一般人生徒リツカ!   作:ブタどもの一人

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暗黒が持つと頭がおかしくなって死ぬ。




光と闇が両方そなわり最強に見える。

「……おい、今の時間を言ってみろ」

 

 土曜日。惰眠を貪っているであろうエヴァの家に早朝から訪れる。

 寝る子は育つと言うがお前の場合は育たないだろ、呪いのせいで身体年齢相応な貧弱さなのだから健康には気をつけなさい。

 

「五時だが? もう日も昇っている。十分朝だ」

 

 いやぁ、日の出を見ながらジョギングするのは気持ちがいい。なんかこう、健康になってる感があるよな。

 

「ハロー、いや、グッモーニン!

 朝の目覚めは如何かな? エヴァンジェリンくん」

 

「で、コイツはなんなんだ?

 会って早々馴れ馴れしいが」

 

 朝からテンション高いダ・ヴィンチちゃんを連れての来訪だ。エヴァは早速彼のテンションに辟易としていた。

 

「うむ、うちの技術屋だ。

 なんかお前の作ってくれた藁人形を見て是非会いたいとせがまれてな。とりあえず連れてきた」

 

「お前、最近、私の扱いおかしくないか?

 私はこれでも世に畏れられる大悪党なんだぞ?」

 

 そんなことないぞ。俺はロリっ子には優しい男だ。

 たとえババアであっても見た目がロリなら構わない。

 雑食系ロリコンだ。

 

「うっは、大悪党とか本当に自分で言っちゃうのかぁ。

 あー、いやいや失礼。続けてくれたまえ」

 

「……まあ、入れ。話は中でしよう」

 

 いちいち反応するのも疲れたのか中へと招くエヴァ。

 

 リビングには茶々丸もおり、俺たちを見るやキッチンへと向かった。

 

「適当に座れ」

 

 言われた通りにソファに腰掛ける。

 隣にもポスン、とダ・ヴィンチちゃんが座った。

 

「紅茶でございます」

 

 そう言ってダ・ヴィンチちゃんと俺の前のテーブルに紅茶を置く茶々丸。

 モーニングティーというやつだね?

 そう言うと怪訝そうな顔をされて無視された。

 

「……なんか、君嫌われてない?

 何やったの?」

 

「いや、彼女のネジを強引に巻き巻きしたくらいしか思い当たらないな」

 

 そう言うと、ソファの後ろに控えていた茶々丸の方からベキっとお盆を割る音がした。

 

「朝から茶々丸をいじめるなリツカ。後で苦労するのは私なんだぞ」

 

 疲れたように述べるエヴァ。

 だが断る。

 

「そういえば、巻き巻きしている時に何やら艶っぽい声を上げていたような……」

 

 態とらしく話している途中で、俺の後頭部に拳が炸裂した。鋼鉄の拳だ。間違っても人間に向けちゃいけないヤツ。

 じんわりと痛みが広がる。

 

「……失礼、拳が滑りました」

 

 あくまで冷静に述べる茶々丸。普通拳は滑らないと思うぞ。

 あと、ようやく手加減を覚えたらしい。偉いな茶々丸。後で巻き巻きしてやろう。

 

「おい、だからコイツは誰なんだ」

 

 痺れを切らしたように語るエヴァ。

 待てよ、茶々丸との交流はお前のとこ来ないと出来ないんだから、もうちょっと触れ合う時間をだな。

 

「技術屋だ。さっき言った通りだよ」

 

「ふん。いいや違うな、ただの技術屋には到底思えん。

 見れば分かる、そいつも英霊とやらなのだろう?」

 

 こいつ、ダ・ヴィンチちゃんの偽装を見破るのか?

 いや、そうではない。彼の偽装は完璧、なら他の要素。

 

「……やはり、私の纏う才気は誤魔化せないようだね。

 さてどうする、マスター?」

 

 指示を仰ぐような視線。彼としてはエヴァが俺にとってどういう存在なのか未だ測りかねているのだろう。

 エヴァは学園にいる魔法使いの中でもずば抜けた実力者、加えて魔法研究も得意であり、有り余る時間で独自の技法を編み出したりもしていた。

 腕前もそうだが、彼女はあくまでアウトロー。呪いで学園にいるとはいえ本来なら指名手配中の賞金首。

 長い時間を一人で過ごしたために自立精神も確立されている。

 ふむ、そうだな。

 

「一つ、取引しないか?」

 

「取引?」

 

「俺はお前に()()の正体を教える。一部技術提供も約束しよう」

 

「条件は?」

 

「それら一切の他言無用。正体はもちろんだが技術を外部に知らせることは控えてもらう。どうだ?」

 

「……そんな条件でいいのか?」

 

 こちらを訝しむような顔で確認してくる。

 俺は問題ない。

 

「ダ……え、と。キャスターはそれでいいか?」

 

「ん? 君が構わないのなら、ね。

 彼女に関しては、信用してもいいのだろう?」

 

 それについては問題ないと見ている。

 

「お前はそんな狡いことするような奴じゃないもんな」

 

「ほう、知った風な口を聞くじゃないか。

 だが、どうかな?

 案外、生き汚い女かもしれんぞ?」

 

「そうだな。だが魔術への興味の方が強いんじゃないか?」

 

「ぬ……」

 

 以前より交流のある彼女だが、その関係が魔術という一点で繋がっていたことは確か。

 一般人たる俺に執着したのはあくまで魔術という未知への興味。

 ならば、それがいよいよ明かされるとなれば。

 

「まあ、いやなら構わんが。他の人物に頼むまでだ。

 なに、物作りに関しては別にお前でなくともいいのだから」

 

「喧嘩売ってるのか?

 上等じゃないか、買ってやろう。

 私は貴様らや魔術に関して口外せん、だからさっさと教えろ」

 

「いいだろう。

 ならば本人から自己紹介してもらった方がいいな。

 では、どうぞキャスター」

 

 なんとなくわかってたが、無事にエヴァの興味を引けたか。

 ならば、とダ・ヴィンチちゃんに先を譲る。

 

「ノリノリだねリツカくん。

 

 ……さて、私はキャスター。

 真名を『レオナルド・ダ・ヴィンチ』。

 よろしくね、エヴァンジェリンくん」

 

「なっ……!

 レオナルド、って。完全に女じゃないか!」

 

 うん、そうなるよね。でもそれが型月クオリティ。そんなことで一々驚いていたら身がもたないよ?

 

「いや、身体はモナリザになっちゃってるけど生まれは立派な男だよ。ね、ダ・ヴィンチちゃん」

 

 俺は騙されない。たとえ圧倒的母性を感じても俺は騙されないぞ。男の感覚を知り尽くしてる女など認めんぞぉ!

 あ、アストルフォきゅんは別で。

 デオンくんちゃんも許容範囲内だ。どちらも楽しめるとかお得過ぎて拒む理由がなさ過ぎる。

 

「天文学、音楽、幾何学に力学光学にも通じ、その他学問、芸術に至るまでの全学門の発展に貢献した『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』」

 

 まるで漫画での解説役のように語ってくれるエヴァ。お前、やけに歴史詳しかったりするよな。

 ん?

 いや待てよ。こいつーー

 

「ダ・ヴィンチちゃんより年上か!?」

 

「年上とか言うな!! ただ生まれが七十年近く早いだけだ!!」

 

 それもうおばあちゃんじゃね?

 年齢的に。そういえばエリちゃんよりも圧倒的に年上であったことを今更思い出した。

 

「いやそんなのよりも!

 私が知っているダ・ヴィンチはこんな姿じゃなかったぞ!?

 何がどうなってる!?」

 

 あー、そうか、こいつはこの世界のダ・ヴィンチと知り合いなのか。まあ、世界が違えば英霊も違ってくるよねっていう。

 

「いや、ダ・ヴィンチちゃんだって」

 

「嘘つけ!」

 

 ったく、こういうところ妙にこだわるからなぁ、エヴァは。

 まあ、こいつにもいずれは手伝ってもらうことも増えてくるだろう。遠坂たちが学園との協力を申し出るくらいだ。

 精霊が言っていた黒幕が本当にそんなとんでもない奴なら使える手は使っておきたい。

 

「この前も話したと思うが、『別世界の』ダ・ヴィンチってことだ」

 

「またそれか! いい加減その言葉聞き飽きたぞ。分かるように詳細を説明しろ!」

 

 仕方ないか。

 

「彼女は別世界の英霊で間違いない。かくいう俺も『別世界出身』だ」

 

「なに?」

 

「つまり、『別世界出身である俺が、その世界から英霊を取り寄せている』というわけだ」

 

 厳密には俺は型月世界とは異なる世界から来ているのだが、これ以上話をややこしくしても仕方ないだろう。

 

「それが、貴様の秘密というわけか」

 

 どうやら何か察してくれたようだ。

 

「まあ、そうなるな」

 

 ここは乗っておこう。

 

「ふん……どうりで私の記憶と噛み合わんわけだ。いいだろう、その仮説、とりあえずは信じる前提で話を進めてやる」

 

 あくまで魔術に対しての興味が勝るか。

 まあ妥当だな。

 

「そこでなんだが、お前には()と協力して礼装の開発を行ってもらいたい」

 

「礼装?」

 

「魔術的な力を持った道具、魔道具みたいなもんだ。

 別に開発っていっても特定の品を作って欲しいわけじゃなく、有り体に共同開発、魔法と魔術の融合ってのをやってもらいたい」

 

 あくまで仮説だが、精霊の例を見るに過去に魔術が存在したのは確か。ならばのちに広まったと思われる魔法と掛け合わせることが可能なのではないかというもの。

 どちらも全く異なるコンセプト、法則で成り立つものではあるが、科学と魔術、科学と魔法がいけるならこの二つもいけるだろうと思う。

 

「なるほどな、しかしなぜ私に頼む?

 他にも候補はいたはずだが」

 

 そうだな、アルあたりには頼んでみてもいいかもしれん。『例の』開発も大幅に進むことだろう。それに()()()()()()()()()()()()()()()()

 しかしそれは後だ。

 なにより、

 

「信頼のおける候補はお前だったからな」

 

「……ハッ、侮るなよ小僧。貴様がどれだけ異端の知識を持っているのか知らんが、私も伊達に六百余年生きているわけではない」

 

 そうだな、侮りは禁物だ。しかし俺はどうしてもエヴァが単なる悪とは思えないし、技術を流出するような輩には見えない。原作知識とかそういうのじゃなくて。

 なんというか、不思議な親近感のようなものを感じていた。

 だからこそ、彼女に頼むのだろう。

 くだらない同族意識、いや、勝手な哀れみか。

 

「ふふん、侮ってるのはどちらかな?

 高々2600年の歴史しかない神秘よりも、神代から脈々と受け継がれてきた洗練された魔術。果たして知識欲を満たすのはどちらかな?」

 

 結果はもう見えてるとばかりに余裕の顔で語る彼。

 

「むぅ……言うじゃないかダ・ヴィンチ」

 

「ノンノン、ダ・ヴィンチちゃんだよエヴァンジェリンくん」

 

 指を振って訂正するダ・ヴィンチちゃんにエヴァが反論する。

 

「ならその君付けもやめろ!

 鳥肌が立つ!」

 

「では、契約成立でいいかな?」

 

 俺の問いかけに、エヴァはフッと笑った。

 

「……いいだろう。それほど言うのならばこの目で確かめてやるまでだ」

 

「感謝する。なら初めはエヴァの得意なドール関連からいこうか、ダ・ヴィンチちゃん?」

 

「そうだねぇ、科学と融合した人形というのは興味深いところだ。そうだ、まずはエヴァンジェリン、君の複製を作ろう!(唐突」

 

「は?」

 

 あまりにもぶっ飛んだ解にさすがのエヴァも呆けた声を出している。ダ・ヴィンチちゃん、ぶっ飛びすぎ。話の過程がぶっ飛んでるから。

 天才にありがちな事である。

 

「まあ、待てダ・ヴィンチちゃん。エヴァの複製もエヴァの男の娘化もペド化も洗脳調教ももう少し後にやろうじゃないか」

 

「さっすがリツカくん!

 私の予想を遥かに超える変態的発想をしているね!

 そこに痺れる憧れるぅ!」

 

「待てぇーい! なぜだ!?

 なぜ、そんな頭のネジがぶっ飛んだ発想になる!?

 というか私をおもちゃ扱いするのはやめろぉ!」

 

 ポカポカと殴ってくるエヴァ。実にロリロリしている(語彙力

 

「ダ・ヴィンチちゃん。『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』だ」

 

「了解だ」

 

 俺の一言で全てを察してくれたダ・ヴィンチちゃんは、例の眼鏡を取り出してエヴァを見つめる。

 

「な、なんだ。いくら頼まれてもお前らのおもちゃにはならんぞ?」

 

 狼狽えるエヴァを興味深そうに見つめる彼。もうお判りいただけただろう。

 

「はい、解析完了!

 それじゃ行ってみようか、『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』!」

 

「ぎゃぁぁぁ!?」

 

 構えたダ・ヴィンチちゃんの手のひらから光の縄が幾つも飛び出した。

 それらはエヴァの身体に何重にも絡まり一瞬で彼女を締め上げ床に転がしてしまった。

 

 さすが宝具。エヴァの弱点を瞬時に把握して専用の緊縛具を作るとは。有能。いや、万能。

 

「マスター!?

 おのれ、お客様と言えども許しません!」

 

 それ、俺絶対入ってないよね。

 構えた茶々丸が突進してくる。

 

「ダ・ヴィンチちゃん?」

 

「はぁい、もう終わってるよ。そぉら『万能の人(ウォモ・ウニヴェルサーレ)』!」

 

 眼鏡姿のダ・ヴィンチちゃん可愛い。

 すでに解析を終えた彼女の手のひらから、今度は緑の緊縛縄が。

 

「あぁ!!」

 

 茶々丸のメカメカしいボディを縛り上げた。

 ゴトン、と床に転がる音が妙にリアルでちょっと猟奇的だ。

 

「は、はなせぇ!

 茶々丸、茶々丸ー!!」

 

 バタバタ暴れるエヴァ。ふ、滑稽。

 

「ああ、マスター、お許しください」

 

 主とは対照的にやけに大人しい茶々丸。さては貴様ーー

 

「おやぁ、茶々丸くん。君の機能に縄は対応してないんだけどなぁ」

 

 ゲスい顔で煽るダ・ヴィンチちゃん。

 

「はっ、マスター。誤解です。私は決して、マスターが弄ばれるところとかちょっと見てみたいかも。なんて思っていません!」

 

 真顔で赤裸々に語る茶々丸。嘘つく機能は付いてないみたいだね。

 

「裏切りものめー!

 くそっ、こんな縄! すぐに解いて!!」

 

「はっはっはぁ! そう急くな。ちゃぁんと立派なお◯ん◯ん付けてあげるからねぇ」

 

 無駄な足掻きを続けるエヴァに、ゆっくりと歩み寄る。

 

「ミニ? ミドル? ここは敢えてビッグかな?」

 

 今日はとことん乗ってくれるハイテンションダ・ヴィンチちゃんが後に続く。

 

「ヒィィ!? や、やめろぉ……わた、わたしの……」

 

 涙目で抵抗するエヴァにゾクゾクする。

 俺は『どちらでも』イける。

 今日はモードSでいこう。

 そうしよう。

 

「あぁ、ぁ、やめてぇ……!

 触らないでぇぇぇ!?」

 

 二人でガバッと襲いかかる。

 

 早朝のログハウスに幼女の悲鳴が木霊した。

 

 

 





そういえばUQで源五郎とかいう残機制の奴出ましたけど、あいつも異世界出身らしいですね。
さてはオメー、神様転生だな?
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