真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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よ、良かった、バーの色が赤くなくなった・・・
ちゃんと一夜だけの赤でした。やっぱり駄作でしたね、安心しました。
どう考えても身の丈に合ってませんでしたよね。


ゆっくりご覧ください。


第五十四話 自分勝手

紫の提案は成功し、帝殿が輝夜の元に来ることは無くなった。

案外コイツなら理想郷設立もやりかねんと思うようになった。一厘ぐらい。

 

まあ理想郷云々は置いておいて、だ。

妹紅に懐かれている輝夜と紫、翁殿を除く男衆を見ながら俺は質問する。

 

 

「輝夜をこのまま月に返す気のある人」

 

 

誰も手を挙げない。

 

 

「返す気ねえに決まってるだろハゲって言う人「はい!はい!はい!」うるせえ!」

 

 

いかにもわざとな幻夜を押さえつけていると、紫と男衆が手を挙げた。

 

 

「じゃあ月の連中薙ぎ払えますって自信のある人」

 

 

不比等さんと紫が手を降ろす。まあ逆に挙げられると困る。

逆に言えば野郎共は全員手を挙げたままだ。

 

 

「じゃあぴったり一ヶ月後に予定空いてるよって言う人」

 

 

侵二以外が手を降ろす。

 

「はい決定。じゃあ侵二、また追加業務な」

 

 

「訴訟「取り下げ」・・・分かってますよ。了解」

 

 

さて、何の話をしているかと言うと・・・今朝俺宛に手紙が届いた。月から。しかも槍に結ばれた状態で。

そこには端的に「一ヶ後蓬攫」と「永共来薬三飲謝」とだけ書いていた。

一つ目を訳せば「一ヶ月後蓬莱山攫う」と言うことだ。つまりお迎え(本人望まず)が来るわけだ。

俺は手紙を輝夜から遠ざけ、野郎共のみを招集し、この手紙を見せた。

そして一芝居打ってもらったわけだ。

つまるところ、一ヶ月後輝夜を攫わんと月から迎えが来る。

 

勿論考えなしではない。ゴリ押せばまあお帰り願うことは造作もないのだが。

さて、二つ目を訳せば「永琳共に来る薬三号飲んだ謝る」と言うことになる。

今更だがこの文の書き方は変人部隊にしか教えていない。そして変人部隊で槍を使っていた奴は俺は一人しか知らない。

まあ武田だろう。あのアホ薬まで飲みやがった。

 

 

と言うわけで迎撃の算段はついているので、なるべく輝夜に武田の事を隠すようにする為に、計画しているフリを見せている。

 

 

そして予定通り侵二と俺の迎撃担当が決まった。ちなみに元から幻夜はデート、風魔は一ヶ月分の休暇で嫁と旅行、壊夢は山以外の住処探しで忙しいので元から計画する必要もなく俺と侵二だった。

 

 

「・・・本当に大丈夫?」

 

 

「お前な、元変人部隊部隊長舐めんじゃねえぞ?伊達にあのアホ共纏めてねえよ」

 

 

心配と不安の残る表情の輝夜ににっと笑うと、俺は不比等さんに向く。

 

 

「で、不比等さんにも頼みたいことがある。・・・輝夜の近くにいてやってくれ。クソ女もつけるから何とかなるだろうが、万が一だ」

 

 

「まあつまり肉壁ですな。承りましたぞ」

 

 

「申し訳ない」

 

 

まあそんな事はさせない。そんな事が万が一起きれば風魔が文字通り飛んで来ることになっている。

続いて俺は紫に向く。

 

 

「んじゃクソ女、運が良ければではあるが、俺らの悪名高さの理由見せてやるよ」

 

 

紫は俺を一瞥すると、そうね、と頷いた。

前までそこそこ噛みついて来ていたが、野朗共に何か吹き込まれたか、俺を観察するようになった。面白くない。

 

 

「張り合いねえな・・・」

 

 

こうなるなら幻夜達に口封じをすべきだったと後悔する。

しかし後悔してばかりでは仕方ないので俺は終了と叫んで外に出る。

何となく空を見上げていると、幻夜が俺の背後に現れた。

 

 

「ちょっといい?」

 

 

そう言いながら幻夜は顔の左半分を指差した。

 

 

「なんか用か?」

 

 

「まあね。変わるよ」

 

 

幻夜が顔に手を置くと、瞳の色が紅く染まり、目つきが鋭くなった。

 

 

「って事で、よう、久しぶりだなマスター」

 

 

「久しぶりだな」

 

 

幻夜・・・の中にいる誰かが俺に笑いかける。俺はまだコイツが誰か知らないし、名乗るつもりもないようなので幻夜で統一して呼んでいる。

 

 

「で?何の用だ?白昼堂々とお前が出てくるなんて珍しいな」

 

 

「ああ、それなんだがな・・・俺が幻夜から独立しそうなんだよな」

 

 

「独立・・・って、自称幻夜の裏人格じゃなかったのか?」

 

 

いやまあそうだったんだけどな?と幻夜が頭を掻く。

 

 

「幻夜にも幽香がいるだろ?・・・二人っきりにしてやろうと思ってな、永久に多重人格で通すつもりだったんだが、無理そうなんで出ることにした」

 

 

「じゃあお前は何だ?」

 

 

幻夜は口角を上げて笑った。

 

 

「混沌を絶滅に追いやった張本人さ。・・・俺は本来生まれるはずのない生き物なんだよな」

 

 

手をプラプラとさせながら幻夜は笑った。

 

 

「まあ・・・そうだな、恐ろしくちっちゃい生き物、だったな。しかも脳味噌の出来た。挙げ句の果てに運悪く、周りの食事と言える養分が無くてな、こいつの体内だった」

 

 

水に混じってたみたいでな、と幻夜が笑った。

 

 

「んで生存能力が働いて、当時脳細胞が発達してなかった俺は周囲のこいつ以外の混沌に飛沫から寄生して成長したのよ。・・・んで元々あらゆる生物に変形できる混沌の細胞を食ったことで脳細胞、身体細胞が発達して俺が出来た・・・って事だな」

 

 

「・・・すると昔はその辺の埃並みのサイズだったのか?」

 

 

「そそ、それが今はこれよ。・・・ま、それでこいつも俺も火に弱いんだよな」

 

 

まあそんな事は良いんだよと幻夜は顔を顰める。

 

 

「今はこいつに聞こえてねえから言えるが、俺は混沌をこいつ以外殺した。いくら生存本能でしたなんて言っても殺したのは違いない。だから独立したら遠くに出ようとしてるんだが、どうすりゃ良いと思う?」

 

「・・・出りゃいいさ。好きに生きればいい。誰も知らないところでもいいし、俺たちの知っている世界に紛れてもいい。そんなもんはお前の自由だ。・・・何人殺そうがな、別に誰も怒ってないんだから勝手に生きればいい。恨まれるなら恨まれる道を選べ」

 

 

俺は軽く笑い、幻夜の肩を叩く。

 

 

「案外、店でもやれば良いんじゃねえの?」

 

 

幻夜は何か考えていたが、やがて頷いた。

 

「そうだな。・・・どっちにしろ暫く一人で考えてみる。コイツにはまた縁あれば帰るって言っといてくれ」

 

 

そう言いながら幻夜の耳から透明なミミズのようなものが這い出し、人の形を作った。

・・・いやお前、アメーバかよ。

 

 

やがて幻夜から出たアメーバは幻夜そっくりの姿になると、これで大丈夫だなと笑った。

 

 

「じゃあな!俺に用があるなら一応行くぜ!」

 

 

そう言うとアメーバは地面に溶け込み、姿を消した。

 

 

「・・・あれ?話終わったの?・・・あれ、いないんだけど」

 

 

「・・・縁あればまた帰るだとよ」

 

 

「あっそ。・・・ありがとうぐらい言いたかったな」

 

 

幻夜は残念。と呟くと、輝夜を指差した。

 

 

「僕もさ、輝夜みたいな普通の何の特徴も持たない生き物だったんだよね。混沌の失敗作ってのが妥当かな」

 

 

そもそも本来の混沌とは、他の生物に体組織を変え、その生物と子孫を残して混沌を増やすという必ず変化が出来なければならない種族だと幻夜は説明してくれた。

 

 

「ところが僕は変化出来ない。・・・そのせいで結構生き残るのが絶望的だったんだよね」

 

 

その時来たのがアレだったんだよね。と幻夜は言った。

 

 

「そりゃ親とか親族殺されてるわけだけどさ、僕を助けてくれた事の方が嬉しかったんだよね。・・・今じゃアイツから力も貰ってさ、それでやっと侵二とかに並べるんだよ?アイツ強すぎない?」

 

 

幻夜は笑うと、天を仰いだ。

 

 

「・・・またね、初めての友達。今度会ったら息子見せてあげようかな」

 

 

そう言いながら天を仰ぐ幻夜は

 

 

「おう待てや。良い話で終わらせようとすんな」

 

 

・・・そんな事は省く。

 

 

「何?息子がなんだって?子供出来たのか?」

 

 

「んーん、もうちょっとしたら作る」

 

 

「は?」

 

 

等々縁の親代わりをしていた記憶が暴れ始めたのだろうか、真面目に親になろうとしている。しかも俺らのメンバーの中で一番頭のおかしい奴が、だ。風魔でも作らんと明言してるんだぞ?

 

 

「お前大丈夫か?前クソ女から聞いたらキスもまだだって言ってたんだが?」

 

 

「あー、あの後した」

 

 

「何やってんだお前」

 

 

割と真面目なようだ。まあ真面目じゃなければ許さんのだが。というか絶対これでアメーバの奴が出て行く決心しただろ。

 

 

「・・・んじゃ、結婚が先か?」

 

 

「そーだねー・・・まあ多分・・・千年は後だろうね。幽香が恥ずかしがってるし」

 

 

「はいはい惚気惚気」

 

 

「お粗末さまでした。・・・ま、そんな訳で、産まれたらよろしくって事で」

 

 

「へいへい」

 

 

俺は適当に返し、いつの間にか明日が突っ込んでくる日になっている月の事を考えた。

 

 

尚、既に翁殿は幻夜の洗脳により輝夜が帰ることは仕方がない事だと思い込ませている。すまんな爺さん、俺はヒーローになりすました悪役だ。

でもまあハッピーエンドだよな。そもそも輝夜は武田と結婚したいんだからな。

 

 

 

次回へ続く




ありがとうございました。
でもまだ身の丈に合ってないですよね。
いつか身の丈に合うように精進して行きます。一世紀くらいかかりそうですけど。



次回もお楽しみに。
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