一般人生徒リツカ!   作:ブタどもの一人

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麻帆良の技術は世界一ィィィ!!

だからこの時代でも今くらいのゲームが発売されてるのです。そういうことにして。

ーさらに追記ー

はくのんの髪の毛直しました。



俺はエリちゃんと静かに暮らしたいだけ……いやマジで

 二年だ。エリちゃんがうちに来てから二年が過ぎた。

 

 学園長との協定通りに度々招集された時には素直に応じてエリちゃんと共に事件の解決に奔走していた。

 それ以外は特にこれといって魔法に関わることなくエリちゃんダラダラゴロゴロしたり、アウトドアな彼女に連れ出されて買い物に出かけたりライブに付き合ったり。あと、高畑とゲームした。

 

 そう、ライブ。俺は転生を果たしてようやくエリちゃんの生ライブを聴いた。酷い怪音とは聞いていたが実際聞いてみるとそんなチャチなもんじゃなかった。

 あれは嵐だ、いや、まったく新しい自然災害とでも言おうか。

 一種の概念のごとく、ただただ人体を破壊していく音など初めてだった。そりゃあ宝具になるのも納得だ。

 

 その反面、彼女の歌を聴けたことは素直に嬉しかった。さすがに連日は死ぬ覚悟がいるがたまに聞くなら問題ない、本当にたまになら。

 

 

 

 交流関係での変化と言えば麻帆良の教会に属するシスターの一人ココネという幼女と顔見知りになったことか。

 あとはその関連でシスターシャークティーや美空嬢とも交流を持つようになった。

 まあ、肝心の主要メンバーとは関わっていないから最終決戦に連れて行かれる事態には陥らないと思うが。

 

 ……いや、綾瀬夕映と宮崎のどかというネギ先生の生徒とも交流があったか。

 図書館島にて魔術や英霊に関する書物を探していた時に迷子になった、それを助けてくれたのが彼女たちだった。

 それからも図書館島に行く際は案内役を頼むようになったんだった。

 

 そうだ、そんなのよりも特大の地雷と知り合いになってしまったんだった。

 エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。ネギま本編はもとより続編作品でも重要な立ち位置にいるあのロリババアだ。

 きっかけはエリちゃんだった。麻帆良に突然現れた高位精霊を小賢しくも察知した彼女から接触を図られたのだ。

 その後は色々あって、彼女とも交流を持つようになった。

 

 俺だってできるなら関わりたくなかった。何が悲しくて本編続編に渡るヒロインと知り合いにならねばならんのだ。

 だが彼女も決して嫌な奴じゃないので何となく話しているうちにゲーム友達になってしまった。ちなみにFPSである。

 あと、FPS関連で何だか【マナポン】とかいう奴がやたらと銃器に詳しくてよく一緒に戦場を駆けている。あとは【チャオ】とかいう奴もいたか。

 いや、こいつらとゲームしてる時が一番落ち着く。これぞ日常。ほんの少しだが長谷川千雨の気持ちが分かった気がした。

 

 

 着々と外堀を埋められてる気がする。絶対、これ神の策略だわ。

 穏やかに暮らすとか許さねぇから、みたいな意志を感じる。

 くそ、存在Xめ! 俺は最後まで抗ってやるぞ!

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば子イヌ」

 

「なんだいエリちゃん」

 

 通学途中の道で不意にエリちゃんから話しかけられた。

 俺が高校の制服なのはいつも通りとして彼女も中等部の制服を着ている。まあ、何が言いたいのかというと彼女も例のクラスに入ってしまったということだ。

 

 というのも、一年前、いつものように魔法絡みの事件を解決して報告に学園長のもとを訪れると。

 

『エリちゃんも中等部入らない?』

 

 と話を持ちかけて来たのだ。段々と原作のような“余計なことする爺さん”の面が出始めた彼に少し辟易としていたが、丁重にお断りした。

 というかエリちゃんとか呼んでんじゃねぇ!!ブッ●すぞ!!

 

 だが、当のエリちゃんが学校というものに非常に興味を抱いてしまい彼女の意思を尊重する形で渋々入学を認めた次第だ。

 しかも入れられたのがA組、見事にネギ君のクラスだ。まだ高畑が担任をしているクラスだが後々、ネギ君を中心に物語の中心となってしまうクラスだ。

 これまで主要人物と極力関わらないように気をつけてきたのに、ここに来て学園長が特大の爆弾を投下して来た。シェルターの準備などしていなかった俺は見事に爆発四散。目下最大の重要案件がA組に入ってしまった彼女を如何にして本編から遠ざけるか。

 しかし彼女もクラスにすんなりと馴染んで仲良く楽しくやっているので邪魔はしたくない。

 

 俺の今の悩みの種である。今度、シスターシャークティーに相談に乗ってもらうつもりだ。

 

 

 

 

「なんかね、今日、新しい先生が来るんだって」

 

 エリちゃんのその言葉に俺は「遂に来てしまった」と思った。

 今は二月、正確な日にちは忘れてしまったがこの時期に来るとなればあの少年だろう。

 

 きっと、これから色々巻き込まれてなし崩し的に造物主と戦わされることになるのだ。憂鬱でしかない。

 というか実質戦力になるのがエリちゃんというこの状況。どうしたって俺の死亡フラグである。たぶん、ネギ君を庇ってポヨ姉さんあたりに消しとばされるのだ。そして伝説へ……。

 

 いやだ、そんな伝説刻みたくないよ。まだ死にたくない、だってまだエリちゃんとキスさえしてないのだから!!(血涙

 

 ちゃんと潔癖症設定の生きてる彼女。それはいい。それが彼女だ。

 だから時間をかけてゆっくり仲良くやっていきたい。だから原作は嫌だと言っているのだ。夏休みまでで約四十巻とかそんな、キツキツスケジュールでバトル漫画したくない。

 夏休みってまだファーストミッションクリアくらいじゃないの、普通?

 なんでラスボスまで行っちゃうかなー。

 

 

「子イヌ、聞いてる?」

 

「うんうん聞いてる」

 

 エリちゃんの話はちゃんと聞いてる。思考が戦国乱舞しそうだがちゃんと聞いてる。

 何でも昨日は佐々木たちとプリクラを撮ったらしい。へーそうか。

 

「エリちゃんも立派に女子中学生しちゃって……」

 

 少しウルっときた。初登場時はかなり頭逝っちゃってる癖にAUOのキャストオフで吹き出すお笑い要員だったのに。今では普通の女子中学生とプリクラ撮るまでになっていた。

 ちゃんと成長してるんだなぁ。

 

「え、なんで泣いてんの? ……あ、ごめんね子イヌとも後でプリクラ撮ってあげるから」

 

 なにそれ嬉しい。一生の宝にするわ。

 

「……と、俺はここで。エリちゃん、頑張ってね」

 

「うん! 子イヌもね!」

 

 俺の高校の前で彼女と別れる。この瞬間が朝で一番辛い。

 

「相変わらず朝から熱いなお前ら」

 

「衛宮」

 

 振り返れば錬鉄の弓兵、じゃなかった。我がクラスメイトの衛宮士郎くんがいた。穂群原のじゃない制服姿はなかなか新鮮だったがもう見飽きた。

 

「今日は遅いんだな」

 

「まあな、連日弓道部に顔出すわけにはいかないだろ、俺もう部員じゃないし」

 

 などと普通に会話しているが、この世界の彼はモノホンの一般人だ。だがその本質はそのままに『麻帆良のブラウニー』と呼ばれる便利屋紛いの少年という立ち位置にいる。

 

「あー、でも桜ちゃん期待してたんじゃないかな」

 

「そうなのか?」

 

 他にもシンジくんや桜ちゃん、遠坂凛嬢もいる。みんな何となくfate本編と似た立ち位置でかつ一般人だというのだから驚く。

 俺も最初に同じクラスになった時は「これってもしや聖杯戦争?」と疑ったりもしていたがそんなこともなく日々は過ぎた。

 

 

 衛宮と駄弁りつつ教室に入ると俺の隣の席に静かに座る女の子が目に入った。

 前髪の切り揃えられた黒っぽい茶髪にロングヘアの美少女、岸波白野・通称はくのんだ。

 

「おはよう」

 

「ん、おはよう」

 

 いつもの無表情で挨拶を返された。彼女の表情筋はテコでも動かないことで有名なので問題ない。

 

「やあ、立華」

 

「おはよう黒桐」

 

 爽やかな笑顔で挨拶してきたのは黒桐幹也。その後ろには仏頂面で佇む両儀式の姿。

 

 奥の席に目をやると窓の外を眺めながら黄昏る青年が一人。

 彼の名は遠野志貴。ちょっと高校生特有の病気にかかっているめんどくさい青年だ。

 

「おはよー!」

 

 俺の後に教室に入って来た元気な金髪っ子はアルクェイド・ブリュンスタッド。席は志貴の隣だ。

 

「おはよー! 志貴!」

 

 元気百%で志貴に抱きつくアルク。鬱陶しそうにしながらも満更でもない顔の志貴。

 

「おい、衛宮。熱いのはあいつらの方じゃないのかい?」

 

「いやー、アレはもはや恒例というか」

 

 俺のは違うのか。

 

「少し、羨ましいよね……」

 

 そう言って羨望の眼差しを志貴たちに向ける後ろの席の少女。セミロングの黒髪と眼鏡という一見地味な彼女だが学校でも指折りの美少女だ。

 名を沙条綾香。

 

「……そうだな」

 

 改めてクラスを見回すと錚々たるメンツが揃っている。これで全員一般人だというのだから信じられない。一周回って嘘だと思っている。

 

 他のクラスにも見たことあるような姉妹の妹とか玲瓏館とかいう屋敷のお嬢様とかユグドミレニアとかいうルーマニアの貴族のお嬢様とその弟とか、なんか既視感があり過ぎる奴が揃っている。

 ここはち○ちゅき!かよ。

 

 そんな今更なことを考えているとチャイムが鳴った。

 同時にガラリと教室に入ってくるのは虎のような教師。

 

「はいはーい席ついてー、HR始めるよー」

 

 先生、ここは冬木じゃないんです、お帰りください。

 というか遅刻しない藤ねぇとか藤ねぇじゃないよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 相変わらずすごいメンツに囲まれながら学校での授業を終えて下校。今まで気にしないようにして来たけど、この集積率は異常だ。

 きっと、ここも安全ではないのだろう。放課後にカルナとギルガメッシュが校庭でバトってても不思議じゃない。

 あ、ちなみに不登校児のジナコとはよくゲームする仲です。あいつマジで辛辣というか口悪いからたまに本気でムカついて無視することあるけど。

 

 あとは金髪凛が転校して来て黒髪凛と一悶着あったくらいか。そこにルヴィアさんも参戦して三つ巴のとにかくカオスで醜い争いに発展していた。

 嫌な事件だったね……。

 とりあえずトッキーは奥さんに土下座ね。

 

 そうそう、マキリ、じゃなかった。間桐家にはなぜかゾォルケンがいなかった。士郎に誘われてシンジの家に行ったことがあるのだが、fateと違って桜も遠坂だし魔術師でもないしで普通に両親しかいなかった。あ、いや、海外を飛び回ってる雁夜おじさんがいたわ。

 あの人、普段帰ってこないくせに金髪凛ちゃん事件で飛んで帰って来て色々引っ掻き回してくれた。

 ホント、嫌な事件だったよ……。

 俺としても金髪凛ちゃんと仲良くなったくらいしかメリットなかったし。とりあえず遠坂家の食卓がギスギスしただけの事件だった。

 

 やめだやめ、これ以上考えてるとこっちまで憂鬱な気分になる。

 

 楽しい話題といえば、この前留学で来てたレティシア嬢にボーイフレンドが出来たらしい。滞在期間中になんとかアドレス交換にこぎつけたのに写真付きでメールが来たと思ったら彼氏が出来ました、と来た。

 しかもご丁寧にジークくんという。なんだよ、ここfateじゃねぇだろそんなところで抑止力働いてんじゃないよ。

 ちなみにフィオレ嬢とも知り合いらしく、間接的にお知り合いになることが出来た。

 とはいえ交流があるのは弟の方だけど。

 彼とはACで競い合うライバルだ。俺はずっとレイレナード一筋だ。

 偶にオーメルに浮気するくらい。

 

 

 あとはそうだなぁ、西欧の大財閥からはるばるやって来たレオナルド君が校内、主に女子に絶大な人気を誇っている。エジプトらへんから来たラニ嬢もちょっとマニアックなファンがついているが、彼女は隠れ変態というかぶっちゃけ露出狂の癖があるから少し距離を置いている。彼女、他人も露出させようとするのだ。

 それもう犯罪だから、いや、自分自身で出すのも犯罪だけど。

 

 

 とにかく色々な奴がいて殆ど見たことある奴だけど、校長が菌糸類じゃないだけマシだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子イヌーー!!」

 

 下校時間、校門を過ぎると遠くから駆けてくるエリちゃんが見えた。

 

「エリちゃん!」

 

「エリちゃん……?」

 

 たまたま一緒に帰ろうとしていた岸波が疑問の声をあげていたが、気にせずエリちゃんに意識を向ける。

 

「子イヌも帰りなのね? 一緒に帰りましょ!」

 

「もちろん」

 

「え、あの、私は……?」

 

 すまん、岸波。お前とは帰ってやれないんだ。俺はエリちゃん第一なんだ。

 だから鉄拳はまた今度な。

 

「……って、えーーー!? 子リス!? あんた子リスじゃない!?」

 

 そういえばはくのんとエリちゃんは初対面だったか。あまりにも似ているからエリちゃんもこいつを月の女王と勘違いしている。

 

「待て待てエリちゃん。こいつははくのんだけどはくのんじゃないんだよ」

 

「なにそのなぞなぞみたいな」

 

「いやいや、どう見ても子リスでしょ!? え、あんたも忘れちゃったの!?」

 

 しかし聞く耳持たずはくのんの肩をガクガクと揺するエリちゃん。

 ……ん? いや待てよ。エリちゃんって確か魂で判断したりできたんだよな。

 

「……人違いです」

 

 はくのんも顔を背けながらダラダラと冷や汗をかいている。

 え、マジで。こいつマジではくのんなの?

 

「エリちゃん、魂チェックは?」

 

「百%子リスよ!」

 

 なるほど。

 

 全てを理解した俺はエリちゃんと並んでジリジリとはくのんににじり寄る。

 

「……あの、私これからーー」

 

「まあ待ちなよ」

 

 逃げようとするはくのんの肩をがっしりと掴む。両肩。

 顔を引攣らせるはくのんににっこりと笑いかける。

 

「少し、お話、しようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近くのカフェに入り尋問を執り行った。

 

 その結果、彼女があのはくのんであることが判明した。

 つまり彼女も転生してきたのだ。この世界に。

 

「いやー、まさか本物に会えるとは思わなかった」

 

「え、この話信じるの。自分で言うけどかなり嘘臭いというか」

 

 おいおい、水臭いぜはくのん。どうせあんたも俺と同じ口だろ? 

 せっかく第二の人生もらったと思ったら麻帆良に入れられちゃって困ってるんだろ?

 

 どうせ原作ブレイクするなら一緒にやろうぜ。

 正直、こいつが何の能力持ちか知らんがはくのんに転生するような奴だ。きっとこいつも何か持ってるに違いない。

 

「ちょっと待って。……あの、私、本当に岸波白野なんだけど」

 

 俺の勧誘にちんぷんかんぷんといった具合で首を傾げるはくのん。

 あざとい! あざといよはくのん! 此の期に及んでしらを切る気かい?

 

「だから……そのプレイヤーとかよく分からないんだけど?」

 

 しつこく問い掛けるとマジギレし出すはくのん。

 ……え?

 

「じゃあ、お前の月での記憶ってのは?」

 

「だからそれしかないんだって。……言ったでしょ、私はNPCだったって」

 

 おいおい、マジかよ。こいつ本物だぜ。

 え、じゃあまさかマジであの高校ち○ちゅき!……なの?

 いやまだその推論は早い。とにかく目の前の女子高校生は岸波白野ご本人で間違いはなさそうだ。というかここでこんな嘘ついても仕方ない。

 

「うわぁ……ごめん、さっきの話忘れてくれ」

 

 さすがにまずいと思った。先ほどまではくのんの姿に生まれ変わった別人だという前提で話を進めてしまったから色々と余計なことを喋り過ぎた。

 

 だが、漢らしいはくのんは不正を許さなかった。

 がしりと俺の両肩を掴むはくのん。そこにはいつもの不思議系無表情美少女の姿はなかった。ただただ、煉獄の悪魔のごとく煮え滾る怒りを瞳に込めた修羅がそこにいた。

 

「ここでキッチリ、話を聞かせてもらおうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 渋々、ほんとーに渋々はくのんに全て聞かせる。彼女を前にして嘘などつけようはずもない。

 俺のこと、エリちゃんのこと。そしてfateのこと。

 

 さすがにゲームのキャラとか言われてはくのんも予想外だったのか唖然としていたがすぐに受け入れていた。

 曰く、

 

「元々NPCだったしね、今更ゲームとか言われてもそんなに驚かないよ」

 

 漢。漢だよはくのん。懐広過ぎだろ、これ絶対、俺が女だったら惚れてた。

 

 ちなみにはくのんには全ルートの記憶があるらしい。当初、そのことで混乱したが徐々に慣れたという。いや、慣れるもんなんだ。

 

「で、まさかこの世界も、とか言わないよね?」

 

 ここで鋭い一撃を放つはくのん。クリティカルだよ。

 いや、真面目に勘が良すぎだろ。もはや直感A以上だよ。

 

「……実は、そうなんです」

 

「ええーーー!? ちょっと子イヌ、それ初耳!」

 

 エリちゃんも心底驚いてる。だよね、そうなるよね。というかA組のみんなと仲良くやってるエリちゃんには言いたくなかった。

 普通に嫌だろ、仲良い友達が『実は漫画のキャラなんだ』とか言われても。

 

「厳密には漫画なんだけどね、ちょっと主要人物たちと絡みたくないなぁって感じなのよ」

 

「え、なんで?」

 

 はくのんの素朴な疑問。

 

「いやいや、結構インフレ激しいのよこの世界。というか俺はもう本当に静かに暮らしたいだけなの。だから……」

 

「ふーん、なるほど。だから私にその手伝いをしろというわけね」

 

 ようやく合点がいったとはくのんが頷く。同時に怖いオーラが再発した。

 

「いや、そういう小細工抜きにもうなるようになればいいんじゃないかな?」

 

「なにそれ怖い」

 

 絶対ロクなことにならないよ! この世界の魔法使いも魔術師に負けず劣らず傍迷惑なんだからね!

 

「そう言われても具体的に何をすればいいわけ?」

 

 それもそうだ。物語から逃げることばかり考えていたけど、はくのんに一体何を手伝ってもらえばいいんだ?

 

「それを一緒に考えよう」

 

「やだ」

 

 ばっさりと切り捨てられた。まあ、彼女としてはこのまま大人しくしてた方が関わる率も低いし、これは単に俺のワガママだからな。

 

「というか、物語のどこまで知ってるの?」

 

「全部。あと続編も読んでたからだいたいは分かる」

 

「ファンじゃねぇかよ」

 

 はい。でもだからこそ、あんな死亡フラグ満載のデッドツアーには参加したくないんだって!

 

「せっかくエリちゃんと暮らせるのに、あんまりだろ!?」

 

「こ、子イヌ……」

 

 熱弁する俺にはくのんが冷たい視線を浴びせる。

 

「あのランサーがこんな姿を見せるなんて……ほんと、何したの?」

 

 いや俺はなんもしてないよ。主に本編のぐだ男が一級フラグ建築士なだけだよ。

 

「ぶっちゃけアーチャーの百倍くらい」

 

「なにそれ怖い」

 

 はくのんもぐだ男のたらしっぷりに引いている。真面目な話、あいつ殆どの女性サーヴァントから好意向けられてるからな。

 でもたぶんあいつはマシュ一筋だと思う。なんだかんだあの最かわ後輩とくっ付くのだろう。

 無銘もメルトとかメルトとか、俺もかなり嫉妬の念を抱いたりしたが幸いキャス狐という最高の嫁がいたからなんとか暗黒面に落ちずに済んだ。良妻賢母様様だな。

 

「まあ、ぐだ男は致し方ないとして。問題はエミヤだな」

 

「士郎のこと?」

 

「いや、あいつ実はアーチャーのモデルになった奴っていうか平行存在っていうか。あいつが英霊になった姿の平行存在みたいなのが無銘なわけなんだけど」

 

「さらりと言うな、さらりと」

 

 べしっと頭を叩かれる。そういえばはくのんは士郎は知らないのか。うーむ、ややこしい、いっそち○ちゅき!なら良かったのに。

 

「……まあ、だからさ士郎もかなりたらしなんだよ、天然の」

 

「あー、なんとなくわかるわ。学校でも結構人気だもんね」

 

 黒髪凛とか金髪凛とか。あとルヴィアに桜ちゃんに怪しいのが美綴と。

 

 思いつくだけでもかなりいる。あいつも大概たらしだ。

 

「で、それがさっきの話と何の関係が?」

 

「いや、別の話なんだが。一応知っといてもらおうと思って」

 

「なぜ?」

 

「だって金髪凛と仲良いだろお前」

 

 金髪凛とか黒髪凛とか呼んでいるのは彼女たちが同姓同名という少々ややこしい関係にあるからだ。だから校内で遠坂凛というと二人とも反応する。そこからまた喧嘩に発展するのだ。

 

 よくよく考えるとカオスだ。本来ならどうやったって出会うはずのない二人が出会ったが故の弊害というか。

 

「あの子の気持ちも気づいてんだろ?」

 

「あー、まあなんとなく。というかみんな知ってるよね」

 

 そう彼女たちは名前だけでは飽き足らず好きな異性も同じなのだ。ここにザビ男がいないことが全ての不幸の始まりだった。

 

 あからさまに好きな癖に素直になれない所までそっくりな二人だ。生憎と俺は黒髪側と仲がいいからそっちに付かせてもらう。

 

「だからお前は金髪の方の味方でいてやれよ」

 

 他にもレオナルドとかラニも密かに応援してくれているしな。

 

「なるほど。まあ元々そのつもりだったけど……」

 

 けど?

 

「あいつがアーチャーの前身というなら話が変わってくるかな?」

 

 おいおいおい、まさか余計なこと言っちゃったか俺。

 さすがに無銘と士郎ほどになると乖離が激しいし、このまま行けば将来は錬鉄の英雄にはならんと思うのだが。たぶん一番近いのがゼロオーバールートだ。

 

「なんて冗談だけどね」

 

 その真顔で冗談とか言わないでほしい。区別が付かないんだよ……

 

「とりあえず気にしとくよ、それに、ランサーが召喚できたなら私もワンチャンあるかもしれないし」

 

 さりげなくアーチャーへの未練を残していることを漏らすはくのん。

 

「やっぱ弓主なんだよなぁ」

 

「??」

 

「いや、気にしないでくれ。俺が出来たんだしお前の愛が強ければ出来るんじゃないかな」

 

 知らんけど。

 

「あ、愛って……」

 

 エリちゃんが少し恥ずかしそうにしている。しっかりと写真に撮っておこう。

 

「…………ちょっと、そこまでいくと引くけど」

 

 携帯でパシャり続ける俺をはくのんが冷たい目で見ていた。

 

「じゃあ、これお代。私先に帰るね」

 

「お邪魔みたいだし」と言って金だけ置いてさっさとはくのんは帰ってしまった。これ絶対部屋でアーチャー召喚しようとしてるよね。

 

 

 

 とりあえずはくのんからの好感度がただ下がりしたのは間違いないと思った一日だった。

 

 

 

 

 




はくのんが好きすぎる件。
いやエリちゃんの方が好きだけどね!


追記:ネギの赴任月間違えてました。

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