真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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自分で前作を見返して、この頃の四凶のキャラがガバガバだったのに苦笑しつつ恥ずかしさを感じました。今もこんなモノ投稿してて恥ずかしいです。

ゆっくりご覧ください。


第二十二話 依頼

・・・彼女はそこに鎮座していた。

 

彼女は祟り神、太古から周辺の地を治め、今もこの地を治めている。

 

 

今回は村の者達を救った奇妙な一団がいると聞き、対談を求めた。

 

 

今は大和が勢力を広げている状態。彼女としても協力者が欲しい。

 

 

よって、威厳を持ち、相手に舐められないような気迫で対談を始めようとした。

 

 

「お邪魔しまーす。あ、八岐の剣引っかかった。・・・あ」

 

 

「龍神様ーッ!?」

 

 

最も、入ってきた奴の持っていた刀で誰か分かってしまったのでそんな事する必要がなかったのだが。

 

 

____________________

 

 

「こ、此度は八岐大蛇を鎮め、使役せし龍神様、わざわざこのような村に来ていただき誠に感謝存じ上げます・・・」

 

 

そう言って俺の前で龍華並みの身長の金髪の女の子が平伏している。運悪く彼女は祟り神だったらしく、その辺神々の頂点に君臨する八岐大蛇のせいで気づかれてしまった。控えろ八岐。

 

 

「やめてくれ恥ずかしくて死ぬ。もう隠す必要ねえな。最近大和に指名手配されてる一団のリーダーの・・・神谷龍一だ。後ろで正座してるのが向こうの国から連れてきた一団のボスの侵二、茶を飲んでるのが風魔、朝から酒飲んでるのが壊夢、欠伸してるのが幻夜だ。今回は村に入れてくれるようにしてくれて助かった」

 

 

何とか彼女・・・洩矢諏訪子には顔を上げてもらう。

 

 

「後敬語は無しで頼む。ギスギスして仕方ない」

 

 

「えーっと・・・これで良いのかい?」

 

 

「すまんな。・・・お前ら、一応自己紹介しとけ」

 

 

「ういーっす。どーも、幻夜でーす。混沌でーす」

 

 

「壊夢ぜよ。檮杌っちゅう妖怪ぜよ」

 

 

「風魔だ。窮奇と呼ばれる者だ」

 

 

「どうも。侵二と申します。饕餮でございます」

 

 

「以上。まあお互いに大和に逆らった者として宜しく。・・・けどあれだな、腑に落ちてなさそうだが?」

 

 

諏訪子は頷いた。

 

 

「・・・まあね。確かに私はここを昔から治めて、ずっと信仰されて来た。けど、今此処で大和に逆らうと、勝てたとしても被害は出るだろうな・・・と思ってさ。だったら、大人しく此処で私が降参して、村の皆に危害を加えたくないな・・・と思ってね。私は消えるけど、それが良いんじゃないかと思っちゃってさ」

 

 

「・・・自らの大事な物のために、自分を捨てる、か」

 

 

俺もその心は持っているので、否定し辛い状態になっていると、隣の風魔が嘲笑した。

 

「馬鹿か祟り神」

 

 

「んなっ・・・!?」

 

 

あのな、と風魔は頬杖をつく。

 

 

「確かにその心得は良しとしよう。だがな、それを持ってして置いていかれた奴がどうなるか、特に戦が関わった状態だとどうなるかを仮定しろ。昔から仕えていた上が殺されて、大人しく新しい指導者に下ると思うか?特にこの国は仁義に重いらしいな。なら尚更のこと村の奴らは反抗し・・・全滅するだろうな。何ともまあどいつもこいつも思い通りに行かない下らん結末になるわけだ」

 

 

風魔は頬杖を解き、腕を組んだ。

 

 

「自己犠牲を考える暇があるなら、他国に協力を求めるなり善処しろ。・・・最も、そんな酔狂な国はないな。国は。だがな。入国していきなりの罵声で申し訳ないが、それが率直な意見だ」

 

 

風魔は言い切ると、再び茶を啜った。

 

 

「・・・まあ風魔の言う通りな訳で、あんまり良くはないだろうな。で、どうする?このまま俺らみたいな犯罪者置いておくと、確実に滅ぼされますが?」

 

 

諏訪子は頭を垂れたのち、俺たちに平伏した。

 

 

「・・・勝手なのは分かってる。けど、お願いします。・・・協力してもらえるでしょうか・・・!?」

 

 

仕方ないので俺は拳銃を構えた。

 

 

「理由は?」

 

 

「・・・勝手だよ?やっぱり自分の村は最後まで見たくてさ。・・・消えたくないって思っちゃったよ」

 

 

俺は拳銃を袖にしまい込んだ。

 

 

「須佐男よりはしっかりしてら。・・・良いぜ。とりあえず俺は手伝う・・・お前らはどうする?」

 

 

風魔は溜息をつき、苦笑した。

 

 

「火をつけたのは私だからな。それに、国はないと言ったが、個人はないとは言ってないのでな。・・・手伝おう」

 

 

すると、壊夢はバンと膝を叩いた。

 

 

「よし!俺も乗るぜよ!」

 

 

侵二は悩んでいたが、凶悪な笑顔を浮かべ、頷いた。

 

 

「・・・八百万が相手ですか。勝算を主上が覆すと仮定すれば行けますし・・・殺せるとすれば、ちょっと楽しみですねェ」

 

最後に、幻夜が立ち上がった。

 

 

「・・・んー、面倒だし嫌だな。ご飯貰ったけど、そこまでする義理ないし・・・別行動しても良いんでしょ?」

 

 

「別に口挟む義理は無いしな。抜けるんだったら別に良いぜ。どうとも思わない」

 

 

「オッケー、じゃあ抜けよっかなー」

 

 

「そう・・・かい。でもありがとう」

 

 

「ありがとうの意味が分かんないね。まあ、無理せず頑張ってね・・・そこの四人で済むと思うしね」

 

 

そう言って幻夜が退出しようとすると、7歳ぐらいの女の子が駆け込んで来た。緑色の髪で、7歳の割にはしっかりしていそうな子だ。

 

 

「諏訪子様!大和と立ち向かうってのは本当ですか!?」

 

 

「・・・このちっちゃいの誰?」

 

 

幻夜が目を細めて聞くと、諏訪子は答えた。

 

 

「・・・ウチの巫女だよ。縁、この人達は協力してくれる人達だよ」

 

 

そう諏訪子が言うと、縁と呼ばれた女の子は、ぺこりと挨拶をした。

 

 

「初めまして!東風谷縁(こちやえにし)と申します!」

 

 

縁は挨拶をすると、幻夜をキラキラした目で見た。

 

 

「貴方も助けてくれるんですか!?」

 

 

「え、いや・・・」

 

 

面倒だし辞めようかなー、と言う幻夜の小声が聞こえなかったのか、縁は幻夜にお辞儀をした。

 

 

「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

 

 

「・・・こーゆーのせこいと思います。・・・僕も乗るよ。やだなぁめんどくさいなぁ・・・」

 

 

幻夜はそう言うと、縁を抱え上げ、部屋に中央に戻ってきた。

 

 

「・・・保育士幻夜「ちょっと侵二黙ってくれる?」・・・では主上、全員乗ると言う事で行きましょう」

 

 

「ドンマイ幻夜。「煩いなぁ」「どうかしましたか?縁が悪いことをしてしまったのですか・・・?」「大丈夫、してないよ!」・・・フヘッ」

 

 

変な声が出た。幻夜がイライラしながらも縁に笑顔を見せ、俺に文句を言った。

 

 

「何鼻で笑ってんのさ、・・・仕方ないなぁ、殺せば良いんでしょ?」

 

 

「本当にありがとう・・・!」

 

 

「礼は全部済んでからだな。・・・さーてお前ら、今から何をするか分かってるな?」

 

 

「カチコミぜよな!「馬鹿者、暗殺だろう」「落ち着いて下さい、誘拐からの脅迫ですよ」「違うでしょ、昼寝でしょ?」」

 

 

「誰一人合ってねえよ!食料の補給からだろ?・・・ああそれかみたいな顔するな!掠ってもいねえよ!そもそもお前らの考える作戦は何だよ?」

 

 

「では聞いて頂けますか?」

 

 

「良いよ、聞いてやるよ。まず壊夢、「正面から殴り合いぜよ!」何人相手すると思ってんだ、却下ァ!風魔、「主格暗殺からの残りの殲滅」良さげに聞こえたが主格が俺の妹なので却下!侵二、「主格誘拐からの脅迫で対等に」緩いから却下。後俺の妹に怪我させない方針で。幻夜「もう僕らであらゆる面で本拠点攻めれば良くない?」半分採用して後半分は面白み無いので却下!」

 

 

「じゃあどうするの?あんまり働くの嫌だよ?」

 

 

ブツブツと嬉しそうに撫でられている縁を撫でながら幻夜が質問してくる。

 

 

「・・・普通に相手の本拠点を封鎖して信仰減らしてからの疫病と食料、水不足で和平を懇願しに来たタイミングで乗り込んで決着だろ。「どこが普通だ」「鬼じゃのお・・・」「相変わらず酷い作戦だ・・・」「縁の教育に悪そう」「・・・流石に龍神の作戦としちゃエグい気がするよ?」・・・文句言う割には嬉しそうにしてる三人は何だ。後幻夜はいつから縁の親になった」

 

 

「だって可愛いし。将来こんな子が欲しいなー」

 

 

そう言いながら幻夜は縁の頭に顎を置く。縁は少しだけくすぐっそうにする。

幻夜がどこか別の次元に目覚めそうなのでさっさと引き戻そう。

 

 

「まあ計画の話に戻る。結果準備に三年、封鎖に一日、兵糧攻めに三年、疫病に一年、よって七年と一日で完了予定とする計画だ「戦争でもここまで伸びんぞ。戦乱時代か?」「えらく長い間かかるのぉ・・・」「やっぱ鬼畜じゃないですか」「それなら縁も変なとこ見なくて良さそう「何がですか?」んーん、何にもないよえーちゃん」「別にそこまで悪意丸出しで村守ろうとまでは思ってなかったんだけどね・・・後、ウチの巫女を勝手に手懐けるのはやめてくれないかい?」そろそろ落ち着けや幻夜ァ!」

 

 

幻夜が戻ってこない。

 

 

「冗談冗談。えーちゃんは向こうで待っててねー「また後で遊んで下さいますか?」当たり前じゃん、また遊んだげる。「分かりました!」・・・ちょっと本気出すわ」

 

 

保育士がアップを始めました。

 

 

「やる気満々で嬉しいんだが、準備にかかるぞ。これから三年程かかるが大丈夫か「一日で行けるよ」・・・寝言やめろや」

 

 

寝言じゃないよと幻夜が手をコキリと鳴らす。

 

 

「あれでしょ?米五千人分のを三年分でしょ?終わる終わる。・・・じゃあ行っきまーす!」

 

 

幻夜が侵二から増殖用の米粒を受け取ると、宙に放り投げ、指を鳴らした。

 

 

「促進!どんどん増やしちゃおうねー」

 

 

空から投げた米が落ちて来る。数億倍以上になって。

 

 

「はあ!?お前そんな能力あったのかよ!?」

 

 

いんや、と幻夜が稲の雨の中首を振る。

 

 

「植物に季節が巡ったと誤認させた。つまり、勘違いさせて大急ぎで種から成体まで成長させただけだよ。後は回収場所考えれば完璧だよ。じゃあえーちゃんと遊んで来まーす」

 

 

そう言って大量の稲の山を残したまま幻夜は去った。化け物かあいつは。化け物だったわ。

 

 

「じゃあ回収が私が・・・」

 

 

そう言って侵二は翼を広げる。

 

 

「この中に入れて下さい。一応これは胃と繋がってない奴です」

 

 

「じゃあ入れていくぜよ!」

 

 

「そうだな」

 

 

そう言いながら、風魔が米を風で脱穀して樽型に圧縮し、それを壊夢が担ぎ上げ、翼に放り込む。見ているうちに米の山は消え去った。

 

 

「・・・龍一、アンタ、変なの連れて来たね・・・」

 

 

今後悔してるからそれは言わないで欲しかったかな。

 

 

 

次回へ続く

 

 




まあ普通配下にしたって面倒だったらサボろうとする奴居ますよね。てな訳で幻夜は基本私利私欲で従います。まあ他の奴らも自分勝手ですよ。


次回もお楽しみに。

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