真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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幻夜視点、まだまだ続きます。

ゆっくりご覧ください。


第三十五話 初めまして

 

縁と離れて以来、ちゃんと連絡はしているものの、やっぱり寂しいね。

え?縁の事が好きだったのかって?あれは・・・嘘だよ。縁に諦めさせるためだよ。・・・前々から、特に17頃から僕の事気にしてたのは知ってたから、あの場所で敢えて、ね。酷い親だなぁ・・・やっぱろくな親じゃないね。全然見てないくせに、変なタイミングで心配しないようには心がけてたけど、難しいね。

 

「・・・まあ、娘としては凄く好きだったしなぁ・・・嘘ではないかもね」

 

 

あれから早くも五年。縁は無事第一子を出産。女の子だった。もう見て死ぬかと思うほど可愛かった。彼氏君感動でガン泣きしてたな。やっぱりあの子で良かった。ちなみに僕もガン泣きした。

 

 

そんな中、僕は面白い情報を手に入れた。何しろこの辺りに「花妖怪」がいるとか。しかも滅茶苦茶美人で滅茶苦茶強いとか。

・・・そんな事聞いたら見たくなるよね!って事で、絶賛その妖怪のいる「太陽の畑」探し中なんだよね。でも中々見つからない。

 

 

「何処かなー・・・」

 

 

いつも通りフラフラと歩いていると、綺麗な向日葵の花を見つけた。

茎はしっかりと伸び、力強く支えている。

花弁は太陽をそのまま下ろしたような鮮やかさを持つ黄色で、一枚一枚が気高く咲いている。茎から生える葉も大きく、青々としており、虫食いの箇所が一つもない。

 

 

「凄い・・・これを育てたのは天才かな?」

 

 

いやもう凄いね。こんな綺麗な向日葵初めて見た。それも辺り一面。よく見ると、目の前の金色の地面は全部向日葵だった。

 

 

「ひょえー・・・」

 

 

僕が気の抜けた声を出していると、畑の右側から誰かが歩いて来た。目が合った。

 

 

「あら、こんな所に何者かしら?・・・でも、向日葵は悪い人ではないって言ってるものね・・・貴方、何しに来たの?」

 

 

縁のような緑髪、僕より少し低い身長、ちょっと鋭いけれど、綺麗な赤い瞳、優しそうな顔・・・

 

 

「・・・い」

 

 

「何?聞こえないわ」

 

 

「・・・めっちゃ可愛いッ!!」

 

 

やばい死ぬ。縁の娘くらい可愛すぎて死にそう。浄化されて死にそうなくらい可愛い。あー、笑顔で溶けそう・・・そりゃ作る向日葵も綺麗だよね。

 

 

「ちょっと!?貴方!?」

 

 

「はっ!?・・・ごめんなさい。ついつい向日葵と君が綺麗なもんで、ちょっと死にそうに・・・」

 

 

「向日葵はともかく、私で!?」

 

 

驚く顔も可愛い。もう死んでもいいや。これが一目惚れって奴かあ・・・

 

 

「・・・んんっ、ともかく、貴方は向日葵を見に来たのね?何もする気は無いと?」

 

 

咳払いも可愛い、じゃなくて!

 

 

「そだね。向日葵と言うか、綺麗な花畑を見に来たんだよね。後、君の噂聞いてかな。噂以上に可愛くて死にそう」

 

 

「そんな理由で死なれても困るのだけれど・・・」

 

 

「そだね、ごめんね」

 

 

彼女はふうと息を吐いた。可愛い。さっきの困り顔も可愛い。もう抱きついて頭撫でたい。・・・落ち着いて、リラックス、リラックス・・・

 

 

「・・・まあ、良いわよ。花を見に来たのよね?案内してあげるわ、私の作った花畑をね!」

 

 

誇らしげに笑う彼女も、やっぱり可愛らしい。理性大丈夫かな。

 

 

____________________

 

 

「そう言えば貴方、名前は?」

 

 

一通り見せてもらい、僕も彼女も満足していると、彼女がふと聞いて来た。

 

 

「んっとね・・・幻夜。まぼろしの幻に、夜って書いて幻夜。君は?」

 

 

「幻夜ね。私は風見幽香(かざみゆうか)、幽霊の幽に、香りの香よ。幻夜、聞いたことがあるわね」

 

 

「そー?結構いる名前なんじゃない?・・・ところで幽香はいくつ?」

 

 

幽香はいたずらっぽく微笑んだ。

 

 

「いくつに見えるかしら?」

 

 

「んー・・・十、八?」

 

 

幽香は嬉しそうに笑った。

 

 

「お世辞でも嬉しいわ。・・・でも、ここに来たからには、私が妖怪なのは知ってるわよね?本当は幾つだと思う?」

 

 

僕はキョトンとして首を傾げた。

 

 

「・・・まさか、本当に言ってるの?」

 

 

「え?そうじゃないの?・・・なら、十九!」

 

 

幽香は僕を見てポカンとした顔をして、クスリと笑った。

 

 

「貴方、子供みたいね。・・・私は三百十八歳よ。残念ね。・・・貴方は幾つかしら?」

 

 

僕は幽香に似せて、悪戯っぽく笑った。

 

 

「幽香は幾つだと思う?そもそも何者だと思う?」

 

 

そうねえ・・・と、幽香は顎に手を当てて考え始め、すぐに答えた。

 

 

「旅の人間・・・かしら?歳は十七?いや、それだと若過ぎるわね・・・子供っぽい二十一、かしら?」

 

 

「残念。人間じゃないよ。・・・歳も、幽香より上、かな?」

 

 

「本当に!?私より上なんて初めて聞いたわ!」

 

 

「そう?えっとねー・・・聞いたら戻れないけど良い?」

 

 

「何それ?変な感じね。・・・気にしないわよ、教えてくれる?」

 

 

じゃあ良いやと思って、僕は微笑んだ。

 

 

「はーい。・・・改めて、僕は幻夜、混沌さ。歳は二億と八千七百万・・・くらいかな。お嫁さん探してまーす」

 

 

幽香が腰を抜かした。

 

 

「こ、混ッ・・・混沌!?」

 

 

「うんそう。混沌。ついこの前まで指名手配犯だった混沌」

 

 

そうなの・・・と、幽香が立ち上がろうとするので、僕は手を貸してあげる。・・・すっごいスベスベな手だなー

 

 

「ありがとう。・・・ちょっとイメージと違うわね。もっとこう、粗暴で悪そうなイメージだったわ、ごめんなさいね」

 

 

「いーよ。でも僕だって生きてるからさ、植物とか好きだし、花を見たら和むよ?」

 

 

「そうよね。・・・変に境界を引いちゃってたわね。今度友達に教えてあげないといけないわ」

 

 

「そーそー、悪いイメージばっか言われると、こっちもへこむからね。まあ嬉々として受け入れてる奴もいるんだけどさ」

 

 

ところで、と僕は幽香に質問をする。

 

 

「幽香は彼氏とか旦那さんいるの?」

 

 

「ブフッ!?」

 

 

幽香が噴き出した。・・・そんな変な事聞いたかなー

 

 

「ゲホッ、ゴホッ、・・・いないわよ。いきなりで驚いたじゃない」

 

 

「ごめんごめん。まあつまり、僕にもチャンスはあるわけだね」

 

 

「ブッ!」

 

 

再度幽香が噴いた。

 

 

「・・・嫌?」

 

 

「ゲホッ、・・・別に嫌とかそんなのじゃなくて、突然過ぎるし、早過ぎるわよ」

 

 

「そっかー」

 

 

嫌ではないと遠回しに言ってくれているので、内心ガッツポーズのまま踊ってる。

 

 

「・・・そもそもそんな事言われたの初めてだから、どうしたら良いか分からないじゃない・・・!」

 

 

幽香は何か言ったみたいだけれど、聞こえなかった。

 

 

「・・・じゃあ、またこよっかな。今日は帰るね」

 

 

「そう?別にいつ来ても構わないわよ。私の家はあそこね。また来てくれるなら歓迎するわ」

 

 

「ほんと?やった!」

 

 

僕は嬉しさで飛び上がり、危うく幽香に抱きつきそうになって自制する。危ない危ない、嫌われるとこだった・・・

 

 

「・・・そこは抱き付いて来ないのね・・・っ!」

 

 

あれ?またなんか言ったけど聞こえなかったや。

今度遊びに行く時、何お土産に持って行こうかなー

 

 

____________________

 

 

帰ってから何となく、僕は風魔に連絡をした。理由は無かったけど、一番しっかり対応してくれそうだったからかな。いやまあ他にロクなのいないからなんだけどさ。

 

 

「・・・何だ、幻夜か。久しいな」

 

 

「うん、おひさー。・・・あのねあのね、聞いてくれる?」

 

 

「話にもよるが、構わんぞ」

 

 

「えっとね・・・好きな人、見つけた」

 

 

「そうか、お前もか。良かったな」

 

 

「うん、それでどうしたら・・・ん?貴様、も?」

 

 

僕は風魔の言葉に耳を疑い、再度聞いてしまう。通信の奥で、風魔がああそうかと言ったのが辛うじて聞こえた。

 

 

「お前達に言ってなかったな。・・・私に嫁が出来た」

 

 

「・・・嘘でしょ!?待って、早くない!?」

 

 

「奪いたくなったから奪い取った。特に後悔もない」

 

いやそんな後悔云々じゃないでしょ・・・そもそも奪ったって何さ・・・

 

 

「待って待って、じゃあさ、結婚したの?」

 

 

「したな。もう数年過ぎる」

 

 

まさかの一番は風魔かぁ・・・負けたなぁ。って早過ぎるでしょ。

 

 

「そっか。じゃあ尚更質問なんだけど、好きな子にはどうしたらいい?」

 

 

風魔は悩んだ後、少し待てと言った。

 

 

「伊織、知り合いから通話が来たんだが、普通女性は何をされると喜ぶ?」

 

 

向こうから声が聞こえるが、何を言っているかは分からなかった。風魔が戻ってきた。

 

 

「今嫁に聞いた。まずは話す種を持って、よく話す事だそうだ。特に相手の趣味に合わせたものをだそうだ。・・・後はまあ、ちょっとしたボディタッチだそうだ。嫌われていれば嫌がるし、そうでなければ手を繋ぐ、程度なら行けるだろう。・・・何せ嫁にしたせいで何をしても喜ばれるのでな」

 

 

「ふーん・・・ありがと、ちょっと参考になった。すごい惚気だね」

 

 

「そうか。・・・結婚した身から言おう。悪くはないぞ」

 

 

「何それ、自慢?」

 

 

「そうかもな」

 

 

風魔の笑い声が聞こえ、ついつい僕も笑ってしまう。

 

 

「ありがとね、また連絡するかも」

 

 

「好きにしろ、お前なら多分大丈夫だ」

 

 

風魔との通信を切り、僕はごろりと借りた家の床に寝転んだ。

 

「好きって・・・難しいなぁ」

 

 

どうすれば幽香、喜ぶかなぁ・・・

 

 

 

次回へ続く

 




ありがとうございました。

悪天候で通学路が沼地と化しました。


次回もお楽しみに
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