真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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 いよいよ都編終幕・・・


 ゆっくりご覧下さい。


第十四話 次の道へ

 ━━都、都市、ロケット内部

 

 

 「大丈夫!?高澤君!?」

 

 

 「・・・ああ、お前と結婚するまで死ねるか・・・!」

 

 

 ロケットの中では足の踏み場がない程負傷者で埋め尽くされ、高澤もそこに横たわっていた。高澤の傷は深くはないものの、浅野が苦戦するような、高澤の傷の回復を阻害する何かの術がかけられていた。

 

 

まあこの後突然現れた鏡一が治療して去ったのだが。

 

 

 

——都、ロケット前

 

 

 「・・・どうする、佐々木。高澤と浅野はもう動けない。武田も妹の件がある、もうむやみに動けん。類土も高木も休ませないとそろそろキツイ、岸田は救護班に回っちまったし・・・残ったのは俺とお前、名桐だけだ」

 

 

「・・・行く」

 

 

「お前馬鹿だろ、退けって言ってんのが伝わらんか!?ここで行ってみろ!隊長の邪魔だ!言いたくないが、・・・死戦の邪魔になる!!」

 

 

顔を歪めた澤田に佐々木が摑みかかる。

 

 

「言うな!!・・・あの人なら、言わなけりゃ帰ってくるかもしれないだろ!・・・俺は行く。あの人を引きずってでも連れて帰る!」

 

 

佐々木が澤田を振り払い、ロケット内部から出ようとした時、頭上に金ダライが落ちた。

 

 

「馬鹿野郎!寝てろい!!」

 

 

空間が裂け、鏡一が顔だけを出した。

 

 

「隊長・・・やっぱり・・・」

 

 

澤田が諦めたように頭を垂れた。

 

 

「ん、多分無理。・・・とりあえず馬鹿佐々木頼ん「なんでっすか!」・・・寝てろよ」

 

 

佐々木はふらふらになりながらも立ち上がり、鏡一を睨んだ。

 

 

「・・・俺も、行きますからね、二度と隊長置いて逃げるもんっすか・・・!」

 

 

鏡一は佐々木を眺め、舌打ちをした。

 

 

「・・・お前名桐どうすんの?」

 

 

「え?」

 

 

「いやお前ここでギャグ路線行くな。名桐だよ。どうすんの?置いて行くの?・・・それともお前、分かってない・・・?」

 

 

「え?何がっすか?」

 

 

鏡一は天を仰ぎ、澤田は佐々木の肩を掴む。

 

 

「お前・・・このクソ鈍感野郎!それでも副隊長かよ!」

 

 

「・・・お前は名桐の好意すら感じれんのか・・・!?もうこの部隊仕切る自信ないわー」

 

 

「え?え?・・・名桐が誰か好きなんすか!?」

 

 

「「お前だよ!!」」

 

 

突然に和やかと言うか馬鹿と言うか、微妙な空気になる一団。そこに間がいいのか悪いのか、名桐が現れた。

 

 

「佐々木!怪我人は全部乗ったみたい・・・って何で隊長が!?」

 

 

混乱する名桐に佐々木は駆け寄り、肩を掴んで顔を近づけた。

 

 

「名桐!・・・お前が俺の事好きって、本当か?」

 

 

名桐の顔が爆発し、鏡一は鼻水を吹いた。

 

 

「え、あうぇぁ・・・」

 

 

「おまっ・・・澤田、ティッシュくれ」

 

 

「どうなんだ!?」

 

 

声にならない声を出しながら真っ赤になる名桐、割と真面目にティッシュを要求する鏡一、クソ真面目に名桐を問い詰めるバカ。が揃う中、名桐がか細い声を出した。

 

 

「しゅ、しゅき・・・でしゅ・・・」

 

 

「・・・噛みましたね通信長「うるしゃい!」・・・隊長、ティッシュです」

 

 

佐々木は名桐から手を離すと、余計に真面目な顔になった。

 

 

「いつから?」

 

 

「・・・私が変人部隊に入隊する前の合同演習」

 

 

「・・・マジ?」

 

 

「嘘ならここで言わないわよっ!!」

 

 

佐々木は混乱したように後ずさった。

 

 

「・・・いやいや、俺は良いけどさ、お前・・・俺なんかで良いのか?お前お嬢様だから絶対他に良いやついるだろ・・・?」

 

 

「どの口が言ってんだ。お前隊長が来る前の闘技大会、3位だっただろうが。しかも男選手では1位。どこが不十分なのか分からん」

 

 

「だって、殆どの奴は私の地位しか見なかったもん。でも佐々木は私の能力を買ってくれたでしょ?結構嬉しかったのよ?」

 

 

「マジかよ・・・俺もだ・・・」

 

 

「だろうな」

 

佐々木は鏡一の方を向くと、申し訳なさそうに俯いた。

 

 

「すいません。俺・・・残れないっす」

 

 

鏡一は佐々木の肩を叩くと、大きく笑った。

 

 

「構わねえよ。・・・その代わり、大事にしろよ」

 

 

「了解っす!ところで・・・

 

 

 

 

何で隊長の上半身だけこっちにあるんすか?」

 

 

「そこ聞くかぁ・・・」

 

 

鏡一は片手を出し、空間を縦に開いた。

 

 

「後ろこうなってるからなんだけど、補足いる?」

 

 

空間の先には、もう片方の腕で拳銃を乱射する鏡一の下半身があった。

 

「てな感じで、

 

 

 

 

 

 

会話中延々と下半身は妖怪の群れを退治してた訳」

 

 

「やべえっすよ・・・」

 

 

そう言いながらも続々と発砲し、空間の先の妖怪はバタバタと倒れて行く。

 

 

「流石に下半身放置はキツい、さっきから撃ってるが全然減らん」

 

 

「いや下半身だけで倒すのがそもそもおかしいんですが」

 

 

「それ以前に今まで休みなしで戦闘してるのがおかしいんっすが」

 

 

「まあ俺だから」

 

 

「それで済まさないで頂けますか!?」

 

 

「冗談冗談。・・・これあるからもうちょっと暴れられるだけだ」

 

 

鏡一はライターの様なものを取り出した。

 

 

「まさか、核の起動ボタン・・・ですか?」

 

 

「いやこれはライター」

 

 

「紛らわしいもの出さないで下さい!」

 

 

「着火すると周囲全部燃えるけどな」

 

 

「ふざけてやがる・・・」

 

 

戦慄した顔から気の抜けた顔になる一同。暫くののち、ライターに着火し妖怪を焼き払いながら、鏡一は笑った。

 

 

「ま、もうしばらく戦えるから、お前らさっさと発進しろよ?流石にどんな駅員でも億のお客を一夜で捌ききるのは試練に近いからな、さっさと切符買ってロケット乗れ」

 

 

「隊長・・・」

 

 

涙を流しそうになる名桐の涙を、佐々木が拭いた。

 

 

「お釣りはどうするんすか?」

 

 

「コイツ・・・釣りは適当に菓子買うのに使え。バナナはおやつに入らんからな」

 

 

「了解っす。・・・良い旅をして来るっす」

 

 

「行ってら」

 

その場にいた佐々木、名桐、澤田が敬礼し、鏡一は手をヒラヒラと振る。その時弾かれたように澤田が何かを思い出し、鏡一に何かを投げた。

 

 

「あ!じゃあ隊長!これを!」

 

 

鏡一に投げられたのは・・・変人部隊の軍旗だった。

 

 

「もう使えませんから・・・最後ぐらい飾りに使って下さい、隊長!」

 

 

鏡一は暫く旗を眺め、やがて空間にしまった。

 

 

「分かった・・・縁があれば、また会おう」

 

 

鏡一がそう言って笑うと、最後のロケットが打ち上げられるベルが鳴った。

 

 

「行け!・・・永琳、綿月姉妹にもよろしくな」

 

 

「「「了解!!」」」

 

 

鏡一は黙って頷くと、空間を閉じた。

 

 

・・・それから五分後、最後のロケットが打ち上げられた。

 

 

____________________

 

 

来たァ!!やっと使えるぞオラァ!!

 

 

暫くドンパチやっていたが、一向に減らない。そして今、全てのロケットが打ち上げられた!!これが意味するのはッ!!

 

 

「行くぞ八岐の剣ィ!!」

 

 

相棒の出番だ。

 

 

 「逃げねえと死ぬし、逃げても死ぬからなぁ!」

 

 

 鞘から抜刀、構えなど二の次で縦に振り下ろす。

 

 

「オラァッ!!」

 

 

瞬く間に刀身を瘴気が覆い、刀身が伸びる。瘴気によって巨大化した剣は、都のあった周辺の大地を全て抉り抜いた。

 

 

「イヤッハー!!次行くぞオッラァ!!」

 

 

次は真一文字に掻っ切る。周囲の地面がめくれ上がり、木々が枯れ果てる。

 

 

妖怪の群れの姿は二振りで消え去った。残ったのは抉れた大地と瘴気のみ。

 

 

・・・いかん、やり過ぎた。

 

 

「・・・やっべ」

 

 

そうしか声が出なかった。流石に行けって言って五分ちょっとで全滅はヤバイ。

 

 

「・・・これからどうするかな」

 

 

ふと逃避がしたくなり、この後どうするかを模索し始めた。

 

 

まずはファンなんとかとトウコツを探すのが最優先だ。おそらく中国辺りだろう。発音的にも。

 

 

とすると移動だ。空間転移だと場所が指定できてつまらない。となると飛ぶ方法があるが、それも面白くない。

 

 

ふと空間にしまっていた核起動スイッチを思い出す。

 

 

「あ、これで飛べば良くね?」

 

 

 相当な爆発エネルギーは来るはずだ。なら完了だ。

 

 

 俺はふとロケットを見上げる。ロケットはまだ発進したばかりで、分離すらしていない。

 

 

 「・・・乗りたくない、と言えば嘘になったな」

 

 

 俺は改めて八岐の剣を構え、地面を抉り始める。

 

 

 「天まで届け、俺の伝言ってか!見えてりゃ良いなぁ!」

 

 

 変人部隊の全員の顔を思い出しながら、高速で絵を描き、大きく仕上げのバツを描く。

 

 

 次に会う機会はあるのかないのか、全くわからない。流石に俺が全能でも分かりはしない。

 

 

 だが・・・人が願えば会えると思っている。それが俺の神になった身での人の運命の考察。

 

 

 俺はガリガリと地面を削り、バツを描ききった。

 

 

 「・・・あばよ、また会えることを願うぜ」

 

 

 俺はあいつらに見えているかは分からないようにしたが、何故か見ている気がして、ロケットに大きく手を振った。

 

 

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 ・・・最終ロケットが打ちあがった後、地上は凶悪な爆風に包まれ、何も残さなかった。

 

 

 だが、ある噂が月にロケットが到着した後、騒ぎになった。

 

 

 最後の最後に殿を務めた矢川という男が、地上にメッセージを残した、と言うものだった。

 

 

 変人部隊の軍旗の中心の一人の名前に大きくバツが描かれた絵と、ごめん妖怪全部倒した、また逢えたらいいな。という気の抜けるメッセージ。

 

 

 果たしてそれは嘘なのか、真実なのか・・・

 

 

 当のメッセージを残した本人の行方は、都の人々は二度と知ることはなかった。

 

 

 ・・・十数名を除いては。

 

 

 

 次回へ続く

 





 ありがとうございました。

 ・・・前作をご存知の方は分かるかもしれませんが、そろそろ奴らの出番です。

 次回もお楽しみに。
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