真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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物理法則、自然法則無視の戦闘回2回目です。

ゆっくりご覧下さい。


第十七話 しれっと物理法則無視するスタイル

「・・・!?」

 

 

首の無くなった胴体を見て檮杌が数瞬固まる。俺はそこを見逃さなかった。

 

 

「セアッ!」

 

 

左鉤突きが綺麗に檮杌の脇腹に刺さる。

 

 

「おおっ・・・!?」

 

 

攻撃の隙を出さないように、続けて肘打ち、両手突きからのゼロ距離撃ち、手刀、貫手、

 

 

「んん!?」

 

 

下段回し蹴り、中段回し蹴り、下段足刀、踏み砕き、上段足刀、発砲、

 

 

「隙が・・・」

 

 

振り上げ、手刀、鉄槌、中段膝蹴り、背足蹴り上げ、二連発砲、

 

 

「見つからん・・・!」

 

 

左上段順突き、右中段掌底発砲、右上段孤拳、右下段回し蹴り、左中段膝蹴り・・・

 

 

檮杌は防戦一方で、全く攻撃して来ない、いや、出来ない。

 

 

煉獄という、そこそこ仲の良かった友人が読んでいた本にあった技に拳銃を織り交ぜた連続攻撃。名付けて零獄。隙を与える暇が零なのと、自身のスタミナと集中力が零になるまで続けることから名付けられたパクリ奥義。オリジナル性は微塵もない。

 

 

先程の左中段膝蹴りで下がった檮杌の頭を掴んで、こめかみ部分を膝に打ち付け、同時に肘をもう片方のこめかみに叩きつける。通称ギロチン。そのまま少し肘の骨が食い込むように動かす。そしてもう片方の手で拳銃を構え、脳天に発砲する。

 

 

「・・・思ったより、はっきりした性格の技で気に入ったぜよ・・・!」

 

 

なおも檮杌は無傷。内臓や急所も攻撃されたような素振りすら見せない。弾痕すら残らないのは化け物の証。

 

ここまで来ると相当な恐怖だ。・・・まあこっちもまだ檮杌に首を掴まれたままなのだが。今動いてる胴体は首がない。

 

 

「仕方ない、次だ!」

 

俺は檮杌を担ぎ上げ、頭を下にする。そのまま自分は尻が地面につくように素早く足を曲げ、檮杌の頭を地面に打ち付ける。通称、スタイナー・スクリュー・ドライバー。

 

 

「ぬおっ!?」

 

 

気の抜けた叫びとともに檮杌の頭は地面に打ち付けられる。が、割れたのは地面の方だ。そのまま地面が振動したかと思うと、遠くの山が噴火した。石頭ってレベルじゃねえぞ。

 

「・・・流石に効くぜよ」

 

 

そう言いながらも檮杌は首をゴキリと鳴らすだけ。

 

 

「・・・ここから先、殺人奥義なんだけどなぁ・・・」

 

 

俺は全身に数億ボルトの電撃を流し、筋繊維を活性化させると共に、攻撃全てに電撃が入るようにする。檮杌も何度も拳を打ち鳴らし、全身から煙を上げる。

 

 

「・・・死ぬなよ?」

 

 

「こっちの台詞ぜよ」

 

 

高速で互いに接近する。檮杌は俺の心臓を狙っている様子。・・・なら!

 

「貰ったァ!!」

 

 

檮杌の拳は俺の心臓を貫く。数瞬速かった檮杌の攻撃に俺は吐血し、弱々しく檮杌の腹に掌を当てるだけになった。

 

 

そのまま俺は檮杌にもたれかかる。

 

 

「・・・終わったぜよか「いんや、ここからよ」ん!?」

 

 

放電。体内の電気を全て檮杌に流し込む。檮杌だけに電撃を絞り込み、地球程度なら焦げ付く電撃を流し続ける。

 

 

「おおおおお!?」

 

 

それでも尚檮杌の力は弱まらない。それどころか恐ろしい力で俺を離そうとする。が、電撃によって磁力も働いているため、なかなか離れない。

 

 

「このまま死ぬまでやるつもりぜよか・・・!?」

 

 

「当然!戦って、死ぬ。そうだろ!?ここで降参してくれるとありがたいんだがな!?」

 

 

檮杌は放電を喰らったまま悩み始めた。もう電撃も何とも思っていないようだ。殺人拳も世を儚んで出家するレベルの耐久性。

 

 

「・・・よし、今回は降参するぜよ!」

 

 

そう言って檮杌は抵抗をやめた。

 

 

「・・・そうか。なら、俺の勝ちかな」

 

 

俺は檮杌に首を投げてもらい、胴体に繋ぎ直す。と同時に心臓を再生させる。

 

 

「じゃが、心臓を抉っても、首取っても死なんのは流石に驚いたぜよ」

 

 

「あー・・・本体の心臓は別空間にあるから。お前が潰したのは量産品。首は元から外せるようにしてた」

 

 

「外せるように・・・って相当いかれとるぜよな・・・」

 

 

「後、どっかで会った事ないか?」

 

 

「いんや、見間違いぜよ。お前と俺は初対面ぜよ」

 

 

「そうか・・・」

 

 

俺は何故か既視感のあったのを気のせいだと意識の外に出す。

 

 

ふと、隣から拍手が起こる。いつの間にか混沌も目覚めていたようで、拍手に混じっていた。

 

 

「流石に檮杌と真正面で殴り合う馬鹿がいるとは思ってませんでしたよ・・・」

 

 

「唯の狂人にあらず・・・か。見事だな」

 

 

「いやもう・・・凄いんじゃない?」

 

「・・・まあ、俺負けたぜよから、窮奇、交代ぜよ」

 

 

窮奇と呼ばれた男は、腕を一振りすると風が吹き、手には傭兵の持っていた刀が握られていた。

 

 

「私が窮奇だ。・・・絶影と言ったな。剣客としてお相手願う」

 

 

「承った」

 

 

俺は手をかざして新月を呼び戻す。

 

 

「行くか?」

 

 

「了解した。・・・今回こそ手応えがあるのを願う」

 

 

そう言うと窮奇は消え去り、それと同時に俺の片腕の感覚が消えた。

 

 

「・・・おーう、マジか」

 

 

見ると窮奇は背後で抜刀しており、刀身には俺の血が付いていた。勿論左手は飛んでいる。

 

 

・・・剣速が見えない。

 

 

「次だ」

 

 

再び超高速で剣が振られる。俺は何とかしゃがんで回避しながら腕を再生し、義眼を無色透明なものに変える。途端に剣の振りが見える。見えるのだが・・・

 

 

 「おまっ、超高速で刀振りながら真空波も出せるのかよ・・・!?」

 

 

 しかも一振り一振りが達人の剣術に近い。何とか速度を上げて回避は出来るが、それでも体には真空波のせいで無数の切り傷が出来上がる。何とか防げているのがすでに奇跡に近い。

 

 

 「・・・仕方ないな」

 

 

 俺は義眼を発光させ、一瞬だけ窮奇の視界を奪う。その隙に俺は新月を腰に戻し、八岐の剣を鞘ごと出す。

 

 

 「剣術は雑になるが、こっちで押し切らせて貰おうか」

 

 

 八岐の剣で多少はひるんでくれるかと思ったが、逆に全員がニヤリと笑い、主に饕餮と混沌がゾクゾクしていた。

 

 

 「めっちゃ良いの持ってるじゃん・・・!」

 

 

 「おぉ・・・!?最低かつ最高の武器ですね・・・!」

 

 

「・・・業物、いや、いい意味での鈍だな。・・・行くぞ」

 

 

再度音速に近い連続斬りが襲いかかってくる。俺は回避を諦め、しっかりと八岐の剣を握りしめた。

 

 

「うおらあっ!」

 

 

横一文字に薙ぎ払う。全ての連撃を弾き返し、窮奇や他の奴らは回避したが、遠くに見えていた山が衝撃で斜めに切断され、崩れ落ちる。

 

「・・・くそったれが、剣客どころでは済まんぞ!?」

 

 

相変わらずの八岐の中の奴は容赦がないな・・・と、苦笑しつつも窮奇に斬りかかる。尚まだ鞘のついた状態。

 

 

「セアッ!」

 

 

剣と刀が激突する。やや俺が押しているが、それでも窮奇の能力には見張るものがある。

 

 

「・・・絶影、お前に頼みがある」

 

 

剣が激突していると言うのに窮奇がそんな事を言った。

 

 

「ん?何?降参すんの?」

 

 

「いや、饕餮の事だ」

 

 

窮奇はそう言うとわざとらしく鍔迫り合いの状態を作り、俺に近づいた。

 

 

「・・・おそらく私が敗れ、饕餮にもひょっとしたら貴公に負けるかもしれん」

 

 

「それが問題あんのか?なんなら引くぞ?」

 

 

「・・・そうではない。こう・・・饕餮は我々の中でも大きな傷を持つ奴でな。・・・あいつは家族を神に殺されている。それ以来神を、そして神を信仰する一族を恨み、今のように虐殺を繰り返している。・・・何の神かは分からない。が、貴公はおそらく神・・・」

 

 

鍔迫り合いのままより近づき、顔が密接する。

 

 

「良ければ・・・饕餮を部下にしてやってくれ。貴公のような神がいると分かれば、少しは元の、誰にも優しかったアイツに戻れるはずなんだ・・・」

 

 

そう言った窮奇の顔は重苦しいものだった。

 

 

「分かった・・・勝てたら良いけどな」

 

「感謝する。・・・が、これは別だ」

 

 

そう言って窮奇は俺の首を狙って来た。・・・野郎、殺す気は満々ってか・・・!?

 

 

「そうですかい、ならぶっ飛ばすまでよ」

 

 

俺は八岐の剣に力を込めて窮奇を一度遠くに飛ばす。

 

 

「何しようが勝負なんぞ勝てば良いんだよ。さっさとかかって来いよ」

 

 

俺は力を抜いて鞘の先端を地面につける。

 

 

「同感だな。・・・ハッ!!」

 

 

前兆なしに襲いかかって来た窮奇に、俺は八岐の剣を投げつける。

 

 

「貴様、武器を!?」

 

 

一瞬だけ窮奇は顔を手で覆った。その隙に俺は新月を抜刀し、窮奇の顔を斜めに切った。僅かな手応えと共に俺の横を高速で窮奇が横切る。

 

 

窮奇は足を止めると、俺の方を向いて刀を捨てた。

 

 

「降参だ。流石にあのタイミングで刀を投げるとはな・・・」

 

 

窮奇の顔には右目から左の顎にかけて、刀傷が出来ていた。

 

 

「いやいや、あの速度で襲いかかって来るとかお前しか出来ないだろ」

 

 

「そう言って貰えると励みになるな・・・悪いな、饕餮。力量足らずだ」

 

 

構いませんよ、と片翼をはためかせながら饕餮は笑って答える。

 

 

「・・・しかし、貴方もなかなかやるようだ・・・」

 

 

饕餮は翼を槍のように尖らせながら微笑んだ。

 

 

「なればこそ・・・殺す」

 

 

翼が周囲の人間の死骸や武器を取り込み始める。それはさながら高澤を貫いたあの謎の生き物のように・・・

 

 

「・・・私は、神が憎い」

 

 

徐々に翼は肥大化し、より黒さを増し、二つに裂け、さながら大きな顎のようになる

 

 

「運命が憎い」

 

 

饕餮の口角が歪み、饕餮を纏うオーラがどす黒くなる。

 

 

「自分が憎い」

 

 

周囲の天候が荒れ、次第に雨と雷を呼んだ。

 

 

「・・・さあ、止めて頂けますかね?」

 

 

俺は拳銃を饕餮に向けた。

 

 

 

次回へ続く




ありがとうございました。

次回、自然法則、物理法則無視の戦闘回のラストスパートです。

次回もお楽しみに。
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