真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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これから暫くはオリジナルストーリーとなっております。

ゆっくりご覧下さい。


第三話 教育

 「・・・はい?須佐之男(すさのお)の再教育?」

 

 

 「駄目ですか・・・?」

 

 

 潤んだ瞳で俺を見つめてくる龍華。まあそもそもの何故こうなったかを説明しよう。

 

 

 地球創作の基礎(大半)を一人で創った俺は、休息と働きたいとごね始めた龍華のために仕事・・・神々の制作を任せたのだ。

 

 

 初めは大成功。見事伊邪那岐(いざなぎ)と伊邪那美(いざなみ)を作り出し、北欧、ギリシャ、中国など、様々な神を作っていた。がしかしだ。調子に乗ってドカドカ作ったせいで監視が雑になり、伊邪那美と伊邪那岐が生と死の狭間で夫婦喧嘩(俺が仲裁した)。西洋の辺ではラグナロク勃発(俺が仲裁の拳骨を入れた)。意味の分からない神話生物が出没(俺が間引き)。等々、非常に(俺にとって)面倒なことをしてくれた。しかし怒ろうとしたが・・・

 

 

 「だって、にーさまも多いほうが賑やかで楽しいと思って・・・ごめんなさい・・・」

 

 

 と泣きながら言われたので仕方なく俺があらゆる場所に介入、仲裁という武力で制圧していった。

 

 

 おかげさまであらゆる場所で龍一の名が【鎮圧神】だの【拳骨神】だの【シスコン神】だの不名誉な二つ名が誕生しまくった。全部捨てた。

 

 

 そして今度は大和で伊邪那岐の息子の須佐之男がやりたい放題。それを見てブチ切れた姉の天照(あまてらす)が引きこもり。日が昇らなくなりました。めでたしめでたし。

 

 

 ・・・と言ったわけであらゆる神が知恵を絞り、天照を出そうとしていたのを横目に俺は引きこもった先の天岩戸を粉砕、全員が驚愕する中、無理やり中に入って五時間の説教の後引きずり出した。その時【説教神】の名を賜った。捨てた。

 

 

 そして追放された須佐之男を訪ねると、なんとまあ真面目な奴だった。どうもおかしいので調べると、虚言を吐いた奴が十人ほどいた。勿論訪問した。全員説教した。十人ほどが情けなく黙っていて下さいと土下座したので龍華には伝わっていない。

 

 

 そのせいで須佐之男がまだ良くない奴と龍華は思っているらしく、須佐之男の教育を泣く泣く龍華が頼んできた・・・ということだ。

 

 

 「いや・・・教育ってなぁ、どうするのよ?」

 

 

 「だってぇ・・・須佐之男が八岐大蛇(やまたのおろち)討伐するって言ってるんだもん・・・駄目でしょ・・・?」

 

 

 確かに八岐大蛇レベルの神話生物、いや神を征伐するのはまあ良くない。しかも八岐大蛇は山神の筈・・・そんな自然の摂理を操るやつを殺されても困る。

 

 

 「・・・これで何回目かな龍華さん?」

 

 

 「・・・二十回目です」

 

 

 「・・・はぁ、仕方ねえなぁ」

 

 

 「・・・ぐすっ、だってぇ・・・にーさまが喜ぶと思ってぇ・・・」

 

 

 「あーもうぐずるな!仕方ないから全部丸め込んでやるよ!その代わりどうなっても知らんぞ!」

 

 

 龍華が今にも泣きだしそうだったので仕方なく引き受けると、龍華が抱き着いてきた。

 

 

 「・・・にーさまぁ、大好きですぅ・・・!」

 

 

 ・・・つくづく甘い兄貴だと思う。・・・だがまあ今回は須佐之男が心配なので受ける。

 

 

 ____________________

 

 

 「・・・で、お前マジで八岐大蛇狩るの?」

 

 

 俺はあの後大急ぎで須佐之男の現在位置へ移動した。須佐之男と須佐之男に飯を渡していた爺さんをたまげさせてしまった。爺さんから拳骨神様・・・!と言われたので訂正しておいた。

 

 

 「・・・申し訳ありませんが兄上、私は狩らねばならぬのです・・・」

 

 

 今更ながらどこの神も俺を兄上と呼ぶ。強制はしなかったが生みの親の龍華の兄だかららしい。後言い回しがメロスくさい。

 

 

 「まあいいけどさ。そんな場も重苦しくねえし。手伝ってやるわ」

 

 

 「本当ですか!?」

 

 

 「まーな。・・・だが、条件がある。八岐大蛇を狩る理由と、狩った後の武器をすべて寄越すこと。二つだけだ。じゃ、理由どうぞ」

 

 

 須佐之男は厳しい表情になると言った。

 

 

 「・・・先ほど食事を送ってくださった方の娘が、明日、生贄となるのです・・・そもそも娘は八人もいたのですが、ある年に突然現れ、生贄として娘を差し出したそうです。そのおかげか何事もなかったのですが、一年後、再び現れて・・・

 そういった状況が続き、次の娘が最後・・・私はそれを止めたいのです」

 

 

 「へー・・・そのために山の神を殺すか小僧。増長しておるのではないか?そもそもほかの神のテリトリーに入ること自体違法だが、どうする気だ?まさかんなどーでもいい理由だけでか?なら手伝わんぞ。帰る「惚れたからです!」・・・あ?」

 

 

 須佐之男が顔をまっすぐ上げて俺を睨む。

 

 

 「娘に惚れたから助けるんです・・・今更自分勝手が何ですか。どうだっていいです!死んでもかまいません!」

 

 

 俺は拳銃を須佐之男に突き付けた。

 

 

 「じゃあここで死ぬ?」

 

 

 須佐之男は更に俺を睨む。

 

 

 「別にいいですよ、しかし、兄上にそんな中途半端なことができますかね?「出来るんだよなあ・・・」んなっ」

 

 

 撃った。

 

 

 「・・・ん?空砲だったわ」

 

 

 「・・・ほら、やっぱり無理じゃないですか「あ、不発なだけだった」え・・・?」

 

 

 絶句する須佐之男に笑いかける。

 

 

 「まあ・・・その根性と運、気に入った。しょーもないが最高の理由だしな。受けてやる。ぼーっとすんな、狩り方教えろ」

 

 

 俺は半ば放心状態の須佐之男を揺する。

 

 

 「はっ!」

 

 

 「おい、まだ寝てんのか?狩り方教えろって言ってんだよ」

 

 

 「あ、はい!」

 

 

 須佐之男の説明はこうだった。八岐大蛇を酔わせて斬る。恐ろしい程シンプルだ。

 

 

 「酒ねぇ・・・まあ良いんじゃない?そのかわり、お前の持ってる十束の剣?だったか?折れても良いから八岐大蛇を斬ったらくれよ?危ないからな。貰っておく」

 

 

 「はい、分かりました!・・・でも、本当に協力して頂けるんですか・・・?」

 

 

 「お前もう一回撃ってやろうか?手伝うと言ったんだ。二言もクソもねえよ」

 

 

 俺は須佐之男に頼まれた酒を運びながら笑う。

 

 

 「俺も八岐大蛇を気にしてるんでな。そんな生贄欲しがる奴じゃなかったんだがな・・・」

 

 

 多少の気がかりはあるものの、俺はそれを振り払った。

 

 

 「まあ会えば分かるだろ・・・」

 

 

 そして、いざ討伐の日はすぐにやって来た。

 

 

 「須佐之男命様、どうか娘を・・・!」

 

 

 「・・・分かっている。案ずるな、約束は果たそう」

 

 

 「龍一様も何卒・・・!」

 

 

 多くの村人が須佐之男と俺に懇願してきた。・・・俺はこれが嫌いだ。

 

 

 「いーけどよ、どうなるかはお前らの日頃の行い次第だからな」

 

 

 村人の懇願がぴたりと止む。須佐之男が俺に小声で何かを言うが、無視。

 

 

 「・・・まあ死人は出さんようにする」

 

 

 どっと歓声が沸き起こる。しみったれたお願いムードは大嫌いだ。

 

 

 「行くぞ須佐之男」

 

 

 「はい!」

 

 

 俺は打刀を据えて向かった。

 

 

 ____________________

 

 

 「で?ここ?」

 

 

 「はい、このあたりの筈ですが・・・」

 

 

 「ほーう・・・あ、来たな「分かるんですか!?」分かる。片目だろうが変わらんだろ」

 

 

 義眼の設計はまだ完了していない。よって片目だが、特に支障もない。

 

 

 俺は須佐之男を茂みに引き込むと、巨影を睨んだ。

 

 

 周囲に漂う生臭い匂い、ズルズルと地面を這う音、シューという不気味な音。

 

 

 「あれ、ですか・・・!?」

 

 

 姿が見える。一つ一つが死を連想させる巨大な鎌首と十六個の不気味な光、ぬらりと輝く体、鞭のような八本の尾、どす黒い体色。

 

 

 「そうだよ、あれが八岐大蛇だよ。怖気づいたか」

 

 

 「まさか・・・!」

 

 

 須佐之男が震えながらもニヤリと笑う。

 

 

 お構いなしに八岐大蛇は俺たちの用意した酒を飲み始めた。酔い潰れた。酒、弱ッ!

 

 

 「・・・やってこい。俺の出る幕最後しかねーわ」

 

 

 「分かりました!」

 

 

 そして須佐之男は十束の剣を構え、振り下ろした。

 

 

 飛び散る血飛沫、のたうち回る斬られた頭部。見ていい気はしない。

 

 

 そして須佐之男は、最後の頭部を

 

 

 「終わりだ!」

 

 

 斬り落とした。

 

 

 

 次回へ続く




前の失敗作をご存知の方はご存知と思いますが・・・

ここの主人公、クソ野朗(自称)です。


次回もお楽しみに。
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