真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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 下界に降りると決めた龍一、

 しかしまあまともなことが起きることもなく・・・


第一章 龍神、天より下る
第五話 下界降臨


 「じゃあ、約束通り行くからな。・・・良い子にしてろよ」

 

 

 約束した俺が下界に降りる日、見送りは龍華だけだった。

 ・・・まあ俺がほかの奴らには黙ってるからだが。何を言われるか分からないのでさっさと準備をし、旅(半分失踪)の準備は完了した。

 

 

 「はい!・・・にーさまもお元気で!」

 

 

 龍華はあえてなのか笑って俺を見送りに来ていた。俺に心配をかけたくないとでも思ってくれているのだろうか・・・目元に浮かんでいる涙は黙っておこう。

 

 

 「ああ。じゃあな」

 

 

 俺は目の前の空間を削り取り、トンネル状に仕立て上げた。

 

 

 「あ、そうだ。龍華こっち来てくれ」

 

 

 「何ですか?」

 

 

 俺は龍華を近づけ、そっと頬に口づけをした。

 

 

 「ふぇ!?にににににーさま!?」

 

 

 「・・・悪い悪い、ちょっと前キスしてくれとか言われてたなーと思ってな」

 

 

 龍華は白い肌を真っ赤に染めながら俯いた。

 

 

 「千年も前のことじゃないですかぁ!・・・にーさまの女たらし!意地悪!」

 

 

 龍華が怒りながらも目元に涙を浮かべていないのを確認すると、俺は笑ってトンネルに入った。

 

 

 「ハハハ!じゃーな!」

 

 

 俺がトンネルに入ると同時に、トンネルの入り口が閉じ始める。ふと龍華が口を開けて何かを言った。

 

 

 「・・・大好きです、にーさま」

 

 

 聞こえはしなかったが、龍華は笑っていた。

 ・・・今度会ったら聞くことにしよう。

 

 

 ____________________

 

 

 「・・・長っ、まだつかねえのか・・・?」

 

 

 正しい方法で下界に降りようとするには膨大な時間がかかるらしい。・・・前まで紐なしバンジーで降りていたが、やはり歩くとなると時間がかかるのか・・・此処にも課題はあったな。(尚十分でつく模様。バンジーは十秒)

 

 

 俺は時間をつぶすと同時に、拳銃とスナイパーライフルのリロードをし、八岐の剣の鞘に貼りつけたオーラを抑える札を確認、背中に装着し、新月を腰に下げる。

 

 

 「さーて、何度か降りたが・・・行きますか!」

 

 

 トンネルがゆっくりと開き始め、俺は駆け出した

 

 

 「到着・・・ん?」

 

 

 俺が到着してすぐに周囲を見渡すと森。ついでに目の前には角を生やした猪らしき妖怪と、背後には人間が一人いた。ちなみにトンネルは龍華と俺以外は見えないので、瞬間移動してきたように見えているはずだ。

 

 

 「な、なんだテメエ!何処から出てきた!俺は今そいつを狙ってるんだ!人の獲物を捕ろうとするんじゃねえ!」

 

 

 そう叫びながら猪は俺の背後の人間を指す。・・・ん?俺、妖怪として見られてる?

 

 

 ・・・逆に最高かもしれない。

 

 

 「ああ!?誰がお前のだって?ええ!?早く仕留めたもん勝ちだろうがマヌケェ!」

 

 

 そう言うと、俺は人間を・・・女性なので抱き上げ、全力疾走で木々を躱しながらその場を去った。

 

 

 「ハハハハハ!頂いていくぞノロマァ!」

 

 

 テメエエエエ!と叫ぶ声をバックコーラスに俺は百メートルを五秒フラットで走る速さで上半身を微動だにさせずに逃げた。目指すはさっきから五百メートル先で匂う人間の匂い。

 

 

 「あ、あなた一体何者!?」

 

 

 腕の中から驚愕のこもった叫び声が聞こえたので、軽く返してやる。

 

 

 「矢川鏡一!普通の人間だ!別に妖怪じゃねえぞ!」

 

 

 「何処が!?」

 

 

 「おっしゃる通りですわぁ!」

 

 

 そりゃそうだ。百メートルを五秒フラットで走る人間を俺はコブラしか知らない。走ること二十秒、大勢の人影が見えた。

 

 

 「見えたぁっ!」

 

 

 さすがに時速七十キロで走るやつの言葉を信じはしないだろうから減速。一般男性の速度で近づく。

 

 

 「おーい!」

 

 

 俺が大声で叫ぶと何人かの人間は振り返ってくれた。

 

 

「こっちだこっち!」

 

 

俺の姿を確認すると、困惑したようだが、あの人は!と俺の抱える女性に何かあるのか騒ぎ始めた。

 

 

「おい・・・エイリン様じゃないのか!?」

 

 

 「じゃああの男は何だ!?何で人一人抱えてるくせに俺らと同じぐらいの速度が出せるんだ・・・!?」

 

 

 「馬鹿!エイリン様が軽いからだろ!」

 

 

 「ゴチャゴチャ言ってねえで助けろ!後ろからしつこいのが来て・・・来てるじゃねえか!」

 

 

 俺はエイリン様と呼ばれている女性を立たせ、銀銃のスピリダスを構える。

 

 

 「あんたら!武装してるなら俺の指示分かるな!?文句は聞かんぞ!エイリン様囲え!」

 

 

 「・・・どうするよ、隊長死んでるからどうしようもねえぞ・・・」

 

 

 「いや待て、ここで従えばエイリン様を助けられるかもしれんぞ!」

 

 

 「俺らの株も上がるんじゃ・・・」

 

 

 俺はスピリダスを一発ぶっ放した。

 

 

 「じゃかあしい!従えやお前らぁ!」

 

 

 「「「い、イエッサー!」」」

 

 

 半ば強制的に従わせ、一個小隊ほどもないメンバーに隊列を組ませる。

 

 

 「いーか、貴様らがどんな素質を持っとるか知らんから、俺が全部やる」

 

 

 「マジすか!?・・・えー・・・お名前は「矢川鏡一」矢川さん!?」

 

 

 「ノープロブレム!何かあれば俺を捨ててオッケー!」

 

 

 俺はグーサインをして叫ぶ。

 

 

 「出てこいやノロマァ!」

 

 

 「誰がノロマだ!・・・すげえ、こんなに餌がいやがる・・・!なああんた!まさかこの為に!?」

 

 

 そういやこいつは俺を妖怪だと思ってたな・・・利用する必要もないな!

 

 

 「・・・俺も腹が減ったんでな。食いたいんだ。・・・牡丹鍋がな!」

 

 

 猪に急接近、銃口を密着させ、脳を抉る。

 

 

 「俺が食いたいのはお前だ。・・・人間なんぞ不味くて食えるか」

 

 

 猪が倒れ伏す。

 

 

 「すげえ・・・一撃だぞ!?」

 

 

 「・・・あの隊長よりやべーんじゃねえのか・・・?」

 

 

 「凄い・・・!」

 

 

 どっと歓声が沸き起こるが、俺は一喝する。

 

 

 「まだ来るぞ!・・・油断を襲う賢い奴がな!・・・今回は焼き鳥だがな!メニュー追加ぁ!」

 

 

 上空に銃弾をぶっ放し、高速で飛んできた巨大怪鳥に直撃、けたたましい奇声とともに墜落する。

 

 

 「・・・終わり。編隊を解け!」

 

 

 「「「イエッサー!」」」

 

 

 俺の掛け声に従い、メンバーを自由行動にさせる。

 

 

 「・・・で、今更だが・・・何で従ってんの!?」

 

 

 俺は猪と鳥の血抜きをしながら小隊に聞く。

 

 

 「いや・・・何か・・・なあ?」

 

 

 「・・・俺ら何で従ったっけ?」

 

 

 「それより矢川さん、俺腹減りました「あ、俺も」「俺も」「俺も!」」

 

 

 「何故それを俺に言うんだ・・・火を用意しろ」

 

 

 おおっ!と全員が感嘆の声を上げる。その間に俺は肉を捌き終える。

 

 

 「でもたいちょ・・・矢川さん、材料はどうするんすk「いまここにあるだろ?」・・・マジすか?」

 

 

 俺は捌いた肉の塊を指差す。

 

 

 「え、いや・・・妖怪っすよ?」

 

 

 「文句言うな。「というかもう捌かれてるじゃない!?」「早っ!?」・・・焼くぞ、俺は食うからな」

 

 

 焼いた肉の匂いが周囲に広がる。・・・誰かの腹が鳴った。

 

 

 「誰だ?「・・・俺っす」・・・食え」

 

 

 俺は焼き鳥と牡丹汁を差し出す。~っすが口癖の奴は戸惑ったが・・・食った。

 暫く無言で食っていたが、ぼろぼろと泣き始めた。

 

 

 「・・・美味い、美味いっすよ・・・!」

 

 

 「泣くほど美味いのかお前・・・しょうがねえな、もっと食えよ」

 

 

 一人が食い始めると、何人もが食い始めた。どこからも咀嚼音と美味いという声が聞こえてくる。

 

 

 「・・・妖怪、だよなこれ?」

 

 

 「ああ・・・俺変な夢見てんのかな」

 

 

 俺は砂肝を食いながらその光景を眺めていた。・・・しばらく食っていると、女性が俺に声をかけてきた。

 

 

 「・・・ええと、あの・・・さっきはありがとう、助かったわ。矢川さんだったかしら・・・?」

 

 

 「おう、あんたは・・・エイリンだっけ?」

 

 

 「ええ、正しくは八意永琳(やごころえいりん)、本当にありがとうね」

 

 

 「・・・いやまあ、あの状況は助けるべきかと思ってな・・・」

 

 

 永琳とそんな話をしていると、小隊のメンバーが俺の前に集まってきた。数えると十四人。・・・少ないな。そいつらが同時に膝をついた。顔を上げたのは最初に飯を食った奴だった。

 

 

 「矢川さん・・・俺達、あなたに惚れました!隊長と呼ばせてほしいっす!」

 

 

 ・・・?

 

 

 「・・・俺?」

 

 

 「あなた以外誰がいるんっすか!?」

 

 

 「いやいやいや!考え直せ!お前らはどこの誰かもわからん奴に惚れるのか!?従うのか!?・・・お前ら薄々気づいてたが控えめに言って馬鹿だろ!「はい!」はいじゃねえ!思考が追い付かんわ!そもそもお前らは何だ!?「自由にやっていき隊です!」・・・名前までぶっ飛んでやがる!何だお前らは!碌な奴はおらんのか「全員何かの部門で首席でした!」尚更馬鹿だろお前らぁ!?その能力をほかに生かせんのか「無理です!」言い切るな!そもそも俺を隊長と呼ばせてたまるか!「じゃあ料理長!」じゃあってなんだ!・・・てかお前らどこから来たんだよ!「向こうにある月読命様の都です!」クソエリートかつ知り合いの都だった・・・!何だ貴様ら・・・?と言うかお前らの隊長は?「隊長は・・・左手を前に出してうつ伏せに倒れて亡くなりました・・・!」聞いたことあるなぁ!?じゃあ俺を隊長にしてどうするんだ!?「そりゃもちろん鍛えてもら・・・失礼、美味しいご飯を創ってもらう為です!」逆!本音と建前逆!「次ステーキで!」食堂行けばいいだろ!」

 

 

 無茶苦茶すぎる。永琳を見ると苦笑していた。

 

 

 「・・・お似合いなんじゃない?」

 

 

 「どういう意味だよ!」

 

 

 変な奴繋がりか、否定できん!・・・しかも、圧倒的に良い条件だ・・・変人部隊なのが腹が立つ。

 

 

 「考え直せない奴、挙手」

 

 

 「「「はい!」」」

 

 

 「声はいらん!全員かよ!?・・・仕方ないな、向こうが許可下ろしたら仕方なく受けてやろう。だが八意永琳を守り隊の名前は変えよう。「はい!じゃあ矢川さんの飯食い隊で!」ネタにしか振れんのか!・・・変人部隊だ。変・人・部・隊!まともな奴いないんだから文句なしだ!」

 

 

 「・・・俺いいと思います!」

 

 

 「私も!・・・やっぱあの部隊名おかしかったんですよ!」

 

 

 「そうっすよね・・・酒の席で決めるもんじゃねえっすよ」

 

 

 碌な事が聞こえてこない・・・なんだこいつら・・・

 

 

 「まああくまでも・・・入国出来たら、の話だぞ?」

 

 

 「「「はい!」」」

 

 

 ____________________

 

 

 「止まれ貴様!ついでにその部隊も止まれ!・・・おお永琳様!どうぞお通り下さい」

 

 

 「お前ら怪しすぎる!・・・貴様らあの自由にやっていき隊か!」

 

 

 「入れるわけにはいかん!」

 

 

 ・・・理由があれば諦めたが、

 

 

 「入りたくばこの都を落とすんだな!ハハハハハ!「よし、三日だ」・・・は?」

 

 

 碌な理由じゃないなら・・・

 

 

 「明日もう一度来る、三日で陥落させてやるよ。・・・市民への弁解でも考えてな.

・・・二度と笑えなくしてやるよ」

 

 

 喧嘩売ってやるよ。

 

 

 

 次回へ続く

 

 




 ・・・説明嫌い、性格悪い、脳筋。の癖しやがって実力は高い・・・

 駄目だなコイツ。(オリキャラに文句言うオリキャラ作者の図)

 次回もお楽しみに。

 
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