真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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よく神様は人間なんてものを作りましたよね。
ゆっくりご覧下さい。


第五十三話 全能か、無能か

 

「・・・すると、かの輝夜姫には想い人が?」

 

 

「そうなりますね、如何なさいますか?」

 

 

「うむ、そこに横槍を入れるのは野暮であろうな。諦めよう。・・・一つだけ、本心から愛しようとした、とだけ伝えてくださいな」

 

 

侵二の向かった先の石上麿足はきっぱりと諦め、

 

 

「・・・こ、これはまさか・・・!?」

 

 

「左様。龍神の鱗の首飾りである。・・・こちらを譲ろうと思いましてな」

 

 

「い、いくらだ!?いくらで売る!?」

 

 

「輝夜姫への求婚を諦めて頂きたく」

 

 

「う、・・・うーむ・・・」

 

 

「ちなみに姫には想い人がおられる」

 

 

「なら聞くまでもない!退こう!その首飾りも求めん!」

 

 

「ならこちらは差し上げます。「良いのか!?」その御心への代金です・・・感謝します」

 

 

風魔の向かった阿倍御主人も俺の鱗の首飾りのおかげかそうでないのかすっきりと諦め、

 

 

「旦那様!?如何なされました!?」

 

「・・・輝夜姫への求婚をやめる」

 

 

「な、何故でしょうか・・・?」

 

 

「私が関わると輝夜姫に被害が及ぶ夢を見た。・・・神のお告げかもしれん。悔しいが諦めよう」

 

 

幻夜が手を下した大伴御行は何故か諦め、

 

 

「龍神より命ずる。あの者にこれ以上関わるな。関わってみろ・・・いずれ貴公の心臓を刺し貫く者が現れるぞ」

 

 

「は、ははっ・・・!!」

 

 

石作皇子殿には俺直々に脅させて頂いた。本当に申し訳ない。

結果としては全員に諦めて頂いた。

あとはアゴ・・・人違いだな。帝殿のみだ。さて如何するべきか。

 

 

「で、どうすりゃいいと思う?」

 

 

「捕食」

 

 

「ぶん殴る!」

 

 

「斬る」

 

 

「悪夢で睡眠不足にする」

 

 

「鬼畜かおめーら。あと上院議員混じってんぞ」

 

 

じゃあどーすんのさと幻夜が不満そうに呟く。コイツ曰く変なこと考えてそうな男の夢なんぞ弄りたくないと言うことだ。失礼だろ。

 

 

「あの、私に考えがあるんだけど・・・」

 

 

手を挙げたのは紫だった。まああれこれ言いたいが手伝うと決めたので聞いてやる。

 

 

「どうする気だ?」

 

 

「・・・私の【境界を操る程度の能力】で、その人から輝夜への関心を消せばいいと思うのだけど・・・」

 

 

「お前天才か?」

 

 

そ、そう?と照れくさそうに紫が頭を掻く。

本当に理想以外は完璧だと思うので、問題の理想をさっさと捨てて頂きたい。

 

 

「それ男にしか興味持たなくならない?」

 

 

「それは大丈夫です!ちゃんと絞って発動できます!」

 

 

「ゆかりん凄いじゃん」

 

 

正直強能力程度と決めていたが、紫は相当強力な能力を持っている。

それはもうこの世界の均衡が整っているという世界線と整っていないという世界線をごっちゃにして世界を滅ぼせるような。

ま、全能の俺に言われても嬉しくあるまい。・・・なんだよ他人の持つ能力の上位互換を必ず会得するって。そんなに龍神様は頂点に立ちたいか。俺は龍神だが立ちたくねえぞ。

 

 

「・・・幻夜が紹介した理由も分かった気がするな。どうなんだ主上、認めてやらんのか?」

 

 

「は?寝言は寝て言えやアホ。お前理想郷作るのがどれだけ面倒か書類にまとめてやろうか?」

 

 

「言われずとも分かっている。だからこれ以上書類をよこすな」

 

 

しばらく書類は見たくないと言った表情の風魔に苦笑し、俺は紫に向く。

 

 

「んじゃクソ女、任せた」

 

 

言われなくてもやるわよ!と紫に叫ばれて紫が空間内へ消えた。

空間は俺と同じように紫の固有するものらしく、スキマと言うらしい。悪趣味な目玉模様をなぜ辞めないのか。これが分からない。

俺の空間は模様のない真っ白な空間だ。目玉模様とか使いにくいだろ。

 

 

「・・・隊長さんはあの人嫌いなの?」

 

 

俺が出て行った紫にやれやれと首を振っていると、輝夜が不思議そうに訪ねてきた。

 

「・・・いや、別に嫌いってわけじゃねえし、好きってわけでもない。・・・逆になんだと思ってんだ?」

 

 

「お嫁さんかなぁって」

 

 

隣にいた風魔と幻夜に爆笑された。尚壊夢は帰宅、侵二は紫を確認しに向かっている。

 

 

「クハハ!そうか嫁か!確かにそう見えるな!」

 

 

「に、似合ってるんじゃないの?・・・ダメだお腹痛い」

 

 

「誰がお似合いだ。あとアイツにキレられんぞ。こんな奴が旦那なんて嫌!ってな。俺も嫌だな、まだアイツの事よく知らんし」

 

 

「そうなの?」

 

 

てっきり口悪いから仲良いのかと・・・と輝夜が言っているが、俺は気に入った相手には序盤から口が悪い。仲良くなればもっと悪くなる。

 

 

「ま、そんな訳だ。って事で絶賛嫁さん募集中だ、「永琳は?」無理。見りゃわかるだろ?互いに趣味や性格はまあ一致するとして異性としての意識が微塵もない。永琳は初めはあったものの、玉子割り機開発時はもう無かった。今更好きですなんて互いに言わんし言う気もねえだろ。言えば結婚するんじゃねえの?」

 

 

その辺りを行くと豊姫や依姫も無理だ。さて次は諏訪子辺りか?聞かれるだろうが俺は神と結婚する気は無い。

 

 

さて結果的に俺の条件だ。

神以外。これに限る。あとは誰でもいい。

ふむ、確かに輝夜の言う通り紫がそう見えてもおかしくないのか。一応条件に当てはまっているわけだな。

 

 

「ふーん・・・じゃ、隊長さんには好きな人いるの?」

 

 

「いる訳ねえだろ」

 

 

だからといってアイツがどう。とかではないが。

 

「なんで?」

 

 

「怖いから」

 

 

本心を言うと、一人を愛するのが怖い。

期待に添えなかったら、裏切ってしまったら、泣かせてしまったら。

そんな事を考えるから付き合えないんだと前世でも悪友に言われたが、怖い。

多分俺が好きになる相手は、きっとそれら全てを受け入れてくれて、伴侶になった奴だろう。

 

「愛する者を守る・・・とか言ってみたいけどな?実力が伴わずに言うのはダサいと思うのよ。その点野郎共はしっかりしてるから様になるんだが、どうも俺はな・・・無理だ」

 

 

俺は強い。間違いなくこの世界で一番強い。不老不死も不死身も欠伸をしながら殺せる。本気を出せば兆単位の命を指一つで消せる。冗談や見栄を抜いて野郎共を瞬きで消すことが出来る。気分一つで世界を終わらせる事が出来る。

造作もなく世界の生き物を皆殺しにして、その後何事もなかったかのように全員を生き返らせる事も出来る。

 

だが弱い。残念ながらこの最高で最悪の能力を扱うのは俺。それはどうあがいても本来人間の俺。

精神が、思考が、全てが追いつかない。

 

 

「自分の能力一つまともに管理できない奴がな、好きな奴を作っちゃならねえと思ってる。・・・だから俺は愛する人を作る気は無い。作る時は・・・この世界の終末を迎えたとしても笑えるようになった時だ」

 

 

全能を羨ましいと思った事があったが、手に入れて分かった。

全能は【何もできない程度の能力】だ。

全能故に全てに責任が、何かが背中にのしかかる。知らんと言い切って荷を捨てれば楽だろうが、俺は捨てられない。だから何も凄い事は出来ない。こんなもの無能と同じだ。だから俺は殺す事は人の為にしかしない。

 

 

「・・・だから、多分俺は結婚する事はねえだろうし、付き合う事もない。この理由は誰にも理解されやしないからいい」

 

 

自分勝手。

万人が俺にそう言うだろうが、んなこと言うなら龍神やってみるかと言ってやりたい。

俺は不可能だと分かっているけれど、龍神を辞めたい。

 

 

「・・・それは違うと思う」

 

 

「・・・ん?」

 

 

「隊長さんは私を、私達を助けてくれた。それは私達を大事に思ってくれたからじゃないの?」

 

 

「・・・まあ、そうだが」

 

 

「だから・・・その、なんだろ、どう言ったらいいのかな」

 

 

しどろもどろになった輝夜の言葉が気になった。俺は輝夜を注視するが、続きは隣から聞こえてきた。

風魔だった。

 

 

「お前が助けた奴らに、お前の愛は無かったのか。と聞きたいんだ」

 

 

風魔が続ける。

 

 

「何も私から伊織へのような愛だけではあるまい。私で言えば・・・鞍馬や犬走。あいつらも私は愛していると言えるが、主上はどうなんだ?」

 

 

「・・・そりゃ、あの馬鹿共もお前らも大事だが」

 

 

「なら私達と共闘している時点で守っているのではないか?」

 

 

「それは・・・」

 

 

「主上、貴様は自分に自信を持て。貴様は自分が思っている以上に力を持ち、それを制御している。そして意思がある。・・・世界にいる自分の意思を持たずに集団と共に賛同と批判しかしないクソ共に比べると、お前の考えはいたってマトモだとは思うがな」

 

 

俺は黙って風魔の目を見る。

 

 

「つまり、だ。お前は優しすぎる。常他人の事しか考えていないではないか。お前だけの理由で誰かを殺した事があるか?」

 

 

無い。考えずとも言える。八岐大蛇も、都も、野朗共との殲滅も。

 

「・・・おそらく無いだろう。そう言う奴だお前は。・・・龍神の名を背負いすぎるのも大概にしろ。たまには好きに生きれば良かろう。誰も文句は言わんさ。・・・たとえ今ここで世界を滅ぼしてもな」

 

 

俺は自分の頬を掌でパチンと殴り、風魔に笑う。

 

 

「確かにそうだな。俺はちと気遣いが過ぎたかもしれん。輝夜もありがとうな」

 

 

「分かればいい。・・・で、気になる奴は?」

 

 

風魔と笑いあっている輝夜を見て、それが魂胆かと俺は苦笑し、さらりと答えてやる。

 

 

「紫。面白い奴だとは思ってはいる。・・・一応条件にも該当してるしな」

 

 

「やはりか。ならば彼女に見えるのもおかしくなかろう」

 

 

やけに静かな理由が眠っている幻夜だったのに気がつき、俺は苦笑する。

 

 

「まあアイツが良いとは言えんしな・・・じゃ、俺も相手探してみるとするか!」

 

 

輝夜姫の求婚される姿を見て、伴侶を探そうとするのは俺ぐらいだろうな。

 

 

次回へ続く

 




本当によく人間って出来てますよね。
でも神と違って意地汚さとかあるので、出来損ないの創作物ですかね?神話を元にしたら。の話ですけど。

・・・ところで、評価バーって赤くなるんですね。都市伝説だと思ってました。
・・・あああああ!?赤!?こんなゴミクソが!?
・・・こんな駄作が大作と評価で並んで調子乗るんじゃねえよと叩かれる事必至ですね。即青になるでしょう(確信)



次回もお楽しみに。
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