GO GO! れめでぃおす 作:聖騎士07
◇
劇場から戻ったカルカ、ケラルト、レメディオスの表情は三者三様だった。
青ざめた聖王女カルカは自分の寝室に引きこもってしまった。
ややしまりの無い顔でニマニマする姉をみながらケラルトは心を落ち着かせる。
(ケラルト、しっかりするのよ。酷い扱いだったけれどもカルカ様よりまだマシだったわ。今はショックを受けているカルカ様のケアをしなくては……)
返事のない部屋に恐る恐る声をかける。
「……カルカ様……よろしいですか?」
返事が無いがなにやら低い呟きが聞こえるので、ケラルトは扉を少し開けてみた。
(……武器代わりに振り回されて最後にはグチャッて……あんな最期の姿にさぞやショックを受けたはず……)
ケラルトは深呼吸するとカルカの呟きに耳をかたむけた。
「…………私があんな顔……歯が欠けたあんな顔……嘘、嘘……私があんな顔……みっともない顔に……」
ケラルトは静かに扉を閉めると背中を向けるのだった。
◇
広間に戻るとまだ姉のレメディオスがいた。なにやら剣を振り回すような動きをしていたレメディオスは戻ってきた妹に尋ねた。
「ケラルト、あの聖撃を繰り出すシーンなのだけれど、もっとこう深く沈みこんだ体勢からこう一直線に繰り出した方が派手に見えると思わない?」
妙に上機嫌なレメディオスにケラルトはため息をつく。
「姉様。あの映画を見てどうしてそんな気持ちでいられるか理解できないわ。私たちの扱いがあんなに酷かったのに……」
レメディオスは首を傾げる。
「……うん?そうかな?……監督が説明してくれたように主役の私が激しい戦いの中に大きな悲しみを抱き、けんどちょうだい?……敵を打ち倒す為に墓に誓いをたてる……とても素晴らしい感動的な話だったじゃないか?……次の完結編では私が魔導王から聖王国を救うらしいから楽しみだ」
ケラルトは映画の構成が変えられていたのは単純なレメディオスを騙す為だと悟り頭を抱えるのだった。
◇
「……姉様。私の感想は違うわ。全く酷い映画だった。カルカ様の扱い……最後はグチャグチャ……私だってあれは酷すぎると思うわッ!」
拳を握りしめるケラルトの怒りを驚きをふくめた眼差しでみつめたレメディオスは思い出したように呟く。
「……あっ!クリスマスツリーだ!……何かに似ていると思ってたんだ」
その年のローブル聖王国でのクリスマスではクリスマスツリーを飾る事が禁止されたという。
◇
聖騎士団訓練場に来たケラルトは誰もいない事に驚く。あちこち覗いてようやく会議室のテーブルで忙しそうに書き物をしている聖騎士達をみつける。
怪訝そうなケラルトに副団長のグスターボが耳打ちをした。
「レメディオス団長が『せっかく女優になって映画主演したのにどうしてファンレターが来ないのだ?』とおっしゃるので聖騎士総出で書いているのです」
◇
レメディオスをたしなめようと聖騎士団長執務室にやって来たケラルト。
「姉様、入るわよ」
中に入ったケラルトはレメディオスの姿にギョッとする。
レメディオスはチェアに寝そべり顔に白いスライムをのせていた。
「……うん?これか?……最新の美容法でな、スライムパックというのだ。肌がツヤツヤになるぞ。まあ、私も女優としてのたしなみとやらを実践してるのだ」
◇
自室に閉じこもっていた聖王女カルカがようやく姿を見せるようになった。ケラルトは安心すると同時に思った。
「……カルカ様……ご心労のあまりにずいぶんやつれられてしまった……ローブルの至宝とまでもてはやされた美貌がこんなに……」
カルカと対比的にパックでツヤツヤな姉を思い起こす。
「……このままカルカ様の美貌が衰えたら私こそがローブルの至宝となるのでは?……ダメよケラルト。そんな事を考えてはダメ……」
そんな事があって更にひと月が過ぎた。ケラルト宛の荷物を勝手に開けたレメディオスが声をあげた。
「……ほう。カルカ様と私の人形の試作品か。カルカ様の方は足のボタンを押すとバラバラになるのか。面白いな。私の人形はなにやらかき集める動きをするのか……」
レメディオスはなにやら考え込む。と、明るく叫んだ。
「ケラルトが無いのは仲間外れみたいだな。ケラルトの人形も作ろう!どうせならクリスマスツリー──」
「お断りよ!」
かくしてその年のクリスマスもクリスマスツリーが禁止されたという。
劇場版オーバーロード聖王国編見てきました。大きな画面とリアルなサウンドだとスポットCMで流れたシーンも同一とは思えないくらい迫力があります。
構成もなかなか上手くよくあれだけ分厚い2冊をまとめたものだと思いました。
ちなみに来週も見に行きます。
だって上巻ではまだ海賊船が出てきていないので……
あなたにとってレメディオス・カストディオとは?
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愛すべきおバカさん
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理想の女上司
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レメディオス様の靴で踏まれたい
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身近にいたらたまらない
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いや、絶対に年齢詐称やん
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きっと謎の覆面女騎士として再登場するよ