一般人生徒リツカ! 作:ブタどもの一人
YO!SAY夏がっ!胸を刺激する!
森を駆ける。
刹那を先頭にして、彼女が追う気を頼りに森を進んでいく。
その間に彼女らに近況、つまり他のクラスメイトや詠春のことを詳しく聞いた。
他のクラスメイトは石化。殺されていないようでホッとした。石化なら木乃香のアーティファクトを使えば治せる。
そして詠春。彼はフェイト相手に幾らか善戦したようだが木乃香を餌に使われ隙を見せてしまい不意を突かれて石化。
エリちゃんが到着した時には木乃香は攫われており、その際の戦闘でフェイトの打撃を幾らか受けたとのことである。
結構ピンピンしてるけど、エリちゃんの耐久はあまり高くない。だからこそ無茶はしないでもらいたいが。
そうこうしていると、森の中でも拓けた場所に出た。
立ち止まる刹那に応じて、礼装に反応のあった場所に目を向けた。
「……また、あんたらか。なんやら増えとるし」
川の中程にある大岩の上に乗る天ヶ崎千草。後ろには彼女の式神たる大猿が木乃香を抱えて佇む。
その隣にはフェイト、そして魔神柱。
「これはこれは。セイバーの攻勢を耐え抜くとは、想像以上にやりますね」
仰々しく両手を広げながら語る魔神柱。
偽装であろう金髪イケメンスタイルが思ったよりイケメンで腹立つ。
「お嬢様は返してもらう、何人たりとて私たちの邪魔はさせん!」
小次郎と会話してから生き生きとしている刹那。
その背はもはや中学生とは思えないほどの覇気に満ちていた。
「ふむ? あなたは、確かアサシンと懇意にしていた……」
「桜咲刹那や。取るに足らんガキに過ぎひん、ここで呆気なく終わってもろた方がええやろ」
不思議そうに首をかしげる魔神柱に、千草は興味なさそうに返して、懐からお札を取り出す。
それをピッと木乃香に貼り付け、短く詠唱した。
「貴様っ!」
激昂した刹那だが、しかし千草の周囲に現れた召喚陣に足を止めた。
「あんたらこの鬼どもと遊んどき」
そう言って去る千草を反射的に追おうとする刹那たちに、召喚された鬼たちが立ち塞がった。
初手から数十体、今もどんどんと召喚されていく。
さすがにその数を見て、刹那たちもたじろいだ。
「ちょっとちょっと、こんなのアリなのー!?」
「か、軽く百体はいる……」
中でも、溢れる魑魅魍魎を初めて見た明日菜は涙目で叫んでいた。
ネギくんも冷静に敵を見て、その数の多さに少し及び腰になっていた。
「くっ、こんなことで!!」
その中で自らを奮い立たせ、溢れる鬼の群れに向かおうとする刹那。その肩に手を置き制したのはエリちゃんだった。
「エリザベートさん……?」
不審がる刹那をよそにエリちゃんは久々の大舞台にウズウズしていた。それを見越して俺は彼女に声をかける。
「時間がない。宝具の開帳を許可する」
その声に、エリちゃんは素早く振り向く。
「私の歌声、聞きたいのねぇ!?」
若干、声が裏返ってるのは嬉しいからだろう。
俺も久々で嬉しい。
「リツカ?」
俺に問い掛ける明日菜に、「任せろ」と応える。
エリちゃんは既に鬼の群れの方へ、一番、目立つ場所に歩いていた。
「ネギくん、耳栓みたいな魔法、ない?」
「へ?」
不意の問い掛けにネギくんも素っ頓狂な声をあげた。しかし今は大事な問いだ。
「あ、ありますけど……初歩の初歩ですが」
「なら、明日菜ちゃんと刹那さんに掛けてやってくれ。たぶん、生で聞くよりはマシだと思うから。もちろん、君もね」
その言葉に、何か気づいたのか明日菜と刹那は顔をサァァと青くしていた。
「まさか、まさか……!?」
「リツカさん……!?」
何か、助命を懇願するような仕草を見せる彼女たちだが、俺には見えない。見えないったら見えない。
「ネギくん、早く」
「は、はい!」
呪文を唱えて魔法を発動させるネギくん。
明日菜たちはすでに必死に耳を塞いで震えていた。
すまんな、時間がないんだ。
「なんやなんや、ガキンチョの中からえらいべっぴんが出てきたぞ?」
「血迷ったか?」
一人で前へと歩みでたエリちゃんに、鬼たちは嘲笑を漏らしたり訝しんだりしていた。そんなことしてられるのも今のうちだよ。
「ああ、こんな大勢で歌を聴いてくれるなんて……たとえ敵でも嬉しいわ!!」
そう言って彼女は手に持つ槍を地面に突き刺した。
その上に、
「おお!? 嬢ちゃん、人間と違うんか?」
「なんや、尻尾も生えとるやんけ」
口々に疑問を呈する鬼たち。意外とマナーがなっている彼らに俺は敬意と、黙祷を捧げる。
「サーヴァント界最大のヒットナンバーを聞かせてあげる!」
不敵に笑ったエリちゃんの宣言と共に背後に巨大な魔魔法陣が現れる。
その中からズルズルと、巨大な西洋の城が、チェイテ城が姿をあらわす。
「ちょ!? 城、城出てますよ、アレ!?」
「な、なんだありゃあ……」
ネギが謎の興奮度合いで話しかけてくる。うん、城。
隠れてたカモミールもあまりにもあんまりな光景に声を上げていた。
「なんやあれ!?」
「おい、なんか出しよったぞ!? マズイんやないか?」
いよいよ鬼たちもざわつき始める。
だが、もう遅い。
エリちゃんのテンションはすでに最高潮なのだから。
こうなれば俺にも止められない。
「ふふ、飛ばしていくわ!!
ミューミュー無様に鳴きなさい!」
槍の上で器用にポーズを決めながらエリちゃんは言う。知っている人からすれば死刑宣告以外の何者でもないが。
鬼たちもその異様なテンションに何か気づいたのか、ざわざわしながら後退していた。
すまんな、エリちゃんのライブの犠牲になってくれ。
「『
ボエェェェェェェェェェェェェ!!!!!!」
『
もうお判りだろう、この時、この地に天災が巻き起こった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「んな、アホなーーーーーー!!!?」
それぞれに断末魔をあげながら塵になっていく鬼たち。召喚魔程度では相手にならないのだ、南無三。
城ごと使ったスピーカーによって加増されたドラゴンブレスは、もはや音波などと呼べるものではなく、ただ、ただ、周囲を破壊していく嵐そのものであった。
俺は礼装の防御機構で辛うじて意識を保っているが、それでもかなりキツイ。スピーカーは反対を向いているにも関わらず、キツイ。
立華は毎度どうやって耐えていたのだろう?
純粋に疑問に思った。
「ーーー!?ーーーー!!!」
見れば、ネギくんたちもあまりにもあんまりな光景に半ば錯乱状態で何事か叫んでいたが、周囲に響き渡るドラゴンブレスのせいで何も聞こえない。
エリちゃんのライブはまだ続いている。サビだけと念話で言い含めておいたが、まあ、このくらいやらないと生き残りがいるかもしれないしな。
薙ぎ倒され消滅していく木々や、蒸発する川。砕かれ砂になる岩などを見て、俺は改めて彼女の『歌』の脅威をしみじみと感じていた。
「はぁー、サビだけだったけど。久々にライブ出来て嬉しかったわ!
サンキュー、子ブタたち!
……あれ?」
歌い終わってノリノリでアンコールを期待していたエリちゃんは、前方が更地になっていることに首を傾げていた。
いい加減、気付いていいと思うのだが。敢えて黙っておこう。
当たり前だが、召喚された鬼たちは根こそぎ消滅していた。
本当に当たり前だ。だって、地形すら変わってるし。
地味に宝具の威力、上がってない?
俺はとりあえず久々に彼女の歌が聴けて満足だった。
「片付いたな、急ごう、早くお嬢様を取り返さねば」
そう言って振り向くと、ネギくんはおろか明日菜や刹那まで耳を抑えて悶えていた。俺よりも遥か遠くにいるし。
どうやら魔法は効かなかったらしい。
俺はもう慣れてしまったので、気にしない。
耳は殆ど聞こえなくなるから、今も結構大声で話している。
自分の声すら朧げだ。
「い、いえ。大丈夫、です。先を急ぎましょう!」
それでも刹那は立ち上がって意気込みを新たにしていた。
それにつられてか明日菜も耳を押さえながらも立ち上がる。
ネギくんはーー
「……はい。平気です。びっくりしましたけど」
みんな流石だ。
まあ、ふざけるつもりはないので今は急ごう。
耳にダメージを負いながらも俺たちは再び千草の追跡を開始した。
「どのくらいですか!?」
「あと少し……! これを抜ければ!!」
走りながら敵の現在地を刹那に確認するネギくん。
俺も礼装の機能で探知しているが、反応はまだ先。
なんとか儀式を終える前に助け出さなければ。
神霊の降臨など、もし本当にやるつもりなら絶対に阻止しなければならない。
できるかどうかじゃなく、やる可能性があるなら止めねばならない。
「っ、待て! 魔力反応感知、来るぞ!!」
礼装が捉えた反応は三つ。いずれもサーヴァントに匹敵するものだ。
俺はネギくんたちを慌てて呼び止めた。
「ほう、小僧が二匹に小娘が二匹……サーヴァントが二体か」
目の前の林から姿を現したのは、紫を基調とした色合いの鬼。頭頂部は虫の腹のような形で、その足にあたる部分から角が生えている。
これまでの傾向を考えてこいつは見た目で判断して大丈夫だろう。
「水鬼か」
「おお、名乗る前に当てられるとは。
いかにも、我は水鬼。貴殿らの足止め……あるいは『排除』を命じられている」
「は、排除!?」
明日菜が怯えた声で叫んだ。
なるほど、こいつは魔神柱の方の子飼いらしい。
フェイトがこの時点で不殺を覆すとは考えにくい。
「左様、貴殿らは首を突っ込み過ぎた。抑えきれぬなら殺せと命じられている」
奥からもう一体。こちらはエリちゃんの報告にあった風を操る鬼、風鬼だ。
「我らも、舐められたままではいられんからな」
最後に、隣の木々の合間から黄色の鬼。金剛の身体を持つ金鬼が現れた。
三体の鬼。いずれもがサーヴァントクラス。
有り体にピンチである。しかしこれくらいは想定していた。した上でここまで来た。
どのみち、この後にフェイトやら魔神柱やら、さっきのセイバーともやり会わねばならない。
俺は、『魔力を礼装に込める』。変換など待っていられない。
先ほどと同じく、『直に』魔力を補充する。
「あなた、また懲りずに!」
「止めるなよ、策はこれしかない。逆転できる手なら使うまでだ」
叱責を加えてきたメカエリチャンに、俺は憮然とした態度で返す。
やらなきゃやられる。やれる手は全て使う。
俺は念話で二人に俺の合図でまず水鬼と風鬼を仕留めるように伝える。合図は『礼装による強化』である。
この二体さえ仕留めてしまえばーー
「ぬぅ!」
その時、パス、と風を切る音がした。同時に水鬼が額を軽く押さえて小さく呻く。
その直後、巨大な手裏剣がその場に到来した。
「うわっ!」
思わず声をあげたネギくんの隣に、忍者の衣装に身を包んだ女性が降り立った。
その姿を見てこの場の全員が驚いた。もちろん俺を含めて。
「長瀬、さん!?」
その人物こそ何を隠そうネギクラス唯一の忍者。長瀬楓であった。
真面目に、本物の忍者である。
確か、甲賀流一般最高位の中忍だったと記憶する。
「ニンニン。ネギ坊主、ここは拙者たちの助けが必要なのではないかな?」
朗らかな笑顔で語る楓。
その背後にもう二人、降り立つ。
「あいやー、私、本物のお化け見るの初めてアル」
「随分と、厄介な奴に絡まれているみたいだな刹那」
チャイナ服の褐色少女・アルヨ……じゃなくて古菲。
と、同じく褐色だが中学生とは思えないプロポーションのガンスリンガー龍宮真名。
「龍宮!? あんた、なんで!?」
驚いてる明日菜に、刹那は龍宮とは以前から仕事を共にする仲だということを説明する。
確か、魔獣退治とかしてたんだよな。
いや、どんだけ魔獣いるんだよ、って話だが。
いるんだな、これが。
「ここは我らに任せて、行け」
そう言い放つや、銃弾もぶっ放す龍宮隊長。
そのまま、水鬼の方へと突撃していく。
「待て、そいつはサーヴァント……!」
並みの怪異と一緒にするな、と言いたかったのだが、存外、龍宮は強かった。ガン=カタよろしく接近戦で銃を放ちつつ、水鬼が詠唱を唱えようとするのを妨害している。
水鬼とて素体能力はサーヴァントのそれ。それら銃弾を躱し、時には手に持つ棍棒で叩き落としながら互角に戦っていた。
よく見ると龍宮の左眼がほんのりと輝いている。あれが魔眼ってやつか。
龍宮の奮闘ぶりに唖然としていると、その間に楓は風鬼へと仕掛けていた。
あの巨大手裏剣を投擲し、その合間に呪符を構えて接近と共に放ち爆発させる。その間にクナイを投擲、紐が括り付けられた巨大手裏剣を操って風鬼に詠唱の隙を与えないように立ち回っている。
あるいは二人とも、速さはサーヴァント並みなのかもしれない。
思いの外、彼女らが奮闘してくれているのを見て、少し安心する。
どうやらこいつらは任せてしまっても大丈夫そうーー
「ぬん!!」
「うわっ、かったいアルね〜」
しかし、金鬼だけは少し古菲に分が悪そうだった。
当たり前だ、戦えている他の二人が異常なのだ。
いや、もしかしたらーー
まず、どうするべきか、迷った俺は金鬼を先に仕留めることにした。
放置はまずい。それに、金剛の身体らしいからな。
幸い、こちらにはエリちゃんがいる。
「エリちゃん、古菲を援護しつつ『
「分かった!」
俺は彼女から金鬼の身体に『声』が効いたのを伝え聞いている。もはやアレは反則に近い『魂攻撃』が出来るので物理防御の硬い奴にはもってこいだ。
エリちゃんが金鬼にリベンジマッチを挑んだのを確認してから、次にメカエリチャンに指示を出す。
見れば、他の二人も結構苦戦している。最初の勢いは良かったが、やはり相手はサーヴァント。動きも鈍ってきていた。
いつの間にか刹那や明日菜たちも参戦しているが、どうにも明日菜は危なっかしい。
ネギくんにもこれからの魔力を残してもらっておいた方がいいだろう。
「メカエリチャンは水鬼を叩け、崩しやすいのはそこだ!!」
「了解!!」
ジェット噴射で対象に向かうメカエリチャン。
すでに、二度目の全力戦闘だが、甘いことは言ってられない。
俺もフルで魔力を回し続けている。
すでに身体の一部は感覚が無いが、それでもやらねばならない。
もはや正史とは違うのだ、ここからは自分で考え、自分で動かなければならない。
「えーと、そこのガン=カタ女子!」
「……呼んだか?」
ガン=カタしながら返事をする龍宮。案外余裕ありそうだ。
「くノ一ちゃんの方の援護を頼む。……それと、できれば全力をお願いしたい。こいつらは『本物』だ」
「っ! ……何やら知っているような口調だが、今はそうも言ってられまいな」
隙を見て即座に離脱し、楓の援護に入る龍宮。
そちらには刹那もいるが、三人でやればなんとかなると思いたい。
まして刹那は神鳴流。サーヴァントとはいえ風鬼にも効くことを願っている。
「それと、ネギくーー」
「ほう、貴様が司令塔か」
不意に、背後から背筋の凍るような悍ましい声がきこえてきた。
それは一度耳にすれば即座に『人外』と分かる異形の声。
振り向くのが下策と即座に判断した俺は首を守るべく急いで屈む。
しかし、『ソレ』の刃は俺よりも数倍速い速度で迫る。
「三郎!!」
刃が目の前まで迫った瞬間、唐突に『ソレ』は動きを止めた。
まるで何かに縛られたようにギチギチと身体を軋ませている。
「ぬぅ!? おのれ、『呪術』か!?」
振り向き確認したそれは黒づくめの巨躯。
黒の仮面には目と口が空いておりそこから赤い光を放っていた。
だがそれよりもーー
「お前はっ!?」
スタン状態の隠形鬼は『ナニカ』に絡みつかれたままに宙へと振り回され遠方に落とされる。
その後に、彼女は目の前に降り立った。
「ご無事でなによりお館様……」
俺を見て一瞬、何かを感じたように眉を動かした彼女だったが、すぐに敵の方へと向き直った。
身の丈はちょうどアビーと同じくらい、長い黒髪を持ち全身に蛇の這ったような痣を持つ。
そして何より『大変けしからん衣装をしている』。なんといえば良いか、例えるならH◯T LIMLT。もっと分かりやすく言うと人修羅の使役するエンジェル。
「パライソ……?」
困惑する俺に、腰のポシェットから陽気な声が聞こえてきた。
『いやー、間に合って万々歳だね。
お前の仕業か精霊。
だが、どうやって召喚した?
俺は今回何の手順も踏んでいないが。
『ああ、言っとくけど彼女は“はぐれ”状態だからね。長くは持たない。……この世界においては少し勝手が違うが。
とりあえず、今後も“運用”するのなら契約を結ぶ必要があるよ』
ペラペラとポシェットの中から説明してくる精霊。
お前、単体でサーヴァント呼べたのか。
……詳しく聞こうとする度にはぐらかすから始末に負えない。
「お館様、拙者をお使いいただけるなら契約を。この身に代えてもお守りいたしまする」
パライソが『
……それに、これ以上契約したら『俺の身体』は?
「……分かった。パライソ、いや
「承諾、これよりは
『はい契約〜!』
精霊の軽い声でぶち壊しだが、跪き
中身が違うと気付いたのだろう。
とりあえず、精霊の言葉の後にいつもの痛みと共に令呪を賜った。今度は背中だ。
「千代女、早速だが奴の相手を頼む」
「承知、必ずや仕留めてご覧にいれまする」
短く応え、彼女は影となって瞬時に隠形鬼のもとに向かった。
同時に隠形鬼も『大蛇』を
その様を見ながら俺はエリちゃんの方を向こうとしてーー
「あれ……?」
「いてて……ちょっと、これはやばいかなぁ」
呟きながら、全身を襲うビシビシという感触、痛み。こみ上げてきた吐き気のままに俺は大量に吐血した。
「ぐぶっ……っは! ……はっ……!」
半分になった視界がぼやけ始める。
思考が纏まらず意識も朦朧としてきた。
だが、
「子イヌっ!?」
「馬鹿野郎、敵に集中しろ!!」
俺の異変に気付いたエリちゃんが俺の方に振り向き声をかけてきた。俺はそれを叱責する。
大丈夫、やれる。
ガタガタと震える左脚を庇うようにして立ち上がり、戦況の把握に努める。
なんだ、まだやれるじゃないか。
ガンドだって撃てる。
『……人の身体は脆い。君が望むなら、
精霊がいつもの飄々とした態度で提案してくる。
そういう魂胆で呼んだのか。
「断る。俺の優先順位は彼女たちだ」
『ハハ、思ったより強情だ。でも、いいよ。その不屈の精神が
あくまで明るく、しかしその声に最初から感情が乗っていないことに俺は初めて気付いた。
次回、四鬼戦です。
詳細は次回まで待ってて!