真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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誰も自分の事を微塵も理解してくれていないから、周りから離れるのか。
無理矢理押し通して、世間から白い目で見られるのか。
それとも周りを理解しようとして合わせて、自分が常に心の何処かで苦しむのか。
そもそもの変な自分をなかった、夢だと言い聞かせ、自分の中からも全部消してなかった事にしてしまうのか。
いっそ命を絶って来世に賭けるか。

変人も拗らせると辛いですね。



ゆっくりご覧下さい。


第六十九話 だから嫌いなんだ

「・・・いや何いい話で終わらせようとしてるんすか。ダメっすよ」

 

 

ピーストゥオールワールドで締めようとしたら佐々木に止められた。何でだ。

 

 

「・・・ダメか。まあ良いや、久しぶりだな佐々木。つか変人部隊の馬鹿野郎共」

 

 

九人が敬礼する。・・・懐かしいなこの意味わからん状況。

敬礼をやめると名桐が突っ込んできた。

 

 

「隊長ー!」

 

 

俺は突っ込んできた名桐を受け止め、佐々木に押し返す。

 

 

「お前はそっち。一々抱きつこうとすんな。・・・で、変人部隊、折角なんで戦果報告」

 

 

まず武田が動いた。

 

 

「元変人部隊、化学特殺班上級大尉、武田。破壊三百、行動不能二十、連絡機能停止」

 

 

「続いて変人部隊、防衛班大尉及び救護班中尉、高澤禊「た、高澤瀬名!」行動不能三十八。「救護五百」自軍損壊率九十%カット」

 

 

「続き変人部隊砲術班少佐、澤田、「同じく砲術班大尉、類土!」「機関長、高木。階級は大尉」破壊一万「は?」行動不能二百三十」

 

 

「俺は別ですよ。変人部隊兼、月面軍料理長岸田。料理数五万「休めや」破壊百「〆て料理してんじゃねえよ」行動不能「飯でか」十」

 

 

「俺っすね。変人部隊隊長、佐々木少佐。破壊二万、行動不能一万。・・・後、申し訳ないことをやらかしたっす。後で説明するっす」

 

 

最後に名桐、改め佐々木が書類を纏めて立ち上がった。

 

 

「最終報告!変人部隊、破壊三万四百、行動不能一万二百九十八、救護五百、食事五万食、敵軍通信機能破壊、自軍損壊率九十%カット!・・・申し訳ないですが、完勝です!」

 

 

でしょうね。九人で四万以上相手してんじゃねえよ。後なんだ破壊二万って、一人のスコアかそれが。

 

 

「色々と突っ込みたいことはあるが、まず佐々木、やらかしって何をやらかした?」

 

 

それなんすけど・・・と佐々木が外を指差し、どうぞっすと声をかけた。

 

 

「いっやー、やらかしましたぜ風魔様!」

 

 

「暴れすぎてしくじりました」

 

 

「馬鹿か貴様らは」

 

 

出て来たのは片腕のない犬走と翼のない鞍馬・・・に抱えられた文だった。

 

 

「あまりにも強かったんで、武田と俺と高澤で二時間やったんすけど・・・武田も一回死んだ上に、高澤も二回盾ぶっ壊れて、俺も腰の骨折れたっす。・・・まあ瀬名に助けてもらったっすけど」

 

 

「いやー、マジで龍神様に聞いてたけど、なんだよ月の兵、強すぎだぜ。まっさか生き返る上にアホみてえに硬い上に重力無視するとか、流石に羽に毒食らっちまって腐り落ちたぜ。まあ俺らの勝ちだけどな!」

 

 

「引き分けにしただろうが馬鹿者。しかしまあ・・・まさかあらゆる残骸を纏めて潰しに来るとはな。流石に腕が潰れた」

 

 

「・・・って訳で、二人の抱えてる女の子を殺そうとしたように見えて、ブチ切れた二人と殺し合って怪我させたって話っす」

 

 

「まあ、俺の姉貴の残した娘がやられると思ってまあ・・・な?」

 

 

「・・・久し振りに荒れたな。まったく、お前だけだぞ、あんな大荒れな戦闘をするのは。だから合わせられるのは私だけなんだ。空間を風と見て跳躍する変態にな。・・・まあ、貴様にだけ空は任せられるがな」

 

 

「わりーわりー。しゃーねーだろ、お前だけなんだぜ?俺の真空波に盾合わせて反響させて武田君一回殺すなんてよ。お前しかいねえんだよ、安心して足元任せられるのはな。・・・相棒」

 

 

「黙れ相棒。・・・文は?」

 

 

「無傷。まあ風圧で寝てるがな。・・・すまんな、無理させて。もうこりゃ引退だぜ?」

 

 

「仕方ない。・・・という訳です、風魔様。鞍馬文和(ふみかず)、犬走桂(かつら)、本日をもって退役します」

 

 

「はぁ・・・これから書類整理に回れ」

 

 

「さ、流石に書類整理は・・・」

 

 

「やめてくんねえかな風魔様」

 

 

「冗談だ。しばらく休暇を満喫していろ」

 

 

風魔が軽く手を振って出ろと促す。

鞍馬と犬走が退出した。

 

 

「・・・やれやれ、天狗界の最古参二人が引退か。全く、紫殿もよくやったものだ」

 

 

「ウチもヘラヘラ笑いはしとったが、勇儀も萃香もボロボロになったったぜよ。中々月も凄いぜなぁ・・・」

 

「・・・あんにゃろ、どつき回してやる」

 

 

「まあまあ。・・・変人部隊の皆様には良いんですか?」

 

 

俺は変人部隊に笑ってやる。

 

 

「お生憎様、俺はもう死んでるはずなんだ。だから死人に口なしってな。・・・まあなんだ、元気でやれよ馬鹿野郎共。後佐々木、高澤、幸せにな。・・・じゃあ失せろ、てめえらは敵軍の将だ」

 

 

「了解。・・・あ、加藤が入隊したっす。まあ今回は陽子の仕事させてたっすけど」

 

 

「加藤君中々頑張ってくれたんですよ!・・・でもなーんか私が指揮執る時より女の子はウケいいんですよね。男の子はあんまりなんですけど。可愛いとかで人気ですよ」

 

「新しい扉を開かせるな馬鹿野郎。また月が割れたとかなら連絡しろ。それ以外すんな。新しく旧上官からの命令、死ぬな」

 

 

「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」

 

 

変人部隊は後腐れなく敬礼し、手を振りながら帰って行った。

・・・一センチほど悲しくもあるが、誇らしい。そのまま月の覇権握れ。

 

 

「・・・キャラ濃いねー」

 

 

「オメーが言うなよマジキチ幻夜」

 

 

俺は呟く幻夜に吐き捨て、紫の頬をつねって起こす。

 

 

「おいこら、起きろ、ボケ、アホ、クソ女!」

 

 

「はっ・・・!?」

 

 

目を覚ました紫は辺りを見回すと、顔を青くした。

 

 

「あ、皆んなは・・・!?」

 

「大半死んでるわバーロー。てめえも俺が手回ししてねえと今頃・・・そうだな、武田に四肢を串刺しにされ、高澤に押し潰され、岸田に激辛料理を口に入れられ、澤田率いる暴走車両にぶっ飛ばされて死んでたな。佐々木なら目もくれてねえよ」

 

 

アホ。と俺は紫を小突く。

 

 

「てめえの力量ぐらい測っとけバカ。だからクソ女だって言ってんだろ。・・・失望した、俺今からイギリス行くわ。侵二、死者リスト任せた「待って!」待つかボケ。・・・せめて賢者と言われるぐらい努めろ。それまでツラ見せんな」

 

 

俺は泣きそうな表情をする紫をあえて睨み、中指を突き立てて空間に入った。

が、言い残したことがあったので顔だけ出す。

 

「あー、最後に一つ」

 

 

ほんの少し顔を上げた紫を無視して俺は顔を顰める。

 

 

「諸君、本日の定期報告会ご苦労。次回含めしばらくは報告会はなし、あばよ」

 

 

完全に落ち込んだ紫を放置して俺は消え去る。

 

 

____________________

 

 

「・・・本当に良かったので?」

 

 

空間内をイライラしながら歩いていると、侵二からログが入ってくる。

 

 

「じゃあなんだってんだ野郎。慰めろってか?力量誤って事故った馬鹿を?・・・アホらしい、事あるごとに慰めて何か解決すんのか?しねえだろ。・・・これは俺の責任でもあるんだ、アイツに甘くし過ぎた。だからしばらくアイツはお前に管理してもらう。・・・ってのは建前。何を言えばいいか分からんかった。・・・正直アレに接してやれる自信がねえ。頼む」

 

 

「手を出す可能性がありますが?」

 

 

「お前それマジで言ってる?」

 

 

「冗談ですよ。・・・分かりました、私が見ておきます。・・・ところで、本当に帰ってこないつもりで?」

 

 

「逆に帰ってくるとでも?何も用事ねえだろ?てか帰りたいと思うか?・・・じゃあな、また何かあれば言え」

 

 

俺はログを切り、自分でもわかるほどヤケクソ気味に空間内を走る。

 

 

「あーっ・・・!たくよ!ちったあマシなこと言えんのか俺はァ!何が二度とツラ見せんなだ何様のつもりだ俺はァ!結局一番クソ野郎だろ俺ェ!・・・畜生がよォ!」

 

 

ほとほと自分に嫌気がさす。何だ俺は、龍神だからって調子乗ってんのか。

アイツだって怖かったろうに、励ましもなしか!

俺は完璧ってか?そうかそうか、大層なご身分だな!死ねばいいのに。

 

「結局、俺が!アイツの芽を潰してんじゃねえか・・・ッ!!」

 

 

ダメだ。こんな奴と一緒にいれば紫の芽をさらに潰す。

 

 

「そもそも俺だってアイツのこと好きなのぐらい分かってんだよクソが!今これ程までに正直に言えんのを呪ったことはねえやど畜生ォ!俺だってお前の事が好きだよってなんで言えねえかなぁ!?そして言わない挙句にあの言い草か!そら前世でもモテねえわなぁ!今は紫しか興味ねえけどなぁ!」

 

 

クソが、クソがクソがクソが。もうガキと変わんねえじゃねえか。

 

 

「・・・クソッ、クソッ、クソォッ!」

 

 

どうしていいか分からず地団駄を踏む。踏むたびに空間が揺れて変な音をたてる。それすら今は煩わしい。

 

 

「・・・どうしろってんだッ!」

 

 

ああもう本当に最悪だ。

今すぐ気に入らん奴を見つけて滅多刺しにしてやりたい。

気に入らん事をしてる奴を泣き叫ばせたい。

目に付いた奴を場所構わず殴り倒したい。

刺したい、蹴りたい、食い千切ってやりたい。

刺した後に困惑しているのを遠くに蹴り飛ばしたい。

燃やしたい、思いっきりブン殴りたい。

でも考えていることが、今時分にしてやりたい事ばかりなのが更に腹が立つ。これぐらいで許されると思っているのか。

 

 

「ああもうイライラするなんなんだよこの気分は鬱陶しいなボケが!もう死ね!全部死ね!世界滅びろ!消えろッ!死ねえっ!このクソ野郎がッー!」

 

 

そのまま十時間程最悪の気分のまま辺りに叫び散らした。

まるでオモチャ買ってもらえなくて駄々こねるガキだな。

 

 

 

次回へ続く

 




ありがとうございました。
龍一の自己嫌悪度が上がりました。(100→1000)


次回もお楽しみに。
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