何か、用かの?」

 

「ええ、こちらも隠れてばかりではいられなくなったからね。少しばかりお話をしたくて」

 

 実力者として、学園の長としての覇気を放つ学園長を前に遠坂は取り乱すこともなく堂々と立っていた。

 

「ミス・遠坂、変わろう」

 

 そんな彼女に後退を申し出て代わりに前に出てきたのはレオ。いつもの堂々とした王者の風格をそのままに学園長の前に。

 

「率直に、話し合いに来た。

 我々は既に警戒し合う時期を過ぎてしまった。

 そうなのでしょう、精霊さん」

 

『いやぁ、もしかしてキャスターの言葉を聞いたのかな?』

 

 レオの呼びかけに、素直に応える精霊。

 俺の抱える本から突然響いた声に、レオと俺以外驚愕する。

 そんな中、本は勝手に俺の手を離れページが開かれていく。

 その上にホログラムの人物が現れた。

 

『ご機嫌よう諸君。知っている人も知らない人もいるだろうが僕は本の精霊さんだ。とりあえずよろしくと言っておくよ』

 

 場違いなほど明るいノリで話す精霊に、しかし学園長が予想外に反応を示した。

 

「あなたは……!!」

 

 どうやら知り合いのご様子。

 おそらくはこの精霊の元となった人物に心当たりがあるのか。

 

『やあ、近右衛門。久しぶりだねぇ、元気してた?』

 

 相変わらず軽いノリの精霊に、学園長は渋い顔をした。

 

「おい、じじい。アレと知り合いなのか?」

 

「まあ、知ってるっちゃ知ってるが……」

 

 エヴァの問いにも歯切れの悪い回答を返した。

 

『はは、混乱しないでくれ。僕は『彼』を基にしてる。アバターが似ているのは当たり前さ』

 

「こいつが、()の言ってた精霊ってやつね」

 

「なんだか軽いノリだなぁ」

 

 衛宮が締まりが悪そうに述べた。

 

「『彼』と『彼』から話は聞いている」

 

 レオの言葉に精霊は嬉しそうに頷いた。

 

『そうかそうか、じゃあ、改めて近右衛門たちにもお話しておいた方がいいね。

 その方がお話もスムーズに進むはずさ』

 

「話?」

 

 訝しむ高畑に精霊は「YES!」とテンション高めに応えた。

 いやマジなんなんだこいつ。

 

『此度の騒動、その『黒幕』。目的、というべきかな、とにかく今回の事件の詳細についてさ』

 

 そうして精霊は語り始めた。

『黒幕』、アルクを嵌めた存在とその目的、これからの指標について。

 

『敵は『観測者』。人類の歴史を体現する人類史そのもの、記録の集合体とでも言おうか。

『彼』がかの真祖の姫を罠に嵌め、唆し今回の襲撃を行わせた』

 

「……やはり、彼女は嵌められたのね」

 

 悔しげに遠坂が呟く。

 レオは至って冷静に、衛宮は僅かな怒りを滲ませている。

 

『目的は言わずもがな。この状況がまさにそうさ。

 僕が『彼』に対抗するために集めた彼女たちと、近右衛門、君たち学園の魔法使いを争わせ矛先を自分から逸らすため』

 

「む……では、彼女たちは貴方の?」

 

 ピクリと眉を動かした学園長は精霊に問う。

 

『ああ。『彼』がいずれ『大逆』を犯すことを見越してね、対抗できる存在を集めた。

 いずれもが頼もしい味方さ』

 

「ふむ……学園長、彼は信用できるのですか?」

 

 もっともな高畑の問いに学園長は間を置かず頷く。

 

「ワシの知っておる人物ならば、な」

 

『疑り深いなぁ、確かに『コピー』だけど人格は本物だよ?』

 

 おどけるような精霊の態度に学園長も溜息を吐く。

 

「はぁ……まあ、この様子ならば間違いはあるまい。

 高畑くん、彼はねこの学園の創設期に共に尽力してくれた賢者だ」

 

「っ!!」

 

 それは初耳だな。

 まさか麻帆良学園創設にも関わっていたとは。

 この精霊の正体について色々と憶測はあるがそれは予想外だ。

 

『まあその話は置いておこう、今は関係ないし、『ここで話す内容』でもあるまい。

 では、今後、僕たちがどうするべきか。『彼』にどう対処していくべきか。それを、ゆっくりと話し合おうじゃないか』

 

 その場を仕切るような物言いの精霊。

 どうでもいいけど今、夜中だからね。ここにいるメンツは色々と人間離れしているから大丈夫だと思うけど、俺は今、かなり眠い。

 そういえば遠坂も朝は苦手だったと記憶してるけど。

 

「そうね、そのためにここまで来たんだし」

 

 凛々しい姿で立つ彼女の姿を見ればそんな心配は無くなった。

 とりあえず、今はこの話し合いに集中しよう。

 今後の方針も決めねばならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やはり、奴は怪しい」

 

 職員室。

 学園長室にてリツカたちが話し合いに臨む中、待機を命じられた魔法先生たちはこの一室にて大人しく座していた。

 そんな中、話題となるのはやはり近年、魔法関係者の仲間入りを果たした高校生・藤丸立華であった。

 

「ガンドルフィーニ先生、彼も一応学園の生徒なんですから、そう敵視しないでください」

 

 宥めるように述べたのは同じ魔法先生たる瀬頼彦(せるひこ)だった。

 

「そうは言いますが、我々の仲間になってこのかた、大事な部分については全て学園長と高畑先生にしか話さない。

 おまけに今回の事件でも我々は除け者だ。おかしいとは思わないのか?」

 

「ううむ……ただ、僕個人としてはそんなに悪い子には見えなかったんですけどね」

 

 懸念を示すガンドルフィーニに今度は弐集院(にじゅういん)が応えた。

 

「いずれにせよ、私たちがやることに変わりはありません。学園長が待機を命じるのならば従うまでです」

 

 冷静な意見を述べたのは魔法先生の中で唯一、京都神鳴流の使い手である剣士・葛葉刀子であった。

 

「だが、彼の意見にも一理あるのは確かだ。藤丸くんは強力な使い魔を従え、あまつさえその詳細を我らに秘匿している。

 その経緯についても突発的にであり、不審な点は幾つも言及できよう」

 

 それに苦言を呈したのはヒゲグラの異名を持つグラサンのダンディなスーツ男・神多良木(かたらぎ)である。

 

「それよりもなによりも重大なのは彼の素行だ!」

 

 突然、耐えきれなくなったようにガンドルフィーニが叫んだ。なんだなんだと他の先生たちが注目する中、彼は絞り出すように語る。

 

「『ロリコン変態少年』ってなんだよ!

 魔法関係者でそれなりの実績もあげてるのに、なんだ変態って!

 何がどうしたらそんな情けない異名がついてしまうんだ!!」

 

「そこですか……」

 

 瀬頼彦は呆れたようにぼそりと呟いた。

 

「ええ、確かにそこなのよ問題は!!

 この間だって、アビーちゃんの入学写真撮ろうと思ったら『いえ、彼女の保護者は私なので。無関係な()()()()は下がっていただけますか?』って!

 誰が年増だゴラァァァ!!」

 

 激おこぷんぷん丸(死語)のごとく怒り狂う刀子は天に向けて咆哮する。

 

「うわぁ、例え事実でも禁句ですよ、それ。

 結構容赦ないですよね彼」

 

 同情するように語る瀬頼彦に刀子はギロリと鋭い視線を向ける。

 あまりの怖さに彼は「ひぃ!」と悲鳴をあげた。

 

「だ・か・ら!

 私は、年増じゃ、ねぇっての!!」

 

 瀬頼彦に向けて放たれた鋭い斬撃を彼は間一髪で避ける。

 背後にあった机は綺麗に真っ二つになった。

 

「落ち着け葛葉。彼だってカッとなっていってしまっただけさ。本心では若々しい君の姿に青春してしまっていたことだろう。

 全く、天邪鬼の彼らしい照れ隠しじゃないか」

 

 流れるように嘘を述べた神多良木に、刀子は「えっ?」と頬を赤らめながら振り向く。

 

「そ、そんな……あ、あんなクソガキのことなんてなんとも。

 でも、そっか。男の子だものね……。

 ああ、だめ、私には彼がいるのに」

 

 両手で頬を撫でながら身体をくねらせる彼女に周囲は若干引き気味だった。

 若いと言われると嬉しくて堪らなくなってしまう可哀想な年増の姿がそこにあった。

 

「助かりました神多良木さん。

 それにしても扱い上手いですね」

 

 命拾いした瀬頼彦がこそこそと神多良木に耳打ちする。

 

「まあな、仕事で何度も組まされたら流石にこのくらい扱えるようになるさ。いちいち発狂されてたら仕事もままならんし」

 

 悟ったように述べる神多良木に瀬頼彦は尊敬の眼差しを向けた。

 

「あのぅ、皆様何やら苦労されたようですけど。

 彼、根は優しい良い子ですよ?」

 

 騒ぐ先生たちに、不思議そうな顔で告げるのはシスターシャークティ。厳密には先生ではないが学園に協力する魔法使いとしてこの場に待機している。

 

「……一番分からないのが、あんだけ嫌っていた貴女がどうしてここまで彼を信頼するようになったかですよ」

 

 なぜか疲れた様子のガンドルフィーニは問いかける。

 

「それは、ええ、私の不徳が致すところ。彼の本質を見抜けなかった私の落ち度です。

 でも、自らをも顧みずに“シスター”を救った彼は紛れもなく優しい子であるのは確かですよ」

 

「“オルテンシア修道院”の件ですか……確かにアレは彼にしては珍しく真面目な……いえ、立派な功績ですね」

 

 微妙に納得のいかない顔をしながらもガンドルフィーニは頷いた。

 

「でもそれって、シスターが幼い子だったからですよね?」

 

 ここで要らんこと言ってしまったのは瀬頼彦。彼に悪気があったわけではないが、その一言でまたガンドルフィーニが発狂した。

 

「やっぱり! やっぱ彼変態ですよ!

 何がどうしてあんな性癖歪んじゃったのか知りませんが、ロリコンなのは確かなんですよ!

 ああ、仕事はちゃんとやるのに。

 そこだけがどうしても納得いかない」

 

 ガンドルフィーニは生真面目な男であった。ゆえに、仕事の面だけを見ればリツカを認めているし、優しい子だというシャークティの言葉も納得できた。

 ただ、彼には娘がいる。その関係かは分からないがどうしても、普段の未成年への変態的行動を繰り返すリツカが許容できなかった。

 

 まあ、この学園のトップからして自分の部下にセクハラしたりしてるので今更な話ではあるが。

 しずな先生は優しい。ハッキリ分かんだね。

 

「そんなこと……!

 彼はウチのココネに毎回お菓子を持ってくるくらい子供好きなだけです!

 確かに偶に『お兄さんのキノコの里食べるかい?』とかよく分からない発言をしていますが」

 

「ガチですね、ガチのロリコンですよ彼。

 ……気が合いそう」

 

 熱弁するシャークティに瀬頼彦はぼそりと呟いた。

 

「……怖いな。こいつら、俺たちの同僚なんだぜ?」

 

 冷静に、隣の弐集院に語りかける神多良木。

 弐集院は微妙な顔でリツカをフォローする。

 

「いや、まあ、彼も常識は弁えているでしょうし……」

 

「君の娘も守備範囲だぞきっと」

 

「肉まんにして食ってやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話し合いという名の交流会により、裏生徒会と学園側は無事に同盟を結ぶに至った。

 決め手となったのはやはり『精霊』。こいつと学園長が旧知の仲にあり何らかの密約を交わしていたことが、学園側の警戒を解く鍵となった。

 その際に『結界』について二人で話していたが、生憎とそれ以外のことが聞こえてこなかったので分からなかった。

 

 まあ、裏生徒会の癒しキャラである衛宮と高畑も意気投合し仲良くなっていたので、懸念していた事態は概ね避けられたと見ていいだろう。

 

 結果として、魔術に関する機密を守った上での一部技術提供、人的支援、その他双方の支援体制の詳細を詰めたところでお開きとなった。

 帰る頃には日が昇り始めていたので俺含め裏生徒会面々は急いで帰宅してまた登校することになった。

 

 

 

 そして、帰宅した俺にさらなる災厄が襲い掛かる。

 

 

 

「た、ただいまぁ……」

 

 そっと玄関を開けて中を伺う。

 暗い。カーテンを閉めたままなので部屋の中は薄暗かった。

 まだ二人とも寝てるのだろうか?

 

 そんなことを考えていると、急に何かに身体をぐるぐる巻きにされて部屋の中に引きずり込まれた。

 

「へぶぅ!?」

 

 べちゃり、と床に放り出された。なにやら身体中がべたつく液体で包まれていて気持ち悪い。

 

 と。

 パチリと部屋の電気が付けられた。

 

「いったい、どこに行っていたのかしら子イヌ?」

 

 ぬらり、と目の前に立ちふさがったのはエリちゃん。なんとも言えぬ威圧感を漂わせながらこちらを見下ろしている。

 

「うふふ、私も悪い子だけどマスターさんも相当悪い子ね」

 

 その隣には、悪い子モード(第三再臨状態)のアビーが寄り添うように立つ……いや、ふわふわと浮いていた。

 

「待て。話し合おうじゃないか、俺たちは家族、そうだろう?」

 

 色々と悟った俺はあくまで冷静にいい含める。

 

「はぁ? 私はただ、躾のなっていない駄犬にお仕置きをしてあげようってだけなんだけど」

 

 だめだ、エリちゃんの目は完全に絶対許早苗状態だ。

 

「腕、脚? あ、そういえばダ・ヴィンチさんから貰った礼装で頑丈になっているのよね?

 なら、多少無茶をしても、いいわよね?」

 

 アビーも語るに及ばず。すでにお仕置きする気満々、許してくれる様子はなかった。

 というか二人ともハイライト失ってるよ!

 

「ひぇ……!」

 

 

 

 

 

 その後、言葉に表すのも憚られるような悍ましいお仕置きを受けてしまった俺は、その日、欠席した。

 

 

 

 






さらっと流しましたけどちゃんとホロウ編します。
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