真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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最近冷えてきましたね。
って言おうとしたらここ数日暑くなりました。喧嘩売ってるんですかね。


ゆっくりご覧ください。


第四十話 静寂を破って

「・・・どう言う意味だ」

 

 

「いんや、そのまんまよそのまんま。あの二人がふざけて遠方の山陥落させて統一、鬼引き連れて来てるぜ」

 

 

私は予想外のクソ具合に頭を抱える。

 

 

「何をやっとるんだアイツらは・・・!?」

 

 

「知るかよ。しかも続報、壊夢が帰国する」

 

 

「終わった・・・ッ!」

 

 

何故こうもアイツらは準備でもしたかのようにこぞって暴れるのだろうか・・・

 

「あ、そろそろ時間なんで戻る。じゃあな!」

 

 

幻夜から彼が消え、幻夜が元に戻る。

 

「およ、お話終わり?」

 

 

「・・・終わったぞ、とんでもないプレゼントの報告ついでにな」

 

 

「え、何々?気になるんだけど「主上、侵二、侵攻開始。壊夢帰国寸前」・・・聞かなきゃ良かった」

 

 

幻夜がその場に突っ伏し、伊織がむにゃむにゃと目を覚ます。

 

 

「なんかすっごい大胆な事されて寝た気がします・・・あ、風魔、おはよーございます」

 

 

「おはよう。悪いが休みの後は働いてもらうぞ」

 

 

「ぅん・・・?何かあったんですか?」

 

 

「龍神と饕餮が攻めてきて、檮杌が乱入してくる」

 

 

「ヘえ〜・・・大変ですねぇ・・・って、それホントに大変じゃないですか!?」

 

 

伊織が私の襟を掴み、ぐわんぐわんと揺すり始める。

 

 

「だから言ってるだろうが。そもそも寝た理由を思い出せ・・・やめろ思い出すな!」

 

 

「え?・・・あ、・・・ッッッ〜!?」

 

 

いつもの癖で勝手にうたた寝する伊織に理由を思い出させようとして、今回は私の所為だったのを思い出して制止する、が時既に遅く、伊織は思い出してしまった。

 

 

「・・・伊織?」

 

 

「やめてください、恥ずかしくて顔見れないです・・・」

 

 

「すまん」

 

 

「謝られると余計恥ずかしいですぅぅぅ・・・」

 

 

「やーい、天然ジゴロー!」

 

 

光速で幻夜の背後に回り、首をシメる。

 

 

「グフッ!・・・ちょっ!ギブ!ギブ!伊織ちゃん助けて!」

 

 

しかし、伊織は私のせいで動けない。と言うか一人でブツブツ言っている。

 

 

「あれは風魔のお誘いと受けても良いんですかねでもどうせなら二人きりが良かったですしもっとムードが欲しかったですし嫌でも嬉しかったですしオッケーにしましょうかね「ちょっと伊織ちゃん!?」・・・はっ!?あ、幻夜さん、大丈夫ですか?」

 

 

「大丈夫なら呼んでないよ!?」

 

 

「仕方ない、こっちで勘弁してやる」

 

 

私は立ち上がり、同じように立たせた幻夜の腕を掴み、アームロックをかける。

 

 

「ちょっ!?痛い痛い!!やめて折れる!」

 

 

「それ以上はいけません風魔。・・・ごめんなさいこっち見るのは待ってください」

 

 

やはりと言うか、伊織に顔を背けられる。と同時に幻夜の腕が折れた。

 

 

「があああ!」

 

 

「遊ぶな」

 

 

「ちえっ、分かったよ。・・・ほいっ」

 

 

ボキリと言う音と共に幻夜は折った腕の関節を外し、ポキリと組み直した。

 

 

「んでさ、どーすんの?あの二人来たら流石の風魔も負けるんじゃない?」

 

 

「まあ、な。主上も侵二も再生力が高過ぎて、アイツらでも受けきれない光速で飛べばどうにかなるだろうが・・・再生されて、それの繰り返し。決定打は無いな。そのまま体力切れで詰みだ」

 

 

「渡り合ってる時点でおかしいんだけどね。あの二人に霧って効くのかな・・・」

 

 

「やめておけ、効かなかった場合リンチ間違いなしだ」

 

 

「それ困るね。まあいつ来るか分かんないし、あんまり気にし過ぎてもダメなんじゃないの?・・・後幽香はまだ寝てるの?そろそろ起きなよ、お茶冷めるよ?」

 

 

幻夜が幽香をゆすり、幽香がうっすらと目を開く。

 

 

「ん・・・」

 

 

「あ、起きた。お茶冷め「ッー!?」ウボアッ!?」

 

 

強烈な幽香の張り手で幻夜は吹き飛び、幻夜の激突した壁がへこんだ。

 

 

「貴様!人の家の壁をなんだと思っている!」

 

 

「風魔、そこじゃないで振り向かないで下さい!」

 

 

「ねえ!?僕の心配無し!?なんで幽香も吹っ飛ばしたのさ!?」

 

 

「か、顔が近かったから・・・恥ずかしくて・・・っ」

 

 

「惚気か貴様ら!家の壁を代償にふざけるのも大概にしろ!」

 

 

「ふざけて壁にぶつからないんだけど!?後幽香もよく考えると酷くない!?」

 

 

「全く・・・伊織、それに幽香殿、話を聞いてくれるか?」

 

 

「い、良いわよ。・・・けど、座る位置を変えて頂戴。伊織、変わってもらえる?」

 

 

「あ、良いですよ」

 

 

伊織が幻夜の隣に座り、私の隣に幽香殿が座る。

 

 

「これならお互いに大丈夫でしょ?」

 

 

「・・・やっぱダメです!」

 

 

伊織が私の隣に座り、それでも納得行かなかったのか私の膝に座る。

 

 

「・・・こ、こうじゃないとダメです!」

 

 

「クソ面倒な嫁だな」

 

 

「文句は聞かないです!」

 

 

「いーなー」

 

 

「ならさっさと結婚しろ「ッー!?」ああ、すまんな幽香殿、他意はない」

 

 

「ほらそう言うとこですよ、風魔に女の人が寄ってくる理由」

 

 

「ま、風魔は女の子相手でもズケズケ言うからね。仕方ないね」

 

 

「・・・意味がわからん」

 

 

そんな話をしていると、窓ガラスが割れた。

 

 

「風魔様!伊織様!一大事で・・・その前に!お客様とお話し中に窓を割って入ってきました!申し訳「許可する。それなりの訳があるだろう?」はっ!」

 

 

「その場で謝れば済むんだ・・・」

 

 

文が前々から教えた通り、一大事に飛んでくるのは良いが、窓を割るなら割ったと先に言えと言った事を遵守している事に感心しながら文に焦る理由を聞いた。

 

 

「報告です!きょ、巨大な黒い蜘蛛が接近中です!」

 

 

私は窓を全開にし、麓を見下ろす。

 

「あれか」

 

 

ギシギシと金属の錆びた音でも鳴りそうな黒光りするフォルム。低い山一つ程度の高さの脚一本を上げて下げるたびに奇妙な機械音を鳴らす関節。足跡に何一つ残らず、木々を削り取る脚先。

脚に比べて小さな胴、そこに背中で繋がり、ぶら下がる人型の何か。

 

 

「・・・幻夜」

 

 

「ごめん僕あれが何か分かる」

 

 

「私もだ」

 

 

「風魔(様)!あれが分かるんですか!?」

 

 

「幻夜も分かるの?」

 

 

「・・・一緒に言うか?幻夜」

 

 

「うん、せーの」

 

 

「「侵二」」

 

 

的中した。どう見てもあの蜘蛛は脚ではなく、侵二の羽だ。

 

 

「隠密に来ないのかあのアホは」

 

 

「無理でしょ。ただでさえ歩いてたら勘の良い妖怪が逃げるんだよ?」

 

 

「それもそうか、だからわざと威嚇性のある外見にか。多少は考えるようになったな」

 

 

「マスターに仕えてからちょっと丸くなったよね」

 

 

山を巨大な蜘蛛と化して歩いてくるのを丸くなったとは言えないがな・・・

 

 

などと考えていると、羽の一枚が家の窓に引っかかり、それをフックのように、スルスルと男が上がってきた。

 

「御機嫌よう。私、侵二と・・・やっぱり風魔でしたか。後幻夜も、お久しぶりです」

 

 

「久しぶりー、また背伸びた?」

 

 

「久しぶりだな、失せろ」

 

侵二がケラケラと笑う。

 

 

「酷い挨拶ですねぇ。ま、取り敢えず、ご結婚おめでとうございます。まさかテメエが先に・・・んんっ、まさか先に貴方が結婚するとは思っていませんでした「おい口調」で本題ですけど、近々、まあ来月ぐらいに侵略しますので。ではまた」

 

 

私は刀の鞘に手をかける。

 

 

「無事に返すとでも?」

 

 

侵二も細剣に手をかける。

 

 

「ここで殺るんですか?」

 

 

場の静寂。何処かで水の流れる音が聞こえそうなほど音が消え、誰もが息をする事を忘れるような雰囲気に呑まれる。

 

 

汗が垂れる。

 

 

「風魔!」

 

 

伊織が私にしがみつく。

 

 

「バカ者・・・ッ!?」

 

 

咄嗟に抜刀、侵二を迎え撃とうとするが、侵二は動かない。

 

 

「いやいや、そんな奥様に驚いた相手斬るぐらい酷くないですよ。・・・まあこれ以上騒がせると困るので失礼しますね。・・・次会ったら勝負かもしれませんね。ではまた来月」

 

 

侵二が微笑み、窓から飛び降りて飛び去る。途端に周りの音が戻り、体の力が抜ける。

 

 

「っ、はあ・・・」

 

 

しゃがみ込もうとするが、伊織が裾から手を離さない。

 

 

「・・・どうした?」

 

 

「・・・風魔が死んじゃうかと思いました」

 

 

「・・・勘だけは鋭いな」

 

 

「私はあの人・・・苦手です」

 

 

「初対面でアレは確かにキツイが、悪い奴ではないんだがな・・・」

 

 

「風魔」

 

 

「ん?」

 

 

「置いてかないで下さいね」

 

 

「・・・分かった」

 

 

この時伊織が何に怯えていたのか、私は分からなかった。

・・・もう既に、あの侵二に慣れすぎていたのだろう。

 

 

尚幻夜と幽香殿は山菜とキノコを与えて無事に送り返した。

幻夜は「また来月」と言い残し、幽香殿と歩き去った。

 

 

次回へ続く

 




伊織は天狗ですので、風魔と同じように相手の周りの風、まあ相手の雰囲気がなんとなしに分かるんですね。
人でいうオーラ、ですかね。


次回もお楽しみに。
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