真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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空飛べたら超高速で無人機に激突するか、摩擦熱で燃え上がりながら爆発したいですよね。


ゆっくりご覧下さい。


第六十話 弾幕ごっこ②

眼が覚めると、身体中を痛みが襲った。

 

 

「・・・ッ!?」

 

 

痛みで動こうとするが、余計に痛むので動けない。しかも枕らしきものが硬い。

 

 

眼だけで枕を確認するが、私は固まってしまう。

 

 

「ん・・・?お、起きてんのか。おはよう」

 

よりによって龍神だった。咄嗟に離れようとするが、龍一に押さえつけられる。

 

 

「バッカ動くな、今治療中だ」

 

 

そう言って龍一に頭を動かないように押さえられたまま動けなくなる。ところが龍一の顔が近く、恥ずかしい。

 

 

「お、いけね、近かったな」

 

 

龍一は今まで気がついていなかったのか、顔をどけた。

分かってくれるのは嬉しいが、ここまで何の動作もなく顔を近づけたり離したりされると私に魅力がないのではと思ってしまう。

 

そんな事を考えながら仕方なく龍一の膝枕に押さえつけられていると、徐々に痛みが引き始めた。

 

「お、効き始めたな」

 

 

「何を・・・?」

 

 

してるの、と聞こうとすると、龍一は遮った。

 

 

「俺の細胞を経由してお前の細胞を活性化、再生させる成分を流し込んだ。皮膚接触や手を繋ぐだけで回復できる」

 

 

説明していた龍一だが、突然閃いたようにニヤリと笑った。

 

 

「唾液や血液などの体液経由で摂取するのが一番早いんだが、どうかね?」

 

 

勿論拒否しておいた。ついでにはっ倒した。

 

 

____________________

 

 

「懲りろや」

 

 

紫を細胞活性で回復させた翌日、再び弾幕勝負をすると言い張り始めた。しかも次は侵二を所望した。死ぬ気かコイツは。

 

 

「だって、貴方に負けっぱなしだと癪に触るもの。・・・それに、理想郷を作るとしたら、このルールを広めた本人が強くなければ意味がないのではなくて?」

 

 

「・・・へーへー、左様ですか。口は達者だな」

 

 

俺は紫の態度にある意味で降参し、侵二の肩を叩く。

 

 

「んじゃ相手してやってくれ」

 

 

侵二の口が一瞬だけ耳元まで裂け、いつも通りの静かな声が聞こえた。

 

 

「了解」

 

 

「んじゃスタート」

 

侵二が先に動いた。侵二は指を鳴らすと共に電撃で出来た丸い弾幕を背後に展開、一気に射出した。

 

 

紫は先日の風魔戦と同じく、背後からレーザーに近い弾幕を放っている。ところが射出する場所が扇の形になっていたりする辺り、美しさも上げているのだろう。その前に侵二に挑むのをやめて欲しかった。

 

 

「ふーむ・・・こうですかね?」

 

慣れていない奴が言いそうな台詞とは裏腹に慣れた手つきで侵二が極太雷撃を放つ。紫はある程度は理解していたらしく、同じ様に極太レーザーで止めようとしたが、拮抗する暇もなく侵二の火力に潰される。流石遠距離火力バカ。

紫は無理だと悟っていたのか空間に逃げ込んだ。

 

 

そして侵二の背後からの奇襲。流石の侵二も弾幕には対応できなかったのか、はたまた今日の晩飯の事を考えていたのか、一発髪の毛の先に掠った。

 

 

「おっと・・・お、今日はサバの味噌煮にしますか」

 

 

後者らしい。侵二は晩飯を決めたらしく、いつも通り肩から生えている翼を・・・全部出した。計十一枚。

 

 

「そこですかね?」

 

 

侵二の翼のうち一枚が伸び、紫がいたのか空間ごと喰い千切る。

 

 

「ッ〜!?」

 

 

紫は噛まれたらしく、出血はしていないものの右足が無かった。

 

 

「おや、当たった。・・・さァてと、まァこれで終わりとかほざかないですよねェ?」

 

 

侵二の口が再度裂け、翼全てが顎を開き、バチバチと電撃の音を響かせる。

やがて侵二が片腕を上げると、それに呼応する様に翼が伸び、紫に襲いかかった。

 

「ッ!」

 

 

翼の噛みつきを回避し、背後から別の翼の電撃を受け流し、上下から二枚同時の雷撃弾を弾き、右足の死角から侵二の口からの電磁波を喰らう。口から吐くな。

 

 

「あうっ・・・」

 

 

よろけた紫に容赦なく翼は襲いかかり、雷撃弾、電撃、噛みつき、電磁波を浴びせんと迫る。

紫は何度も受け流し、回避し、急所を外して受け、逆に侵二を攻撃せんと弾幕を放ち、弾幕を喰われ、舌打ちする間も無く噛みつきを躱す。

 

 

初めこそ接戦ではあったものの、侵二の無尽蔵のスタミナと翼の獰猛さに紫は疲弊し、次第に電撃にも当たる様になった。

 

 

「まだ・・・まだぁ!」

 

 

「・・・心苦しいですねェ、でもまァ挑んだのは貴女からですからァ?ちゃんト降参は言ってもらわないと困りますからねェ」

 

 

耳まで裂けた笑顔を見せながらより侵二は鋭く、素早く、容赦なく紫を襲う。

やがて雷撃を回避した時に体勢を崩した紫の左腕に翼が喰らい付いた。

 

 

「ああぁぁッ!?」

 

 

絶叫し、翼に決死の弾幕を当てる紫、しかし翼は離れる事なくそのまま暴れ狂う。何度も空間の地面に叩きつけ、雷撃を流し、行動不能にさせようとする。

しかし紫も紫、気絶する事なく叫びながら翼に弾幕や直接攻撃を与え続ける。

 

 

「あああっ!!」

 

 

絶叫しながら放った紫の弾幕が、左手を咥えている侵二の翼にクリーンヒットし、翼が体勢を崩し、地面に落下、口を開いて倒れ伏す。

紫は口から左手右足を失った状態で這い出し、息も絶え絶えに立ち上がろうとし、気絶する。損傷が酷すぎる。

 

 

「お前なぁ、女の子やぞ?」

 

 

「しかシ妖怪ですかラ、そんなに心配せずとも治るでしょう。・・・まあ、いささか殺しにかかりすぎた気はしますケド」

 

 

すみません、と侵二は頭を下げながら耳まで裂けた口を戻す。

俺は仕方なく紫の体に手を当て、自分の左眼にも手を当てる。

 

 

「あんまりやると地獄からクレームが来るんだよな・・・転移」

 

 

ふっと俺の左目の視界が消え、見える様になった時には紫の欠損していた体や傷は再生していた。

代わりに俺がボロボロ・・・と言うわけではなく、至って健康的だ。

端的に言うと左眼が怪我を吸った。属性で言えば【死】に該当したため致命傷を吸うことが出来た。

今この様なことが出来たのはこの前武田に送りつけた義眼の代替品、全属性をねじ込んだ銀色の義眼だ。これによりあらゆる行為に応用を働かせることや、複合させることが容易になり、更に能力のレベルが上がった。ただし俺以外が扱おうとすると地球が爆発する。

 

さて【転移】についてだが、勿論欠点もある。

致命傷にしか通用しないのと、俺に効かない。つまり怪我を誰かに押し付けることは出来ない。使えねえ能力だ。

更に俺の命を誰かに押し付ける事も可能、つまり死んだ奴を俺が生き返らせる事ができる。俺死ぬけど。それで良いのか龍神。

 

 

「うーむ・・・誰か丁度いい相手はいないんですかね・・・」

 

 

侵二が頭を掻きながら思案する。俺も考えるが、誰一人思い浮かばない。

そもそも俺たちが頭百個分くらいブチ抜いたせいでこの程度の弾幕、お遊び程度である。

侵二はおそらく俺たちとやる場合、本体も動く上に、翼の何枚かは更に裂けて網目の様な状態で襲ってくるのではないだろうか、詰みです。

風魔も風魔、あれはもう試合開始の合図で即叩き斬られる。

あれがもしガンポッドやミサイルを持とうものなら殺戮兵器へと変貌する。

尚幻夜は絶対怪我させちゃうからと拒絶、壊夢は加減がど下手くそだがやる気あり、あと目処があるならアメーバかもしれない。

俺もほんの少し集中してしまうと周囲が止まって見え、弾幕がただのオブジェクトになってしまう。自立型弾幕も馬鹿に長い生活で百個同時に個別で動かせるようになってしまったので文字通り弾幕になる。

 

 

「アメーバ野郎呼ぶか?」

 

 

「うーん・・・でも今忙しそうですしねぇ」

 

 

「だな。・・・殺さないように頑張るか・・・」

 

 

それから二時間後、紫は目を覚ました。

 

 

「・・・ッ!?」

 

 

「おはよう。昨日もこれやったな」

 

 

「あ・・・また、寝てたの?」

 

 

「寝てたぞ。二時間ぐらい」

 

 

紫は自分の体を見回すと、大きな溜息を吐いた。

 

 

「はぁ・・・。結局一発も当たらなかったわね」

 

 

「まあそもそも俺らに勝とうってのがおかしいんだな。これからしばらく遊び相手になってやるから倒してみろ。後、明日は多分壊夢な」

 

 

まさかの壊夢参陣とか言う事故発生である。空間崩壊の一回や二回は考えた方が良いかもしれない。

なおアイツは弾幕が出せない。出来ないではなく下手といったのは波動砲みたいなのしか出ない。何故か弱く撃てない。

 

 

「・・・そう。ありがとう」

 

 

「まあ頑張れや。んでさっさと理想郷諦めろ」

 

 

「諦めないわよ」

 

 

「そーですかい。・・・ま、死んだら俺が面白くねえから死ぬなよ」

 

 

「・・・ありがと」

 

 

「・・・おう。・・・ダメだキャラに合わん!」

 

 

ガラじゃないセリフを吐いた事に嫌気がさし、俺はしばらく寝てろと紫に吐き捨て、瞬間移動で空間に篭った。

・・・体温、心拍数上昇か。ガラじゃねえって言ってんのにこれかい。

 

 

「・・・チッ、どうなってやがる」

 

 

よく分からんがイライラしする。しかし八つ当たりするものもないので新しい空間を生成して握り潰した。

 

 

 

次回へ続く

 




ちょっとだけデレたか分かりませんが人間らしい事になった龍一。
まあ最近キチガイっぷりしか見せてませんでしたからね。


次回もお楽しみに。
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