真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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戦闘回になってるか分かりませんが戦闘回です。


ゆっくりご覧ください。


第十二話 なぐりあい地球

 

なんか都で俺がいないとかで大騒ぎになっているのを無視して、俺は朝早くから鬼の集落の近くの茂みで寝転がっている。既に鬼は現れ始めて酒盛りをしている。呑気すぎやしねえか・・・ってどっちもどっちか。

 

 

現在視認できるのは鬼が11人。その内1人が2メートル程で女性の鬼の様だ。おそらく主格だろう。・・・記憶にある大男よりは小さいが、やはりデカイ。(龍一身長198センチ)

 

 

とか言ってたら鬼達の酒盛りもそこそこ盛り上がっている様なので、そろそろ動く。手に持つのは酒の一升瓶10本。間違っても投げるわけではない。

 

 

「すいませーん!誰かいますかぁ!?」

 

 

鬼の集落に人間が酒持って叫ぶとかまあ基本自殺行為だ。自殺志願してても流石にしないだろう。

 

 

「あん?」

 

 

ほらもう目つけられた。一応前世では怪奇現象やら妖怪やらの書物は読み漁っていたので鬼は分かっているつもりだ。

 

 

「よしな。・・・お前、そこそこ変なにおいがするが、人間だね?ここが鬼の住処だって分かってるのかい?分かってないなら・・・いや、悪いね、分かってるみたいだ。変なこと言っちまった、忘れとくれ。・・・で、何の用だい?喧嘩かい?」

 

 

主格であろう鬼が俺に警告をしてくれたが、俺の持つ酒を見ると頭を下げてニヤリと笑った。

 

 

「ま、そんなもんかな。いきなりだが賭けしようぜ」

 

 

「賭け、かい?」

 

 

「ああ、丁度ここに酒がある。瓶一本ごとに一勝負。・・・最後に主格であろうアンタに勝負、これはマジもんの喧嘩を挑む。どうかな?」

 

 

「うーむ、こいつらも久しぶりに人間と腕相撲で対決出来るから文句はない。けど、アタシと勝負する時は何を賭けるんだい?」

 

 

俺は自分の胸を叩いた。

 

 

「これで。俺の命を賭ける。万が一俺が賭けに勝ったら・・・向こうにある都と同盟を組んでほしい」

 

 

主格の鬼は面食らった様な顔をした。

 

 

「それだけで賭けをしに来たのかい?その根性だけで十分受けるんだが・・・やる気みたいだね。面白い奴だ。アタシは茜。アンタ、名前は?」

 

 

俺は酒を茜に突き出して言った。

 

 

「変人部隊、隊長。矢川鏡一だ」

 

 

「へ、変人部隊!?」

 

 

鬼の一匹が叫び声を上げた。

 

 

「ん?知ってるのかい?」

 

 

「知ってるも何も茜さん、最近弱小妖怪を捕まえてはその場で料理する化け物集団ですよ!鬼の一匹が喧嘩を挑んだ時も手が硬くなるやつにやられたそうですよ!・・・そこの部隊の隊長だと・・・!?」

 

 

捕まえて料理する集団・・・間違っちゃいないがいざ言われるとぶっ飛んでるな・・・手が硬くなる奴って高澤か・・・

 

 

「尚更面白いね!・・・賭けの結果抜きで条件は受けよう!そのかわり、最後までやってくれるね!?」

 

 

「勿論。鬼は嘘が嫌い。だろ?」

 

 

俺は鋼鉄で出来た机を召喚し、腕を置いた。

 

 

____________________

 

 

結果は腕相撲全勝。義眼は反則では?と思われるかもしれないが、あくまでも所有能力を表に出すための装置だ。逆にこれがないと一般人だ。

 

 

「・・・流石にウチの自慢の奴らがやられるとやる気が出るねえ!まずは小手調べと行かせてもらうよ!」

 

 

全員に圧勝したせいか茜に気に入られ、まずは腕相撲をすることになった。机が心配だ・・・

 

 

「じゃあ、行くよ!」

 

 

右腕に他とは比べものにならないほどの凶悪な力がかかる。俺はそれを食い止めようと全力で抑える。

 

 

「重っ!!お前ホントに鬼かよ!?別の生き物じゃねえの!?」

 

「アンタこそ人間じゃないだろう!!どんな力持ってんだい!?」

 

 

「「「「「「「「「「アンタらが言うなっ!」」」」」」」」」」

 

 

次第に机が煙を上げながらメキメキと音を立てる。・・・鋼鉄だぞこれ・・・!?

 

 

「はあっ!」

 

 

「ウェイ!」

 

 

机が折れた。あーあ、デスカー・・・

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

「ふぅじゃねえよ机壊すとかもう・・・やめようぜ?」

 

机可愛そう。後で椅子に作り変えてやろう。

 

 

「まあいいか、・・・じゃ、お楽しみの喧嘩って事だな?」

 

 

俺は踵を浮かせ、拳を構える。

 

 

「そうなるねえ・・・でも、アンタは旦那にゃ向かないね」

 

 

「ちょっと何言ってるか分かんねえ」

 

 

「なんで分からないんだい」

 

 

「いきなり結婚考えるとか馬鹿か?」

 

 

「いーや、そこそこ本気だよ。強さは申し分ないけど、もうちょっと大きい方が良いかねぇ・・・」

 

 

「どんな大男要求してんだよ!?一人しか心当たり無いし会えるか分からん、それぐらい確率低いぞ!?」

 

 

「まあのんびりと探すかねぇ・・・さ、行こうか!」

 

 

お互いに準備が出来たので、俺は受けの姿勢をとる。

 

 

「ん?来ないのかい、・・・じゃあこっちから行くよ!」

 

 

茜は体格から想像のつかない速度で殴りかかって来た。

 

 

「・・・はっ!」

 

 

俺は殴りかかって来た拳を掌で一度弾き、受け止める。

 

 

「捕まえたっと!」

 

 

俺はそのまま背負い投げに移り、投げ飛ばす。

 

 

「おおっ!?」

 

 

茜は予想外だったのか地面に背中を打ち付ける。が、ひるむ事なく俺の服を掴み、寝そべった状態のまま俺を投げ飛ばした。

 

 

「でーっ!?」

 

 

俺はそのままぶっ飛ばされたが、何とか着地した。

 

 

「痛覚ないのかよあの化け物・・・」

 

 

「アタシの拳を流すのかい・・・やるねぇ」

 

 

お互い攻めに攻めきれず、守ることも不可。

 

 

「まあこうなりますわなぁ!」

 

 

結果シンプルな殴り合いになった。一時間戦争、なぐりあい地球。

 

 

茜が殴れば俺が蹴り、俺が蹴れば茜が殴る。

 

 

周囲には殴る音と折れる音しか聞こえなくなり、お互いにフラフラになる。・・・まあこっちは今は人間のスペックなんで勘弁してくれ。

 

 

「なかなか・・・やるじゃないか」

 

 

「遅かったじゃないか、ミッター・・・ごめん間違えた。なかなかやるな・・・」

 

 

俺は大きく息を吸い、止めた。

 

 

瞬間、茜が今までの中で最も強烈な一撃を放って来た。・・逆に言うと隙の大きな攻撃を晒した。

 

 

「ッシャオラァ!」

 

 

俺はそれをしゃがんで回避し、アッパーを顎に喰らわせた。

 

 

「ッッッ・・・降、参、するよ・・・!!」

 

 

茜はしばらく耐えていたが、そう言うとやがて倒れた。

 

 

「危ねえ危ねえ・・・負けるかと思った・・・」

 

 

尋常ならん相手だった・・・てかまだボコスカやったせいで視界がグラグラする。

 

 

「オイオイオイ、勝てんわ俺ら」

 

 

「ほう・・・茜さんを倒したのか・・・やべえな」

 

 

「・・・なんかお前らざわついてるけどあれだろ?勝ったことあるだろ?」

 

 

すると鬼10人が全員首を横に振った。

 

 

「無理無理無理、俺ら10人束になってもぶっ飛ばされるわ!」

 

 

「そもそも負けたとこ見た事ねえぞ・・・」

 

 

「それ倒す人間とか意味わかんねえぞ・・・!?」

 

 

 などと言っていると、茜が起き上がった。まだ数分もたってないんですがそれは・・・

 

 

「いつつ・・・効いたねぇ」

 

 

「一般的に食らって数分で何事も無かったようにできるのを効いたとはいえないんだが・・・」

 

 

「ん?これぐらいの再生ならアタシは簡単に済ませられるよ?・・・まあまだブラブラしてた時に聞いた話によると、トウコツとか言う妖怪はアタシ達より力が強く、傷を負わない、死ぬまで戦い続ける、とか言うのがいるらしいね」

 

 

吐くわそんな奴。要は茜以上の破壊力持った奴が死ぬまで同じ火力で殴ってくるとな?死んだわ。どんな魔境よ。

 

 

「どっから聞いたんだよそのいかれた奴の話」

 

 

茜はしばらく考えた後、思い出したように答えた。

 

 

「顔は見えなかったし、声も掠れてたけど・・・ファン・・・何だっけね。あんまり聞かない名前だったね。片腕と片足がなかったね。・・・そいつがトウコツって奴と知り合いらしいけどね」

 

 

何だよファンなんとかって、ファンシン(阪神)か、ちょっと訛ったのか。いや人の名前が阪神ってのも珍しいか。

 

 

「とりあえずそのファンなんとかもやばい奴っぽいな。絶対会いたくないわー」

 

 

とか言いながらニヤニヤしてしまってる俺。バトルジャンキーじゃねえか。

 

 

「アンタ、なかなかの嘘吐きだね。・・・けど、アンタの嘘は面白い。・・・ひょっとしてウチに喧嘩しかけてきたのも・・・」

 

 

「ああ書類で頼まれたけど好奇心十割」

 

 

「無茶苦茶じゃないか・・・!」

 

 

「誰が逆に頼まれてぬけぬけと来るんだよ。そんな奴鬼に親殺されたやつしか出ないって」

 

 

すると納得したように茜は頭を掻いた。

 

 

「まあ・・・これでも鬼子母神とは呼ばれてるからねぇ」

 

 

吹いた。喧嘩相手が鬼子母神だったとか酷過ぎる。確かにリーダー格だと思ったが、こんな化け物は期待していなかった・・・!

 

 

「ゲホッ!・・・先に言えこの野郎。どーりで強いわけだ」

 

 

「まあそう言わないでくれるかい?人間に負けたのは流石に面子が立たないんだ・・・「あ、俺人間じゃないから」は?」

 

 

俺は八岐の剣を取り出すと、茜の前に翳した。

 

 

「俺は神矢龍一。まああんま知られることしてないけど「拳骨神だね?」・・・その名前やめろぉ!・・・まあそんなわけだ。嘘ついた体になっちまったな。すまん」

 

 

茜はしばらく八岐の剣をしげしげと眺めていたが、やがて天を仰いだ。

 

 

「とんだ奴と喧嘩したもんだ・・・そりゃ負けても仕方ないねぇ」

 

 

諦められた。これはこれで悲しいかな。・・・ファンなんとかとトウコツとも見つけたら喧嘩するか・・・

 

 

「・・・そのファンなんとかって奴、どこに行ったか知ってるか?」

 

 

「・・・うわ、早速しかけようとしてるよ。・・・ここからうんと西だね。海を越えた先にある陸から来たらしいよ」

 

 

すると中国付近なわけか・・・中国で知ってるの四聖と麒麟と四凶と九尾だけだな・・・四凶なんて名前しか知らねえなぁ・・・

 

 

「サンキュ、またあの都から出るときは探してみるよ。・・・ま、来年ぐらいには出そうだがな」

 

 

「うん?なら何でアタシ等と組んだんだい?」

 

 

俺は登り始めた月を指差した。

 

 

 「いずれ月に上るんだと。その時の護衛頼む」

 

 

 「月に?そりゃまたなんでさ?」

 

 

「人間は汚いな。・・・死にたくないからって穢れなき月へと逃げるんだぜ?お前等が一番汚いっての。・・・まあなかなか知り合いもいるし言えんがな」

 

 

 「要は月で永遠に繁栄ってことかい。くだらないね」

 

 

俺は月を睨むと、立ち上がって都に足を向けた。

 

 

「てなくだらない理由で大事な奴らとそのオマケの馬鹿ども守る為に帰るわ。・・・今回の件は感謝してる。また会ったら贔屓にするぜ」

 

 

茜はカラカラと笑って立ち上がった。

 

 

「龍神の贔屓かい?そりゃ楽しみだね」

 

 

「まあお楽しみにって事で。じゃあな!」

 

 

俺は山吹色の義眼を入れ替えて時間空間の銀に変え、ワープした。

 

 

トウコツにファンなんとか。意味のわからない奴らがぎっしりいるようだな。・・・楽しみだ。

 

 

俺は再び戦闘狂思考になりながら、失踪していたことを問い詰める永琳や綿月姉妹、変人部隊をなだめ始めた。

 

 

次回へ続く




ありがとうございました。


ファンなんとかの全称は後々出ます。


次回もお楽しみに。
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