真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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とうとうクリスマス間近ですね。
昔食虫植物ってのをお願いしてました。
めっちゃ後で謝りました。


ゆっくりご覧下さい。


第六十二話 転機

 

「ったく、料理教えて下さいだぁ?あんの箱入り娘に軍隊男、炒飯も作れんのか」

 

 

ぶつぶつと呟く龍一の隣に付き添いながら、私と龍一は龍一の家へ帰る道を歩いていた。

 

 

「お前だって作れるよな?」

 

 

「え?・・・あ、うん」

 

 

「・・・お前永琳に言われた事まだ気にしてるんじゃねえだろうな」

 

 

「べ、別に、そんな・・・」

 

 

龍一に呆れたような表情で見られながら否定したが、否定出来たようには思えない。

龍一がはぁ、と溜息をついた。

 

 

「・・・別にお前が俺の事どう思おうが構わんがな、俺は悪人だからな。理想郷作ろうとしてる奴が悪人に惹かれるんじゃねえよ「悪人じゃない」・・・んだと?」

 

 

「龍一は悪役のフリをしてるだけじゃないの?」

 

 

龍一が私を睨む。殺気は侵二さんを上回るほど凄まじかったが、吐き気のない寒い殺気だった。私は言い続けた。

 

 

「私にとって貴方は嫌な人。でも結局は応援してくれるし、私を否定しない。それに、悪人ならあんなに知り合いや仲の良い人はできないと思うけど?」

 

 

「・・・何が言いたい」

 

 

「貴方はもっと自信を持たなきゃならないと思う。それは私から言うのはおこがましいかもしれないけれど、貴方は龍神様なんだから。ある程度は優れていると見せなきゃ、他の人達まで自失してしまうと思うの」

 

 

「・・・ほう」

 

 

龍一は驚いたような顔をしながら、私を眺めていた。

 

 

「だから・・・その、何、言えない、その・・・」

 

 

どうしても伝えたかった事があるはずなのに、どうしても言えなかった。言葉に出来なかった。

しかし、龍一は笑った。

 

 

「・・・もっと自分を誇れ、か?神様の癖に下ばっか向くなと」

 

 

龍一は突然に私の頭を撫でた。

いつもの口の悪さを忘れそうなほど優しく、ゆっくりと撫でられた。

 

 

「そうか。そうだな。俺は間違いなくゴミクソの悪人のどうしようもないクソッタレだ。それは否定させない。・・・けど、確かに龍神様なんてご大層な肩書き持ってりゃ多少は胸張らねえとな。嫌だけどな!」

 

 

龍一は笑いながら、めんどくせえ種族だぜやめてえなぁ・・・と呟いている。

 

 

「良いだろう。面白かったから最後まで手伝ってやる。それに成功できるよう尽力してやる。命張ってやろう」

 

 

「命は言い過ぎよ。・・・でも、ありがとう」

 

 

「気にすんな。龍一様の気まぐれだ」

 

 

微笑む龍一を見ていると、永琳に言われた事が引っかかって離れず、自然と口から言葉が出ていた。

 

 

「・・・ねえ、龍一」

 

 

「ん?」

 

 

自分で言っているのか分からない。分かるのは速過ぎる動悸と燃えるように熱い体。

私の口はそのまま続けていた。

 

 

「もし、私が理想郷を作る事が出来たら・・・」

 

 

付き合ってもらえますか?

 

 

そう口にした私は当然恥ずかしくなり、龍一から顔を背けた。

龍一は爆笑した。

 

 

「プッ、ハハハハハ!!」

 

 

「な、何よぅ・・・」

 

 

涙を流すほど笑った龍一に文句を言おうと睨もうとしたが、その前に龍一に再び頭を撫でられた。

 

 

「別にバカにはしてねえよ。・・・何万年、何億年でも待っててやるよ。だが、俺と付き合うなら俺は結婚まで持って行くからな。その辺りまで覚悟できたらまた来な。・・・だが、俺も自信がない。ま、頑張ってその気にさせてくれ。俺は気まぐれだからな。後ちゃんと理想郷作れよ」

 

 

龍一はそう言うと、俺とお前だけの秘密な。とウインクされた。

やっぱりその顔で簡単にウインク等をするのはズルイと思う。

 

 

「んじゃ、それまでに俺は人脈を増やすか。・・・今回のでまあ面白くはなった上に落ち着いたから、しばらく俺は失せる。困ったら侵二にでも言え」

 

 

龍一は真面目な顔に戻ると、じゃあこの話を次するときは理想郷完成だなと私に伝え、私が頷くと笑った。

 

 

「じゃ、俺は後百年程したら海を越える。それまでにどれだけ頑張れるか、見せてくれよ?」

 

真っ白な龍一の空間を歩いていたが、龍一の笑顔はそれより白く見えた。

 

 

___________________

 

 

「龍一、私式が欲しい」

 

 

それは置いておいて、それから一ヶ月後、私は龍一と侵二さんに頼み込んだ。

 

 

「式・・・つまり主上にとって我々の事ですね。まあ確かにアシストや支援、常に行動する時に隣にいる人がいるのは良いでしょう。で、オスですか、メスですか?そもそも性別無しですか?」

 

 

侵二さんの真顔の強烈な質問に私は吹きそうになった。

 

 

「ま、まだ決まってないけど、女性の方が良いかな・・・」

 

 

「ほう?すると意中の男性を他に見つ「くたばれ」・・・冗談です」

 

 

龍一はやれやれと立ち上がりながら、侵二さんの頭を殴った。

 

「アホか。いきなりオスかメスかは違うだろ。紫も真面目に答えんな。・・・んで、目処とかはあんのか?」

 

 

「・・・一応。でも人間として過ごしてるから、今行くのは悪いかな・・・って思って」

 

 

「ちなみに種族は?」

 

 

「・・・九尾の狐、だと思う」

 

 

質問した侵二さんが顔を顰めた。

 

 

「・・・狐、ね。まあ良いんじゃないですか。私はあんまり勧めませんけど」

 

 

「お?どうした侵二、昔に狐にフラれたか?」

 

 

「違いますよ。クソ昔からずっと生きてたと思いますけど、知り合いに狐がいたんですよ、尻尾十本の。まあ妖術やら翼の使い方とか教えてくれた一種の師匠なんですよね。ドのつくクソジジイですけど」

 

 

九尾は確かに頼もしいですけどこぞって性格悪いですよー、と侵二さんが首を横に振る。

絶対侵二さんと龍一の方が性格悪い。と言おうとしたが飲み込んだ。

 

 

「今私が性格悪いと思いましたねその通りですよ」

 

 

「お前俺も性格悪いと思っただろ。当たりだ」

 

 

バレた上に肯定された。

 

 

「まあ良いんじゃねえの?紫のになるんだから、そこまで勧める勧めないも無いだろ。式についてアドバイスするならコイツら式にしない方が良かったとだけ述べておこうクソ共。身の丈と自分の性格にちゃんと合わせるように」

 

 

「そりゃ我々を配下にしてるならそれなりの対価と実力は要りますよ。逆に言えば報酬さえあれば裏切りますよ?あ、なんなら心臓くれます?」

 

 

「ほぼほぼフリーの傭兵じゃねえか。リペアの心臓要るか?」

 

 

「言葉の綾です。要らないです」

 

 

まあそんな事どうでも良いんですと侵二さんが笑った。

 

 

「その娘が良いと思うならその娘にしましょう。そこでバカやってる主人も我々が良いと言って叩きのめして来ましたから」

 

 

叩きのめすまではしなくていいですよ?と侵二さんは微笑んだ。

笑うところではないし叩きのめす気は元からない。

 

 

「いや、でも・・・万が一、いや億が一性格の優しい娘だと良いんですけど。ジジイの直系家族だと困るので見てきましょうか?」

 

 

私は侵二さんにお願いした。

 

 

「はいはい、分かりました。・・・ジジイの孫娘とかじゃなけりゃ良いんですけど」

 

 

侵二さんはらしくなく耳をほじりながら歩いて行った。

そんなに九尾が嫌いなのか。

 

 

翌日、龍一の家に帰ってきた侵二さんが化け物を直視した人間のような目をしていた。

侵二さんは私を見ると、恐る恐る口を開いた。

 

 

「・・・あれは九尾じゃないです」

 

 

「な、なんだったの!?」

 

 

侵二さんはまだ信じられないと言った顔で首を横に振った。

 

 

「あんな真面目そうな子が九尾な訳ないです・・・!」

 

 

「固定観念酷すぎないかしら?」

 

 

侵二さんの頭の中は九尾=性格悪いなのだろうか。風評被害が過ぎると思う。

 

 

「悪い夢でも見てるんでしょうか・・・!?あの娘、私を見ると会釈したんですよ!?しかも貴族の奥さんなのに!私の知ってる奴らはまず唾を吐いてケッ、とガンを飛ばしてくる奴らですよ!?」

 

 

これは夢だと今までの中で最も深刻な表情のままぶつぶつと呟く侵二さん。多分今の侵二さんが一番夢でいて欲しい。

 

 

「で、何?一目惚れ「馬鹿言っちゃいけません。だれが九尾の旦那持ちなんかと。神様は嫌だと言いましたね。付け足します、九尾も嫌です。あのジジクソの家系なら余計に嫌ですね」・・・お前精神状態おかしいよ」

 

 

「あんのクソジジ、くたばる前に急に表情変えて、何が「孫辺りを頼む」ですか。嫌ですよ。あんな家族がいるのに私庇ってくたばったクソ野郎・・・さっさと私を見捨てりゃ良かったんです」

 

 

・・・いや、侵二さんはどこもおかしくなかった。

やっぱり気の優しい人ではあるみたいだ。

 

 

「・・・んじゃ、やっぱり紫には向いてるんだな?」

 

 

「悔しいけど向いてますよ。後しばらく私も様子を見ます。・・・あのクソジジイの家系かどうか見極めてやりますよ。あわよくば十年分の仕返しを・・・」

 

 

訂正、やっぱりおかしかった。

 

 

次回へ続く

 




侵二は結構好き嫌いが多かったりします。
てか前作の龍一朴念仁過ぎましたね、反省。


次回もお楽しみに。
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