真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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私絵を描くと人の目を潰せる自信があるんですが、絵の上手い人って本当に凄いですよね。
羨ましいですね。


ゆっくりご覧下さい。


第八十七話 魔法

「ところで、アリスが使う魔法ってなんなんだ?」

 

 

「わ、私?」

 

 

俺は話を変え、アリスについての話題に変えた。

 

 

「ああ。いやなんだ、俺の知り合いは火やら水やらを扱うのを得意としてるんだが、世の中には力の向きを変えたり事象を書き換えたりする魔法使いがいてだな。そう考えるとアリスも変わった魔法を使うかもって思ってな。興味本位だから嫌なら流してもらっていいぜ」

 

 

「良いわよ。えっと、簡単な治癒魔法と・・・見てもらった方が早いわね。見てて」

 

 

ぴょこり、と俺の座っていた椅子の横の人形が立ち上がる。

僅かにアリスの手の指が動いており、それに呼応するように人形は動き始めた。

いやすげえなオイ。

 

 

「ど、どう?」

 

 

「・・・わりー、普通に感動した。というかそんな精巧な魔法があるんだな」

 

 

「そ、そう?」

 

 

にへら、とアリスの頬が緩んだ。

可愛い。

 

 

「・・・じ、じゃあ、幸夜は特技とかあるの?」

 

 

俺は言葉が詰まった。

 

 

「・・・いや、無い。強いて言えば親父の身体能力を引き継いでる程度だ。親父みたいなふざけた能力は持ってない」

 

 

「そうなの?・・・お父さんもそんなふざけた能力なの?」

 

 

「親父の能力は一人で成り立ってるものじゃ無いからな。親父に恐怖した人間の数親父は強くなるんだ。そんな能力が遺伝するわけもなく俺は能力無し。ただちょいと運動能力が高いだけだ」

 

 

・・・何故だろう、また俺の何かが能力を言うことを拒んだ。

何がしたいんだろうか、俺は。

確かにドン引きされるだろうが、そんなに嫌がる事だろうか?

いやまあ?最近面白かったから神話やら伝説やら読み漁ってたら武器の知識増えたけど?

普通木槌でかのミョルニル出るかね。そりゃ槌繋がりだが。

尚、親父は俺が出した武器と全く同じ武器を無から生み出して相殺してくる。ボケが。

 

 

話を戻そう。

深層意識なのか意思と本能が背反しているのかは分からないが、語ろうとしないなら語るのをやめておこう。

確かに、アリスに能力で避けられるのは嫌だな。

理由はわからんが。

 

 

「ところでさっき、人形動かしてたよな?あれどうしてるんだ?からくり人形みたいな奴か?」

 

 

「そうよ?なんで分かったの?」

 

 

「親父が何もなしの遠隔操作で物を精巧に動かすのは苦行って聞いたからな。出来る可能性はあったが、それなら人形は一体で良いからな。大勢いるってことは全部動かせるんだろ?」

 

 

「まあね。・・・やっぱり何もなしで遠隔操作は誰でも厳しいのね」

 

 

百個程度なら己の意思で生きてるように動かせる人いるけどな。しかも片手間に。

まああの人は人間じゃないけどな。神様だし。

 

 

「・・・ま、十分人形を動かせるってので凄いと思うけどな。憧れる」

 

 

「そ、そう?・・・えへへ」

 

 

ん゛ッ・・・!?

今のは分からなくもないが、こうしょっちゅう精神面でエラーが出るのはやめてほしい。

照れてるのか俺は?

 

 

はにかむアリスに笑いながら、俺はぴこぴことアリスの感情に呼応するかのように動く人形を見て更に精神をやられた。

可愛すぎかよ。

 

 

「しかし・・・この人形、もしかして全部手作りか?」

 

 

「あ、分かった?」

 

 

「いやマジかよ」

 

 

冗談で言ったんだが。

しかしよく見ると少しだけ髪型が違っていたり、目元が違っていたりする。全く同じ子がいない。人形への愛が深い。

 

 

「凄えな。これもう一種の芸術だろ」

 

 

「そんな、そこまで褒めなくても・・・」

 

 

その嬉しそうに顔隠すのやめてもらえませんかね。直視出来ない上に頭が熱くなるんだが。

ええいなんだこの感情は。

・・・愛情ヤデ

誰だお前!?

 

「えへへぇ・・・あれ、幸夜?」

 

 

「わっ、とっ、たっ!?な、なんだ!?」

 

 

ホントに誰だ今の。

脳内でのコメディじみた会話に気を取られていたせいで、アリスに呼ばれ慌ててしまった。

アリスは俺を見ると、首を傾げた。

 

 

「何慌ててるの?」

 

 

「いや、なんでもない」

 

 

アリスは、へんなの。と言い、話を変えた。

 

 

「ところで幸夜、体は大丈夫?」

 

 

「ん、ああ。街にも行けたしな。ほぼ問題ない。ありがとな、アリス」

 

 

「いいえ。良かったわ」

 

 

「ああ。・・・そろそろ潮時かな」

 

 

「・・・そっか」

 

 

「今までありがとな。楽しかったぜ」

 

 

身だしなみを整え、体の関節を回して状態を確認する。まあ子供と走ってたけどな!

異常がないのを確認し、俺は玄関へと向かった。

 

 

「あのっ・・・!」

 

 

「ん?」

 

 

アリスに呼び止められ、俺は振り向く。

 

「あっ・・・その、あの、元気でね!」

 

 

「・・・ありがとう」

 

 

俺は玄関のドアを開け、森を駆け抜ける。

館までそれほど帰るのに時間はかからなかったが、ずっとアリスの最期に見せた顔を思い返していた。

なんで陰ってたんだろうか。

そして何故、俺も気分が陰ってるんだろうか。

 

 

____________________

 

 

「・・・と言うわけで、こう言った経緯がありました。お騒がせしました。帰ってきました」

 

 

「戯けが。皮を剥いで串刺しにするぞ」

 

 

「戻れ馬鹿野郎」

 

 

「・・・え?」

 

 

俺が経緯を説明し、帰ってきたことを述べると、オルゴイさんは顔を顰め、先生はそれがマシに見えるほど顔を歪めていた。と言うかオルゴイさんから殺意溢れてるんですが。

やがて先生が溜息を吐き、首を横に振った。

 

 

「お前さ、最期にその子はどんな顔してたんだ?」

 

 

「・・・陰ってました」

 

 

「理由が分かるか?」

 

 

「・・・いえ」

 

 

「お前俺が言うのもアレだがクソ野郎だな。お前な、あんな辺境の森に一人で生活してて寂しいとか思わんのか?」

 

 

「それは・・・」

 

 

「口閉じろ反論すんな。あの子からすればお前は珍しい来客で、相当仲良くなってるんじゃないのか?それでお前は唐突に帰るわ、ありがとう?そりゃまあそう言って帰ればいいさ。・・・ただ、女の子悲しませるのはよろしくないと思うんだなこれ俺の事じゃねえか。・・・ともかく、もう一回行ってやれ。・・・あかん、肝心の話が出来ん、オルゴイ、パス。そして祖先の串刺し公風はやめろ」

 

 

「私か?んんっ。・・・幸夜。お前は帰る時、その子が気にならなかったか?ああ、私には答えていいぞ」

 

 

「・・・確かに、頭の中には残りました。後、何度か知らない感情も湧き出てきましたし、なんかこう、なんでこんな事考えるんだって事ばかり出てくる不思議な時間でした」

 

 

「もう一度会いたいと思うかね」

 

 

「そりゃ・・・まあ、会えるなら」

 

 

うむ、とオルゴイさんが頷き、先生が俺に鞄を投げた。

 

 

「ならば行ってきなさい。幸夜。我が家で働くのはその後だ。その感情が何か、その気持ちにどう向き合うか。そういったとき、お前が何を重んじて何をすべきか考えるといい。それが終わってから再度来なさい。今ではここで働くのには不十分だ。私が欲しいのは働く者であって、戦闘人形ではない。戦闘は事足りているからな。であるな、龍神」

 

 

「・・・要はクビだクビ。一旦出直してこい。お前はまだ十数年しか生きてねえんだから、ソレ体験するのはいい経験になるさ。親が教えられるものじゃねえからな、それは」

 

 

「そんなものがあるのか・・・?」

 

 

「まあな。親だって万能じゃねえんだよ。お前に親が向ける感情と、他人がお前に向ける感情は似て異なるものだ。それは親から伝えるのは難しいからな。もうそろそろ年なんだから、親に依存すんなよ」

 

 

「さっきから若いだのそろそろ年だの無茶苦茶ですね」

 

 

「そんなもんなんだよその年齢は。行くか?」

 

 

俺は頷いた。

俺自身の感情が気になったのもあるし、何より、アリスの事が心配になってきた。そもそも知ろうとしたばかりではないか。今帰る場所が強制的に無くなった今、尚更良い機会ではないか。

・・・そうだよな、あんな顔してたのに帰ってくるのは最低だな。

 

 

「んじゃ、今回は直接送り届けるぞ。・・・お前ら一切合切余計な事喋んなよ。・・・紫、いるか?」

 

 

先生が空間を開き、誰かの名前を呼んだ。

 

 

「龍一・・・元気かな・・・」

 

 

「っっっ・・・悪いけど今呼んでるんだよなあ」

 

 

「ぴゃぁぁぁぁぁ!?」

 

 

紫と呼ばれた女の人は空間の奥ですっ転びながら先生に迫った。

 

 

「りゅ、龍一!?な、なんで今呼んだの!?」

 

 

「手伝って欲しい事があってな。幸夜をある場所まで送り届けて欲しいんだ」

 

 

「いいけど・・・私、そんな正確に送れないわよ?」

 

 

「気にすんな、俺が場所を指定するから、そこに送ってくれ」

 

 

「あ、なら出来るわよ。・・・ところで、幸夜って幻夜さんの子供の?」

 

 

「そうそう。いま二十歳の前。ああ、幸夜、挨拶はしてもいいぞ」

 

 

「そうなのね・・・あ、幸夜君、今日は。私は八雲紫。幻夜さんの知り合いで、その、龍一の・・・」

 

 

紫と名乗った綺麗な金髪の女の人は、先生をちらちらと見ている。

なるほど、つまりそういう事か。

 

 

「奥さんですか?」

 

 

「奥っ・・・!?」

 

 

「テメッ・・・バーカ!このお前、バーカ!余計な事喋んなっつったろ友達だ友達!後俺の弟子な!良いから送れ!」

 

 

「そ、そうよね!!じゃあ送るわよ!幸夜君、荷物は持った!?」

 

 

「あ、はい。奥さんと間違えてすいません。・・・後、俺を送る作業、失礼ですけど先生だけでよくないですか?」

 

 

紫さんは一瞬ぽかんとした表情になり、先生の方を向いた。

 

 

「確かにそうよね!?なんで私呼んだの!?」

 

 

「・・・別に」

 

 

「何よ別にって!気になるじゃないの!」

 

 

先生は苦虫を噛み潰して味わっているような顔をして、すぐに顔を背けた。

 

 

「・・・お前の顔が見たかっただけだよ」

 

 

「・・・はひ」

 

 

「・・・っ!転送ォ!全部テメエのせいだクソガキ!失せろクソボケがァ!」

 

 

「今ですかァ!?」

 

 

結局、俺は紫さんに送られる事なく、謎にキレた先生に吹っ飛ばされるように森の中へ送られた。

そのまま景色が変わり、森になった直後地面に激突し、地面に仰向けに寝転んだ。

 

 

顔を上げると、ついさっき離れた家と、離れた相手が呆然と俺を見ていた。

とりあえずどうしたら良いのか分からなかったので、俺は微笑んだ。

 

 

「ただいま、かな・・・?」

 

 

次回へ続く




オマケ

龍「お前の顔が見たかっただけだよ」
紫「・・・ホントに、それだけ?」
龍「・・・おう」
紫「ありがと。・・・その、元気でね」
龍「お前もな。・・・あのさ、紫」
紫「え?」
龍「俺、お前の事が・・・す」
フ「お父様!お絵かきしよー!」
レ「あ!こらフラン!今はダメ・・・!?」
紫「す?」
龍「・・・すっげえ心配だったんだ!元気そうでよかった!」
紫「そんなに!?「おうともよ!」ふふっ、・・・ありがと。大好き」
龍「・・・そうか」(内心発狂中)
オ「(アホかこの龍神)」

この後それぞれが見えなくなってから自分の空間に逃げ込んで悶絶する龍神とスキマ妖怪までがワンセット。
今回喜ぶべきは饕餮がいなかった事。


次回もお楽しみに
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