ぼくは、世界が公平であると言う事を守る為に、弱き者を叩く事にした   作:Sub Sonic

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T64BMブラートVS74式、90式戦車になっちまった。
次話でノーマル戦書きますorz 




地上戦

 ネクストの襲撃から数十分後。

 ヘグリグ油田は灼熱地獄と化していた。

 敵の攻撃により破壊されたパイプラインから火炎が吹き上がり、原油に引火した炎は黒煙を上げていた。

 劣勢に回った守備部隊の主力である戦車部隊が壊滅すると、遂に製油所内に敵兵が侵入し始める。

 だが、それを阻むように廃墟に偽装した銃座である火点が幾つも存在した。これらの銃座には重機関銃が配置されており、敵兵の侵入を食い止める最後の砦であった。

 

「11時方向に敵兵!走り込んできます!」

 

「撃て!撃ちまくれ!」

 

 赤く加熱した銃身からもうもうと煙が上がる。足元にはベルトリンクと薬莢の山。

 銃身が過熱し過ぎないようにと、慎重に撃っていた兵士達。

 だが、敵兵は銃身の加熱具合を見計らって一気に突入を始める。

 死角に入り込まれてはたまらないと、兵士が引金を引き続けると、機関銃は連続した音を奏で始めた。

 射線に捉えられた敵兵はカマイタチに巻き込まれたかのように、手足が千切れ飛んだ。

 しかし、後続の兵士達はまるで機械の如く射線の影へと走り抜けようとしていた。

 銃座の可動範囲ギリギリに捉えた敵兵に無数の弾丸を放つ―――――が、遂に機関銃の薬室内の温度は、安全に弾薬を保持できる温度を超えてしまう。

 

「畜生!コックオフだ!」

 

 引金を引いていないのに、独りでに発射し続ける機関銃は、敵兵をクッキーの如く砕くと僅かに残っていた弾丸を撃ち尽くし、沈黙する。

 慌てて新しい弾倉を座り込んだ状態で手繰り寄せる。

 

「リロード!」

 

 銃声が止んだ事に気が付いた敵兵が破壊された74式戦車の影から飛び出す。

 それに応射しようと顔を上げた兵士達は、黒煙の奥から巨大な影が現れるのを目撃する。

 プレスされた様に平らで角ばった砲塔は無数の爆発反応装甲で覆われており、小柄な車体に似合わぬ長砲身をもつソレは、周囲に轟音を轟かせながら滑らかに走り込んできた。

 

「――――――頭を下げろ!」

 

 兵士達は考えるよりも先に行動した。

 コンマ数秒後、銃座は消滅した。文字通り壁事、である。メタルジェットと爆風が、重機関銃とそれを操作していた兵士達を木っ端みじんにした。もうもうとコンクリートの煙が立ち込める中、巨大な筒を持った兵士が、対戦車榴弾のプローブを伸ばす。

 

「目標!正面、敵戦車!対戦車榴弾――――撃てッ!」

 

 兵士がパンツァーファースト3の引金を引くと、装薬に点火、カウンターマスが後方に飛ぶと同時に110mm成形炸薬弾が発射された。

 反動で発射された砲弾は一呼吸置いてロケットモーターに点火、フィンを展開して飛翔。

 戦車の砲塔正面にある楔形の装甲板に命中すると、爆薬が金属ライナーを鋭く成形、メタルジェットが突き刺さった。

 

 だが、それと同時に、楔形部分に装着されたコンタクト1爆発反応装甲が起動し、金属板を射出、メタルジェットの連続体を寸断した。

 長さを失ったメタルジェット流は装甲表面に達するが、その奥に存在したセラミック球に阻まれた。

 

「効果なし!」

 

 世界初の拘束型複合装甲を備えた戦車は、お返しと言わんばかりに125mm砲を放つと、爆発音と共に壁が崩れ落ちる。

 

「クソ!ERAが邪魔で抜けねぇ!」

 

「こいつを使え!」

 

 生き残った兵士は、倒した敵兵が持っていたRPG7を隣の兵士に投げ渡す。

 室内では強烈なバックブラストの為、発射時に危険を伴う無反動ロケット砲であったが、爆発反応装甲越しに敵戦車の正面装甲を抜ける兵器が他になかった彼等は意を決する。

 

「反対側の窓を全部割ってくれ!ブラストを逃がす!」

 

 強烈な爆風から少しでも身を守るために、敵戦車とは反対側の窓に向けて一斉に兵士達が弾丸を撃ち放つと、窓ガラスは薄氷の如く割り散らされた。

 

「援護射撃!」

 

 一斉に牽制射撃を加える兵士達。ERAの一部を吹き飛ばされた敵戦車の近くに居た敵兵たちは慌てて遮蔽物に身を隠す。

 

「忘れ物だ―――――この野郎!」

 

 RPG7を持った兵士は割れた壁から顔を出し、引金を引いた。鋭いバックブラストと共に舞い上がる粉塵。室内は土煙で覆われる。

 

 飛翔した弾頭は楔形の砲塔部分に直撃すると、爆発、二重成形炸薬弾(タンデムHEAT)のサブ弾頭が起動し、コンタクト1を起爆させる。剥離した装甲板はサブ弾頭のメタルジェット流を寸断し、エネルギーを失うと、メインの成形炸薬弾が起動、二本目のメタルジェット流が剥離した装甲板を撃ち抜く。

 寸断できるほどのスピードを失ったコンタクト1に阻まれる事なく敵戦車の複合装甲、コンビネーションKと呼ばれる特殊装甲を侵鉄するメタルジェット流は、遂に戦闘室内に侵入すると、破壊されたセラミック球と共にスラグを生成、砲手を殺傷すると室内に火災を発生させた。

 

 コンマ数秒の出来事は砲塔内に配置された125mm砲弾の装薬に引火するという結果に帰結した。NBC兵器対策の為に極めて高い密閉構造を持つ戦車と言う兵器は、言わば巨大な薬莢であった。

 装薬が発生させた高温のガスはあっという間に密閉空間を満たすと、高温高圧の状況を作り出し、火災を一瞬にして爆発と言う現象に変換、そうして弾けるように砲塔が吹き飛ばされると、無くなった砲塔基部からは巨大な火柱が上がる。

 エンジンが未だ生きているのか、前に進み続ける砲塔の無い戦車は、撃破された74式戦車に衝突すると停止した。

 

「T64撃破!」

 

 ガッツポーズを決めた兵士。彼のヘルメットは何の前触れもなく吹き飛んだ。

 転がり落ちるヘルメットと共に、崩れ落ちた兵士を安全な場所まで引き摺って行く仲間。

 

「クソ!撃たれた!衛生兵!」

 

 仲間が必死に呼びかけるが、敵のマークスマンが放った弾丸は正確に頭部を撃ち抜いており、ヘルメットには風穴が空いていた。

 

「3時方向!鉄塔に敵兵!」

 

「友軍はどうした!あそこには味方が居た筈だぞ!」

 

「知りませんよ!くたばったんでしょう!」

 

 再び砲撃、壁の一部が崩れ落ちた。

 

「本部に救援を要請しろ!」

 

「通信兵は!さっき死にました!」

 

 咄嗟に頭を隠していた兵士が銃身だけ壁から突き出し、応射する。

 だが、此方が一発撃つ度にお返しにと雨アラレの如く弾丸が帰って来る。

 

「敵が多過ぎる!このままじゃ皆殺しにされる!」

 

 既に、数の劣勢は如何ともし難く、全滅するのも時間の問題であった。

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 小高い丘に陣取る戦車小隊は、絶望的な抵抗を試みていた。

 

『二時方向、敵戦車、弾種、装填管付き翼安定徹甲弾(APFSDS)―――撃てっ!』

 

 眩いマズルブラストと共に105mmの砲身から94式徹甲弾が発射される。距離にして1500メートル、その先に居たT64戦車の砲塔正面装甲に突き刺さると、コンタクト1爆発反応装甲をトタン板の如く貫いた。

 ユゴニオ弾性限界を超えた圧力によって液体の様に振舞う侵徹体はいとも簡単に鉄板を貫くが、塑性流動しない物体、セラミック球にぶつかると、急激な減速によって衝撃波が生まれ、侵徹体の先端部は広がり、変形した。その状態のまま互いにエロ―ジョンを起こしていく装甲材と侵徹体が貫いた穿孔(せんこう)は歪に大きくなった。

 巨大な穴を穿つエネルギーは侵徹長を激減させることと成り、結果、貫通する事が出来なくなる――――これが複合装甲における、敵弾を(はじ)いた、と言う現象であった。

 

 直撃した際に発生した着弾炎が冷めやらぬ内に、125mm砲が火を噴いた。近代戦に置いて、既に接近戦ともいえる距離で有った為、74式戦車は砲塔に被弾、貫徹を許す。傾斜装甲での防護、それはAPFSDS相手に置いては全くの無意味であった。

 

『104号車大破!』

 

『105号車、もっと下がれ!』

 

 再び放たれる砲弾。非複合装甲の74式戦車ではT64の放つ砲弾に耐えられない――――だが、垂直に切り立った砲塔正面装甲を持つ戦車にはそれは当てはまらなかった。

 着弾の衝撃と共に、塑性流動を起こした装甲素材がプラズマ化し、着弾炎を生成。

 125mm砲から放たれた3BM44、通称マンゴーと呼ばれる砲弾は侵鉄を開始する。しかし、すぐさま、塑性流動を起こさない素材、セラミックブロックに達すると、急激な減速を起こす。

 西側で最初に作られた複合装甲であるチョバムアーマ―を貫くために生まれた、マンゴーと呼ばれる砲弾は、二重タングステン合金製の砲弾であった。先端部のタングステンが、潰れる事によってセラミックブロックに亀裂を入れ拡張し、後部の侵徹体が通りやすくなるよう穴をあける事を狙った砲弾だった。そのため、セラミックブロックは打ち破られるが、それを支える目的で設置されたバッキングプレートが十分な厚さを持っていた為、辛うじて停弾させることに成功した。

 装甲の内張りに亀裂が走り、内装の一部が吹き飛ぶ。しかし、戦車の機能を奪うには足りなかった。

 

『―――――撃てッ!』

 

 120mm滑腔砲が逆襲の砲火を放つ。発射されたJM33は砲身から放たれると、即座に空力的に邪魔な装填管を分離し、T64の砲塔正面装甲に突き刺さった。

 成形炸薬弾と違い、非常に大きい慣性によって強引にユゴニオ弾性限界を超えられないセラミック層を割り進むと、遂にコンビネーションKを打ち破った。

 白煙を噴き上げるT64戦車に向けて次弾を放つ――――自動装填装置が成せる速射は死にかけた鋼鉄の猛獣に止めを刺した。

 

『敵戦車撃破!』

 

 砲手が目標を破壊した事を伝える。

 

『三時方向、敵歩兵!』

 

 車長が独立したパッシブ式の赤外線サイトで敵歩兵を確認し、砲手がそれを射撃する。

 規則正しいスタッカート音が車内に木霊、空の薬莢がバラバラと機関銃から吐き出されていくと、距離にして1.5キロメートル先に居た敵歩兵は、紙細工で出来た的の如く、倒れていく。荒涼とした砂丘の上に陣取る90式戦車は移動式掩蔽壕であり、120mmの主砲が発生させる反動を打ち消せるほどに安定した射撃装置に固定された同軸機銃は、どんな狙撃手も真似できぬ正確無比な射撃を連続で放つ事ができた。

 

 

 ―――――つまり、この戦場に置いて、この戦闘ユニットは正に死神であった。

 

 

 油田に新たに侵入しようとする敵歩兵の屍の山を築く90式戦車の周りには無数の砲弾の着弾炎。

 

『来た、か』

 

 戦車長の嘆息。それに康応して155mmクラスの榴弾砲は地面にめり込むと、爆発、弾痕を穿っていく。

 敵砲兵が邪魔な戦闘ユニットに向けて効力射を開始した事を示していた。対する此方の砲兵は沈黙を保ったままであった。

 

『彼我の優劣は明白――――だが、引くに引けん』

 

 断続的に放たれる同軸機銃、それは敵兵が未だに油田侵入を諦めていない証拠であり、この射撃に適した位置を棄てる事は即ち、友軍の歩兵部隊を見捨てることを意味していた。

 

『敵の増援が到着するのが先か、或いは此方の増援が到着するのが先か……神のみぞ知ると言った所か』

 

 この戦場に置いて機甲部隊よりも足が速く、地対空ミサイルに極めて強く、尚且つ航空ユニットよりも持続戦可能な戦闘ユニットは人型兵器、アーマードコアだけであった。 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 巨大なターボファンエンジンが奏でる爆音が空に轟く。

 既に日は落ち、夜空には不気味な明かりが灯る。

 油田火災が起こす光が、暗闇の中、不気味に光り輝いていた。時折、思い出したかのように燃え落ちた装甲兵器の残骸から爆炎が上がる。

 

『こちらHQ、まもなく目標上空、アルファチーム、及びブラボーチーム、降下用意』

 

『こちらアルファ、HQ了解。今の所地表はクリア―。レーダーの類は見当たらない』

 

『こちらブラボー、到着するのが早すぎたか?ハハハ!』

 

『なんにせよ、展開が早いに越したことは無い。ロードマスター、準備は良いか?』

 

『ああ。何時でも行ける』

 

 中国で生産されたAn―225輸送機には後部ドアが追加されていた。大型貨物を空中降下させることが出来る能力によって、アーマードコアの主力輸送を担う航空機であったが、その貨物室のドアが開き、小さなサブパラシュートが展開されていた。

 

『降下10秒前、9、8、7―――――――』

 

 降下開始の秒読みが各コックピット内に流れる。

 深谷大佐、彼の乗る人型兵器の視界には降下開始を告げる赤いランプが映り込む。

 

『2、1――――――――降下!降下!降下!』

 

 降下開始を告げる青いランプが点灯すると、大型のドラックシュートのロックが解除、メインパラシュートが展開し、人型兵器を貨物室から空中へと引きずり出していく。修理を終えて新品同然となった機体は、泥沼の地上戦を続ける油田施設へと吸い込まれていった。




使われた兵器データ:
RPG7(VR):RHA750mm貫徹(ERA越しに600mm)
パンツァーファースト3:RHA700mm貫徹
94式徹甲弾:RHA400mm貫徹
JM33:RHA440mm貫徹
3BM44:RHA450mm貫徹

T64BM:防護性能(砲塔)
KE440mm/CE570mm+300mm程度←ERA

74式:
KE、CE共に200mm程度

90式:
KE440mm(JM33以上)/CE700mm以上

海外のサイトで適当に拾ったので信頼性は今一。
参考程度にどうぞ。
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