真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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全話から更に何年も飛びます。

ゆっくりご覧ください。


第三十四話 拝啓、最愛の人へ

・・・縁が20歳になった。もう十三年も前の話から、こんなにも進んだ。

 

____________________

 

えっとね・・・初めは、正直やる気が無かった。諏訪子の事も、村の事もどーでも良かった。別に滅びようが気にせずご飯も進めれた。なのに君に会った途端・・・どうでも良いとは思えなくなった。

可愛かった、愛しかった、ギュってしてあげたかった。・・・でも、今はもうそんな事しなくても良いよね。

本当に大きくなった。

ちょっと昔話しよっか。

 

 

・・・十歳の時、君は初めて僕をお父さんと呼んでくれた。呼んで良いですかって言ってくれた。とても嬉しかった。そりゃもう叫びそうになるくらいヤバかった。後で風魔にどつかれた。凄く痛かった。

あの時一緒に食べたお団子は、とても美味しかった。

 

 

十四歳の時、僕は君におぞましい姿を見せてしまった。神奈子の御柱を凍結させて砕いた。それから数ヶ月後、やってきた妖怪をズタボロにした。目玉くりぬいたりした。

気味悪いよね。親が異能力を持ってるってのはさ。でも君は・・・凄いと、本当に尊敬の眼差しを向けてくれた。すごく照れ臭かった。

その時食べたお団子は、なんだか熱かった。

 

 

十四歳の時、僕と諏訪子と神奈子が大喧嘩した。理由は縁が誰が一番好きか言い争った事からの喧嘩だった。あの時君は全員選べないと言った。諏訪子や神奈子に並べて嬉しかった。

・・・ま、ここだけの話、あの後こっそり僕が一番って恥ずかしそうに言ってくれたけどね。残念だったねお二人さん?今どんな気持ち?

その時食べたお団子は、甘い蜜の味がした。

 

 

十六歳の時、僕と君は喧嘩した。理由は覚えてない。けど、君からは、こんな親要らない、出て行く。僕からは君なんか娘じゃない、出て行け。そう言った。

・・・凄く、悲しかった。

喧嘩してその日の夜、ヤケクソに行きつけのお団子屋に入ったら、ばったり相席になって、お互いテーブルに頭ぶつけて謝り倒したっけ。こっちが悪かった、いやこっちが悪かった、ってね。店長にも笑われたよね。

あの時食べたお団子は、ちょっとしょっぱかった。

 

 

十八歳の時、君は彼氏を連れてきた。

・・・いやもう、あの時はごめんね?こんな世界要らないって言って暴れたよね。彼氏君・・・いや、今は旦那さんか。旦那さんが吹雪吹き荒れる凍土の中、土下座してお付き合いさせて下さいッ!って言ったよね。羨ましかった。微笑ましかった。・・・だから認めたけどね。

その日のお団子は、ちょっとほろ苦かった。

 

 

ここまで話したけど・・・一つだけ、君に隠してた事があるんだ。

僕は君の義理ではあるけれど、お父さんなのは間違いない。そうなれるよう努めてきた、理想のお父さんのために頑張った。

でもね・・・一個だけ、言えなかった事があるんだ。

 

 

 

僕は君を好きになっていた。親としてじゃなく、魅力的な女の子として、異性として。お嫁さんにしたいぐらいね。君が僕をそう想っていた事も知っている。けど、僕じゃダメだったからさ・・・

今更だよね?それに僕は君のお父さん。ホントはそんな事思っちゃダメなのにね。ごめんね?

・・・あれ、なんで泣いてんだろ。

 

 

ともかく!僕は君の事が好きだったよ。でも君は彼氏君を選んで、旦那さんにしようとしている。悔しい、羨ましい、妬ましい。

・・・でも、とっても嬉しい。君が幸せになってくれて、本当に嬉しい。

 

 

・・・二十歳になってそして今、君は他人の物の女の子になろうとしてる。奥さんになろうとしてる。

結婚しようとしてる。

・・・良かったよ。僕は人並みにお父さんになれたらしい。ダメダメなお父さんだったでしょ?

まあ諏訪子と神奈子よりはご飯上手かったと思うけどね!ねえ諏訪子!神奈子!ちゃんと料理しなよ!

・・・その、最後になるけどさ。僕は君に会えて良かった。君というかけがえのない娘に会えて良かった。君という女の子に恋ができて良かった。

君のお父さんになれて、良かった。

こうして今、手紙を読んでいるのは

 

 

「違和感まみれなんだけど、一応君の一番の保護者だからね。・・・さてと、彼氏君、君は縁を選んだ。ありがとう。これからお願いね。・・・一応言うけどさ、泣かせたら一族友人動植物まで全部氷漬けにするからね?僕は君がすごく羨ましい。でもね、・・・まあその、なんだろ、君にお父さんって呼ばれるのは、嫌じゃないよ。嬉しい。君なら仕方ないと思うしね。縁の隣が君で、すっごく安心する。・・・カッコつけて言うと、娘をよろしく頼む。なーんてね、へへっ」

 

 

僕は微笑み、式場中央で涙ぐんでいる縁を見て微笑む。

 

 

「じゃあ最後に一言。縁、これからは僕の娘じゃなくて、彼氏君の奥さんとして、幸せになってね」

 

 

「・・・っ、はいッ!!」

 

 

縁が不細工なほど涙を流し、僕にしがみつく。

 

 

「・・・はあ、えーにーし、今抱きつくのは彼氏君でしょ?何でそこでこっち来るかなー」

 

呑気に言っているものの、僕の目からも涙がボロボロと流れる。

 

 

「お父さん、ありがとう・・・私、貴方の娘で良かった・・・!」

 

 

「ちょっと、やめてよー、泣くじゃんかー・・・大好きだよ、縁」

 

結局式は僕と縁が泣きじゃくって滅茶苦茶。ごめんね彼氏君。

 

 

____________________

 

 

「・・・落ち着いたかい?二人共?」

 

 

「申し訳ありません、諏訪子様、神奈子様・・・」

 

 

「いやー、ごめんごめん、なんかごめんね、彼氏君」

 

 

諏訪子と神奈子に呆れられ、彼氏君には大丈夫ですよと微笑まれる。

 

 

「・・・まあ、幻夜が寝る間も惜しんで作った手紙だからねえ、そりゃ泣くさ」

 

 

「ちょっと神奈子、その話はやめてってば」

 

 

縁に驚いた顔をされるので、僕は笑って誤魔化す。

 

「まあ、ね・・・ちょっと欲張り過ぎちゃったけどね」

 

 

二十歳になっても変わらない縁に、昔通り軽い口調で笑う。

 

 

「もう、幻夜さんはいっつもそうです!ちゃんと休んでください!」

 

 

縁も同じように子供の頃の口調で返してくれる。

 

 

「フフフ」

 

 

「んー?フフッ」

 

 

二人して微笑んでしまう。・・・でも、そろそろお別れの時だ。

 

 

「・・・さて、縁、ホントに申し訳ないんだけどさ、「知ってます、そろそろ村を出るんですね?」・・・うん」

 

 

「行ってきてください。お父さんにはお世話になりました、もう頼り切ってはいられません!」

 

 

「そっか・・・そだね、じゃあ、また今度遊びに行くね!」

 

 

「はい!・・・あ!お父さん、一つお願いが」

 

 

「ん?」

 

 

縁は申し訳なさそうに頬を掻いた。

 

 

「あの、勝手なんですけど、娘、その先の家系も・・・困ったら助けてあげて下さい。初めて私がお父さんを人間として見ないお願いです」

 

 

僕は微笑んだ。

 

 

「しょーがないなぁ・・・分かった。困ってたら守るよ。お父さんとのお約束だ。その代わり、僕が混沌だと言うことは伏せてね。これを知れば君の家族は歪んでしまう。・・・まあ、分かってくれてるよね」

 

 

「はい!・・・幻夜さん、大好きです!」

 

 

「彼氏君が妬くよー?・・・僕も大好きだよ」

 

 

僕は笑って、いつも食べているお団子を人数分取り出す。

 

 

「じゃ、今日も思い出作り。皆で食べよっ!」

 

 

「はい!」

 

 

 

この日食べたお団子は、今までの中で一番美味しかった。

 

 

 

____________________

 

 

「・・・って事があって、今もお爺さんは何処かで見守ってくれているのよ」

 

 

「へえー・・・ねえお母さん、お爺ちゃんは今何してるの?」

 

 

「そうねえ・・・いつも何してるか分からないからねぇ・・・」

 

 

母と思わしき女性は、娘の頭を撫でた。

 

 

「でも、きっと見てくれているわよ。・・・私との約束だもの」

 

 

「良いなぁー・・・あ!お母さんって、お父さんとお爺ちゃん、どっちが好きなの?」

 

 

「え?それは・・・」

 

 

「どっちー?」

 

 

「んー・・・やっぱりお父さん、かな?」

 

 

「そーだよね!聞いた!?神奈子様、諏訪子様!お母さんお父さんの方が好きなんだって!お母さんとお父さん、ラブラブだねー!」

 

 

「そーだねー。ホント昔からだねえー」

 

 

嬉しそうに笑う娘を見て、母親は微笑み、内心少し舌を出した。

 

 

「(そりゃあの人の方が好きよ。でも、お父さんはそれ以上、他と比べられない程大好きなのよね!)」

 

 

何千年も先、この母親とその父の約束は果たされることになるが・・・

 

 

「っくしゅん!・・・誰か噂してんのかな?」

 

 

 

それはまた、もっともっと先のお話。

 

 

次回へ続く




ありがとうございました。

まだまだ完結しませんからね?


次回もお楽しみに。
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