六年間音信不通だったクソ馬鹿野郎からの電話に情緒を掻き乱されまくりました。
ゆっくりご覧ください。
「・・・とまあ、紫の自惚れ故の事故とはいえ、対応が酷過ぎて見せる顔も無くて海外に逃げたのさ」
「・・・あんまり龍一さん悪くないんじゃない?」
「叱り方が悪くて気まずくなって立ち去ったって事だよな。・・・あんまり気に病むこと無かったんじゃないか?」
「・・・まあ、そう言われるとそうなのかもしれねえけどさ。理想郷作ろうとした奴にそんな対応したら、諦めるんじゃないかって思ってさ。・・・せっかく頑張ってるのに芽を潰した気がして嫌になったんだよなあ、確か」
苦く微笑む龍一に、魔理沙と霊夢は顔を見合わせ、笑い声を抑える風魔と侵二の方を向く。
「おや、二人ともどうされました?」
「いや・・・あのな?ほんとに龍一さんって龍神か?」
「限りなく人間に見えるんだけど」
そう見えますか。と侵二は頬を掻いた。
「・・・ですよねえ。なーんか変な所律儀なんですよ、主上は。もっと傲岸不遜でいいと思うんですけどね」
侵二が笑いながら首を横に振り、で?と龍一に続けさせた。
「で?もなにも逃亡中に侵二に連れてこられて、当然のように紫がいて・・・もうそん時は一応好きだったってことになるんかね。言おうとして知り合いに邪魔された」
間が悪すぎるんだよなあ。と龍一は笑い、少し驚いたようにする紫に、なんだよと少し眉を顰めた。
「ほんとに?」
「あ?お前いつからだと思ってたんだ逆に」
「いや、その、気のせいかなって思ってたから・・・自身があったのはその後しばらく経ってくらい?」
「んなわけあるか。・・・ま、ことごとく失敗してるから、なんとも言えねえんだけどな」
はは。と龍一は恥ずかしそうに笑い、このくらいか?と霊夢、魔理沙に問いかける。
霊夢は頷き、魔理沙は不思議そうに、更に龍一に聞いた。
「なんか、転機とかあったのか?ここからチャンスってのもおかしいけど、その、なんだ。急に仲良くなった時、とか?」
「ああ・・・」
「死ぬって言った時ね。龍一が」
「言うのか・・・」
質問に答えたのは紫で、龍一は自身の頭に手を置き唸った。
「死・・・?もしかしてもうすぐ死ぬのか!?」
「・・・焦るなよ。あくまでも死ぬ筈だったって話だ。百年くらい前だよな、あれ」
「多分ね。理想郷のお披露目中に龍一、ちょっと一人にさせてくれって言うから一人にさせたら。次見に行ったら見たことない顔で死にたくないって呻きながら寝てたのよ」
「まああれは能力が強すぎたのと効果を理解しきれてなかった上での勘違いなんだが、その後マジで死にかけてな。数日寝込んだんだが・・・起きたらなんかこう、死んでないって思うと吹っ切れてな?もうなんか神様気取るのも面倒になったんで、馬鹿正直にやりたいようにやってるのが今。仕事はちょっとだけしてる」
「・・・やっぱり人間みたいだぜ」
「初期が人間だったからだろうな。・・・って感じか?」
変わってんなあ、と魔理沙は呟いた。
「よく言われる」
コトンと龍一が湯呑みを置き、ゆっくりと息を吐く。
そして、再び龍一が口を開いた。
「・・・今日はお前ら以上に珍しい奴も来るんだな」
龍一が新しく湯呑みを生成し、ゆっくりと茶を注ぐ。
淹れ終えた頃には、少し身を刺すような冷たい風と共に、片手を鎌にした細身の男が立っていた。
「やあ紫さん、本日も見目麗しうございま」
「口で紫に触れるな。いつも通りすっ飛べ」
男は気取ったように片膝をつき、紫の右手の甲に口づけをしようとして龍一の手の一振りで吹き飛ばされた。
吹き飛んだ男は再び吹いた風と共に戻っていた。
「挨拶だな。ちょっとした冗談だよ冗談」
「相変わらずその態度通してんのな。久しぶり、鎌鼬」
「久しぶりだな、龍一さん」
鎌鼬と呼ばれた男はニヤリと笑うと、唖然とする霊夢と魔理沙と紫、そして呆れたように声を殺して笑う風魔と侵二を交互に見やり、溜息を吐いた。
「相変わらず御三方は可愛い子侍らせてるようで。羨ましい限りですねまったく」
「もっかい飛んでくか?」
「そりゃ勘弁「なら自己紹介しろ」おっと失敬。俺は龍神様お抱えの妖怪、鎌鼬。よろしくな、お嬢ちゃん方」
「コイツは・・・そう、さっき言ってた邪魔した知り合い張本人だ」
鎌鼬は鎌になっている方の手を胸に当て、仰々しく頭を下げた。
霊夢はまだ唖然としていたが、ハッとしたように魔理沙は声を返した。
「よ、よろしくな。私は霧雨魔理沙ってんだ」
「ほーん・・・はじめまして、んでよろしく、魔理沙ちゃん「ま、魔理沙ちゃん・・・?」後まだぽかんとしてる横の子は・・・遠目に見たことあるぜ。博麗の巫女か?」
「え、あ、そうよ。私は霊夢、博麗霊夢。よろしく・・・鎌鼬さん?」
「ああよろしく、霊夢。「なんで私だけちゃん付けなんだ・・・?」霊夢にゃ同族が何回か悪さしてぶっ叩かれてるってんでお世話になってるぜ。・・・悪いね、鎌鼬にゃ俺除いて馬鹿しかいなくて」
「お前もその馬鹿だろう?」
「そりゃあんたらが賢すぎるんだわ。・・・と、いけね。先に連絡させて貰いますね」
気を取り直したように鎌鼬は差し出された茶を飲み干し、咳払いを一つ、侵二と龍一に向けて膝をつく。
「塗り壁から報告。見覚えのない赤い建造物を新たに発見、との事。建築様式は西洋寄りだそうで・・・どうされます?」
「何かしてきました?」
「いえ、塗り壁からはまだなーんにもされてないと。俺もちらっと見かけただけです。そもそも塗り壁に無駄に喧嘩売る奴もいないと思いますけど?」
「それもそうですね。・・・主上、どうされます?」
「俺?・・・ま、ほっとけば何かアクション起こすだろうし、しばらく様子見で・・・そうか。いや、紫が直接見るわ。お前らは何もせず撤収」
「・・・了解。それで良いですか?」
「了解でーす。撤退させときますね」
「ご苦労様です。・・・以上でしょうか?」
「以上っすね。んじゃこれ以上長居すると邪魔っぽいですし、また改めて来るってことで。お茶ご馳走様でした。またな人間のお二人さん」
カツン、と鎌鼬が踵を合わせ、頭を下げる。
すると三度目の風が吹き、鎌鼬は消え去った。
「・・・なあ、なんで霊夢は呼び捨てで私はちゃん付けなんだ?」
「それなりな年下に見えたんじゃね?「はぁー!?」・・・んで?俺に対しての質問は終わりか?今日しかなんでも答えるつもりはねえから、聞きたけりゃ聞いとけよ」
恥ずかしくてやってらんねえからな。と笑う龍一に、霊夢とやや不満げな魔理沙は顔を見合わせ、そして一言二言言い合うと、互いに了承したのか、霊夢が口を開いた。
「じゃあ、これで最後ね。・・・龍一さん、紫の事どう思ってるの?」
「はぇ」
「難しいこと聞くなあ」
ピシ、と紫は固まり、龍一は眉を顰め、顎に手を置いた。
風魔は歯を見せて静かに笑い、侵二は吹き出しそうなのを堪え、口を手で覆った。
「何を基準とするかだよな。好感度なのか、重要性なのか、優先度なのか。・・・そういやあんまり考えた事なかったな。風魔ならどう言う?」
「人生の道標」
「オーケイ聞く相手間違えたわ。侵二は?」
「唯一手駒として使えない人ですかね。他は容易いので」
「だーめだロクなのいねえ。鎌鼬・・・は帰ったもんな。と言うかアイツそう言う関係のやついたっけ」
「人間の伴侶が今までにいたかと」
「アイツ人間好きだったな・・・といかん。話が逸れた。・・・いや、無理だろ。どう言えと」
いやなあ・・・と龍一はぶつぶつと呟き始め、気づいているのかいないのか、口から漏れ出たああでもないこうでもないと言う中々に遠目に見れば恥ずかしい発言を垂れ流し続け、耐えられなくなったのか、人間二人組が制止した。
「ごめんなさい、もういいわ」
「お?まだ思いついてないんだが?」
「いや、もういいぜ。よーく分かった」
「ああそう・・・?んじゃいいか」
隣で放心している紫には気付いていないのか、龍一は立ち上がり、そして軽く伸びをする。
骨の鳴る小気味良い音が龍一の背中から響き、龍一はよっこいしょと振り返り、そして紫を見て顔を顰めた。
「・・・なんでボケっとしてんだこいつ」
あんたのせいだろうよ。
霊夢と魔理沙はそう言いたかったが、更に惚気が詰まった言葉で返されるのが容易に想像できて、口にすることはなかった。
次回へ続く
六年間毎年手紙送りつけても入院してるわ家にいねえわ散々振り回して来やがったくせに電話した感想が久しぶり。声が聞けて嬉しい。でした。
誰のセリフだと思ってんだ。
次回もお楽しみに。