真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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さて、卒業と入学の時期も過ぎた頃ですね。
花粉症酷すぎて私は現世から卒業したいですね。


ゆっくりご覧ください。


第八十話 苦痛

「———と言うわけで、そこで私が提案したんです」

 

 

「お前マジで何してんの?」

 

 

オルゴイのおっさんの所に厄介になり、早くも一ヶ月ほど。

いきなり侵二から月に攻めましたと過去形で連絡された。馬鹿野郎だ。

しかし、この連絡が来た事にほんの少しある期待を持った俺は更なる大馬鹿野郎だ。

 

 

「まだ続きがあるんですよ。そこでなんと敵に回ったのが幽夜でして。「何してんのアイツ?」唐突にある女の子に告白したんですよ「馬鹿じゃねえの!?」それで拍手と歓声に包まれながら、女郎蜘蛛がウエディングケープを投げ「拍手ってお前らだよな!?お前敵に何拍手送ってんの?敵に塩を送るとかは言うけどウエディングケープ送るなんて聞いた事ねえよ!」そして満を辞して壊夢が登場「誰も待ってねえよ!脈絡もなく破壊兵器出してんじゃねえよ!」そして幽夜と対峙「主人公フラグ建設死亡ルートか!!ぶっ殺されるわアホ!」幽夜は十分耐え、倒れる。壊夢は良くやった、だが今の貴様ではあの女は守れんと身を翻して去って行った・・・「なんでちょっとドラマチックになってんの?幽夜耐えんの?」しかし、この時壊夢は幽夜に籠手を砕かれていたのでした。間違いなく強い彼に壊夢は僅かに嬉しくなり、酒場で相棒と乾杯するのでした」

 

 

「それなんて名前の主人公敗北イベント?」

 

「これを即興でするんだから参ったもんです。しかもその後幽夜が鈴仙殿を連れて登場。付き合い始めましたと酒場に言いに来ました。酒場が半壊しました」

 

 

「最後!馬鹿なのお前!?そこを聞かせろよ!あれお前の酒場だろ!?なんかこう・・・思い入れとかねえの!?」

 

 

「特に」

 

 

「特にじゃねえわ言え!今の説明だと幽夜が付き合いましたと言った途端に爆発したみたいじゃねえか!!爆ぜましたと暗に伝えてんのか下手くそか!」

 

 

「いえ。・・・もう言いますけど、幽夜が壊夢に勝つと喧嘩を売り、その後それを賭けにする為にはしゃいだ奴らが鈴仙殿にぶつかり、幽夜殿が爆発、近くで揶揄っていた為殴られた鎌鼬が壊夢と風魔のカウンター席に激突。二人が喧嘩の体制に移った時に幸せそうに眠っていた幻夜が騒音で半分キレながら起床。やかましくなった時に私の理性タガが外れてドーン。みたいな」

 

 

「みたいなじゃねえよ!八割方おめーらのせいじゃねえか!」

 

 

俺が余りにも事の顛末がアホ過ぎて笑っていると、侵二が安心したような声で呟いた。

 

 

「後、紫殿は元気です。・・・少しは正気になりましたか?」

 

 

「うっせえわ。・・・もう大丈夫だ、サンキューな」

 

 

「主人の軽いメンタルケアも従者の仕事ですので」

 

 

「本心は?「酒場の修理に自費使いたくないので励ましました修理費下さい」素直だなクソ野郎!何金あるけど使いたくないから褒めてあげました、代わりに焼肉奢ってくださいみたいなこと言ってんだクソが!勝手に俺の部屋から出して使え!」

 

 

「カギが無いです」

 

 

「ああそういやお前らが飲み代に使わないようにカギかけたなぁ!!分かった待ってろボケ!ほら今渡した・・・あ?」

 

 

侵二に言いくるめられ、空間から上半身を出して侵二に鍵を渡そうとして、

 

 

「あ、龍・・・」

 

 

「テメコラ侵二ィ!鍵ィ!後しばらく呼ぶなァ!」

 

 

侵二と一緒に座っていた紫と目が合った。

 

 

俺は即座に逃げ出そうと身を翻したが、侵二の羽に腕を噛まれた。

 

 

「まあそう逃げなくても。・・・紅茶淹れてますよ」

 

 

俺は今世紀最大の舌打ちをかました。

クッソ、はめられた。

 

 

_____________________

 

 

風魔すらもほんの少し怯みそうなほどイライラを表に出した主上は、私が淹れたと称している紫殿の淹れた紅茶を口に含み、紫殿の淹れたものだと気づき、私を睨んだ。

 

 

「・・・飲んだ、帰る」

 

 

そそくさと見かけと表情の凶悪さに反して帰ろうとする主上の足を翼に咥えさせ、ずるずると元の位置に戻す。

主上はとても不機嫌そうに肘と悪態をつきながら引き摺られ、ぶすっとした顔で紫殿から顔を逸らした。

 

 

ここまで来ると馬鹿と言うか、逆に正直過ぎて呆れてしまう。

 

 

「紅茶、久し振りにどうでした?」

 

 

「・・・〜ッ!あーくそっ!テメエ何言わせてえんだァァ!?オメーの割に不味いわ!どーせ他の奴が淹れたんだろ!?の割には美味かったぞ馬鹿野郎!」

 

 

「紫殿が淹れたんですよ」

 

 

「知っとるわクソボケが!人が総力を尽くして話さねえようにしてんのにテメエはふざけやがって!」

 

 

主上が胡座をかき、ガンと湯呑みを机の上に叩きつけて紫殿を指差した。

 

 

「言っただろ!俺はこいつに関わらんと!最早悪影響しか与えてねえだろ!だからお前に任せるって言ったじゃねえか何俺引き摺り出してまたコイツに悪影響与えてんだよ流石にテメエでもブチ殺すぞァァ!?」

 

 

「・・・例え紫殿が貴方のことを意識してしまい、一方的に突き放されて苦しんでいても、ですか?自己評価が低過ぎるんですよ貴方は」

 

 

黙っていた紫殿がピクリと揺れ動き、主上は歪ませていた顔を戻し、ポカンとした表情に変化した。

 

 

「・・・は?よせよ、冗談言うなって、そんなもん俺だけで・・・んんっ、んな訳ねえだろ」

 

 

そこで話が途切れた。しかし主上は横目で紫殿を見始めては頭を振って目を逸らし、何かを考えては舌打ちや溜息を吐くそぶりを見せるようになり、紫殿は龍一を横目に見ながらソワソワとし始め

 

 

「だーっ!!もういい!テメエ後で覚えてろよ侵二!」

 

 

バンとテーブルを叩いて主上が立ち上がり、姿勢、角度の完璧な土下座を紫殿に披露した。

 

 

「・・・本ッッッ当にごめんッッッ!!」

 

 

「・・・ふぇ?」

 

 

「全部俺の勝手なんだ。・・・実はな、お前が月侵略に行くのは知ってた。帰ってきた時はその場で叫びそうなほど安心した。言いたくなかったがお前を気にかけてた。だからこそ理想を途中で捨てた奴が近くにいていいかと不安になって、突き放しちまった。お前の為だと思って、な。・・・だが相当クソな選択だったらしい。お前は結局落ち込む事が多くなって、侵二に変な仕事回させて」

 

 

ごめんな、と主上は悲しそうに笑った。

 

 

紫殿はおどおどとしながら、ごめんなさいっ!と同じく頭を下げた。

 

 

「いや、お前が謝るなよ・・・」

 

 

「だって!龍一はそうやって私を気にしてくれてたんでしょ!?でも私はそれを乗り越えるべきだった!」

 

 

前、見なきゃいけなかったのよね。と、紫殿は笑った。

 

 

「・・・まさかそれほど俺の深い意図のない行為から見出すとは。成長したなぁ」

 

 

顔を上げた主上が嬉しそうに笑い、私がいる事を忘れているのか無視したのか、そのまま二人は見つめ合った。

 

 

「ごめんな。少なくとも俺は、お前を気にしてた」

 

 

「そう、なの?」

 

 

「前からな。・・・紫、実はさ、俺、お前の事が・・・」

 

 

「・・・うん」

 

 

「す「侵二の兄貴ー!龍神サマから金取れましたー?」・・・ーパーノヴァ!!」

 

 

「テオァァ!?」

 

 

残念ながら空気を読まず現れた鎌鼬によって二人は止まり、主上は発言を即席で詠唱に変換して爆発魔法を詠唱。鎌鼬を彼方へ吹っ飛ばした。最近彼吹っ飛んでばっかですね。イージェクト。どーせすぐ帰ってきますね。

 

 

「・・・あ、あの、龍一、す、何・・・?」

 

 

「え?あ、ああ!す、少し気に入ってたんだ!ああ!そうだ!じゃあ俺帰るわ!向こうも忙しいから!またな!」

 

 

互いに真っ赤になりながら、主上は帰ろうと準備をし、私の眉間に鍵を投げつけて去ろうとした。

 

 

「待って!」

 

 

ぴたりと龍一が動きを止めた。

紫殿は俯きながら、ボソボソと言葉を紡いだ。

 

 

い、行ってらっしゃい・・・また、ね?

 

 

「・・・おう」

 

 

主上が珍しく顔を真っ赤にさせたまま、私の眉間に鍵を叩きつけるように投げてその場から消えた。

 

 

紫殿は恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうに微笑んだ。

私は紫殿に近づき、一つ質問をした。

 

 

「仲直り、できましたか?」

 

 

「・・・うんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、主上からこんな文章が届いた。

 

 

「拝啓侵二。昨日はなんかまあ、色々と助かった。後ついでに鎌鼬に謝っといてくれ。流石にスーパーノヴァは苦しい気がした。バレてないよな?・・・少なからず後十年程度はこっちで暮らすつもりだから、紫を頼む。ほかのアホ共にも宜しく言っといてくれ。この茶葉はお前にだ。中々良いものだ。残さず使ってくれ。遅れたが、ありがとう」

 

 

そう書かれた手紙と共に、大量のセンブリ茶と呼ばれる物を送ってきた。私の故郷の茶らしい。

 

 

私は手紙の内容に苦笑しながらなんだ、やっぱり気にしてたんですね。と呟き、初めて飲む主上から送られた茶を飲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「PS. だからと言って許しはしない。せいぜい苦しめ。面白いくらいクッソ苦いから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はこの時の味と恨みを二度と忘れないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

苦っ!

 

 

次回へ続く




ありがとうございました。

次回もお楽しみに。
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