真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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皆様、元気でしょうか。
私は瀕死です。


ゆっくりご覧ください。


第四十五話 夢

「じゃあ鬼、天狗の皆様が全員無事に見つかったので始めます。・・・全くなんで一々私を審判にするんですがクソが。しかも?試合するのは茜殿と壊夢?勝者は敗者に一個言う事を聞かせる?いつからそんなくっだらない事やり始めたんですかね?「掃除させるぞ」・・・分かりましたよ、適当に引いたラインから出たら負けですからね?初めっ!」

 

 

そう言いながらもやる気ゼロの侵二が欠伸をしながら手を振る。

と同時に痩身の壊夢が右足を踏みしめ、周囲に岩の破片が浮かぶ。

 

 

「茜・・・お前さんと戦うのは心待ちにしとったぜよ!」

 

 

「アタシもだよ!・・・まさか、檮杌に目をかけられてるとは驚いたけどね!」

 

 

茜が接近し、かつて俺と戦った時とは比べ物にならない・・・具体例で幻夜が八人、八幻夜が吹き飛ぶ程の勢いで拳を振る。壊夢はそれを真正面から受け止め、暴風と衝撃を巻き起こす。

 

 

「やるのぉ・・・やはり鬼っちゅうのは強いぜよなぁ」

 

 

続いて壊夢が膝蹴りを茜に打ち込む。威力は九幻夜。

茜は両手で受け止める・・・が衝撃で浮かび上がる。

 

 

「お!?」

 

 

「どありゃあっ!!」

 

 

そのまま壊夢は茜の服を掴み、上空で一回転、地面に叩きつける。

割と真面目に速度とアクロバティックさが不足していた壊夢にアクロバティックの能力を入れないで欲しい。まだ遅いものの基本速度も上がってしまった。

 

 

「ッ・・・!!」

 

 

そのまま壊夢は着地。しかし叩きつけた筈の茜はすぐに起き上がり、壊夢を掴んだ。

 

 

「貰ったあっ!」

 

 

茜による背負い投げが成功し、壊夢が逆に地面に叩きつけられる。しかし壊夢は投げた茜から手を離さず、そのまま巴投げに持ち込む。

ちなみにそれぞれの破壊力は、壊夢の回転叩きつけが十二幻夜、茜の背負い投げが七幻夜、巴投げが五幻夜だ。

火力バカの壊夢は勿論、茜もかつて筋力を底上げしたスペックの俺と一時間殴り合った事があるので火力耐久力共に負けていない。もうお前日本最強妖怪や。

 

 

「・・・こうして殴り合える奴に会えるとは、夢にも見とらんかったぜよ」

 

 

「そうかい?私も好みの大男と戦えて満足だね!・・・アンタはコレ、耐えられるかな?」

 

 

茜が一度息を吸い、次の瞬間揺らぎ、消える。

 

 

「破ッ!!」

 

 

「・・・ッ?」

 

 

そして周囲一帯への衝撃、その中心には腹、内臓に掌底を受けた壊夢。

周囲への衝撃で既に十二幻夜。恐ろしい威力なのが分かるが、更にとんでもない事になっていた。

 

 

壊夢が俺と出会ってから見た限り、初めて顔を歪めた。

・・・あの耐久バカが痛みを感じた。あの痛覚ガン無視筋肉バカが、だ。

 

 

「馬鹿な・・・」

 

 

「おやおや・・・」

 

 

「・・・凄いじゃん」

 

 

他の四凶も異常に気がついたらしく、久しぶりに皆鋭い眼光になっていた。

何より壊夢が一番驚いていた。

 

 

「・・・おお?」

 

 

壊夢がぐらりと膝をつく。壊夢はしばらく困惑していたが、やがて虎程度なら目が合っただけで死にそうな眼光を光らせながら立ち上がった。

 

 

「・・・これが、痛みというもんぜよな・・・確かに痛いぜな!」

 

 

「あんた・・・立つのかい・・・!?」

 

 

茜が驚きの呻き声をあげる。・・・それもそのはず、圧縮された推定百幻夜の威力が腹にぶち込まれて、あの怪力バカは立っているのだ、てかここまできて未だ無傷なのはナメてんのか?

 

 

「応、効いたぜよが・・・まだ倒れはせんぜな!」

 

 

痛みを訴えているものの、当然のように吐血も骨折もしていない馬鹿は拳骨を構える。壊夢の全身から煙が上がり、拳が局所的に赤熱化する。

壊夢の掌から汗が垂れ、汗は地面を熱で溶かしながら蒸発する。

壊夢が僅かに動くにつれ、熱気が周囲を包む。

 

 

「・・・さて、こっちも一発行くぜよッ!」

 

 

壊夢が足を一歩踏み出し、一歩で茜の目の前に迫る。

 

 

「なっ・・・」

 

 

茜の顔面へ拳が放たれる。

同時に拳圧が周囲を襲い、熱気が周囲の気温を十度上げる。

本題の拳は周囲の空気を燃やしながら突き進み、茜の顔面へ迫る。

 

 

「っ・・・」

 

 

がしかし、当たる事は無かった。壊夢はすんでのところで止めており、顔はにこやかに笑っていた。火力二百五十幻夜。

 

 

「足が線から出とるぜよ」

 

 

「え?あ?は?・・・確かに出てますね。決着。壊夢の勝ちです」

 

 

決着。周囲が完成と安堵に包まれる。そりゃ誰だって燃える拳を喰らう茜なんて見たくないからな。安心するわ。

 

 

「負けた・・・か。実力もだけど、気合も足りないって事だね・・・」

 

茜が少し残念そうに、それでも嬉しそうに笑う。

 

 

「戦えて良かったよ、ありがとう」

 

 

「おう!こっちも楽しかったぜよ!・・・後、これから頼むぜよ!」

 

 

「え?これから・・・かい?」

 

 

すかさずと言ったように、ニヤニヤとしながら侵二が壊夢に歩み寄る。

そして茜を馬鹿にするように眺めながら、壊夢に笑った。

 

 

「では勝者壊夢。茜に要求するのは?」

 

 

「応、茜、お前を貰うぜよ」

 

 

「・・・へ?」

 

 

ポカンとした茜を放置したまま侵二は微笑み、高らかに宣言する。

 

 

「勝者壊夢の宣言ッ!この試合において勝った壊夢は、茜を要求ッ!よって茜の意思関係なく、自動的に茜は壊夢の妻となるッ!」

 

 

「は、はぁぁっ!?」

 

 

巻き起こる歓声。やっとあの茜さんに旦那が出来たと嬉し泣きをする鬼達。くっそー負けたーと言いながらも幽香と拍手を送る幻夜、やれやれと首を振りながら拍手する風魔と、嬉しそうに拍手をする伊織。

これでもう鬼が攻めてこないと別の事に安堵するも、賛辞の拍手を絶やさない天狗達。

 

 

それぞれ勝手ではあるものの、茜と壊夢に拍手を送った。

 

 

「・・・いや、その、待ってくれないかい!?」

 

 

しかし、突如の茜の叫びに場は静まり返る。

 

 

「え、そんなに静かになるのかい・・・?あの、壊夢、アタシて良いのかい?その、飯も下手だし、風魔の隣にいる奥さんみたいに出来ないだろうし、可愛くもないし・・・」

 

 

ポン、と身長が220センチに伸びた壊夢が195センチの茜の頭を撫でる。デカイ。

壊夢は頭を撫でながら、にこりと笑った。

 

 

「ほんなら俺は、顔も良くない、風魔みたいに真面目でもない、侵二みたいに優しくもない、主みたいに賢くもないぜよが、本当に俺で良いぜよか?俺はお前みたいな奴を嫁にできるのに、これで満足出来んのはそうそうおらんぜよ。・・・俺は茜、お前が欲しいぜよ。俺で構わんか?」

 

 

茜は少し涙を滲ませて、頷いた。

 

 

「そこまで言われちゃ、仕方ないね・・・」

 

 

「良かったな、鬼」

 

 

「だから茜だって・・・まあいいか、ありがとね、侵二、こんな巡り合わせ、すると思ってなかったよ」

 

 

ん?巡り合わせ?

 

 

「おい、侵二、巡り合わせってお前・・・」

 

 

「ああ、壊夢を呼んだのは私です。来ないなら諦めるつもりだったんですけど、お前に会いたい女がいるって伝えたんです」

 

 

「すると貴様が主犯か・・・」

 

 

ゆらりと風魔が立ち上がり、侵二を睨む。侵二は悪びれもなく答えた。

 

 

「そうなりますね。・・・ごめんなさい、風魔」

 

 

ぺこりと侵二が頭を下げると、風魔は目を見開いた後、微笑んだ。

 

 

「そんな顔を見たのは久しぶりだな・・・構わん、許そう」

 

 

そんな顔と聞いて侵二を見て、俺は絶句した。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

いつもなら静かな微笑みで済ますような侵二が、まるで悪戯が見つかり、ちょっと照れ隠しに笑っている顔があった。女なら惚れてた。

 

 

「んじゃ風魔、契約通り住みたい鬼は住ませてやっていいか?」

 

 

「好きにしろ。壊夢、貴様も茜殿とここに残るか、新しい場所を探すか、選べ。・・・まあ、初めは慣れんことも多いだろうから、ここに残る方を勧めるがな」

 

 

どいつもこいつもイケメン過ぎる。・・・前世には、こんな骨の髄まで仲のいい奴らは俺には居なかったな。キチガイの親友はいたけどな・・・

 

 

「・・・じゃ、しばらく世話になるぜよ。じゃが家は・・・」

 

 

「しばらく私と風魔のを使ってください!ウチ、とっても広いんです!」

 

 

「・・・ええんぜよか?」

 

 

「コイツがいいと言うなら良いんだろう。半分使え」

 

 

風魔が頷きながら煙管を咥え、伊織に手を叩かれ、渋々と諦めて煙を吐き出す。吸ってんじゃねえか。

 

 

「・・・すまん、借りるぜよ」

 

 

「ようこそ、我が家へ」

 

 

やけにラスボス感満載の声と笑顔で風魔が壊夢を歓迎する。良い事だと思い、次の瞬間後悔した。

 

 

「では壊夢の歓迎会と洒落込んで飲むか」

 

 

「おお、ええぜよな!」

 

 

勿論、この後酔い潰された。

 

 

次回へ続く





左人差し指を突き指で痛め、右肩が肩凝りで上がらず、花粉で鼻と目がイカれ、腹痛で寝れません。

去年無病息災だったツケですかね。


次回もお楽しみに

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