真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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肩凝りが酷すぎて腕が上がらなくなりました。
いやもうホントに体いかれてるんじゃないですかね。


ゆっくりご覧ください。


第五十六話 共闘

「元気そうなのは良かった」

 

 

「隊長も。元気そうで良かったです」

 

 

「おう、やるぞ」

 

 

「はい」

 

 

会話はそれだけ。直後武田は短槍を背中から取り出し、フルフェイスヘルメットを投げ捨て、短槍を構えて突撃し、龍一はスナイパーライフルを構えて突撃した。

武田の槍が兵士の武器を突き落とし、龍一のライフルの弾丸が至近距離で放たれる。兵士は頭が爆散した。

明らかに使い道を間違えたライフルを龍一は構え直し、バレルで横から突撃してくる二人目を撲殺する。

武田はその間に跳躍しており、横薙ぎに振った龍一のライフルのバレルを足場にして、化学班と名乗った集弾の最後尾、狙撃手の胴体を刺し貫いた。

 

 

「腕は落ちてないな」

 

 

「そりゃ訓練は裏でもやめてないですよ」

 

 

「なら良い」

 

 

続いて龍一は片手で拳銃を取り出し、武田を取り囲む七人のうち二人を撃ち抜く。そして龍一はライフルを上空に投げ捨て、同時に武田が跳躍、残りの五人を刺殺し、ライフルを再度足場にして龍一の前に降り立つ。落ちてきたライフルを龍一は一度蹴り上げ、装填して片手で受け止める。

 

 

「ナイス」

 

 

「どうも」

 

 

龍一は拳銃をしまい、武田の肩を叩き、ニヤリと笑う。

武田も僅かに頬を緩める。

 

 

「じゃ、侵二」

 

 

「ご友人ですか、お願いします」

 

 

「人使いの荒い・・・」

 

 

龍一が侵二を指差し、次に驚愕している指揮官を指差す。

 

 

「こんな奴らがいたら月読命の仕事が増える。食っとけ」

 

 

直後、突然現れた化学班と名乗った奴らは全て消えた。残るのは咀嚼音と、骨か何かが砕ける音。美味しいのだろうか。

 

 

「了解です」

 

 

「おお」

 

 

「サンキュー」

 

 

侵二はにこりと微笑むと、手を合わせた。

 

 

「ご馳走様でした」

 

 

「ん。じゃ、兵士諸君ご苦労。今回は我々変人部隊が鎮圧した。あ、武田、変人部隊専用の電話機、あるなら貸せ」

 

 

「はい」

 

 

武田が通信機を渡すと、龍一はゆっくりとダイヤルを回し、電話をかけ、深呼吸をした。

 

 

「・・・はーい。あれ、珍しいですね、武田くんですか?月読命で「何しとんのじゃど阿呆ォ!!」ヒアッ!?」

 

 

龍一は通信先の相手が出た瞬間、叫び始めた。

 

 

「地上に何ゴミ送ってきてんだ阿呆ォ!おかげで掃除する必要が出来た上に、蓬莱山と永琳が怪我しかけたぞボケェ!何を管理しとんのじゃワレェ!?しかも普通の使者の奴らまで怪我しかけただろうが!何考えとんのじゃ!」

 

 

「え、ええ!?地上に降りるなんて、そんな事一切聞いてないですよ!?「現に来とるやろがい!それに武田まで降りてきとんのはどない説明するんや!?」そ、そんなぁ・・・た、武田君、説明してください!」

 

 

「俺が貴女に休暇を命令された時に止められた仕事から出たボロです。今いる兵は以前月読命様に蓬莱山の安否を確認せよと仰ったメンバーです」

 

 

「あ・・・そんな事もありましたね。・・・はっ!?」

 

 

「アホがァ!何適当に休ませとんのじゃ!その上命令を忘れとんのか!プレミアムフライデーで強制的に休ませて、仕事の進行は無視して、後で取り返しつかなくなったら部下を責めて、しばらくしたらその事すら忘れる上司か己はァ!?」

 

 

「何言ってるか分かりませんし、やけに細かすぎますよぉ・・・」

 

 

「あー畜生が。・・・んで、ウチにゴミが降りてきたから処理した。兵は帰らせるが武田送り返・・・どうする?」

 

龍一は輝夜を一瞥し、月読命に質問する。

 

 

「ふぇ?じゃ、じゃあそのまま残し「仕事どうすんのじゃ」・・・じゃ、じゃあ送って下さ「輝夜どうすんのじゃ」意地悪です!!」

 

 

「俺が中継地点になって、とりあえず今の仕事まで武田行き来させるっちゅう案は無いんか?「それありなんですか!?」知るか。出来るならありだ」

 

 

「無茶苦茶ですよぉ〜」

 

 

「るっせ、俺が出来るといえば出来る。無理といえば無理。俺主軸に回っちまってんだから仕方ねえだろ」

 

 

龍一は半泣きの声になった月読命にそう吐き捨てると、左目を抉り取り、武田に突き出した。

 

 

「やる」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「あ、あのー、説明は要らないんですか「要らん」凄く兄上怒ってません!?」

 

 

龍一は知るかと吐き捨てると、通信機の電源を切った。なんて兄貴だ。

 

 

「これ、隊長が瞬間移動する為の奴だと思うんですけど、俺が貰って良いんですか?」

 

 

「ああ・・・それな、別のが出来たからやる。今の一々変えにゃならんのを全部まとめた奴が出来たから、それで済ます」

 

 

「貰います」

 

 

「良かろう」

 

 

武田は無愛想に頭を下げると、龍一は懐かしそうにニヤリと笑った。

 

 

「じゃ、お前の妹のとこに行くか」

 

 

「・・・良いんですかね」

 

 

「味覚消えようが、痛覚なくなろうが、お前はお前だ。気にせず前みたいに接してやれ」

 

 

「はい」

 

「んじゃ、のんびり行くぞ。侵二、一応座標指定」

 

 

「はいはい。ここですよ。永琳殿も」

 

 

「ん、じゃあ行くぞ。・・・あ、そこの士官、名前と階級は?」

 

 

龍一は撤退を判断した若い男に問う。

 

 

「はっ!加藤(かとう)軍曹であります!・・・あの、鏡一准将でありますよね?「あ、正確には神矢。・・・龍一な。悪いけど隠してた」龍一・・・っ!?」

 

 

「龍一って事は月読命に聞け。加藤だな、名前覚えた。お前部隊持ったら多分俺よりいい部隊長になるわ。後で月読命に連絡しとく。そこで立ってるお前らも佐々木の下での労働と進級は覚悟しとけよ!解散!」

 

 

「はっ!」

 

 

その声を聞いたか聞かなかったのか、次の瞬間四人は消え、静かな夜が残った。

 

 

____________________

 

 

紫達が逃げ込んだ竹林の少し手前に四人は現れた。

 

 

「よっ・・・と。ほれ、行くぞ」

 

 

「はい・・・」

 

 

「・・・全然乗り気じゃないみたいですね」

 

 

そりゃそうです、と武田は動かない表情筋を今以上に硬くした。

 

 

「・・・今まで死んだなんて情報を流して、今更帰ってきたよ、なんて言えるわけないじゃないですか。最後まで見てやらなくちゃならなかったのに、仕事を優先して輝夜を危ない目に合わせた。兄失格ですよ。永琳様には伝えましたけど・・・隊長も兄貴だから分かりますよね」

 

 

違う、と龍一ではなく侵二が武田の肩を掴んだ。

 

 

「・・・違います、貴方は間に合ったんです。・・・真に兄失格は間に合わなかった時です。妹の危機も知らず、危機に合わせた相手に復讐もできず、喪失感に打ちひしがれるだけ。・・・貴方は間に合った。それで良いじゃないですか。ね?」

 

武田に微笑みを見せる侵二の瞳は側から見ると黒く透き通っていたが、武田には中に何かが蠢いているように見えた。

 

「侵二さん・・・」

 

 

「聞かないでください。それに、今はそれより妹に会いなさい。・・・いや、愛する人の所へ」

 

 

「はい」

 

 

武田の顔がわずかに緩んだ。

 

 

「・・・ほれ、そうと決まれば早く行くぞ、武田」

 

 

「はい!」

 

唐突に武田は笑顔を見せ、驚いた二人を置いて地面を蹴り、馬並みの速さで駆けた。

 

 

「お前笑っ・・・てそう言う意味じゃねえよ!早くの意味が違うわ!・・・この馬鹿野郎!永琳、行くぞ!」

 

 

「ええ!」

 

 

龍一はそう言いながら笑い、永琳の手を取って武田に追いつくように駆けた。

侵二もやれやれと首を振り、何かを思い出すように空を見上げた後、同じように翼を蜘蛛の足のように地面に突き刺して駆けた。

 

 

「馬鹿、武田、止まれ!お前はこう一歩ずつ近づくとかのムードは気にしねえの侵二キモッ!!カサカサ動くんじゃねえよ!」

 

 

「虫みたいね」

 

 

「結構永琳殿辛辣ですね・・・仕方ないでしょう、私は二人と比べて走るのは普通なんですから「何処がじゃい!」まあまあ。武田君、ちゃんといつも通りただいまって言うんですよ!」

 

「はい」

 

 

「そこさっきみたいに笑えよ!」

 

目線の先に何かが見え始めた時、突然侵二の翼がわざとらしく竹に引っかかり、バランスを崩した。

 

 

「あ」

 

 

そのまま躓いた翼を除く7枚の翼は武田を縦横無尽に避けながら、正確無比に龍一に絡みつき、龍一ごと転倒する。咄嗟に龍一は永琳から手を離し、永琳は優雅に着地し、龍一だけが巻き込まれた。

 

 

「あ。も何も武田避けてる時点でわざとだろテメェェェェ・・・!!」

 

 

そのまま龍一と侵二は一つの球体になりながら、武田を追い抜いて転がっていき、紫達のいるはずの見えていた屋敷に激突した。

 

 

「やっぱり鏡一ね」

 

 

「た、隊長・・・?」

 

 

永琳は笑い、武田は困惑しながらも足を緩めず、すぐに追いついた。

そして相変わらず金剛石並みに硬い表情をさらに硬くした。

 

 

「た、隊長さん!?・・・紫さん、大変よ!隊長さんが転がって来たわ!」

 

 

目の前に妹がいる。それは武田にとってとても喜ばしく、待ち望んで来たことだが、どうしても近づけなかった。やがて先に輝夜が気づいた。

 

「っ!?こ、この人に手を出さないで!」

 

そう言って輝夜は小刀を取り出し、武田に向ける。輝夜は武田だと分かっていないらしく、武田もまた動かなかった。

 

 

「・・・あ、貴方一人だけなんて、怖くないんだからっ!」

 

 

そう叫んだ輝夜は武田に突進し、手に持つ小刀を武田に向けて突き刺す。

武田は小刀を急所を外して腹部に受け、接近した輝夜を抱きしめる。

 

 

「っ・・・!」

 

 

殺される。武田だと分かっていない輝夜は目を閉じたが、いつになっても襲ってこない。それよりも何故か安心感が体を包む。

懐かしいような匂いが輝夜を包む。

しばらくすると、輝夜の頭にぽんと手が置かれた。輝夜はその手を覚えていた。

 

 

「・・・兄、上?」

 

 

返事はなかったが、手が優しく輝夜の頭を撫でた。

やがて、聞きたかった声よりは硬かったが、それでも誰だか分かる声が聞こえた。

 

 

「・・・ただいま、輝夜」

 

 

「ぁ・・・」

 

 

会いたいのに会えなかった寂しさがこみ上げ、今ここにいる嬉しさと、何故連絡をくれなかったのかと言う怒りが入り混じり、輝夜は武田の横っ面を思いっきり張った。

 

 

「遅いよ・・・!」

 

 

ごめんなと武田に言われる。そうじゃないと輝夜は言いたかったが、涙が溢れて声が出ず、武田にもたれかかってしまった。

 

 

「・・・ごめんな」

 

 

そうして、一晩中輝夜は泣き続けた。

 

 

「やっぱ、輝夜姫には月からの迎えが来ねえとな」

 

 

月を見上げながら通信機を片手に龍一は笑った。

 

「これも兄上のツキの良さのおかげですね、月だけに!・・・なんちゃって」

 

 

「20点。後加藤含めて階級上げて佐々木の下な。・・・あの人材こんな仕事に使うの勿体ない。そしてお前はギャグセンスを磨け」

 

 

「やっぱり怒ってません!?」

 

 

 

次回へ続く

 




ありがとうございました。

次回もお楽しみに。
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