真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

67 / 126

案外、言いたかった事はさらっと言えるってのが一番良いですよね。


ゆっくりご覧下さい。


第六十七話 真相

気絶してから藍が目を覚ますまで1分もかからなかった。

凄えな九尾(感心の方向音痴)

 

 

「・・・ん、起きたか」

 

 

「あ、ああ。・・・ッ!?」

 

 

侵二の顔を見た途端再び顔を赤くする藍の隣で俺に茶碗を突き付ける侵二に呆れながら、俺はメシをよそう。神谷龍一はメシをよそえた。

 

 

「・・・お前から誘っておいてその反応は流石に傷つくんだが」

 

 

「す、すまん・・・侵二殿「侵二な。いつまで殿呼びしてんだ」侵二」

 

 

方法はともかく、侵二と玉藻こと藍の中が縮まったのはよろしい。方法はともかく。てか侵二は受けかい。

 

 

「飯の途中に寝るなよ。・・・ああ、後コイツの式になったからコイツ同様当たり強くするからな」

 

 

「やっぱり私に当たり強いわよね!?」

 

 

隣で紫がギャーギャー騒ぐが口に海老天を押し込んで黙らせる。揚げたて熱々だが火傷しない熱さの海老天をな!

 

 

「見せつけますねぇ」

 

 

「何処をどう見ればお前らみたいな関係に見えるんかね。・・・てか紫、お前いつから俺の隣にいるんだよ」

 

 

「ひゃっひははよ」

 

 

「食ってから言え」

 

 

「んっ・・・さっきからよ。二人のところにいるの肩身狭いのよ」

 

 

「だとよお二人さん」

 

 

「主上で我慢してください」

 

 

紫が啜った茶を俺に吹きかけた。

 

 

「おい」

 

 

「ゲホッ、ゲホッ・・・やめてよ侵二さん!こ、こ、こんな奴となんか嫌よ!」

 

 

「拭けや」

 

 

「おや、そうですか?なんか最近主上が紫殿の事をクソ女と呼ばなくなったのでてっきり紫殿から何か仕掛けたのかと」

 

 

「べ、別に何も・・・」

 

 

「拭けって言ってんだろアホ!」

 

 

俺は自分を一気に乾燥させ、台所のふきんを引力を操って紫に投げる。ふきんは紫の顔に直撃した。

 

 

「な、何するのよ!?」

 

 

「吹いたお前が言うんじゃねえよ!テーブル拭けアホ!」

 

 

「誰がアホよ!」

 

 

「ええから拭かんかいやゴルァ!」

 

 

俺が紫と睨み合いながらふきんで吹き出した茶を拭き取らせていると、藍がクスリと笑った。

 

 

「なにわろてんねん」

 

 

「・・・申し訳ない。その、こうして笑いながら食事をしたのが久し振りでな・・・」

 

 

ずっと一人で食べていたからなぁ・・・と藍は寂しそうに笑った。

侵二がそんな藍を見てニヤリと笑った。

 

 

「じゃあ食べさせてやろうか?・・・ほれ、あーん」

 

 

侵二がニヤリとしながら箸で油揚げを藍に差し出す。

藍は顔を真っ赤にさせた。

 

 

「要らんか?なら俺が「あ、あーん・・・」・・・っ!?」

 

 

侵二は無理だろうとたかをくくっていたのか、口を開けた藍を見て固まった。自爆じゃねえか。

 

 

「・・・ほれ」

 

 

「んっ・・・美味しい」

 

 

「そうか・・・」

 

 

「うむ・・・」

 

 

もう結婚しろよ。コイツらは事あるごとに互いに羞恥で真っ赤になる癖でもあんのか。というか侵二のイタズラが空回りしているのは中々に面白い。

 

 

「・・・何見てるんですか」

 

 

「いや?別にぃ?」

 

 

侵二が俺を睨むが、羞恥で少し赤くなっているので全く効かない。そもそも効かない。丸くなったなコイツも。

俺がニヤニヤと侵二を眺めていると、横から紫につつかれた。

 

 

「あ、あーん」

 

 

・・・さて、コイツは何をしているんだろうか。

そうか、さては俺も赤くなるかの検証か。

 

 

「はいあーん」

 

 

俺は口を開き、紫の差し出した海老天を口に入れた。

逆に紫が赤いのが笑える。

 

 

「うん、美味い。・・・残念だな、俺はこの手は慣れてるんでな」

 

 

大体妹共のせいでな!あいつら三食はおろか入浴と就寝まで付き添おうとするからな!

 

 

「・・・チッ」

 

 

「聞こえてんぞ三下」

 

 

「これは失礼」

 

 

侵二が残念そうに舌打ちをする。お前とは血縁関係の怪しい異性に絡まれてた年季が違うんだよバカめ。

 

 

「・・・お前も残念そうにしてんじゃねえよ」

 

なしてこいつまで残念そうにするん?期待されても困る。

 

 

「で、どうなんですか?紫殿と主上」

 

 

「別に?」

 

 

「そ、そうよ!別に何も・・・無い、わよ」

 

 

嘘つくの下手かコイツは。

侵二はしばらく俺達を品定めしていたが、ニヤリと笑って首を横に振った。

 

 

「今回は主上に免じて何も無いことにしておきましょう「だから何もねえって言ってんだろ」・・・割と無さそうですね。行き違いですか?」

 

 

「知るか。俺が知らんと言ったら知らん。知りたきゃ幻夜でも連れてきて吐かせてみろ。俺はどれだけ絞ろうが出んがな」

 

 

紫に告白された。それは違いないがそれ以外何も無いんだから仕方ない。

逆にそれだけでここまで慌てる紫はなんだ?乙女か?乙女ではあるな。ちとアホだが。

 

 

「そう言えば侵二、お前これ終わったら殺してくれって言ってたよな」

 

 

「ああ、言いましたね「ダメだ!」・・・は?」

 

 

俺が退会届よろしく殺害依頼をどうするか冗談交じりに聞くと、藍に侵二を庇われた。

俺が悪役みたいじゃねえかその通りだけど。

 

 

「し、侵二は、私の・・・だ・・・」

 

 

消え行くように藍は言うと、顔を俯かせた。

 

「・・・だからやめろって言ってんだよ」

 

 

「す、すまない・・・」

 

 

このやり取りを何度やれば気が済むのか。懲りろ。

 

 

「てか侵二、お前相手作らないんじゃ無かったのか?」

 

 

「なら良かったんですけどね。・・・あれだけ本性を見られると、まあ仕方ないかみたいな感じってのは建前です。アレがあったんで付き合う気が無かったんですけど、ああも真正面から受け止めて貰えると・・・ね、流石に甘えたくなりました。藍、改めてよろしくお願いします。・・・後、サラッと言うようで申し訳無いのですが、お前の曾祖父さんに俺は間違いなく助けられた。どれだけ言えなかったんだって話だがな。・・・【ありがとう】」

 

 

「っ、あ、ああ!」

 

 

「って事です。・・・正直こんなにいい奴がいたとは思いませんでした。ジジイの子孫なのが残念ですけど」

 

これは侵二がデレたという事で良いんだろう。

デレるまでに費やしたのが時間ではなく血の辺り侵二らしい。

何人死んだよ。

言いたかったのはありがとう。か。・・・謝るよりはきっといい言葉だと思う。

 

 

「・・・まあアレです、私の本性を知ってしまった責任、取ってくださいね。後言っときますが紫殿から離れると文字通り喰うんで」

 

 

「せ、責任なんてとんでも無いぞ!私は、その、嬉しいから・・・」

 

 

「な、なら良いんだがな・・・」

 

 

「飯食うかいちゃつくかどっちかにしろ」

 

 

結局侵二はおとなしく飯を食い始めた。

 

 

____________________

 

 

「そういや、お前リッカって言ってたけどさ」

 

 

食事を終えて食器を洗いながら、俺は座っている侵二に声をかける。

侵二はリッカという言葉にピクリと反応した。

 

 

「言いましたっけ?」

 

 

「言ってた言ってた。あの頭おかしい状態の時にしっかり言ってたぞ。ありゃ誰だ?」

 

 

「・・・どうしても聞きたいですか?」

 

 

「おう」

 

 

「私も聞いておきたい」

 

 

いつのまにか侵二の隣に藍が座っており、じゃあ紫はと横を向くと食器を俺と同じように洗っていた。紫は洗い終えたのか食器を俺に差し出した。

 

 

「はい」

 

 

「お前も洗ってたのか・・・まあ良いか、サンキュー。で、聞きたいって事だが答えてくれるかね?」

 

「・・・まあ良いですけど、面白く無いですよ」

 

 

侵二は溜息を吐くと、目を鋭くした。

 

 

「リッカ・・・とは、六に花で六花と書きます。妹ですね」

 

 

「・・・お前妹持ちか?」

 

 

「ええ、まあ、はい。・・・死にましたけど」

 

 

侵二が顔を落とす。道理で武田、もとい月野に俺より先に激励してたわけだ。

 

 

「理由は前に主上に言ってたとは思いますが、黄龍一族の次男、黄正による饕餮の殲滅。私は偶々生き残ったんですね。・・・ま、それが理由で黄龍を筆頭に神が嫌いなんですけど。・・・生き残って彷徨っているその時に偶々六花の遺体を見つけまして、コレを受け取ったんです」

 

 

侵二の肩からいつもの一枚の翼が生え、侵二に甘えるように頬擦りをする。

 

 

「コレは六花の翼です。・・・元は二枚だったんですけど、昔は体が弱くて、二枚同時に受け入れたせいで体食いちぎられまして。その時の傷が顔のやつなんですけどね。・・・で、いつの間にか一枚消えてしまってたんですよね。もう片方曰く、このままだと俺が死ぬから離れたそうなんですけど」

 

 

ま、そんな感じですと侵二は話を切った。

おそらくだが話したく無いことが山々なんだろう。

と言うか大昔に成敗したのはコイツの翼か?

 

 

「まあ纏めると死んだ妹ですね。復讐云々は妹を殺した奴、またはそれに関与した奴、又は関与した奴らを信仰する一族郎党の皆殺しですね。信仰する一族と許嫁は皆殺しにし終えたので、一旦身を潜める事にして主上に従事してます。風魔達は直接的に黄龍に何かされては無いですけど、多彩な理由で嫌ってます」

 

 

こんな感じです、おしまい。と侵二が横になった。

 

 

「・・・聞きたく無いが、他の奴らが黄正を嫌う理由は?」

 

 

「まだ聞くんですか?えーっとですね・・・幻夜が「自分の事をモテると思っているボンボンは嫌い」で、壊夢が「大した事も考えられなさそうな面が気に入らん」、風魔が「井の中の蛙は嫌いだ」だそうです。壊夢は少し分かりませんが、皆嫌ってますよ」

 

 

どいつもこいつも酷い。コレだけ見ると【自分をイケメン超人だと思い込んでいる一般人】になってしまうのだが、おそらく基準値が侵二なんだろうそうだろう。

 

 

「後はアレですね、黄正の嫁、麒麟です。前私の殺した奴の姉ですね。・・・藍がいなけりゃ首絞めて水に沈めながら四肢食い千切って何も言わなくなるまで犯して半殺しのまま海にでも放り込んで、絶望しながら沈み、死んでいく面を眺めながら笑ってやろうと思ってたんですけど、犯すのはやめましょうか」

 

 

「・・・お前ホント抵抗なく残虐な事言うよな」

 

 

「主上はゴミを捨てる時にああこのゴミ可哀想だと思いますか?」

 

 

「・・・思わんな」

 

「それと一緒です「言うと思ったわ!」御察しのいい事で」

 

 

笑う侵二は清々しかった。

それと共に俺はコイツの背負っているものに遅れて気がついた。

 

 

後夜中はうるさかったんで紫と家を出て一泊した。

防音結界張れや。

 

 

 

次回へ続く




侵二には妹がいた。それは嘘なのか、本当なのか、誇張なのか。
でも妹の名前、何処かで一度出ているんです。発狂時と病み上がりの侵二はその事を忘れていたようです。
龍神様はそれを知りました。


次回もお楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。