ゆっくりご覧下さい。
「客?」
「はい、男女二人ですよ。夫婦ですかね?」
「んな事は聞いとらん。何の用だ?確か入り口に舗装中、入るなと書いておいたはずだが?」
「それが、欲しいものがあるから取って欲しいそうです」
伊織を嫁にして早数年、ある程度伊織も落ち着いている時、そんな連絡が来た。
「欲しいもの・・・?まあ直接聞くか、案内してくれ」
「はーい」
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「で、訪ねて来た奴が貴様とは恐れ入った。隣のが例の方か」
「こっちも顔見知りで恐れ入ったよ。そだよ、めっちゃ可愛いでしょ?」
いざ客を迎えると、知り合いも知り合い、腐れ縁の友人だった。
「風魔、お友達ですか?」
「友達・・・と言えるのか分からんが、まあ古い付き合いだ」
「そーそー。ま、悪友って感じかな。君が伊織だよね、僕は幻夜。前から風魔のお嫁さんの話は聞いてるけど、こんな可愛い子をねぇ・・・結構やるじゃん」
「・・・かく言う貴様もな。あの連絡は驚いたな」
「いーでしょー?・・・じゃ、改めてみんな挨拶しよっか。僕からね。幻夜、混沌やってまーす」
次に幻夜の隣にいた緑髪の大人びた女性が名を名乗った。・・・幻夜は緑髪に愛着でもあるのか?
「私は風見幽香。花妖怪よ。よろしくね」
「私は風切(かざきり)伊織、鴉天狗です!後、風魔のお嫁さんです!」
「・・・最後は私か。風切風魔、窮奇だ。幽香だったか、そこのバカが世話になっている」
「バカって、相変わらず酷いよねー」
「面の張り紙を見て来た時点で馬鹿だろうが。で、何用だ」
あ、そうそうと幻夜が思い出したように手を叩いた。馬鹿かこいつは。
「んーとね、キノコと山菜取りに来たんだよね。良いかな?」
馬鹿だこいつは(断定)
「そうか。相変わらずどうしようもない奴だな。勝手に取って帰れ」
「お酒とお茶持って来たのに?」
「寛いで行け」
「早変わりすぎでしょ」
「黙っていろ。・・・伊織、私の食べずに溜めていた茶菓子を出してくれ」
しかし、伊織は目を逸らしたまま動かない。
「・・・ました」
「・・・もう一度」
「食べちゃいました」
「買い物延期な」
「ええー!?」
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週末に一度楽しみにしている私との買い物を延期され、いじける伊織を放っておいて、幻夜に近況を訪ねた。
「あの馬鹿は放っておいて、最近変わったことはあるか?」
「んー・・・無いかな。幽香と付き合ったくらい?あ、それで思い出した。カビ生えたなんの肉か分からない腐肉とか食べて、数十年放置された泥水とか飲むのって異常?」
「異常、らしいな。昔はよく食ったが、このご時世ありえんらしいな。・・・たしかにあれは不味かったな」
「だよねー。そう考えると最近のご飯は美味しいのかもね。・・・あ、そうだ。天狗の山一個滅んだの知ってる?」
「あの逃げた奴が一人もいないあれか?どうせアイツの腹の中だろう。・・・ところで、壊夢について何か知らんか?」
「まあね。・・・壊夢は全然知らないな。何処行ったかは知ってるだろうけど、後は全然。音沙汰もないよ」
正直なところ侵二が数百人喰おうが大したことじゃない、今最も重要なのは壊夢の位置。拳一つで文明を終わらせる力を持つあの馬鹿は、音沙汰もなく里帰りした。以後、消息不明。
「はあ・・・奴が意味の分からんタイミングで牙を剥くと考えると、あまりゆっくりしてられんな・・・」
「・・・ところで風魔、さっきから気になってたんだけどさ」
幻夜が顔を顰め、私の腕を見る。
「その腕に刺してるの何?」
「・・・点滴だ」
「おかしくない?」
「そうか?」
「壊夢来る前に死にそうじゃん、一週間くらい休みなよ」
恥ずかしい話ではあるが、つい昨日倒れた。原因は多分過労、そう言えばここ数年、伊織に寝ると言いつつ寝ずの残業ばかりだったか・・・
伊織に泣かれ、文に号泣され、多くの天狗に頭を下げられ、仕方なく今日一日は仕事を半分にするつもりだったのだが・・・
「・・・休んだ方が、良い、のか・・・?」
「当たり前じゃん」
「ほら!やっぱり休めってお友達も言ってるじゃないですか!」
「うーむ・・・しかし、今日の分の仕事が・・・」
「風魔はあれです!わーかなんとかです!」
「ワーカホリックだろう。失礼な」
「そうそれです!いーえ、たまにはそっちのお二人みたいに仲良くお出かけしたいです!風魔の言ってたでえととやらがしたいです!」
「ちょっ、貴女、これは別にそんなのじゃ・・・」
「え・・・?違う・・・の・・・?」
「なんでそこで幻夜が落ち込むのよ!?・・・ああもう!そうよ!」
顔を赤くさせた幽香から幻夜は顔を背け、私にペロリと舌を出した。
相変わらず子供っぽい奴だ・・・
「そこまでこぞって言うか・・・なら一週間だけ休むか」
「そうです!ちゃんと休・・・え?一週間、ですか!?」
伊織が信じられないものを見るような目で私を見る。
「ああ、明日から休めばよかろう」
「う、嘘です!今まで私の休みは年に一度で構わんだろうとか言ってた風魔が一週間なんて・・・!!」
「頭に蛆湧いてんじゃん」
「もう病気ね」
「黙れ貴様ら。・・・嫌なら返上して休まないが、どうす「お休みしましょう!でえとしたいです!と言うかこうでもしないと風魔が死にます!」・・・分かった」
「中々やるじゃん」
「何について褒めているのか意味がわからん」
急に出かける事で拗ねていたはずなのに引っ付き始めた伊織を撫でながら放っておき、幽香に目を合わせる。
「ところで幽香殿、二人はどこまで進んだ?」
「ブッ!?」
「あ、それ私も気になります。キスしたんですかー?」
幽香殿の顔がみるみる紅くなり、リンゴのようになる。やがて噛み噛みだったが口を開いた。
「て、手をちゅないだのと、一緒に寝てるだけ・・・でしゅ」
「一緒に寝てるんですか!これは負けていられません!風魔!私達も一緒に寝まし「却下。寝たいならその絶望的な寝相の悪さを直せ、何故お前は枕返しがいないのに180度回転する」うぐぐ・・・」
幽香の頭から湯気が出始める上に、顔は噛んだこともあったのか、さらに紅くなり、溶けた鉄のように紅くなる。
「幽香、大丈夫?」
「すまんな、変な事を詮索してしまった「ねえ幽香、ホントに大丈夫?結婚する?」幻夜ァ!」
「ッー!?」
私は明らかわざとに大丈夫?結婚する?を言った幻夜に拳骨を振り下ろし、当たる直前に当たり判定を消されて躱される。隣で恥ずかしさからか幽香殿は気絶した。
「ちょっと、当たると痛いかもしれないからやめてよ。そうだ、・・・人払いお願い」
私は思考を切り替え、瞬時に伊織の口を口で塞ぎ、そのまま気絶するまで塞ぐ。
「むぐっ。・・・んーッ!んーッ!?んっ・・・」
「・・・これでいいか」
「うん、倫理的にアウトかな。後でどうなっても知らないよ?」
「気にするな」
やれやれと首を振りながら、幻夜は片手を顔の右半分に当て、微笑んだ。
「じゃ、本題ね」
すぐに手は顔の左半分に当て直され、口元が歪む。
「って事で、久しぶりだな、風魔」
「ああ。会話は100年ぶりか?」
「あー、そこまで行くのか。寂しいねえ。・・・なんて事はどーでも良いんだ。コイツにゃ適当な理由付けさせたが、そもそもコイツが来たのは俺と会話するためだ」
そう言うと幻夜、正確には幻夜の身を借りた何かは目を細め、口を引き締める。
「で、何の用だ?」
「コイツらが結婚しようとしねえ・・・!」
「帰れ」
私が即座に切り返すと、幻夜擬きは爆笑し、首を横に振った。
「ハハハ、冗談だって、冗談!・・・まあ、なんだ、俺って必要か聞きたくてさ・・・」
「要らん」
「酷えなオイ!・・・まあ、そうだろうな」
いや、と私は首を振る。
「この世の物全てが要らん。考えてみろ、生物がいるから優劣が出来、戦争が起きる。物があるから必要不必要が出来る。そもそもこのような世界があるから概念、法則が生まれる。つまり皆不必要だ、この世に一つも必要なものなどない」
「・・・何言ってんだお前?」
「つまりだ、お前は自分が不必要かと聞くが、答える奴もまた不必要なものしか答えない。無意味だ。あえて聞くなら私が今会話する相手が必要なのだから必要だろう」
「悪いが全く分からん」
「ふむ・・・例えばだが、私達のいる世界、もしこれがあるものの妄想の上で成り立つものだとしよう。するとこの世界はその妄想する人間の思いのまま。どこで誰が何をするのも決められている。お前が存在意義で悩む事もその製作者の妄想に既にあるのだ。そしてまたその妄想している製作者の住む世界もまた箱庭のようなもので、製作者は妄想しているのを自分の意思でしていると思っていても、箱庭を作っている何かがそう考えさせている。そしてその箱庭を作った何かも同じような箱庭にいる。・・・つまりお前や私が何を考え、何をしようがそれは既に何かによって決められているだけの事。必要不必要ではない。全ては操られており、そこに意志はあれど、その意思も作られたものであり、意味はない」
幻夜擬きは溜息を吐き、仰向けに寝転ぶ。
「はぁ・・・つまり必要性は皆無くて、他人にあるなら俺にも必要性はあるって事か。なんか適当に励まされるより腹立つな・・・」
「必要と思うなら必要だろう。しかし全ては無意味であり、無価値だ。話を変えるが、そうシナリオにあるなら仕方ないが、子孫を残す理由が分からん。生物など天寿を全うしてさっさと滅べば良い」
「お前それ結婚してから言うなよ・・・」
「まあな。私は子孫を残すつもりは今はない」
「あっそ、お前ホントに意味分かんねえな。何回か死んだとか?」
「・・・元からだ。それに、先程言ったことはあくまでも私の考えだ。全ては自由であり、しかしながらその自由は何かに既に決められているシナリオ、ゲーム内のイベントの一つ・・・そう考えると面白いと思わんか?」
「そーですか。助かりましたって一応言っとくわ。じゃ、最後に一つ」
「何だ」
「近々てめえのとこに龍一と侵二が攻めるぜ。これもげえむの中のしなりおとやらだな」
過去最大の勢いで噴いた。
次回へ続く
まあ、なんと言いますか、世界で起きること全てが何かによって決められていて、又その何かのする選択もその上にいる何かに決められている。それが延々と続いていると一体最初が何なのか分からなくなって面白くない?ってのが風魔、まあ私の幼稚な考えです。
追加しますと、つまり私達はゲームの中の住人の様なもので、心霊現象はバグ、没設定、イベントで消えた(死亡した)キャラ。そして霊の見える人、霊感のある人はそのバグ、没設定、イベントに制作時に関係性を持たされていたキャラクターと考えてます。そしてこの世界のゲームの製作者もまた同じようにゲームの中にいると思ってます。頭おかしいと思います。ここに何長々と書いてるんだって話ですね申し訳ありません。
名前つけると、この世界はゲームの中のゲーム説ですかね。
次回もお楽しみに。