もしもなのはに双子の妹がいたら?   作:赤いUFO
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後編です。


番外編10:機動六課編『はじまりの続き』後編

 アリサから貸し出されているコテージへ移動するのによつばが車で運転していた。

 

「よつばちゃんが免許取ってたの知ってたけど乗せてもらうのは初めてだね」

 

「うん!あんまり運転しないから慣れてないけど、事故を起こしちゃったらごめんね!」

 

「それ満面の笑顔で言うことじゃないよ!?」

 

 高校三年の夏休みを利用してアリサ、すずかと一緒に免許を取得したのだが特に車を利用する機会がないため、運転は称賛するほど上手いわけではないが安全運転を心掛けている。

 なのはもフェイトも地球での自動車運転免許を取得してない為、よつばと姉の美由希が別々の車でコテージまで移動していた。

 新人たちを美由希の車に乗せたのは久しぶりになのはと一緒の時間を過ごさせようという心遣いからではなく、事故を起こした場合を想定していたりする。

 何があってもなのは、フェイト、アルフなら大丈夫だろうという感じだ。

 

「テスタロッサさんから見てなのちゃんのお仕事はどうですか?戦技きょーどー官?だったよね?戦う技術を教えるお仕事って聞いてますけど」

 

 向こうの仕事に疎いよつばが聞きかじった単語を言うとフェイトは緊張しながらも答えた。

 

「はい……!今回初めて共同でお仕事をしますけど、他の教導官の方より丁重に、確実に技術を教えていますよ。フォワードの子たちが才能溢れているのもありますが、なのはの教えのおかげで少し時間が置くと想像以上に成長していますから、驚いてます」

 

 フェイトの評価になのはは僅かに顔を赤らめて照れる。それによつばは感慨深げにそっかー、としみじみ呟いた。

 

「なのちゃん、昔はわたしと同じで運動苦手だったから心配だったけど、ちゃんとやっていけてるんだね」

 

「運動音痴はとっくに卒業したよ。それに子供の頃だってよつばちゃんよりは運動得意だったでしょ?」

 

「なのちゃん。五十歩百歩とかどんぐりの背比べって言葉知ってる?」

 

 そんな風に姉妹でじゃれ合いながらもフェイトやアルフに質問しているうちに目的地に到着する。

 すると先に来ていたアリサとすずかが寄ってくる。

 

「なのはちゃん久しぶりだね!」

 

「すずかちゃん!ここのところメールや写真でのやり取りばっかりだったもんね」

 

「ねぇ、よつば。運転大丈夫だった?」

 

「なんでわたしが運転するとまずそれを訊くのかなぁ?」

 

 そんな風に和気藹々と話をしていると少し離れた位置にいるフェイトによつばがその手を引く。

 

「この人がなのちゃんとはやてちゃんの同僚のフェイト・T・ハラオウンさんでその使い魔?のアルフさん」

 

「いや、なんでよつば(アンタ)が紹介するの?」

 

「その、フェイト……です……」

 

「え、と……月村、すずかです……」

 

 フェイトとの自己紹介にすずかはぎこちない笑みで返す。

 アリサもすずかもよつばとフェイトとの間になにがあったのか知っている。

 その上で友好的な態度を取るよつばを見れば強く敵意を出すことなど出来る筈もなく、しかし平然としていられるほどに強くもない。

 

 僅かに沈黙が下りると遠くから鉄板で食材を焼く音が聞こえてくる。

 

「誰か料理してるの?」

 

「はやてがね。せめて夕食くらいはって」

 

「なら、わたし手伝ってくるね!テスタロッサさんたちも夕食楽しみにしてて下さいね!」

 

 それだけ言ってはやての方へと向かうよつばになのはは苦笑する。

 

「よつばちゃんとはやてちゃんが料理するのを見るの、なんか久しぶり」

 

「そりゃあなのはもはやても最近滅多にこっちに戻ってこないからじゃない」

 

「そうだけどね」

 

 苦笑して肩を竦めるなのは。

 そんな中で後ろに居たキャロが質問した。

 

「あ、あの!?本当に私たち手伝わなくて良いんですか?八神部隊長には断られてしまいましたけど……」

 

 はやてが鉄板焼をしているのを驚き、そんなのは自分たちがやると言ったがやんわりと断られてしまった。

 それになのはは苦笑して返す。

 

「良いんじゃないかな?はやてちゃんも料理好きだし。ここ最近ちょっと気疲れしてるみたいだったから気分転換に。それにあの2人が並んで料理するのを横から入るのもね。食器出しとかはやった方が良いだろうけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はやてちゃん手伝うよ!」

 

「お!ありがとな!でもお店で働いとるよつばちゃん相手だと気後れしてまうわぁ」

 

「はやてちゃんなら翠屋(うち)でも即戦力で働けると思うよ。今のお仕事辞めたらこっちに就職しない?」

 

「ふふ。その時はよろしくお願いします」

 

 軽口を言い合いながらよつばは手を洗って残っている食材を刻み始める。

 

「こうして横で料理しとるとなんや子供の頃を思い出すなぁ。小さい頃、よつばちゃんにお菓子の作り方を教えてもろたり」

 

「あの時はまだわたしも片腕で、シャマルさんと3人で作ってたよね」

 

「そうそう。それでシャマルが突然砂糖と塩を間違えたり」

 

「分量を盛大に間違えたりして食べられないくらい甘いお菓子ができたり」

 

「……2人とも人の失敗談で笑うの止めません?」

 

 よつばとはやてがシャマルの料理失敗で笑っているとヴィータが割って入る。

 

「つってもお前。前にシャマルが作ったパウンドケーキ食ってよつばさんを泡吹いて倒れさせたじゃねぇか」

 

「アレはほんまに驚いたなぁ……大急ぎでよつばちゃんをトイレで吐かせて」

 

「あの後、三日間くらい舌がバカになりましたねぇ」

 

 ハハ、と懐かしそうに苦笑するよつばにさすがにシャマルも反論できずに肩を小さくしている。

 シャマルの料理は見た目はなんの変哲もないのだが何故か味だけ摩訶不思議な感じに調理される。

 それ以来、八神家ではシャマルに味付け関連の作業は厳禁するルールが設けられていた。

 包丁の扱いは上手いのにどうして味付けだけおかしくなるのか?

 それもバラつきがあり、普通に食べられる物から人が倒れる物まで。

 

「とにかく、ちゃっちゃと仕上げよか!」

 

「そうだねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 バーベキューなどの料理が出来上がるとはやてが乾杯の音頭を取り、面識がないフォワードメンバーと現地協力者であるアリサやすずかなどがそれぞれ自己紹介を終えて食事会は開始された。

 

 食事会が始まり、なのはは久々に会う友人2人や姉と談笑しており、フェイトはエリオとキャロの相手をしている。

 スバルとティアナは周りを見ながら自分たちの先生であるなのはや他の隊長たちの普段と違う姿に驚いたりしている。

 よつばははやてと一緒に食べ物を捌いているとアルフが寄ってきた。

 

「ちょっといいかい?」

 

「あ、これならもう少しで焼けますからちょっと待ってくださいね!」

 

「そうじゃなくて!その……話がしたいんだ。アンタと2人で」

 

 緊張した口調で頼んできたアルフにはやてが横から割って入る。

 

「よつばちゃん。こっちはわたしとシャマルで大丈夫やから、な?」

 

「う~ん。じゃ、お願いね!これはもういいかな」

 

 言って肉と野菜が刺してある串を2本持って片方をアルフに渡す。

 アルフは礼を言って受け取り、後ろでウインクするはやてにも念話で礼をした。

 

 場から少し離れたところでアルフは話を切り出す。

 

「お礼を言いたかったんだ。ありがとう、フェイトを、赦してくれて」

 

 大勢の場で言うには少々そぐわない会話なために席を外したのだ。

 

「アンタがフェイトと会ってくれた晩に連絡が来てさ。話、聞いたよ。フェイト泣きながら安心してた。10年間ずっとあの時のことを気にしてたから」

 

「……」

 

「でも、違うんだ。本当に謝らなきゃいけないのはアタシだから……」

 

 よつばが高所から落ちた直接的な原因を作ったのはアルフだ。フェイトはずっと一緒に背負い、アルフ以上に自分を責めた。

 

「フェイトと会ってくれた後で謝りに来るなんて卑怯だって分かってるんだ!でも、今度こそちゃんと、謝りたくって……!」

 

 10年前、アルフは自分とフェイトのことで頭がいっぱいだった。

 だが時間が過ぎて、色々な人と出会う機会が増え、そしてクロノとエイミイの子供であるカレルとリエラが生まれて、本当に自分のしたことが怖くなった。

 日々大きくなるこの生命がもし見知らぬ誰かに大きな傷を付けられたと知らされたら自分はどう思うだろう?

 カレルとリエラだけではない。エリオやキャロでもだ。

 決まっている。その相手にその子たちが負った傷の何倍も仕返ししてやりたくなるだろう。

 しかしよつばの家族は決してそんなことはしなかった。それどころか謝罪に来た自分たちを一切責めずにこちらを気遣ってすらいたことも今なら分かる。

 

 それを自覚したときに襲った罪悪感は当時のモノを何倍も上回っていた。

 

「ゴメン……ゴメンよ……今更、こんな……!」

 

 謝罪するアルフ。それをよつばは少しだけ困ったように笑みを浮かべていた。

 それから付けられた右の義手に触れる。

 

「わたしも、あの時は余裕が無かった。ただ泣き叫んで2人を拒絶するだけで……それが、精一杯だった。でも――――」

 

 負わなくて良かった筈の痛みや苦労。それは確かにあった。

 しかし支えてくれた家族や友人とずっと頑張って乗り越えてきた。

 独りなら、ただ塞ぎ込むことしか出来なかっただろう。弱い自分をずっと守ってくれた優しい人たち。

 

「独りじゃ、乗り越えられなかった。どうしたら良いのかすら、きっと分からなかった。色んな人に助けられて、また夢を見れて。わたしは立ち直れた。それに気づけて、良かったって。幸せだって思える。だって――――」

 

 その証拠に。

 

「わたしは、こうして笑っていられるから」

 

 幸せだと胸を張って笑える。なら、これ以上に誰を責める必要があるだろう?

 その言葉を聞いてアルフは眩しいモノを見るように大きく息を吐いた。

 

「……もっとアタシを責めたって罰は当たらないだろうに」

 

「イヤですよ。出会い方はアレでしたけどこうして手を取りあえる機会が出来たんです。どうせなら楽しくなって欲しいじゃないですか」

 

 恨み辛みを抱えるのはもう疲れたのだと言うよつばにアルフは毒気が抜かれてなるほど、と笑った。

 

「そう、だね。アタシもそう思うよ」

 

「えぇ。時間はかかっても、ね……」

 

 そうして話を終えるとエリオとキャロが近づいて来た。

 

「どうしたの?テスタロッサさんの傍に居たんじゃ……」

 

 周りを見渡すと、フェイトはアリサ、すずかと一緒に居る。

 

「あ、あの!アリサさんとすずかさんがフェイトさんに話があるって……それで……」

 

「あぁ……」

 

 そういえば、以前アリサがフェイトと話をするのを楽しみにしていると言っていたような気がする。

 おそらくすずかも同様だったのだろう。

 そしてフェイトの立ち位置を断片でも知っている2人には不安しかないのは当然で。

 しかしよつばはエリオとキャロの頭に手を置いて笑う。

 

「だいじょうぶだよ。2人も別にテスタロッサさんをどうこうしようなんて気はないから」

 

「そ、そうでしょうか?」

 

「うん。ただ、話がしたいだけなんじゃないかな?」

 

 さすがにこんな和やかな雰囲気の中でその空気を壊す真似はしないだろう。

 

「それより、向こうにまだたくさん料理があるから。食べながら2人の話を聞かせて。ね?」

 

 そう言ってよつばはエリオとキャロの手を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく顔合わせが出来たわね」

 

「アリサちゃん、その言い方はちょっと……」

 

 フフフと挑むように笑いながらフェイトの前に立つアリサにすずかが苦笑いを浮かべている。

 当然フェイトは固まりながらどう対応すればいいのか困惑している。

 そんなフェイトにアリサは話を切り出した。

 

「変に緊張しなくていいわよ。別にアンタをどうこうするつもりはないんだから。言いたいことは山ほど有ったけど、よつばが全部無駄にしてくれたしね。でもちょっとくらい付き合いなさい」

 

「は、はぁ……」

 

 目的の分からない向こうの態度にフェイトは肩身の狭いを思いをしている。

 

「なんて言うか、愚痴よ愚痴!なんか色んなことがアタシたちとは関係ないところで始まって勝手に終わっちゃったから。こっちとしては釈然としないっていうか。変にモヤモヤするのよね。だからアンタとは話しておきたかったのよ」

 

 アリサ視点で言えば、よつばの事故が突然起き、その犯人を捕まえるために躍起になっていた時期もあったが、いつの間にか向こうから謝罪されていて幕を閉じていた。

 つまりは蚊帳の外に置かれていたのが気に喰わず、スッキリしたいのだ。フェイトと話そうとしたのもその一環である。すずかも同様に。

 それを必要以上に重く受け止めたフェイトは真面目に頭を下げた。

 

「お2人からすれば私がここにいることに憤りを感じるのは当然だと思います。あの件は言い訳のしようもありませんから」

 

「だぁあああっ!?そんなに暗い表情しないでよ!こっちがイジメてるみたいじゃない!」

 

 アリサとてどの面下げて地球(ここ)に来てんだ!という気持ちがないわけではない。しかし被害に遭った本人とその家族が謝罪を受け入れた上であーだこーだ言うほど女々しい性格はしていない。

 アリサは話を切り替える。

 

「昔ね。小学校に上がったばかりの頃。アタシ、すごく問題児でさ。お金持ちなのを良いことに威張って、いじわるとかもして。すずかもそのときは引っ込み思案過ぎて周りと上手く行ってなかったのよ。そんなアタシらの最初の友達がなのはとよつばだった」

 

 懐かしそうに語るアリサにすずかが続く。

 

「だから、あの事故が遭った時は本当にショックで。よつばちゃんもだけど……なのはちゃんもすごく不安定で。ずっと自分を責めてた。今思うと自分が魔法に関わったせいでよつばちゃんが怪我したと思ってたみたいで」

 

 かつて、泣きながら鬼気迫る勢いで自分に向かってきたなのはを思い出す。

 事情を推測することでしかなかった自分ですら身を震わせるほどの怒りを撒き散らしていた少女。

 なのはの人となりに触れる機会が増えた今では当時のあの様子はどれほど彼女を追いつめられていたのか理解できる。

 

「だから、絶対犯人をとっ捕まえてやるって意気込んでたらいつの間にか話が終わってるし。そのくせよつばはずっとアンタのことを気にしてたから全然吹っ切れてないしで。でも、そういう奴だから」

 

「よつばちゃんもなのはちゃんも。こっちが心配になるくらい周りのことばかり気にしちゃう姉妹(子たち)だから」

 

 そこでアリサがフェイトの肩に手を置いた。

 

「だから。そのことでうじうじするのはやめなさいってことよ。忘れちゃいけないけど。引きずり続けるとあの2人が気にするから」

 

 それで言いたいことは終わったとばかりに伸びをしてアリサとすずかはフェイトから離れていき、入れ替わるようになのはがやってきた。

 手には皿に盛られた焼きそばがあり、片方をフェイトに渡す。

 

「2人とも、なんだって?」

 

「うん。いつまでもうじうじするなって。元気づけられた、のかな?」

 

「そっか」

 

「ねぇ、なのは。なのはの親しい人たちはみんな善い人だね。なのはが、真っ直ぐ育った理由が少し()()った気がする」

 

「フェイトちゃんも、きっと仲良くなれるよ。」

 

「そうかな?そうだったら、いいなぁ……」

 

 そうなれたら、それはどんなに素敵なことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 食事を終えた後はサーチャーの反応を待つ間に風呂に入ることになった。

 ただ、コテージには風呂はないために市内の銭湯に移動することにした。

 

 途中、エリオがどっちの風呂に入るかで足が止まったが逃げるように男湯に入って行き、キャロもついて行ってしまう一幕はあったが特に問題は起きずにいた。

 

 時間が経過するとよつばたち同い年の近い位置で入浴していた。

 

「いや~双子言うても見比べてみるとなのはちゃんとよつばちゃんはやっぱりスタイルが違うんやねー」

 

「生活が全然違うからね。はやてちゃんから見てどう思う?」

 

「うん。全体的にバランスがええのはなのはちゃんやけど胸やお尻はよつばちゃんのほうが大きいな思うで。腰回りもやけど」

 

「う!さ、最近はちゃんと運動もしてるんだよ?お姉ちゃんに付き合ってもらって」

 

 はやての容赦ない評によつばは自分のお腹の肉に触れながら弁明する。

 それにアリサがツッコむ。

 

「って言っても、この間もまた体重増えたーって大騒ぎだったじゃない。運動量より食べる量を減らさないといけないでしょ、よつばは」

 

「うぐっ!?」

 

 アリサの指摘によつばはまだ大丈夫。まだ大丈夫とぶつぶつ呟いている。

 

「わたし的には1番胸が大きいのはすずかちゃんで感度はフェイトちゃんが上やと思うんよ」

 

「あ、あのはやて……あまりそういうことを大声で言うのは……」

 

 あまりこういう場に慣れていないのか恥ずかしそうに身体を小さくして湯に浸かってる。そんなはやてにすずかがなのはに訊く。

 

「もしかしてはやてちゃん。お仕事でもアレをやるの?」

 

「うん。と言っても本当に気心知れて許してくれる人だけね」

 

 アレというのは同性への胸揉みである。

 はやては昔から他人の胸を揉む趣味があり、この場にいるほとんどが彼女に胸を揉まれたことがある。

 

 中学が一緒だった4人は特にその回数が多い。

 本人曰く、みんなの健全なバストアップに貢献したと自負しているそうだ。

 

「それにしてもテスタロッサさんってそんなに?」

 

「うん。ちょい触れただけでかわええ声出すし、肌もスベスベで気持ちええんよー」

 

「ほーほー」

 

 よつば、はやて、アリサは会話を終えると一斉にフェイトの方を向く。本人は顔を引きつらせてじりじりと離れた。

 

「2人とも……その手の動きは、なに?」

 

「ちょっとだけ。ちょっとだけですから!」

 

「すこし、我慢しなさいね!」

 

 アリサとよつばに近づかれたフェイトは猫を前にした鼠のように震え、すぐに声が上がる。

 数分後。満足そうに額を拭うよつばとアリサ。そして顔を真っ赤にして体を小さくするフェイトを後からやってきたキャロが不思議そうにしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銭湯から出ると同時にデバイスが反応。

 対象のロストロギアが発見され、現地協力者にエールを送られながら出動。

 特に被害を出すことなくロストロギアの捕縛に成功した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴメンはやてちゃん。少しテスタロッサさんとお話しさせてくれないかな?」

 

 任務を終えた後によつばがはやてにそう訊いた。

 

「別にええけど。どないしたん?」

 

「ちょっとね。2人で行きたいところがあるのここなら、近いから」

 

「ん~。本当はこのまま帰還するつもりやったけどこっちはちょい休憩してるから、なるべく早く戻ってきてな?」

 

「うん、ありがとう!テスタロッサさん、ちょっと!」

 

 フェイトを呼んで頼み込むようにしてよつばはフェイトの手を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……」

 

 その場所に着いて。フェイトは身体を強張らせた。

 見覚えのあるそこは、よつばとフェイトが()()()()()()()()()だった。

 

「わたしが落ちた後、危ないからって新しい柵が付けられたんです以前のより高さがあるのを」

 

 自分が落ちた場所の柵に触れながら遠くを見つめている。

 

「出会い方は間違えてしまいましたから。だから、()()()()()()ここからかなって」

 

 全てをやり直すなんて出来なくても。

 新しく関係を始めることは出来るのだ。

 

「わたし、今日テスタロッサさんと会えて良かったと思ってます」

 

 以前、ミッドで再会したときは関係がゼロに近い位置となった。

 でも今日僅かな時間を過ごして、一歩踏み出したいと思った。

 

「テスタロッサさん。わたしと、友達になってください」

 

 だから最初に間違えてしまった此処で始めたくて、手を差し出す。

 

「ほん、とうに……いいの?」

 

 赦して、くれるだけで充分だったのに。

 こんな夢みたいなことが現実に。

 

 よつばは何も言わず、フェイトが手を握ってくれるのを微笑んで待っていた。

 フェイトは震えたままの手でよつばの手を握る。

 少しだけ手に力が入りると嬉しそうによつばは笑みを深めた。

 

「またね、()()()()()()()

 

 驚きは一瞬。

 次にフェイトは花が咲くような笑みを浮かべた。

 

「うん、また。()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数年後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良し!準備はこれで万全!」

 

 翠屋二号店。

 今日はその開店日。

 海鳴総合病院の近くに開かれた店は一号店に比べて狭く、席数も半分ほどだが今日からここが高町よつばの職場となる。

 人は一号店よりこちらに近い人を数名。新しく人を雇い入れたりとここ数日の忙しさもようやく報われたと思えば感慨深い。

 

 

「店長。お店、もう営業中にして大丈夫ですか?」

 

「うん。お願い」

 

 新しく雇った高校生のアルバイトにお願いする。

 ドアが営業中の札に切り替わって10分程して開かれる。

 お客様第一号の入店だ。

 

 

「いらっしゃいませ!ようこそ、喫茶翠屋へ!」

 

 何年も言い続けた来客の挨拶をする。

 そして少し驚いた表情に変わったがすぐに微笑む。

 

 入ってきたのは双子の姉と数年前に引き取ったというオッドアイの少女。

 

 そして共通の友人である長い金の髪を持った女性だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで番外編終了です。

活動報告に上げたようにこの作品でクロスオーバーなおまけを後に書くと思いますが見かけたらよろしくお願いします。






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