ある一ヶ月の騒動(仮題)   作:味噌田楽

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キャラの口調におかしいところがあるかもしれません。
そして文スト特有の文章の感じとは違ったりします。
ダメだと思ったらブラウザバック。


序幕/月初め

一ヶ月。

私に残された時間は、たったそれだけだ。

頑張ればもう少しいけるかもしれないけど、そこがタイムリミットになることは変わらない。

限られた期間で、全ての憂いを晴らし、悔いの無いようにしなければ。

たとえ誰と敵対しようとも。

誰に憎まれようとも。

 

目を開いて見えたのは、ヨコハマの街並み。

一ヶ月。

時間に換算して720時間。

 

「はじめよう」

 

私自身の弔いを。

 

 

 

/zero

 

「太宰ィ、あの唐変木…!」

 

国木田は手に持った紙をぐしゃりと握る。

それを見ていた敦は、慌てて周りを確認する…が、矢張りそこに太宰の姿はなかった。

またか、と敦は嘆息し、国木田に声をかけた。

 

「ま、まあまあ国木田さん。僕が探してきましょうか?」

 

ここまではいつもの流れだ。

この先は日によって少し違ったりするが、だいたいは敦が探すことになる。

しかし、今回は違った。

 

「…いや、今日は放っておけ。お前も俺も仕事がある、そういつも太宰に時間を割くわけにはいかん」

 

国木田は眼鏡を少し押し上げて、仕事に戻る。

敦はそれに、わかりました、と返答して自分の仕事に戻った。

 

太宰はよくふらりと消える。

その理由は大抵自殺の為であり、消えている間に川を流れていたりする。

何度も自殺未遂を繰り返しているにも関わらず、(いず)れも太宰を殺すには至っていない。

 

「国木田ぁ、お菓子無くなったんだけど」

 

空の菓子袋を軽く振るのは、乱歩。

乱歩の机の上には、既に空になった菓子の袋が散乱している。

答えたのは呼ばれた国木田……ではなく、近くにいた谷崎だった。

 

「あァ、それならその戸棚にあったと思うンですけど。取りましょうか?」

 

国木田はその会話を聞きながら手を動かす。

その姿はまさしく仕事の鬼であった。

谷崎は椅子から立ち上がって戸棚を探り、お菓子を幾つか出し、抱えるようにして持つ。

 

「どうぞ、乱歩さん」

 

「ん」

 

乱歩は谷崎から菓子を受け取ると、またすぐに封を開ける。

が、それを食べることは無かった。

袋を開けた姿勢のまま、止まっている。

 

「どうしたンです?」

 

それに疑問を抱いた谷崎が発言した直後だった。

 

「皆、いるか」

 

扉が開き、社長が真剣な表情でそう云った。

その瞬間、皆一気に静かになる。

鋭い眼差しで、社長は社員を見回した。

 

「太宰以外は」

 

国木田が椅子から立ち上がって答える。

いつものことである為に気にしなかったのか、社長は話を続けた。

 

「…探偵社のデータベースが、何者かにハッキングされた」

 

「っ!?」

 

緊張が走る。

それは探偵社始まって以来のことであった。

これが、とある女の一ヶ月のはじまり。

皆を振り回すだけ振り回していった、三宅花圃という女の。

 

 

 

/first

 

昼間の路地裏は暗い。

故に少しの明かりでも、夜空に浮かぶ月のように映えていた。

バチバチと青い電気を散らす手元を見ながら、私は目を閉じる。

 

集中、集中しないと。

手に持ったタブレットは、手を触れずともめまぐるしく稼働している。

私の異能力だ。

帯電する程度のものだが、こういった機械類にはめっぽう強い。

あっという間に武装探偵社、ポートマフィアのデータベースに侵入し、情報を盗み出す。

侵入は可能だが、証拠を消すのは容易ではない。

ましてや私はハッカーなどでは無いのだ。

早くこの場を離れなければ。

 

「そこにいるのはわかっている、投降しろ!」

 

逃げようとした矢先に響いた声。

予想以上に敵が早く来たようだ。

ふぅ、とゆっくり息を吐き、周りを見る。

 

どうやら私は、既に黒服の連中に囲まれているらしかった。

向けられている数多の銃口。

流石にこの量の銃を対処するのは難しい。

私は素直に両手を挙げ———

 

「異能力、『藪の鶯』」

 

()()した。

銃を持った屈強な男たちは、感電して呆気なく倒れる。

こんなところで、終わるわけにはいかないのだ。

倒れるわけにはいかないのだ。

私はGPSから場所を割り出されぬように一度タブレットの電源を落とし、逃走を開始…しようと、した。

 

「へぇ、やるねえ」

 

暢気(のんき)な声を聞き、私は異能力発動の準備を整えた。

声の主の姿は、闇に溶け込んで未だに見えない。

 

「誰ですか」

 

こちらに近付いてくるような足音が、ゆっくりとした間隔で聞こえる。

このまま逆方向に逃げてしまってもいいのだが、何と無くそれは憚られた。

 

姿が、現れる。

 

「私かい?私は、…太宰治。武装探偵社の社員だ」

 

先ほどハッキングした二社のデータベース、その両方にいた人物。

砂色の外套を羽織る、蓬髪の男。

名は太宰治。その身に宿す異能力は、『人間失格』。

あらゆる異能の力を打ち消す能力である。

明らかに分が悪い。

 

「それはそれは、ご苦労様です。…実はその辺りに倒れている黒服、ポートマフィアのようでして。…後はどうにかしていただけませんか」

 

私は彼を知っている。

だが彼は私を知らない筈だ。

上手くすれば、逃げられる。

 

「私そういうの、嫌いなのだよねぇ。そんなことよりも———私と心中しませんか?」

 

は?

思わず声を漏らしそうになった。

否、呆れて声も出なかった。

資料のみでは分からない人格を、思わぬ所で知ってしまった。

太宰治という人物には気をつけねばと、思っていたのだが。

 

「申し訳ありませんが、私、することが山積みですので」

 

私は彼に背を向け、歩き出した。

 

 

 

 

「ふむ、成る程」

 

太宰が、そんな風に云っていたとは気づきもせずに。




オリ主の名前は実際に存在した人の名前です。
考えたのが能力が先、名前は後だったので全く関連性がない能力になっていると思います。
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