ケンイチの世界を特殊能力で生き残る 作:omega
謹慎中特に何もやることがないので、座禅を組んで精神を統一していた。
(これもいい機械かもしれない。最近ハードな修行ばかりで、根本的な心の鍛練を怠っていた。どんなに強くても、実が伴っていなければロボットと一緒だ。それを忘れるとは………我ながら未熟だ)
「失礼しますわ」
暫くすると、美羽の声が聞こえた。
「……何だ美羽?今は鍛練中だ」
「知っていますわ。孝昭さんはいっつも修行ですもの。しかしそれでは気が滅入ってしまうと思いますので、息抜きにお茶を入れてきましたわ」
「……それもそうだな。入れ」
そう言うと、美羽は襖を開けて入ってきた。手にはお盆があり。お盆の上にはお茶と煎餅があった。
「どうです?新しいお茶っ羽を試してみたのですが?」
飲んでいると、美羽はそっと隣に移動してきた。
「……悪くない。個人的には好きな部類に入る」
「よかったですわ!これ高かったんですもの!」
「………何だ?わざわざ買ってきたのか?」
「はっ!いえ、その偶々ですわ!偶々!」
美羽は両手をばたつかせながら、大仰に言った。
「……まぁーいい。それより兼一はどうだ?あれから毎日来てるんだろ?」
「はい。その熱心振りにはおじいさまも感心してましたわ………ただ、初心者なので少し危なっかしいところもありますが……」
やはり原作通りか……この分なら、兼一は順調に強くなっていくだろう……負けぬよう、俺も精進しなくてはいけないな。
「あの~~~孝昭さん?お願いがあるんですけど」
美羽は体を小さくしながら言った。
「なんだ、買い物に付き合うのか?謹慎があけたら、いいぞ」
「ありますございます!」
夜、厠の帰り庭をみたら、ボロボロになっている兼一がいた。
「それでは今日の修行はここまで」
秋雨師匠はそう言って、中に入ってきた。
「あぁー孝昭君、ちょうどいい。兼一君にマッサージをしてあげてくれないかね。私はこれから用事があるのでね。長老には私から話しておこう」
「はい。わかりました」
「はぁ~~~気持ちいい………ほんと、たかちゃんはなんでも出来るんだね」
兼一は部屋でマッサージされながら言った。
「まぁーな………それでどうだ、武術は?中々奥が深いだろう?」
尋ねると、兼一は顔を渋く………そして悲しそうした。
「……正直、僕なんか凡人がやってて意味あるのかなって思ってるよ。自分のから言ったことだけど、梁山泊の師匠達を見てると、なんか自信なくしちゃて……やっぱり、僕みたいな人は大人しくしてたほうがいいのかな?」
言ってる最中、兼一の眼から涙が落ちた。
「………なにも、あの人達だって最初から強かったわけじゃない。血の滲むような鍛練の末、得た力だ。今結論付けるのは早計だろう」
「でっでも、それはやっぱり才能があったからでしょ?たかちゃんだって、才能があったから強い訳だし……」
兼一は涙で濡れた目で、こちらを真剣に見た。
(才能………か。確かにそれもあるだろう。なんたって、神さまから能力を貰い転生したわけだ。無いっと言い張るほうが難しいだろう。
……………でも、だからこそわかる。才能なんて必要無いんだってことが)
「………確かに世の中には、才能という数値化出来ない要素がある。世の中の偉人達のほとんどが、この才能というもの持った『天才』達だろう」
「……やっぱりそうだよね。なにもするにしても、才能が無ければ意味が無いよね………」
兼一は頭をがっくりと落としながら、諦めにも似た溜息をついた………
「意味が無い?誰がそんなことを言った?」
「えっ?……今たかちゃんが……」
「俺は偉人達の話しをしただけだ。別に意味かどうかの話しはしていない」
「でっでも、同じことでしょ?結果が伴わければ過程なんて……」
俺は兼一に優しく微笑みながら………
「兼一………お前は偉人になりたいのか?この世に名を残したいのか?」
っと問うた。
そう問うと、兼一は手をばたつかせながら、
「そっそんなことないよ!」
っと否定した。
「だったら、いいじゃないか。才能がなくたって………
人間の一生というものは頗る短い。更に人生というのは苦難の連続だ。数々挫折や失敗を味わうことだろう……
でも、それがどうした?それが人生というものだ。別にマンガの主人公じゃないんだ。必ずハッピーエンドにする必要はないだろう?
俺は思うだ……人生というのはその人自身を物語るストーリーだ。だから人生に優劣ない。むしろ少し変わってた方が愛嬌があるってもんさ」
俺の言葉に、兼一は徐々に顔を上げていった。
「でっ………でも……」
「ふっ………むずかしく考えるな。要は「「胸をはれるような自分になり、後悔をしない人生を歩め」っとことさ………」
言い終わると、兼一は目の色を変え、涙を手で拭った。
「ありがとう、たかちゃん!……ぼくもう少しだけ頑張ってみるよ!」
「そうか。
…………それで、そろそろ出てきたらどうですか?盗み聞きとはあまり誉められた行為ではありませんよ?」
「えっ?……それって」
俺がそう言うと、床下、天上、窓あらゆるところから師匠達と長老、そして美羽が出てきた。
「いやーすまんすまん!するつもりはなかったんじゃ。みんなでけんちゃんの様子を見にきたのじゃが、たかちゃんがあまりに立派なことを言うもんじゃから聞き惚れてしまったのじゃよ」
長老が代表して、みんな言い分けを答弁してきた。
「え~~~~~~~~~~~!みなさん聞いてたんですか!人が悪いなー!」
兼一は全く気付かなかったようだ。
「いや、私は止めたのだぞ。しかし剣星のやつが……」
「秋雨どん!それは言わない約束ね!それに言い出しっぺは逆鬼どんね!」
「てめ!俺に振るなよ!」
「アパパパパ!孝昭かっこよかったよ!兼一気にしちゃダメよ!」
「う…ん。そう……だ」
「孝昭さんの言葉………胸に深く刺さりましたわ」
「なんかぼく、凄い可哀相な子みたいじゃないですか!」
その後も長老達は意味もない説明を続けたので、俺が打ち切った。
「……各々言い分はあるでしょが、やった行為は誉められたことではありません。故に、誤って下さい。今回はそれで手を打ちます」
そう言うと、師匠達さ一斉に言い分けを止め
「ごめんなさい!」
と謝った………
約束通り謹慎が開けると、俺は美羽のショピングに付き合っていた。いたのだが、
「………美羽、映画鑑賞はショピングに入るのか?」
「もちろんですわ!最近はどんなことでも、ショピングに入りますのよですわ!」
このように、ショピングと関係がないことにまで付き合わされていた………そう、まるでデートのように……
(デートってそんなわけないか。美羽は兼一が好きなはずだ。変なことを考えるのは止めよう)
「あはは!孝昭さん、早く早く!」
「全く、そんな元気があるなら、武術に集中しろよ。
………!美羽止まれ!」
「へっ?」
美羽は気付かなかったようだが、いきなり美羽の前方に複数の気配が現れた………達人級のだ。
俺は高速移動し、美羽と彼らの間にを遮った。
(この気配、ただの達人級じゃない。みんな特A級だ。これほどの逸材がいるとなると………一影九拳か!)
俺は素早くりんせいたいせいになり、相手の出方を伺った………すると、
(貴様が、梁山泊の弟子じゃな。細かい話しは貴様が本郷と戦った場所じゃ。師匠に言うな……と言いたいが、既に気づいておろう、連れて来てもよいぞ。その代わり必ず来るのじょぞ)
言い終わると、達人達の気配が一気に消えた………