GO GO! れめでぃおす 作:聖騎士07
◇
「ケラルト! 私は四万の敵を相手に勝利する方法を考えた!」
レメディオスが得意満面に胸を張る。
「四万とはいえ一人ずつ相手にすればたやすい。だから一騎討ちを四万回繰り返せば良いのだ」
レメディオスのどや顔にケラルトは眩暈を覚えた。しかし──姉ならばやってのけるかもしれない。
と、突然レメディオスが「しまった!」と小さく叫んだ。
「……ううむ。相手が四万一人だったらどうしよう?」
◇
「なんだ。簡単じゃないか。私が少しだけ頑張れば良いのだ」
楽しげに笑うレメディオスにケラルトはつい、イジワルしたくなる。
「……でも姉様。必ず一騎討ちに出来るかしら? 敵は後ろからも来るかもしれないわ」
レメディオスの笑顔が凍りつく。彼女は腕を組んでウンウンうなりだした。
「──そうだ! 良い考えを思い付いた!」
レメディオスはまたしても得意気に胸を張る。
「私が二人いれば解決するのだ」
◇
レメディオスは剣を支えにヨロヨロと立ち上がる。
「……まだだ! 私はまだ負ける訳にはいかないッ! 我々聖騎士団は国民を守る為にも決して負ける訳にはいかないのだッ!」
ケラルトは冷たい目で言い放つ。
「……姉様。じゃんけんで負けたのですから向こう一週間トイレ掃除よろしくお願いしますね」
◇
「……姉様」
「なんだケロ」
「……テーブルトークRPGでの代償はゲームが終わったらやめてよいのよ」
ケラルトの指摘にレメディオスは黙りこむ。
「……わかったケロ。これからはケロケロ言わなくてよいケロ」
◇
「……姉様。いい加減に語尾にケロをつけるのはやめてちょうだい」
「なんでケロ?」
レメディオスは不思議そうな顔をする。
「だってみっともないじゃないの」
「そうケロか?」
レメディオスは腕を組んで考えこむ。
「姉様?」
「……ん? おはようケラルト。私は居眠りしていたのか?」
どうやら考えこむと眠ってしまうレメディオスだった。
◇
「ケラルト。私は決めたぞ。結婚をするのだ!」
「突然どうしたの姉様? 相手はどうするの?」
ケラルトはいぶかしむ。レメディオスには色恋というものは無縁だったからだ。
「赤ちゃんが可愛いのでな、私も欲しくなったのだ」
「赤ちゃんなら別に結婚しなくても……いえ、なんでもないわ」
ケラルトは思わず口をつぐむ。
「なるほど。その手があったな」
レメディオスは喜んで出ていった。ケラルトは心配になり部下に後をつけさせる。
「……ご報告いたします。カストディオ団長は聖騎士ガルバンの新居の近くで虫取網を持ってウロウロされておりました。何やらブツブツとコウノトリがどうのと呟いていました」
◇
聖騎士団長室にグスターポがやって来て報告する。
「団長。昨夜、聖騎士ガルバン夫婦に無事、男の子の赤ちゃんが産まれました」
「──なん……だ……と?」
レメディオスはガックリと肩を落とす。
「……なんということだ。昨夜に限って大好きなホットケーキをつい食べ過ぎて苦しかったからコウノトリ狩りをやめていたのが裏目になるとは……」
不意にレメディオスか立ち上がる。
「……こうなったらガルバンに赤ちゃんを譲ってもらうほか──」
「ダメです‼」
◇
「旅の者から聞いたのですが……王国の開拓村である娘が角笛を吹いたら沢山のゴブリンの軍勢が現れて配下になったそうです」
カルカ聖王女にグスターポが報告する。ケラルトは顔色を変えるがレメディオスは笑いだす。
「……馬鹿だな。そんなの作り話に決まってる。騙されるなどエイプリルフールじゃあるまいし」
得意気に胸をはるレメディオスに白い視線が集まる。
「……うん? もしかしたら今日はエイプリルフールだったのか?」
あなたにとってレメディオス・カストディオとは?
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愛すべきおバカさん
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理想の女上司
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レメディオス様の靴で踏まれたい
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身近にいたらたまらない
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いや、絶対に年齢詐称やん
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きっと謎の覆面女騎士として再登場するよ