一般人生徒リツカ!   作:ブタどもの一人

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巻っき巻きでいくよー!↑↑

停滞するとダラダラ書いてしまいそう。



京都・二

「うおぉぉぉ!?」

 

 ズガガ、と石畳を削りながら奥へと吹き飛ばされていく。

 

「うわっ、変態!?」

 

 途中で、一瞬、明日菜たちとも遭遇したが、止まらずに奥へ奥へとーー

 

『止まりなさい!』

 

 しばらく進んだところで、ようやく追い付いたメカエリチャンの手で止められた。

 

「ぐっ……、ありがとなメカエリチャン」

 

 俺を抱き起こしてくれた彼女に礼を述べる。

 

「いえ……私の方こそ、気づかずに申し訳ありません」

 

 しかし、しゅんとした彼女に謝られた。

 

「いや、メカエリチャンのせいじゃないよ。

 ……それよりも、ここどこらへんだ?」

 

 見渡す限り、鳥居が延々と連なる道と脇には林しか見えない。

 おそらくはあのループしてしまう結界だとは思うが。

 

 しかし、こんな重要なことを忘れていたとは。

 確かに原作を読んだのは前世で、もはやうろ覚えに近いが。

 今は命に関わるのだ。

 何としても先に思い出すべきだった。

 

「くそ……抜け出し方なんか覚えてねぇぞ」

 

 なんか、のどかちゃんが持ってるアーティファクトで誰かの心を読んで抜け出していたと記憶している。

 しかしさすがにその詳細までは覚えてない。

 

「とりあえず明日菜たちを待ってーー」

 

 合流しようと思った矢先、起動しっぱなしだった探知機能に反応があった。できればさっきの『魔神柱』にも反応して欲しかったが。

 

 反応が示すのは、背後。

 

「お初にお目にかかる。召喚師殿」

 

 とっさに振り向いた先にいたのは、和装の男性。

 帯刀した姿からは浪人という言葉が自然と連想されるボサボサ頭を笠で覆っている。

 

「……いや、こいつ。召喚魔か」

 

 見た目でなんとなく。

 礼装の反応も平均的な魔力値を示している。

 おそらくは魔法で召喚された使い魔。

 

「いかにも。なにやら近頃は便利な世の中となったものよ、そのような珍奇な服一枚で敵の情報を読み取れるなど」

 

 可笑しそうに彼は笑った。

 カタカタと聞こえるのは骨の音。

 

「マスター、下がっていなさい。

 私が、片付けます」

 

 そう言って俺の前にメカエリチャンが立った。

 

「ああ、頼む」

 

 力のほどは単なるエネミー。いつも退治している魔獣とほぼ変わらない。ならば彼女なら大丈夫。

 

「いやはや、そちらのお嬢さんの相手は某一人ではちと厳しい。

 ……故に、仲間を呼ばせてもらおうか」

 

「っ!! 新手か!?」

 

 男の一言で、複数の反応が一気に現れた。

 どうやら新たに召喚されたらしい。

 膨大な数の反応を礼装がキャッチした後に、ゾロゾロと男の背後から集まってきた魑魅魍魎。

 

「上等、俺も援護する。やるぞメカエリチャン!」

 

「当然。……貴方たちみんな、粉砕してあげるわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 リツカたちが召喚魔たちと戦闘している頃。

 刹那たち別グループも敵の襲撃を受けていた。

 

「くっ、白昼堂々街中で仕掛けてくるとは!」

 

 木乃香の手を引き走る刹那の元に、矢が数本射掛けられる。

 それを刀で叩き落とす。あるいはエリちゃんのマイクスタンドで叩き折る。

 その繰り返し。

 

「急に、どうしたのよー!」

 

 刹那たちの後ろからは一般生徒も必死に走って追いかけてきていた。

 思わず刹那は歯噛みする。

 一般人を巻き込むなど、敵はどこの外道だ、と。

 

「刹那、どうするの?」

 

 小声で話しかけてくるエリちゃんに、刹那も返答しかねていた。

 

「何よ、ここシネマ村じゃない!」

 

 後ろの早乙女の言葉に、刹那はピン、と閃いた。

 そして隣のエリちゃんに話しかける。

 

「エリザベートさんは他の方々を、私はーー」

 

「わっ!?」

 

 突然、木乃香を持ち上げた刹那はそのまま凄まじいジャンプ力で塀の上へと登る。

 

「あ、ちょ!?」

 

「すいません皆さん!

 ここからはこのかさんと二人きりにさせてください!!」

 

 そう叫んで塀の向こうへと消えていった。

 残された面々は当然、呆けたようにその光景を眺めていた。

 

「え、今のジャンプ力。あり得なくない??」

 

 珍しく冷静な早乙女がそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ネギたちを閉じ込めた結界の内部を、外側から観察する者たちがいた。

 

 彼らは宙に浮かんだままに、内部で戦闘を繰り広げる者たちを眺めている。

 

「ふむ。やはり、召喚魔程度では歯が立ちませんか」

 

 ポツリ、と燕尾服の男が呟く。

 その視線の先では、メカエリチャンが迫り来る魑魅魍魎を千切っては投げ千切っては投げを繰り返している。

 途中、目からビームを出したりミサイルが飛び出たりロケットパンチとか火を噴いたりしていたのは気にしないことにした。

 

「おかしい。いや、アレは科学なのか? それとも『魔術』なのか?」

 

 真面目な顔で困惑するフェイトに男は優しく語りかける。

 

「深く考えてはいけません。あの英霊に関してはね。

 感じるのです」

 

 だが、男の言葉のせいでフェイトは余計に訳がわからなくなっていた。

 確かに強いのだろう彼女は。しかし、どう考えてもロケットパンチやミサイルなどの威力がおかしい、と。

 

 しかし、男の言う通りメカエリチャンに関しては深く考えるべきではない。そのまま、感じるがままに認識するべきなのだ。

 だって、原動力からしてエリザ粒子という謎のエネルギーが使われているのだから。

 

「あ、合流しましたね。ここらが見納めでしょう」

 

「……やけにあっさり勝ってしまったね。まあ、彼が使役するもう一体の性能が分かっただけでも良しとしておこうか」

 

 二人はそれぞれ感想を残して、その場から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃結界内では、アーティファクトを持ったのどかが加勢したことにより、ネギが小太郎を圧倒していた。

 

「右です!」

 

「ぐぉ!?」

 

「今度は左!」

 

 叫ぶのどかの手には一冊の本。

 これが彼女のアーティファクト。

 効果はズバリ読心である。

 

 これにより全ての手の内を読まれてしまった小太郎は終始ネギに圧倒されていた。

 

「くっ!」

 

 しかし、ネギの身体も限界が近づいており、それを危惧したカモとのどかは小太郎に結界からの脱出方法を尋ねる。

 そしてまんまと読心術で暴かれた小太郎は、逃げるネギたちを追跡した。

 

「ま、待てやーー!!」

 

 と、その脇の林から突如としてメカエリチャンが現れる。

 

「粉砕っ!!」

 

「「ギャァァァ!?」」

 

 大量の魑魅魍魎を殴り飛ばしながら。

 召喚に際しての仮の肉体とはいえ、飛び散った妖怪たちの身体の一部が辺りに散乱する。

 

「ふむ、どうやら偶然にも合流できたようですね」

 

 ガションガションと機械的な音を出しながら近づくメカエリチャンに、ネギたちはしばし放心した。

 

 あのメカは一体、なんなんだ? と。

 

「なんか、エリザベートさんに似てますけど」

 

「聞き捨てなりませんね、ネギ少年」

 

 ぼそりと呟いたネギに耳聡く反応を示したメカエリチャンはビシッと指を突きつける。

 

「オリジナルと私は別個体。

 私はメカエリチャン、よ!!」

 

 ババン、と効果音と共に後ろから謎の煙が打ち上がる。

 どうやって、誰が出したとかは謎である。

 メカエリチャン専用の演出なのだ。

 

「メカ、エリ?」

 

 困惑する面々。

 そのやりとりに少し遅れて、林からリツカが這い出てきた。

 

「メカエリ、チャン。速すぎぃ」

 

 ぜぇぜぇ言いながらも彼女の隣に立つリツカ。

 

「な、あんたら……妖怪ども全部倒したんか!?」

 

 彼女らの姿にようやく反応を示したのは小太郎。

 

「おや、なんですかこの犬は?」

 

 メカエリチャンは獣化した小太郎を興味深そうに眺める。

 エリちゃんアイでは既に小太郎の情報分析が行われていた。

 それを他所にリツカはネギに声をかけた。

 

「おう、ネギくん。脱出方法は掴めたかい?」

 

「は、はい!」

 

 元気よく答えるネギにリツカも微笑む。

 

「待てや!

 むざむざ逃がすわけないやろ!」

 

 そこへ、満身創痍な小太郎が立ちふさがる。

 

「退きなさい、少年。貴方では私に勝てない」

 

 それを堂々と正面から見据えるのはメカエリチャン。

 彼女の発言は冷静に分析した結果の事実である。

 

「な、なんやて!?

 ……くっ、女やからって邪魔するなら!!」

 

 メカメカしい姿にちょっとカッコいいな、とか思いながらも小太郎は勇敢に立ち向かう。

 メカであることから小太郎は拳を振るうのも止むなしと考えていた。

 

「ふぅ。少し、お仕置きが必要なようですね」

 

 そうして振るわれた彼の拳を、メカエリチャンは片手で軽く受け止める。

 

「なっ!?」

 

 驚愕する小太郎に、その腕を掴んだままメカエリチャンは片方の拳を握り締める。

 

「エリちゃん、パーンチ!!」

 

 ドスン、と重い音を立ててその拳が小太郎の腹にめり込んだ。

 

「かっ、は!?」

 

 痛烈な一撃を鳩尾に食らった小太郎の意識は一瞬で刈り取られる。

 パタリ、と地面に倒れた彼を一瞥してメカエリチャンはこちらに振り返った。

 

「戦闘終了、行きましょう、マスター」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、シネマ村に逃げ込んだグループも変装によってやり過ごそうとしたが、呆気なく見破られており、再度の襲撃を受けていた。

 

 さらに合流した一般生徒たちをも巻き込んで大混乱となるシネマ村にて刹那は敵の一人、月詠と剣を交えていた。

 

「ざんがんけーん!」

 

「くっ!」

 

 のほほんとした口調とは裏腹に確かな鋭さを持った太刀筋。

 刹那は防戦一方に追い込まれていた。

 

 また、一般生徒の方には無害ながらも数だけは多い、マスコットのようなデフォルメ妖怪たちが群がっており、その対処にエリちゃんは追われていた。

 

「く、可愛いけど、これって敵なのよねー!」

 

 何事か叫びながら槍を振り回すエリちゃん。

 チラリ、と目を向けるのは刹那。と戦う剣士。

 確かに剣の腕は凄まじいが、自分が加勢すればなんとかなるような敵だと思った。

 

「どきなさーい!」

 

 そして周りの妖怪を消し飛ばしながら、エリちゃんは刹那のもとへーー

 

「行かせるわけにはいかぬ」

 

「っ、きゃあ!?」

 

 しかし、突如として襲い来た巨大な『何か』に殴られエリちゃんは吹き飛んだ。

 突っ込んだ壁がガラガラと崩れる中、ちょっと頭に来たエリちゃんは立ち上がる。

 

「ちょっと?

 私の顔を殴るなんて、あんた何様よ!?」

 

 ちょっとズレた発言だが敵もそれは気にしないことにした。

 エリちゃんに怒鳴られる相手。

 それは正確には人間ではなかった。

 

「ふむ、我の拳を受けてピンピンしているのは些か不自然なのだがな」

 

 それは()()()()()()()()()()()()()の巨躯。二本の角と、下顎から生える長い牙。まぎれもない鬼。

 4mはある身体をゆっくりと起こしながら彼は語る。

 

「我は『金鬼(きんき)』。この場にて貴殿の足止めを任された者よ」

 

「キン? なんでもいいわ、私を殴った罪、今ここで償ってもらうわよぉ!」

 

 相手の名乗りを特に気にせずエリちゃんは槍片手に突撃する。対して金鬼は構えることもなく仁王立ちしたまま。

 その身体にエリちゃんは槍を振るった。

 

「っ! 硬っ!!」

 

 甲高い金属音だけが鳴り響き槍の穂先を当てた部分には傷一つ出来ていなかった。

 

「当然。我が身体は金剛にて、貴殿の脆弱な槍では貫くことかなわず」

 

「な、なんですって〜!」

 

 悔しがるエリちゃんに金鬼は拳を振るう。

 エリちゃんはそれを間一髪で避けた。

 

 その勢いで再度槍を突き立てるも、また弾き返される。

 それを何度か繰り返していると、

 

「おおっ! なんだなんだイベントか!?」

 

 周りでは大立ち回りをする刹那やエリちゃんを見て、イベントと勘違いした一般人たちが集まってきていた。

 

「く、子ブタたち、今は……」

 

 そこまで言って、エリちゃんはふと思いついた。

 

「ヌオォォ!」

 

 緩慢な動きながら、途轍もない破壊力を秘めた拳が迫り、エリちゃんは身を逸らして躱す。

 

 その隙に距離を取り、槍を地面に突き立てた。

 

「……もう降参か、小娘よ」

 

 訝しむ金鬼に、エリちゃんは満面の笑みで答える。

 

「違うわ。負けるのは貴方よ!!」

 

 そして大きく息を吸い込んだ。

 腰のあたりから竜の翼がはみ出ているが、気にせずに息を吸い込む。

 

「? 珍妙な……」

 

 そして、口の端に手のひらで壁を作り、溜め込んだ息を一気に吐き出した。

 

「っ……!

 ボエェェェェ!!!!」

 

 その声は周囲に広がることなく、金鬼の身体目掛けて一直線に進んでいく。

 

「一体何の真n……ぐぅ!?」

 

 その声が直撃した場所、即ち脇腹に金鬼は突如鋭い痛みを覚えた。

 見れば、その部分だけ振動し『僅かにヒビが入っていた』。

 

「っ、貴様、竜の眷属か!?」

 

 何かを察した金鬼は慌てながらも、エリちゃんの声を止めるべく駆ける。

 

「あっははは!!

 遅いわよ、私より遅いなんてノロマね!」

 

 そう言いながら、合間にさっきのように声を収束させて放ち、金鬼の身体に傷を入れていく。

 それは僅かなものだが、数を重ねればそれなりのダメージとなるのは明白である。

 ゆえに金鬼は必死に追う。それを嘲笑うかのごとくエリちゃんは後退しながら声を当て続けた。

 

竜鳴雷声(キレンツ・サカーニィ)』。

 端的に言うならば竜の息吹。

 厳密に言うならば、魔人化によって異界となった肺を目一杯使った膨大な肺活量から放たれる声、声量と振動を増幅させて放たれるドラゴンブレス。

 スキル・無辜の怪物とエリザベート自身も知らぬ、竜血の隔世遺伝による雑竜種化。本来の竜種よりも大幅に劣るものではあるが、彼女は確かに『竜の娘』と化している。

 その影響で獲得した宝具である。

 

 この宝具の特徴の一つが『魂への直接攻撃』。

 防御を無視したドラゴンブレスの振動による直接攻撃。

 

 これが金鬼の『金剛の守り』を突破した事実であった。

 

「く、ちょこまかとぉ!」

 

 逃げるエリちゃんに、追い縋る金鬼。

 もし彼女がもう一つの宝具と併用して声を発せば、一撃で大ダメージを狙うこともできるだろう。

 

 しかし、周りには無関係な一般人が大量にいる。

 

 それが彼女を小出しの攻撃に縛る要因であった。

 

「しつこいわね!」

 

 もどかしさにイラつきを金鬼へとぶつかる。音波と共に。

 そんな彼女の元へ『さらなる敵』が訪れた。

 

 

 

「我、これ一切にして断ち切る風とならん」

 

 そよ風のような声が辺りに響く。

 それに遅れて凄まじい勢いの竜巻がエリちゃんを襲った。

 

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 

 肌を切り刻む暴風。

 それを作り出した張本人は、疲れた様子の金鬼の傍に降り立った。

 

「いくら『魔力に制限』があるとはいえ、手こずり過ぎだ」

 

 そう述べる男、否、正確には彼もまた鬼であった。

 

 頭部の四方に立つ小さな角。青白い体色の巨躯。その顔にはぽっかりと風穴のようなものが空いており、顔のパーツは辛うじて口を残しているのみ。

 プロペラのような奇妙な形の両刃刀を手に涼しげに佇んでいる。

 

「がっ! くぅぅ……!」

 

 そこへ、なんとか竜巻を脱出したエリちゃんが着地した。

 

「諦めよ、竜の娘。汝の息吹では我が風は超えられぬ」

 

 努めて冷静な彼の声は、エリちゃんにとっては雑音でしかなかった。

 

「うるさいわね。私は私の友達を守るの!

 邪魔するなら誰だって殺すわ!」

 

 確固たる意志を持つその目に、鬼もしばしの沈黙をとった。

 

「……よかろう。我らは貴殿らの殺害権も賜っている。『抑えきれぬならば殺せ』とな」

 

「やってみなさいよ!!」

 

 咄嗟に構えをとったエリちゃんが再度、収束型の超音波を発する。それを鬼の片割れは再度、風を招いて()()()()()

 

「っ!!」

 

 一瞬の動揺。その間に、もう一体の鬼は彼女の元へと駆けていた。

 さっきよりも断然速い動き。となれば先ほどまでは『手加減』をしていたのか。

 考える間もなく、さっきよりも二、三倍は早い拳撃がエリちゃんに襲いかかった。

 

 

 

「ーー命のやり取りとか、面倒なことになってるなぁ」

 

 拳とエリちゃんの間に、ふらりと立ち入った人物がいた。

 

「っ!」

 

 金鬼が気付いた時には、すでにその拳は()()によって止められている。

 

 ギリギリ、と刃と刃が擦れる音を出しながら、その人物はケロッとした様子で鬼の拳を止めていた。

 

 突然の出来事に、呆気に取られていたエリちゃんが、ようやくその人物の正体を思い出す。

 

「あー! あなた!!」

 

 煌びやかな着物を纏い、大きな笠を被ったその人物。

 明るさの中に妙な色気を漂わせる声。

 そして笠から覗く銀の髪。

 

「ぬん!」

 

 短い掛け声と共に金鬼の拳を押し返した()()は、バサッと着物をはためかせる。

 

「き、貴様! 何者っ!」

 

 力だけではない、と金鬼は悟っていた。

 自らの剛腕を退けたのは彼女の『技』。先の一撃だけで金鬼はこの女が並みの部外者ではないことを感じ取った。

 

「……私?

 そうだなぁ、何やら“ぎゃらりー”も多いことだし。

 よろしい、ならば教えましょう!」

 

 ひた、と笠に手をかけ、それを一気に脱ぎ捨てる。

 はためく着物が陽光に煌めき、その美しき剣豪の容姿を照らしあげる。

 

「『新免武蔵守藤原玄信(しんめんむさしのかみふじわらのはるのぶ)』!!

 縁深き友を助けるためならば、鬼をも斬って御覧に入れる!!」

 

 無双の剣豪、異聞の剣豪が京の地に降り立った。

 





宮本武蔵がシネマ村に来る!!
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