GO GO! れめでぃおす   作:聖騎士07

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GO GO! れめでぃおす3

 

「ケラルト! たいへんだ! 昨夜遅くに聖王の館に行ったらカルカ様が……」

 

「姉様、何があったの?」

 

 と、不意にレメディオスは黙りこんでしまった。

 

「……あれ? 私は何を話そうとしたのだろう?」

 

 

 

 

 ケラルトが帰ってくるとレメディオスがソファに寝そべっていた。その顔を見てケラルトはギョッとする。

 

「……姉様! いったい何を顔に貼っているの?」

 

 レメディオスは寝そべったまま答える。

 

「実はカルカ様に教えてもらったのだ。顔にキュウリを輪切りにしたものを貼る、パックというのだ」

 

「……しかし姉様。それはキュウリではありませんよ?」

 

 レメディオスはドヤ顔で答えた。

 

「そうだ。私はキュウリよりハムが好きだからな」

 

 

 

 

「ケラルト。カスポンド王兄殿下はなかなか話がわかる方だな」

 

「何があったの姉様?」

 

「この前殿下と聖騎士団の幹部で会食したんだ。殿下は少しも食べないから『もったいないな』と思っていたんだ」

 

 レメディオスは目をキラキラさせた。

 

「そしたら殿下が『よろしければカストディオ団長に差し上げましょう』って私にくれたんだ」

 

 ケラルトにはレメディオスがよだれを垂らさんと見詰める様子が目に浮かんできた。

 

「しみじみと私は団長になって良かったと思ったぞ」

 

 

 

 

「ケラルト、南の貴族はどうしてカルカ様に批判的なのだ?」

 

「姉様、それはカルカ様が女性だからですよ。聖王の位は代々男が継承してきたから古い貴族には面白くないのでしょう」

 

 レメディオスは腕を組んで考え込む。と、明るい顔で手を叩いた。

 

「そうだ! 良い事を思いついた! ケラルトの魔法でカルカ様にチンチ──」

 

「──生えません!」

 

 

 

 

 その日は一日妙に静かだった。ふと、ケラルトは今日一日レメディオスが一言もしゃべらない事に気がついた。

 

「姉様、どうしてしゃべらないの?」

 

 レメディオスはキョロキョロと周りを見てから答えた。

 

「実は民が『カストディオ姉妹はしゃべらなければ美人なのにな』と噂をしていたのを聞いたのだ」

 

 ケラルトは『姉妹』という言葉に引っ掛かりを覚える。

 

「姉様、姉様はしゃべるとお馬鹿な事がバレるから納得です。でも私には当てはまらないと思うけど?」

 

「いや、イサンドロやグスターボや皆が言ってるぞ? 『ケラルト様は黙っていれば腹黒さを感じず美人だ』だとな」

 

 その晩イサンドロとグスターボは謎の腹痛に苦しんだという。

 

 

 

 

「決めた! 私はカルカ様のような素晴らしい女性になるぞ!」

 

 カルカ聖王女即位一周年記念式典でのカルカ様の演説に感動したレメディオスは宣言した。

 

「……で、ケラルト。私はどうしたら良いかな?」

 

 ケラルトはため息をつく。

 

「わかりました。では姉様、私の言うことを聞くのですよ?」

 

「うん。わかった」

 

「──違います。『はい。わかりました』です。それに私の事は今日から『ケラルト先生』と呼びなさい」

 

「うん。わかったよ。ケラルト……せんせい」

 

 即座にケラルトが手にした教鞭でレメディオスの手をピシリと叩く。

 

「ほら、また! 『はい。わかりました』です!」

 

「はい。わかりました。ケラルト……」

 

「今度は『先生』が抜けましたよ! もう一度!」

 

 

 

 

 

 

 翌日、全く進歩がないので先に音をあげたのはケラルト先生の方だった。

 

 

 

 

「そう言えば姉様、よく士官学校を卒業出来ましたわね? 実技は問題ないでしょうけど学科はたいへんだったのでは?」

 

 レメディオスは思い出すように目を閉じた。

 

「……ああ。あれは大変だった。教官が自分の名前を書ければ合格にすると言ったが、どうしてもLかRか悩んでしまってな?」

 

「……」

 

 レメディオスはパッチリ目を開けた。

 

「そうだ! 私の名前がケラルトだったら悩まなかった!」

 

「……いや……姉様の事ですからそれはそれでKかCかで悩むと思うけど……」

 

 

 

 

「ケラルト、私は悲しい。グスターボが死んでしまった」

 

「……姉様。ペットのハムスターに副官の名前をつけていじめるのはやめてちょうだい」

 

 

 

 

「たいへんだ! ケラルトの上にイサンドロが乗っかってあやしい動きを……これが交尾というものだな」

 

「……姉様。新しく買ったハムスターに私の名前をつけるのはやめてちょうだい」

 

「……わかった。じゃあカル──」

 

「──それもダメ!」

 

 

 

 いつになく神妙な表情のレメディオスが切り出した。

 

「ケラルト、私は返してもらうぞ」

 

 いろいろ心当たりがあるケラルトは動揺した。

 

「……ね、姉様……どうしたの?……いきなり……」

 

「皆が言っていたのだ。『レメディオスは母親のお腹に賢さを忘れてきた。そして妹にその賢さが受け継がれたのだ』とな。……私に賢さを返すんだ」

 

「……そ、それは……」

 

 ケラルトは考える。

 

「……姉様……残念ながら姉様の賢さは私が生まれるまでの二年間で腐ってしまったの」

 

「……それじゃ仕方ないか……」

 

 

 

「私はカルカ様の為なら──」

 

 突然レメディオスが服を脱ぎだしたのでケラルトは慌てる。

 

「姉様! こんな所で脱ぐなんてなんてはしたない!」

 

「……いや、グスターボがな『カルカ様の為に団長も一肌脱ぎましょう』と言うのでな」

あなたにとってレメディオス・カストディオとは?

  • 愛すべきおバカさん
  • 理想の女上司
  • レメディオス様の靴で踏まれたい
  • 身近にいたらたまらない
  • いや、絶対に年齢詐称やん
  • きっと謎の覆面女騎士として再登場するよ
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