真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

13 / 126

このまま行くと龍一が都に永住して完!
とかなりそうになって来たのでそろそろ都編シメます。

では、ゆっくりご覧ください。


第十三話 乱争、故に我笑う

 あれから一年、・・・いやだって特筆すべきことないし・・・予想通り、半年過ぎた頃から月読命に話を振られた。初めに「ふふん、兄上、月に興味はありますか?「ねえ」・・・ごめんなさいちょっと見栄張りました手伝ってくださいお願いします」は笑った。見栄かよ。

 

 

 ともかく、ロケットの作り方は俺しか知らないので適当に高木と類土と澤田と作った。

 そのせいか多少物理法則から外れた。何、たかだか重さが1トンになっただけだ。何の問題も無いだろ。

 

 

「・・・なんか静かですねえ、ここしばらく妖怪も出ないし、ロケットも完成しましたし、このまま行けますかね?」

 

 

そう言いながら類土は笑った。・・・すまん、俺には平和を喜ぶ発言に聞こえるが、不穏さしかない。

 

 

「ああ、確かに静かだな。隊長が来てから全部上手く行ってる。これからもこの道が続くと良いな」

 

 

そう澤田が続ける。何故か不安が離れない。

 

 

・・・話を戻すが、俺たち変人部隊はここ一年で特別部隊・・・月読命専属の特殊部隊に昇級した。

 

 

佐々木と名桐は二人で偵察部になった。佐々木が偵察、遊撃を勤め、名桐は通信でターゲットの位置を捉える。二つ名は飛翔の佐々木と電子の名桐らしい。・・・二つ名は全員付けられている。

 

 

高澤と浅野夫婦は・・・正確にはまだ結婚していないが、二人は動く要塞医療チームになった。高澤が壁を張り、浅野が回復する。危なくなれば高澤が鈍器で撃退する。二つ名は冷やかし八割のこもった、既婚寸前の高澤浅野だそうだ。さっさと結婚しろ。

 

 

武田はスパイ・・・月読命に頼まれて、裏切り者や不穏分子を殺す係になってしまった。輝夜が妹だというのもあり、ひっそりと・・・月読命の保護の下、表には出ずにのんびりと生活している。二つ名は恐怖十割で作り上げられた、毒殺の武田。

 

 

岸田は料理を続け、俺並みの料理スキルを手に入れた。だが妖怪を調理するのは受け入れられないらしく(当然だが)、二つ名はマッドコック岸田だそうだ。よかったな。

 

 

澤田、高木、類土は三人で装甲車を乗り回すようになっている。コップ満タンの水すら零さない高木の天才的なドライブテクニック、絶対に外さない類土の副砲の機関銃、圧倒的な破壊力と連射力を持つ澤田の主砲。三人揃って荒野の暴走族だとか。一番的確なのがツボる。今日も今日とて乗り回し、妖怪を撃退している。

 

 

依姫、豊姫もあのペイント弾レッスンでコンニャクまで到達した。時々俺が入り、佐々木と同じく接戦になっている。尚佐々木は最近常にタライの上で暴れ回る芸を身につけ、変人部隊の中では唯一飛べる変人と化した。

 

 

永琳は、俺の持つ変態科学力が気になったらしく、また俺も都の科学力が気になり、仲良く意味のわからないものを開発した。レーザーブレード、ショックガン、そして何と言っても全自動卵割り機などの傑作が出来上がった。後核。

 

 

俺は欠伸をしながらロケットを見て回り、地下に封印した核のロックを解除した。

 

 

都の奴らが月に上がったのち、ここの歴史は地上から抹消するらしい。月読命曰く、人はやっぱり自分で進むべきだと言うことだ。同感だな。だから神の関わった者達以外にはここの技術は必要ないと言うわけだ。頑張れ人間。ちなみにスイッチ押すのは俺。変人部隊の隊長に核起動スイッチ押させるとか狂ってんじゃねえの?

 

 

 

 

 

・・・なんて言えれば良かったんだがな。現実は小説より奇なり、漫画より滑稽なり、久々に食いたい稲荷。

 

 

 

さて、今までのは数時間前の回想なわけで、まあそんな上手くいくわけなく、妖怪が攻めてくるので、いやもう攻めてきたので、

 

 

「さっさとくたばれやアホ共ォ!!」

 

 

現在進行形で新月振り回してます。後撃ちまくってます。

 

 

どうなったと言われれば、普通に億単位の妖怪が群れをなして突っ込んできました。・・・としか言えん。億の対策なんてねーよ。あったら逆にそいつが首謀者だ、殺せ。

 

 

「あ!鏡一!こちら姉さんと私の部隊です!ここは食い止めますので他・・・変人部隊の方ををお願いします!私では統率が取れません!」

 

 

「鏡一さん!あの人達の為にも行ってください!」

 

 

依姫と豊姫が飛躍的に上達した剣術で妖怪を薙ぎ払いながらやってきて、そう言ってくれた。・・・と言えば優しいが、要はアイツらやっぱ纏められません頼みました!である。・・・少しは普通に活動してくれんかね、俺の部隊。妖怪が最も多い所をアイツらだけで担当していると聞くと胃が痛む。おちおち一人で一番大きな群れを壊滅させる事も二回しか出来ない。

 

 

・・・まあその場で倒した奴を飯にする奴と要塞を展開する奴と回復できる奴と戦車乗り回す奴がいれば妥当か?・・・妥当もクソもあるか。

 

 

などとしている間に依姫の炎と豊姫の扇子でゴリゴリと妖怪共が減って行く。・・・面攻撃に対してはもうあの二人に勝てる人間は都にはいないだろう。

 

 

「おーい!援護に来たぞ!大丈夫そうで何よりだ自重しろ!」

 

 

「遅いっすよ!・・・高澤!「よし来た」ナイス!」

 

 

あくまでも面攻撃は、だ。串刺しにしてはどんな力を持っているか分からない怪力で死体を遠くに投げる武田、三節棍で周囲の妖怪を転倒させ、盾で上から潰す佐々木と高澤、ここぞとばかりに爆走する装甲車に乗る高木、類土、澤田。辺りに散らばる妖怪の死骸の山。

 

「世紀末かここ?」

 

 

「何言ってるんですか。飯、出来てますよ」

 

 

そしてその場で飯を作る岸田。鬼やコイツ等。目の前で身内が殺されて即料理されてるとか最悪すぎる。

 

 

「あ、隊長、そっち行きました」

 

 

武田のやる気のない叫び声(?)の後、人型の妖怪が飛び出して来た。

 

 

「もうちょっと危機感持って叫んでくれよ・・・」

 

 

俺はそいつの顔面を殴り、怯んでしゃがんだ所を蹴り飛ばした。

 

 

「危ねえ・・・なぁ!!」

 

 

俺は蹴り飛ばされ、倒れ込んだ妖怪の頭を踏み潰した。

 

「流石にここまでやれば・・・「うあっ・・・!?」「高澤君!?」・・・クソッ!撤退してろ!」

 

 

俺は何処から湧いて来たか分からない高澤を貫いたモノを掴み、投げ捨てた。が、何故か高澤の盾を貫通し、高澤の体を抉ったモノはウネウネと動き、先端部がパックリと二つに割れた。

 

 

「隊長・・・!?」

 

 

武田と佐々木が駆けつけようとするが、あまりにもそのモノから出る瘴気が強すぎて、他のメンバーを庇いながら下がった。

 

 

「やめとけお前ら。あんな意味分からんのに敵意向けるな。・・・月読命様に伝言。至急ロケットを起動すべし。とだ。アレちょっとマズイかもしれん。頼んだ」

 

 

そうしている間にもモノは動き、周囲の妖怪の死骸を呑み込み始めた。

 

 

「隊長は・・・大丈夫なんすか?」

 

 

佐々木の心配そうな愚問に俺は笑って答える。

 

 

「馬鹿野郎。俺に任せろってんだよ。まあなんかあったら死んどくから」

 

 

「・・・了解っす」

 

 

佐々木は納得できないようだったが、高澤を担ぎ上げると、撤退した。

 

 

「・・・さて現実に戻ろうか。・・・なんじゃコイツ」

 

 

未だに謎のモノはウネウネと動きながら周囲の妖怪の死骸を呑み込み・・・いや、喰っている。膨張することもなく、真っ黒な姿を返り血で染めている。

 

 

俺が銃を構えて、ゆっくりと狙って撃った瞬間、謎のモノは俺でも目視しづらい速度で回避し、正確に俺の心臓を刺し貫いた。

 

 

「ガハッ・・・!とは行かんのだよ、てか速いな」

 

 

残念ながらこの体、心臓を貫かれてもこたえないどころか首を切られても死なない。てか任意で首外せる。そのまま放り投げ、地面に叩きつけたが、手応えがない。

 

 

「衝撃を無効化?・・・おいおい、どんな生き物だよ・・・」

 

 

そもそも生き物か疑わしい。八岐の剣でさっさと切りたいが、ここで振ってしまうと都のロケットがぶっ壊れる事間違いなし。何せ抜刀しただけで依姫が腰抜かすヤツだ。斬りつけるとか振るとか不可能。都中の人間が泡吹いて倒れる。

 

 

 ・・・なら、手は一つしかない。

 

 

 俺は名桐から渡された通信機にハッキングをかけ、月読命に繋げる。

 

 

 「はい、月読命です、どうしましたか?「俺だ」・・・兄上!?どどどどうやって通信を「名桐の奴いじった」・・・そうですか、絶対に無理なはずなんですけど・・・」

 

 

 「いや、そういうの良いから。・・・俺あれだわ、月いけねえわ」

 

 

 再び襲い掛かってきた変な奴をもう一度地面に叩きつけながら言うと・・・

 

 

 

 

 

 

 

 月読命は沈黙の後、やけに弾んだ声になった。

 

 

 「あ、そーゆー事ですか!いいですよ!適当に死んだことにしてごまかすので大丈夫です!」

 

 

 「お前なぁ・・・悪いな、サンキュ」

 

 

 おそらく月読命は俺の性格を把握したうえでこう言ってくれているのだろう。じゃなけりゃただのアホの子だ。

 

 

 そう考えていると右腕が切り飛ばされる。・・・流石に鬱陶しい。

 

 

俺は八岐の剣を鞘をつけたまま取り出して、謎の生物を殴った。・・・ここでダラダラと戦って都にいる知り合いが死ぬと嫌なので、さっさとケリをつける。

 

 

殴られた生物は八岐大蛇の瘴気に触れたのか、しばらく硬直した後、その場にへたり込んだ。俺はそれを押さえつけようとして

 

 

 

 

 

首を飛ばされた。

 

 

「んなっ・・・」

 

 

俺は首のない体を動かして即座に首を拾い上げる。しかしその間に謎の生物は高速で地面を這い、都に進み始めた。

 

 

要は怯むフリと俺のスキを突ける勘が相手にあるという事。

だが・・・残念ながら這った所には俺の貫かれた心臓から出た血が水溜りになっている。これ俺じゃなかったら死んでた。

 

 

「ここまで来たら拍手もんだぞ!」

 

 

俺は自分の流れ出た血を操作して謎の生物を絡め取り、八岐の剣が振れないので鞘を口で引き抜き、至近距離で突き刺す。

 

 

「何処の何か分からんが・・・終わりだ」

 

 

しばらくの間謎の生物は苦しむように暴れ回っていたが、やがて金属的な音をたてて蒸発した。

 

 

沈静化したのを確認した俺が右腕をくっつけようとしていると、蒸発した所に何かが残っていた。

 

 

青銅でできた仮面らしき何かと、龍華ぐらいの女の子が着けていそうな、翡翠色の簪だった。

 

 

俺はふと背後に敵意の感じられない気配を感じ、振り向いた。

 

 

「・・・誰だ?」

 

振り向いても誰も見当たらない、・・・まさかと思って下を見ると、小さな女の子がいた。女の子の顔は見えなかったが、笑っているように感じた。女の子は俺の手を指差し、次に簪を指差した。くれる。という事だろうか。

 

 

俺が簪を手に取ると女の子は頷き、手を振りながら消えた。それと共に仮面らしき物は砕け散った。

 

 

俺は黙ってその場に一礼をして、簪を空間に仕舞い込んだ。

 

 

同時に、ロケットが一台空に上がる。今回あるロケットは5台。残り4台。

 

 

俺は新月を抜刀し、妖怪の群れに飛び込んだ。

 

 

 

次回へ続く

 

 





ありがとうございました。

次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。