GO GO! れめでぃおす 作:聖騎士07
◇
ケラルトがレメディオスの部屋を覗いてみると机の上の皿に載ったケーキを前にしてレメディオスが両手で目尻を引っ張って目を細めていた。
「姉様、いったい何をしているのですか?」
レメディオスは細くした目でケーキを見つめながら答えた。
「こうするとケーキが二つになるんだ。しかし手を離すとまた一つに戻るからどうにかできないものかな?」
◇
「ケラルト、知っていたか? 実は赤ちゃんはキャベツ畑で産まれてくるんじゃないんだ」
「姉様はどうしたら赤ちゃんが出来るかご存じ?」
レメディオスは胸を張って答えた。
「無論だ。赤ちゃんはコウノトリが運んでくるんだよ」
◇
「姉様。大変よ。王国の戦士長のガゼフ様が亡くなったそうよ」
「なにを馬鹿な。ガゼフは私に匹敵する強さだぞ? どうせ帝国のガセだろう。……うん? ガゼフだけにガセ……ふふん。私も上手いこと言うもんだな」
やがてカストディオ姉妹はカルカ聖王女に呼ばれて謁見する。
「……二人はもう知っているとは思うけれど、リ・エスティーゼ王国の戦士長、ガゼフ・ストロノーフ様がお亡くなりになったわ」
神妙そうに切り出すカルカにレメディオスは笑顔で答える。
「ガゼフ殿が亡くなったというのは帝国のガセに決まっています。……ガゼフだけに」
満足そうなどや顔のレメディオスから視線をそらし、カルカは悲しそうにケラルトを見る。
「カルカ様、申し訳ありません。その……姉はガゼフ様が亡くなられたと信じたくないようでして……」
カルカは憐れみを込めてレメディオスを眺めた。
その後ことある事に『ガゼフの死はガセ。ガゼフだけに』というレメディオスの得意気な発言を聞かされて聖騎士達はうんざりさせられたのだった。
◇
「なんという事だ! ケラルトが死んでしまった!」
「……姉様、ペットのハムスターに私の名前をつけないでって何度言ったら……」
「……私は悪くない。ケージがな、簡単に潰れてしまうケージが悪いのだ」
口を尖らせるレメディオスにケラルトはため息をついた。
「……姉様。ですから何度も注意したではないですか? 椅子の上にハムスターのケージを置くのはおやめなさい。そして椅子に座る時には何か置いてないか必ず確認しなさい、って……」
◇
ある日ケラルトはレメディオスに約束させた。
「いいですか姉様? これまで姉様はペットのハムスターをすぐに死なせてきました。今度はせめて一週間死なさない事。わかりましたね?」
レメディオスは胸を張った。
「そんなの簡単だよ」
そして一週間後──
「ほら? ちゃんと二匹とも元気だぞ。私もやるときはやるのだ」
しかしケラルトは怖い顔をして言った。
「……姉様。これはグスターポのペットでハムスターじゃないじゃないの? 姉様のハムスターはどうしたの?」
◇
「ケラルト! 決めたぞ。今度は犬を飼うんだ。ハムスターは小さすぎてうっかり踏んでしまったりするからな」
「……そうね。姉様にはその方が良いかもしれないわ。……で、種類はもう決めたの?」
レメディオスは笑顔で頷いた。
「決めてあるぞ。『くらいむ』という犬を飼うんだ。なんでもリ・エスティーゼ王国の王室で飼われている種類らしいな」
「…………」
◇
翌日からレメディオスは庭で犬小屋作りを始めた。不器用で飽きっぽい姉が熱心に工作に打ち込んでいる様子にケラルトは感心するのだった。
やがて夕食の時間になったがレメディオスは戻らなかった。
「……姉様? おかしいわね。もう犬小屋は完成しているみたいなのに……いったい何処に……」
ケラルトがキョロキョロしていると犬小屋からレメディオスが顔を出した。
「……あまりにも素晴らしい出来なのでな、今日から私はここで暮らす事にした」
◇
ある日、聖騎士団団長室に入った副団長のグスターポは驚いた。団長室の片隅に大きな犬小屋があったからだ。
「……これはいったい?」
グスターポが立ちすくんでいると犬小屋からレメディオスが顔を出した。
「なんだグスターポ? もう昼ごはんか?」
あまりの光景にグスターポは立ちすくむ。
「……これは私だけの犬小屋だ。そんなに羨ましそうな目で見ても入れてあげないからな。……欲しければ自分で作るのだな」
グスターポはその時は気がつかなかった。その後『レメディオス団長カタツムリ事件』と呼ばれる事態になろうとは……
あなたにとってレメディオス・カストディオとは?
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愛すべきおバカさん
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理想の女上司
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レメディオス様の靴で踏まれたい
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身近にいたらたまらない
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いや、絶対に年齢詐称やん
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きっと謎の覆面女騎士として再登場するよ