真・幻想創星録   作:青銅鏡(銀鏡)

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絶賛進路用の作品作りで泡を吹いております。
何故パワーポイントでアニメーションを作ろうとしたのか。


ゆっくりご覧下さい。



第九十一話 す・・・?

ぐつぐつと土鍋から煮える音がする。

俺は隣で土鍋を珍しそうに眺めるアリスをあえてスルーして、目の前に何故かいる不機嫌な先生と上機嫌な紫さんに向いた。

俺とアリスは先生に招待され、先生の家らしい古い家で食事を奢ってもらうことになっている。

 

 

「あのですね、先生」

 

 

「・・・んだよ」

 

 

不機嫌そうに先生が俺を睨む。

 

 

「なんで俺とアリス呼んだんです?」

 

 

「・・・紫と飯食うついでに誘ったんだよ」

 

 

「先生」

 

 

「なんだ」

 

 

「なんすかこの料理」

 

 

「すき焼きだ。しかも鉄鍋じゃなく土鍋でやってる」

 

 

「・・・先生」

 

 

「・・・しつこいぞお前。なんだ」

 

 

「なんで先生はすき焼き食う為に俺とアリスと紫さん誘ったんだよ!?」

 

 

「・・・察しろ」

 

 

察したわ!

マジか!マジなのか先生!

侵二さんから聞いてたけどここまでクソ雑魚なのか先生!

しっかりしろよオイ!

後もうちょいで世界と優先順位変えれたじゃねえか!

いや変えるのもあれか!

 

 

「龍一、すき焼き好きだったの?」

 

 

「・・・まあな。一人でつつくのもあれだし、たまにゃ良いと思ってな」

 

 

そう言って先生は笑い、そう。と紫さんは照れたのか顔を逸らした。

だからなんでそこまでして付き合ってねえんだよ!逆にこっちが居心地悪いわ!

 

 

「あ、で、そう!はじめましてよね!アリスさん!私は八雲紫、隙間妖怪よ。で、こっちが」

 

 

「俺は神矢龍一。幸夜から聞いてるかも知れんが、コイツの先生兼ねてる龍神だ。今日は急に誘ってすまんな」

 

 

「あ、いえ!大丈夫です!私はアリス・マーガトロイドです!・・・あの、土鍋って鉄鍋とは違うんですか?」

 

 

「そうよ。土鍋は・・・「基本粘土」そう、粘土で作られてるのよ!大体はティーカップや食器と同じ感じで作ってると言っても間違いではないわね」

 

 

「へぇ・・・凄いですね!」

 

 

まさか先生、「す」の後に続く言い訳の候補で素焼き入れてたんじゃねえだろうな。そうならよくご存知ですね。早く世界より愛してやれよ。

 

 

「実はね、この前龍一から素焼きの話を聞いたのよ」

 

 

よくご存知ですね。

馬鹿だなこの龍神様。多分暴走時の俺もそんなことしない。

 

 

「さっきから何チラチラ見てんだお前は。失礼な事考えてんじゃねえだろうな。木に変えるぞ」

 

 

「いや全然。ウチでも滅多にすき焼きなんてしなかったんで、珍しいなと思っただけです」

 

 

ああそう。と先生は疑わしそうに言った。

 

 

____________________

 

 

「そう言えば、紫さんと龍一さんはお友達なんですか?」

 

 

すき焼きが完成し、アリスに一通り箸の使い方から食べ方を教え、俺が肉とタマネギをつついているとアリスが爆弾を投下した。

俺はむせかえるのを堪え、先生と紫さんを見た。

 

 

紫さんは予想通り俺と同じく咳き込み、先生は硬直していた。

やがて先生が口をギギギと音が鳴る程引きつった口を開いた。

 

 

「・・・まあな。そこそこ長い友人ではある」

 

 

「そうなんですね!」

 

 

いや先生。確かに今の質問は俺も驚きましたけど、俺の責任じゃ無いですよ。

だから目で殺そうとしてくんのやめてもらえますかねえ!?

 

 

「あ、お付き合いはされてないんですか?」

 

 

俺が目で殺される前に先生が死んだ。

紫さんは激しく首を横に振り、先生はテーブルに頭を叩きつけた。

 

 

「・・・そう、見える?」

 

 

紫さんはゆっくり顔を上げ、アリスと俺を見た。

 

 

「見えます!」

 

 

「まあ見えなくはないですね」

 

 

「・・・ふふ、ありがと」

 

 

先生が死肉を漁る犬にも劣らない勢いですき焼きを食べ始めた。

聞こえないフリでもしてるんだろうか。

 

 

「悪いけどその話は・・・「紫さん、龍一さんが好きなんですか?」・・・」

 

 

間髪入れずにアリスが爆弾を叩き込んだ。

アリスはこうして大人数で食卓を囲んだ事と、女子同士で話した事がないらしいから、話したいんだろうなーと思いながら俺は笑うのを堪えた。

先生が弱すぎる。

 

 

「あぇ、あの、それ、は・・・そう、ね」

 

 

先生が出て行こうとしたが、紫さんは聞いて欲しいのか、龍一の服の裾を掴んだ。小動物かな?

アリスはそれをわー、と言いながら眺めている。クッソこっちも可愛い。なんの意図もないんだろうがあざとい。

 

 

「その、龍一。私は貴方が好き」

 

 

「・・・おう」

 

 

先生は頷いたが、紫さんは首を横に振った。

 

 

「・・・龍一は?」

 

 

「あ?」

 

 

「龍一は、私のことどうなの?」

 

 

「そりゃ、お前と同じだ」

 

 

これはチャンスかな。

俺は侵二さんから譲ってもらった録音機を起動させ、そっと机の下に置いた。

予想通り紫さんは先生を正面から見据え、口を開いた。

 

 

「私、龍一から私の事どう思ってるか聞いたことない。・・・お願い、聞かせて」

 

 

「・・・いや、あのな・・・」

 

 

「幸夜は私の事好き?」

 

 

何度目かわからない爆薬入りました。やめてください。

何故か俺に好きかどうか聞いてくるアリス。

俺に飛び火すんのやめてくれませんかね。

 

 

「ああ。好きだぜ。・・・ん、ああ、そういうことか」

 

 

ああ、そうか。成る程な。

アリスはここまで読んで俺に聞いたのか。

世界がかかってると知ればそんなことしなかったとは思う。思いたい。

 

 

「私も好き!」

 

 

でもそれ俺に対してのダメージが一番デカイと思うの。

ああ脳が削られていく。

・・・ともかく、これで先生の逃げ道は絶った。

 

 

予想通りアリスは紫さんの方を向きピースサインをした。

クッソ可愛い。魔女扱いされるのも納得のあざとさ。魔女だったな。

 

 

「・・・ねえ、龍一、どう、なの?」

 

 

じわ、と紫さんの瞼に涙が滲む。

先生は顔が青くなり、そして赤くなった。

 

 

「・・・す」

 

 

「す?」

 

 

「すk・・・クッ、ああっ、このクソッ!」

 

 

先生が言えずに地面を殴った。

そりゃ世界かかってますもんね。差し伸べる手は無いですけど。

 

 

「・・・良いか、マジでどうなっても知らねえからな。正直なところ俺も言いたいが何が起こるか知らんからな」

 

 

「・・・え、ちょっと、どうしたの、龍一「お前が好きだッ!!」・・・ふぁい」

 

 

おめでとうございます。

やっべえ世界終わるわ。

 

 

アリスが隣で拍手し、俺が世界の優先順位が入れ替わったさまをぼんやりと見ていると、先生の体がぼんやりと光り、しばらく光ったのち消えた。

先生がぼんやりと光った体を眺め、おもむろに口を開いた。

 

 

「・・・俺不死身じゃなくなったわ」

 

 

「それマジで言ってます!?」

 

 

なんだよすき焼き囲んで意中の女の人に告白して不死身じゃなくなる人って!つか前提条件として不死身なのがおかしいじゃねえか!

・・・そもそも人じゃねえのか。

 

 

「・・・え、なんで、不死身じゃ・・・」

 

 

「要は俺が世界捨てたからこっちから願い下げだって世界に弾かれたんじゃねえかな。・・・おいそんな顔すんな。いずれ言うつもりだったんだから二日三日の差だろ・・・あ」

 

 

「言うつもりだったのね、龍一さん」

 

 

「いや、今のは言葉の綾と言うか、その、なんというか場所しのぎというか・・・」

 

 

「・・・違うの?」

 

 

「逃げ道ィ!・・・ああもうクッソそうだよ!そんな顔すんな!言うつもりだったよ!幸夜送る前も!すき焼き食う前も!全部、好き。って言い損ねて事故ったんだよ俺が!」

 

 

「そうなの!?」

 

 

「いやお前知らんかったんかい!」

 

 

「幸夜は知ってたの!?」

 

 

「薄々勘付くわ!何お前今の今まで無自覚爆弾発言してたの!?」

 

 

「爆弾発言って、何?」

 

 

「そうだよな!アリスにゃわかんねえよな!」

 

 

アリスの予想外の反応に俺が混乱し始めた。

しかし最も混乱しているのは紫さんだろう。

 

 

「・・・もしかして、素焼きの話も?」

 

 

「・・・そうだよ」

 

 

「ずっと、言おうとしてくれてたの?」

 

 

「グダグダだけどな。・・・まだ気ぃ抜けねえから付き合えねえけど、俺は俺自身が作った世界より、また新たに世界を作ろうと躍起になってるお前が好きだぞ。・・・ったくこう言うことは俺はヘタレだからなぁ。いやしょっちゅうか」

 

 

自嘲気味に軽く笑う先生。

紫さんは何を思ったのか口にネギを咥え、先生に突き出した。

 

 

「ん」

 

 

「ん?」

 

 

「ん!」

 

 

恥ずかしそうに先生は紫さんが口に咥えて突き出したネギを食べた。

ネギを食べるにしてはやけに長かったし粘着質な音がしたが多分気のせい。

 

 

「・・・私もしていい?」

 

 

「まあ、アリスが良いならいいけど・・・ってお前それ煮えたコンニャク!」

 

 

「あちっ!?」

 

 

アリスの方は失敗した。

紫さんの選んだ具は適切だったわけだ。二人揃って別の具食ってるけど。

 

 

 

次回へ続く




あと半年程この作業が続きますので、長〜い目で勘弁してください。


次回もお楽しみに。
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