真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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 新年最初の話となります。
 今年も良ければ拙作を宜しくお願いします。


第百十八話 羽休め

 「なあ、龍一さん」

 

 

 「俺か?」

 

 

 魔理沙が紫と談笑している俺に声をかける。

 俺が魔理沙の方を向くと、魔理沙は興味ありげに風魔の方に目を向け、俺に質問する。

 

 

 「風魔さんと知り合いなんだろ?何年ぶりとか言ってたし。長い知り合いなのか?」

 

 

 「風魔、ねえ。直接聞けば?」

 

 

 「いや、さっきの見ると直接はな・・・」

 

 

 魔理沙はほんの少しだけ恐怖するように目を逸らす。

 風魔を見やると、ややしょぼくれたように眉を下げた。知らんがな。

 

 

 「そんな悪い奴じゃねえんだけどなあ。・・・ああ、風魔とは侵二と同じ時、つまり千年以上前からの知り合いだな。滅多に会わないのはこいつが天魔に就任してるせいで多忙だからだな」

 

 

 「天魔ってのは聞かなかったことにしとくぜ。けど、昔聞いた話だと侵二さんはこの辺の生まれじゃないんだろ?けど風魔さんは見た限り侍とかの格好に近い気がするんだが、どうなってんだ?」

 

 

 「ああ、侵二含めてさっき言った奴ら、だから壊夢と幻夜もだな。は日本生まれじゃねえのは確かだぞ」

 

 

 「それじゃあ風魔さんもそうなるんじゃないの?」

 

 

 「霊夢も聞いてたのか。・・・確かに霊夢の言う通りなんだが、俺と風魔ともう二人、まあ一人は死んでるはずだが・・・はこの人生が一回目じゃないんだよな」

 

 

 「・・・うん?」

 

 

 「時折あることなんだが。前世の記憶ってのがあるんだよ、俺らは。俺は確実的な要因があって、今回で二回目なんだが、風魔に至っては、あー・・・何回だった?」

 

 

 「千から先は忘れた。・・・ただ、最初と一番記憶が鮮明な人生が日本なのでな。龍一と同じ出身となる」

 

 

 「って訳だ。だから何かと話が合ってな」

 

 

 「ちょっ、ちょっと待って!?じゃあ風魔さんはその前世の記憶全部覚えてるってこと!?」

 

 

 「ああ。流石に何回目の人生の何年何日目の食事で最初に何に手をつけたかまでは覚えていないが、大体はな」

 

 

 「それ、記憶は大丈夫なの・・・!?」

 

 

 霊夢の言う事はもっともだ。

 二度目三度目はまだマシかもしれないが、徐々に百年二百年千年という膨大な記憶が生まれた瞬間に捻じ込まれるのだ。器によっては精神が即死する。

 だが風魔は問題なさげに一笑する。

 

 

 「何、生まれてしばらくしたら自然に歩けていたようなものだ。記憶の形をして残ってはいない。必要時に勝手に浮かぶ。それに、目的が有れば苦ではなかったしな」

 

 

 「目的?」

 

 

 「ああ。・・・現時点では私は天魔の地位も得ているのだが、しっかり残った記憶だけでいうと、生まれ変わりを繰り返して二百五十回目。それ以降はある世界のある時間軸の天魔を殺す為だけに生き始めてな。ついに狙い通り同じ時間軸で天魔に再び会い、殺した。つまり目的を達した。と言うわけだ」

 

 

 「・・・そこまでして、何がしたかったんだ?」

 

 

 「惚れた相手を獲りに行った」

 

 

 にしては天魔が人違いかのように弱かったせいで、無駄に強くなりすぎたがな。と自嘲気味に風魔は笑った。

 

 

 「・・・なんか、思ってたより熱い人なんだな。もっと冷たそうに見えたぜ」

 

 

 「そうか。見かけが冷たそうとはよく言われる」

 

 

 「いや、見かけだけってのは分かったぜ。・・・その、それで、今その人はどうなったんだ?会えたのか?」

 

 

 「ああ。奇縁もあったものでな。私が天魔殺害を決めた時と、中身も同じだった。さっきの話で言う、前世の記憶持ち、三人目だったわけだ。今の妻だ」

 

 

 何処かほっとしたような表情の魔理沙と霊夢に、風魔と俺は小さく笑いそうになる。

 霊夢は風魔に質問を続けた。

 

 

 「それで・・・強くなりすぎたって、どう言う事?」

 

 

 「・・・速くなりすぎた、と言えばそれらしいか」

 

 

 「速い?」

 

 

 「見ての通り私は剣士だ。立ち回りの軸を居合いにしたが故に、抜刀が速ければ速いほど良いのだが、いかんせん速くなりすぎてな」

 

 

 この通り。と風魔が言い終える頃には、霊夢達には風魔は十歩ほど先に立ち、そして既に抜刀しているように見えた。

 

 

 「見ての通りだ。・・・まあ、同格辺りなら、ただの子供騙しでしかないんだがな。剣術も適当に振り回しているだけだ。流派もクソもない」

 

 

 瞬く間に風魔は座り直し、湯呑みの茶を少し啜る。

 霊夢と魔理沙は湯呑みを持っていれば、間違いなく取り落とすほど放心していた。

 

 

 「後は・・・先読みか」

 

 

 「え、ああ。・・・先読み?」

 

 

 「ああ。ただ先が見える。ただ未来視と違うのは・・・例えば未来視なら明確にどこで何が起きるかを見る事が出来るが、先読みはまあ、相手の手がなんとなしに読める。漠然と何をしてくるかが分かるから先手を打てる。と言ったものだろうか。ほとんど年寄りの勘だな」

 

 

 「・・・先読みして隙を晒す場所をなんとなしに読んで、そこに合わせるように見えない速度の一撃を当てるってことか?」

 

 

 「基本そうなる。一々抜刀するのも面倒なので適当にぶん回すこともあるが」

 

 

 「いやいやいや!誰が勝てるんだよそんな奴!?」

 

 

 「まあそう思うよなあ」

 

 

 呆れたように風魔に叫ぶ魔理沙。

 そんな魔理沙に苦笑していると、霊夢が呟いた。

 

 

 「逆に単純な話、隙を消せば勝てるってこと?」

 

 

 「そうだな博麗。理論的にはそうなる」

 

 

 「確かにそれは私も軽く考えたけど、それって出来るもんなのか?」

 

 

 「まあ無理よね。瞬き一つが隙になるし、一手間違えたら強烈な一撃が飛んでくるんでしょ?まだ弾幕ごっこなら弾幕の速度分どうなるかは分からないけど。それにいつまでその集中を保てるかって話にもなるわよね。風魔さんから仕掛けて来た場合には話は変わってくるし、無理なんじゃない?」

 

 

 「霊夢の集中力を持ってしても厳しいってとこか?・・・ああ、だから龍一さん達は勝てるんだな?」

 

 

 そうね。と霊夢が魔理沙に賛同する。

 俺はそれを肯定し、続けた。

 

 

 「それはまあ、俺と侵二は呼吸止めて隙が無い完全な集中状態をある程度作る事はできる。まあ侵二に至ってはわざと隙らしいものを見せて引っかかったら殺しに来るんだが。風魔はその集中力と攻撃動作上長くは持たねえからな。まあ人外の尺度で測ってるから長くは持たないとか言いつつフルで集中して三日稼働できたりするんだがな」

 

 

 だよな?と風魔の方を向くと、軽く頷いた。

 

 

 「勿論弾幕ごっこなら不可避の弾幕は禁止されてるから、斬撃含めて風魔の持ち味がフルに生かされることはない。その代わり能力が活かされることになるから厄介さはどっこいどっこいなんだがな」

 

 

 「・・・これに重ねて能力まであるのか。優しい能力だとありがたいが、どんな能力なんだ?」

 

 

 「よく自分でも限度が分からんのだが、あえて言うならば災害を操る事が出来るくらいだろうか。これまでに暴風、疫病、大雨、洪水は試したが、さあどうなることやら」

 

 

 「まだ霊夢にも勝ててないが、もっと勝てそうに無いのが出てきたぜ・・・」

 

 

 「風魔に勝てるように、なんてのは人間だと無理かもな」

 

 

 「買いかぶり過ぎ、と言いたいが。人間に負けるつもりはない」

 

 

 そうだろうな。と俺が笑っていると、頭を抱えていた霊夢が悪事を思いついたようににやりと笑い、少し慣れたのか、風魔と侵二と魔理沙を呼び、耳打ちした。

 魔理沙も同じように笑い、風魔と侵二は面白そうに俺を見た。

 紫はきょとんとしたまま、俺の方を見ていた。

 

 

 「ねえ、龍一さん」

 

 

 「あん?」

 

 

 「紫とは何処で会ったの?」

 

 

 「・・・あー、そう言う話か。侵二が連れて来た」

 

 

 「そう言えばそうですね。確か最初は紫殿、私を食うつもりだったらしくて」

 

 

 「そうだったわね。あの時は私もまだ一端のちょい強めの妖怪くらいだったから、侵二さんが人間の皮被ってるとは分からなかったのよ。ただやけに保有してる霊力が多いと思って狙ったら、ものの見事に襲い返されたのよ」

 

 

 「なんか半人前の紫って思いつかないわね」

 

 

 「まあそうかもな。馬鹿だったが愚鈍では無かったし、大妖怪の見込みはあったからな・・・悪い、今の忘れろ」

 

 

 「ありがと」

 

 

 「忘れろって言ってんだよなあ。・・・まあ、そんで俺の前で幻想郷の第一歩みたいな話して来たから、否定してやったら噛み付いて来やがったのさ。別にそんな外堀から埋めようとしなくても大丈夫だぜ?聴きたけりゃ何処が好きになったか教えてくれとでもなんとでも聴けばいい。もう隠す事も無いしな」

 

 

 「・・・なんだ、思ってたよりあっさりね」

 

 

 「だな。もっと誤魔化すタイプだと思ってたぜ。んじゃどっちが先に好きになったんだ?」

 

 

 「さあ・・・同じぐらいか?」

 

 

 「多分・・・そうなるわね。私が永琳と知り合った時くらいでしょう?」

 

 

 「あー、そうだったかな。なんかその辺で、もし理想郷が出来たら付き合ってもらえるか。みたいな話したから、ああ良いよ作ってみやがれって返してしばらくしたら俺が惚れてた。龍神様が無理って言ったこと一部とは言え、完璧ではないとはいえ成し遂げると思わねえじゃん?」

 

 

 「その割に一定の時期冷たい対応されてましたよね」

 

 

 「あー・・・その話はあんましたくねえんだわ。俺の対応が子供過ぎたんだよ」

 

 

 「なんだそれ?今までの中で一番気になるんだが。あ、嫌ならいいぜ?」

 

 

 「・・・なんでも聞けって言ったの俺だしな。よし、笑い話として繰り出してやる」

 

 

 少し申し訳なさそうに笑う紫の頭を撫でながら、俺は再び口を開いた。

 

 

 

 次回へ続く




 ありがとうございました。
 今年も辞める事なく投稿して行くつもりでありますので、宜しくお願い致します。
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