千変万化クリスちゃん   作:沖田不二乃

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おまたせいたしました。
揺らぎの街のクリス編、その2です。
…話を重ねるごとに文字数が増えていくのはこれいかに。



秩序と鞘と撃槍と

~前回のあらすじ~

クリスちゃんのメディカルルームに突如現れた謎の二人ッ!

超常現象を専門とするエージェントの有栖零児さんと小牟…ちゃん?だった。

その二人が私達の世界に来た理由は『ゆらぎ』というものが渋谷に現れたみたいで…

さらに、あの時未来が閉じたバビロニアの宝物庫のノイズも現れたみたい…なんでだろ?

えっ?私?今何してるかって?…ちょっと変だけど困ってそうな人が居たから…

 

 

 

 

おっさんの指示であたし達は渋谷に今向かっている。

 

「そう言えば、零児さんと小牟さん、エージェントと言ってましたが…どうやって戦ってるんデスか?」

 

「お前らが見たら驚くぞ?大道芸みてーな戦い方してんだよ、この2人はな」

 

「…クリスが知っている以上隠す必要もないな。この『護業』という一刀と2丁と2本の脇差しを使っている」

 

「後は陰陽術やら占術・符術やらなんやらも使っとる…っちゅうワケじゃ。ドゥーユーアンダスタンンンンドゥ!」

 

「喧しい。…こっちも疑問に思っていたが、奏者…と風鳴司令は言っていたな…君たちはどうやって戦うんだ?」

 

「私達は、歌を歌って戦っている」

 

「なに?歌って戦う…?…まさかな」

 

「さしずめ銀河の果てまで歌ってリポートでもするんとちゃうか」

 

「んなわけねぇだろ!思考回路までロケットでぶっ飛んだか!?」

 

「…前例があるから割と本気にしているぞ、コイツは」

 

「アップ!ダウン!アップ!ダウン!ぽーう!ぽーう!ぽーう!ってのう!」

 

「しゃ、小牟さん!それはなんか色々マズいデス!」

 

ったく…もうすぐ現地に着くってのに緊張感の欠片もねぇメンツだ…

…そう思ってるのはあたしだけじゃないだけマシか。零児の奴も渋い顔してやがる…

 

「全く…そろそろ渋谷に…ッ!」

 

「零児さん?どうしたんですか?」

 

いきなり頭を押さえる零児。…おいおい、マジかよ…このパターンだとアイツも来てるんじゃねぇか…

 

「頭のその古傷…?大丈夫デスか!?」

 

「…切歌よ、安心せい。…零児は大丈夫じゃ、問題はないんじゃ」

 

「そう…俺には問題はない…出てこい、沙夜ッ!」

 

零児がそう言うと突然空間が歪み、その歪みから一つの影が見えた。やっぱりアイツか…

 

「出てこいと言われれば…出て行きたく無くなっちゃうのがサガよね…ま、出てきちゃうんだけれど」

 

白い髪にジャケットと言って良いのか怪しいくらいに露出度の高い黒いジャケットにホットパンツの女…沙夜が姿を表した。

…なんか、こうして改めて見るとコイツ、すげぇ格好してやがんな…

 

「久し振りね、坊やと…おチビちゃん。…あれま、そのコ達は…娘さんかしら?」

 

「ハーフではない限りそんなもんあり得るわけなかろうが!っちゅうか、わし等の子供でも無いわ!」

 

「…すぐには否定しないことには追求しないぞ」

 

「…どう見ても親子にも見えないよ、私達」

 

「あの着眼点…タダモノではないデース…!」

 

「あぁ、タダモンじゃねぇよ、アイツは…アイツもまた、人間じゃねえからな」

 

コイツもまた狐の妖怪であるが…

小牟と違うとすれば、あっちが中国の仙狐、こっちが…日本の妖狐、っつー分類になる。まぁ大まかには一緒って思ってるけどな。

 

「あん、乙女の秘密を知ってるなんて…貴女何者?どこの組織?言ってくれるかしら?」

 

つい先程似たようなことを聞かれた気がするぞ…やっぱ狐同士気が合うんじゃねぇか?お前ら…

 

「…ちっ、相も変わらず駄狐か、おい!今度はなにを企んでる!」

 

「企んでいる…そうね、確かに企んでいるわ。…元の世界に帰る方法を、ね」

 

「なに…?…言われてみれば、あいつ等が居ないな」

 

「アイツ等…ってぇーと、あの赤い馬に青い牛か」

 

毒馬頭、毒牛頭…沙夜が居るなら必ずコイツ等も居る、側近の奴らが居ない…か。

 

「どうせロクでもないことをまた企んでおるじゃろう、お主は」

 

「冷たいこと言わないの。これでも今回はちょっぴり焦ってるんだから」

 

「…3人は、知り合いだったりするデスか?」

 

「ただの…宿敵さ」

 

「…!」

 

「…だが、元の世界に帰る方法なら俺達も探しているところだ、一体何を考えている?」

 

「利害の一致、と言う点に関しては確かに坊や達とは行動したいところだけれど…」

 

すると、どこからともなく…"アイツ等"が出てきやがった。

 

「この子達、どういう訳か邪魔してくるの。…手伝ってくれたら、教えてあげてもいいわ」

 

「…調、あれって…!」

 

「嘘…ノイズ…!?」

 

「…本当に、ソロモンの杖が地獄の底から這い上がってきやがったってのか…!?」

 

「…!貴女達、知っているの?」

 

なんだ?コイツ…ノイズの事を知らない?どういうこった…?

 

「少なくとも、俺達よりかは知っているだろうな」

 

「っちゅうか、あのカンジ…前にも似たようなヤツがおったぞ」

 

「…グノーシス、ね。…それが本当なら、私達、おしまいね。…触れたら炭になっちゃうみたいよ?」

 

「…ちっ、なら…向こうから来る前に仕掛けるッ!」

 

そう言うと零児が前に出る…おい、ちょっと待て!

 

「おい!生身の人間が突っ込んでいくんじゃねぇ!」

 

「…(ゴールド)ッ!」

 

零児が後ろのホルスターから金色の銃を引き抜き、銃爪を引いた…

 

「…一応フォローはしようかのう、(シルバー)じゃッ!」

 

続いて小牟が銀色の銃で追撃したが…やっぱり効いてねえな、アイツ等には…

 

「…ちっ、やはり駄目か」

 

「弾丸をケチるでない!…と言いたいところじゃが…わしのも見事に効いとらんの…」

 

「私も出会う前に撃ってみたんだけれど、やっぱりこの子達には効かないみたいね」

 

「そういうことは先に言わんか!この弾、高かったんじゃぞ!」

 

「下がって、零児さん!小牟さん!…切ちゃん!先輩!」

 

「合点承知デスッ!」

 

「仕方ねえ…行くぞッ!」

 

「これ、待たんか!ぬし等は一体何を…」

 

「Killter Ichaival tron…」

「Zeios igalima raizen tron…」

「Various shul shagana tron…」

 

あたし達は聖詠を唄い、ギアを纏った。…それにしてもよ、沙夜の前で纏っても大丈夫か…?

って、すっげぇ興味深そうにこっちを見てやがる…

 

「…!、貴女…いいモノ持ってるじゃない、お名前聞いても良いかしら?」

 

はぁ!?なんであたしなんだ?しかもピンポイントで…

 

「戦場で何のんきなこと言ってやがる!…あたしは雪音クリス、昇天率100%のヒットガールだッ!」

 

【BILLION MAIDEN】

 

ノイズに向かってガトリングを一斉掃射し、アイツ等を炭に変えた…つい名乗っちまったよ…

 

「あらま、意外とノリノリ?」

 

「クリスよ、あまり乗せられるでないぞ…」

 

「まだ来るデスよッ!切りまくるDETH!」

 

【災輪・TぃN渦ぁBェル】

 

「…この新しい武器があれば、百人力だよ」

 

【β式・超電磁斬】

 

「レッツ、シラベイン」

 

アイツ等も続く…っておい、そこのピンクの方、なんかヤバい技使ってねえか?

 

「歌って戦うと聞いておったが、まるで大道芸じゃの…わしの歌を聞けーい!」

 

「うふふ、まるでアイドルみたいね、あのコ達。…うちにスカウトしちゃいたいくらいよ」

 

「そこの駄狐共。炭にされてみるか?」

 

「あーもう!下がってろってお前らッ!」

 

「その必要はありません」

 

突然、機械的な声が聞こえた…なんだ?新手か!?

 

「はぁ…はぁ…こ、KOS-MOS(コスモス)ちゃん、いきなり走ってどうしたの…ってうえぇっ!?クリスちゃん!?それに調ちゃん、切歌ちゃんに…ノイズッ!?」

 

「申し訳ありません、ヒビキ。この場所に私の友の反応があったので駆けつけました…お久しぶりです、レイジ、シャオムゥ。そして…サヤ」

 

おいおい冗談だろ…KOS-MOSまでこっちの世界に来てやがったのか…そして何故かあのバカ(立花響)とセットで居やがる。

しかもあの躯体…マジかよ、Ver.4じゃねぇか!?歩くエルデカイザーなんてあたし達の世界に来て良いもんじゃねえぞ!?

 

「さっき振りじゃろ、このツッコミロボ!変に冗談を言うでないわ!」

 

「…どうやら、俺達と同じようにゆらぎに巻き込まれたクチだな、KOS-MOS」

 

「そして、だ…おいバカ、お前一体どこで油売ってやがった!?なんでソイツと一緒に居やがんだ?」

 

「あ、あはは…とりあえず、話は後だよクリスちゃん…来るよッ!」

「Balwisyall nescell gungnir tron…」

 

バカがギアを纏い、戦闘態勢に入る。…ちっ、まだ出てくるってのか?

ここまで来りゃほぼクロだ…誰かが再びあの杖を使ってるはずだ…一体どこに居る?

 

「次から次へと…キリが無いデース…」

 

「うん。…後どれくらいで終わるのか調べたいくらい」

 

「ふむ…して、KOS-MOSよ…お主、あやつ等の分析とか、なんかそういうのはないかの?」

 

「アバウトが過ぎる。…いけるか?KOS-MOS」

 

「お任せください。…ヒルベルトエフェクトであれば、対処は可能です、シャオムゥ、レイジ」

 

「…そいつは重畳。よろしく頼む」

 

「了解です。ヒルベルトエフェクト、展開」

 

KOS-MOSがそう言うと、頭部のバイザーを降ろし…光を周囲に放つ。

コイツがヒルベルトエフェクトってやつか…ホントにノイズに効くのか?

 

「なんと」

 

「カラクリィィィィ!?」

 

「敵性体の空間への固着を確認。解析します…実体化に成功、物理攻撃による対処が可能です」

 

「じょ、冗談だろ…どういう原理だよソイツぁ…」

 

「本来であれば、虚数空間に存在しているグノーシスへ実在事象からアプローチするための…」

 

「いつぞやみたいな説明は後だ!こっちの攻撃が効くなら構わんッ!」

 

「了解です。これより敵勢力の殲滅を行います」

 

【G・SHOT】

 

ガトリングでノイズに向けて一斉掃射するKOS-MOS。…重火器の扱いなら、あたしだって負けてられねえなぁ?

 

「もってけダブルだッ!ガトリングバージョンッ!」

 

【BILLION MAIDEN】

 

「あん、これだけ弾丸が飛び交ってると…私達の出番、無くなっちゃうわね」

 

「何莫迦な事を言ってる。子供ばかりに戦わせちゃ、こっちのメンツが保たん」

 

「それじゃ、いっちょそこらじゅうで派手にやっちゃるかの!」

 

「…行くぞッ!その位置だッ!」

 

「まかせんしゃ~い!銃の型で決まりじゃッ!」

 

「呼ばれて飛び出て…ってね?」

 

【二丁・銃の型・巴】

 

零児達が銃の乱射でノイズ達をどんどん蹴散らしていく…スゲェなアレ、サーカスで入場料取れるレベルだぞ…

 

「一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つッ!…必滅の理なり…!」

 

「す、凄い人達だね…クリスちゃん…こっちも負けてられないよ!とりゃぁぁぁッ!」

 

【我流・餓狼裂波】

 

「乙女なら、拳一つで勝負せよッ!…なんてね?」

 

「生身で受けたら、炭になるけどな…」

 

お前さては最近ボンボン版の餓狼伝説読んだな?なんてチョイスしてやがんだ…

…ちっ、後どれくらいだ?結構倒してるはずなんだがよ…

 

「KOS-MOS!あとどんぐらい倒しゃ良い!でねーとキリがねぇぞ!」

 

「残存敵勢力は残りわずかです、クリスチャン」

 

「キリスト教徒じゃねえよ!?あたしの名前は…雪音クリスだぁぁぁッ!」

 

【BILLION DETH PARTY】

 

ガトリングとミサイルの一斉掃射で残りのノイズ共をぶっ飛ばしていく。これでなんとか片が付いたみてーだな…

 

「敵勢力、殲滅を確認。これ以上の増援は確認されません」

 

「ふぅ…なんとか終わったみたいだね…」

 

「あぁ…ところで、君もクリス達の仲間のようだが…」

 

「あっ、はい!私、立花響、17歳ですッ!誕生日は9月13日で、身長は…」

 

「おいバカ、そういう事故(自己)紹介は後にしやがれ!…KOS-MOS、他に異常とかねーか?」

 

「周囲には微弱ながら空間の歪曲、過去の事例から【ゆらぎ】と予測されますが、今のところ異常に至るまでにはなりません」

 

「ちっ…不安定なのには変わりは無い。…この場所なら、特にな」

 

「…そうね、ココなら…何が起きても不思議では無いものね」

 

「不思議っちゅう点では…お主、何故ココに来おった?手伝ってやったから教えんか!」

 

「少なくとも、この場所で話してるとまたあの子達がやってくるかもね」

 

「…立ち話は危険、一度戻ったほうが良いと思う」

 

「そうデス!また戦うってなったら…流石にお腹がヘリンコファイヤーデス…」

 

…お前らなぁ…つっても、疲れてんのは確かだ、ココでおちおちお話してられねぇのも事実か…

 

「わーったよ…一度本部へ戻るぞ」

 

「クリス…!良いのか?KOS-MOSはともかく…沙夜を本部まで連れて行く気か?」

 

「あん、坊や…か弱い女をこんな危険な場所に一人にするつもり?…い・け・ず」

 

「女の扱いが相変わらず分かっとらんからのぉ、こやつは…女泣かせのエージェントじゃぜ」

 

「駄狐共…纏めてお仕置きだ」

 

「か弱い女ならあんなに銃ぶっ放してるかよ…どの道、放っておく訳にはいかねえんだ、問題が起きたなら…そん時はそん時だ」

 

それに…杖の事もある。あたし達の世界でゆらぎが起きたのと何か関係してるはずだからな。

 

「では、私達も『本部』に同行する、と言うことで宜しいでしょうか?クリス、レイジ」

 

「あぁ…情報を一度整理してみねぇとな」

 

「そういうわけだ…沙夜、何かあったら…悪・即・斬だ」

 

「んもう、坊やったらお熱いコト…大丈夫よ、今回は何もしないから…ね?」

 

「…ココまで言うたら、こやつも中々頑固じゃからの…わし等で監視してれば事も起きんか」

 

まぁ、この2人が沙夜を見てくれるってんならある程度は安心できる。

…とりあえず、おっさんにはなんて報告すっかな…

このバカの事も言わねぇといけねぇから後で聞いとかねぇと…

 

「…クリスちゃん?どうしたの?私の顔に何か付いてる?」

 

「特に異常は見受けられませんが。…クリス、どうかしましたか?」

 

「お前らなんで妙に仲良いんだよッ!?」

 

頭痛くなってきたぜ…全くよ…

 

 

 

 

つづくッ…?

 




ついに沙夜登場…そして何故かKOS-MOS参戦。

あれ?コイツ等ノイズに対して対抗出来なくね?→じゃあどうやって対抗すっかな~→そう言えばグノーシスってノイズに似てね?→…ヒルベルトエフェクト要員が居るな…→KOS-MOSが最適じゃねぇか!出しちまえ!
な感じでKOS-MOSに出てもらいました。

<何故なの!?何故私の出番はまだ来ないのッ!?

…焦らないでください、ちゃんと出しますから

<何故かしら…なあなあにされているような気がするわ…

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