「は?お前それでいいのかよ」
「ええ。それが一番良さそうですから」
ほんとに?骸の負担多すぎない?とオレは首を傾げるけど、骸の中でそれは随分前から決めていたみたいで全く気にしていなかった。
「それよりも気をつけてくださいよ。君の記憶より随分早く来るのでしょう?」
「う、うん……」
オレの記憶ではリボーンが来るのは夏前だった。確か半袖だったから。それなのに骸が掴んだ情報によるともう来るらしい。まだ入学式から一週間もたってないんだけど……。骸はオレ達を見極めるという意味もあって早まったと予想している。オレもそんな気がするから早まったのは別にいいんだ。オレも会いたかったし。骸が心配しているのはオレの記憶がアテにならなくなってるということ。後、オレのうっかり。
特にうっかりが心配だったみたいで、それを減らすためにも骸はこれを提案してくれたんだろうけど、本当にいいのかなぁ。オレの心配をよそに骸はリボーンや父さんの反応が楽しみですねと笑っていた。……父さん、ショックで倒れなきゃいいけど。
そして唐突にそれは訪れた。オレが見回りついでにクロームを家に送ってる時に起きたんだ。
「すっげー、嫌な予感がする」
「……?」
リボーンが来るから?と一瞬思ったけど、それはわかっていたことだし多分違う。なんだろう?って思ってるとパンツ一丁の家綱を見てオレは悟った。
「六道凪!!オレと付き合ってください!!」
最悪だ……。前世のオレ、こんなことしてたんだ……。オレは頭を抱えたくなったけど、それよりもクロームだ。恐る恐るクロームの方を見る。
「嫌」
ぐはっ、なぜかオレにもダメージが来た。そうだった、クロームは意外とはっきりと言う子だった……。
崩れ落ちた家綱のフォローをするべきか、兄の行動についてクロームに謝るべきか、京子ちゃんの心広さに拝んだ方がいいのか、でも出来ればショックで寝込みたい……。
「ツナ、行こう」
オレが困ってると思ったみたいで、クロームはオレの手を引く。数秒迷ったオレはそっと体操着を置いて離れた。家綱もオレに慰められても嫌だろうし……。
クロームを送った後、オレはヒバリさんに連絡を入れて帰らせてもらった。もともとオレはノルマとかないからね。他の人達に申し訳なくて見回りぐらいはやってるけど。
家に帰ると家綱に「お前のせいだ!」と指をさされた。オレのせいじゃないと思うけど、前世のオレより結果が酷くて言い返すことは出来ない。
「妹のせいにするなんて情けねーぞ」
ボコッという音すら懐かしいよ、リボーン。殴られたのはオレじゃないけど。
「つーか、お前なんなんだよ!?」
「オレはリボーン。家綱とツナの家庭教師だぞ」
「あはは……。よろしくね、リボーン」
「妹の方が聞き分けがいいじゃねーか」
いや、オレも家綱みたいな反応したよ……。
「ガキの遊びに付き合ってられっかよ!お前が面倒みろよ!いってぇ!!」
「家綱がうるせーから説明してやるぞ。家綱の部屋に行くぞ」
「あ、待って、リボーン。オレの部屋使ってよ」
リボーンはオレと家綱を交互に見た後、頷いた。家綱は部屋にオレが入るのを嫌がるって聞いていたのかな。
それからリボーンはオレ達がボンゴレ10代目候補という話をした。昔のオレもそうだったけど、家綱も信じられなくてリボーンに掴みかかって返り討ちにされていた。
「お前ら2人のどっちをボスにするかの判断を9代目からオレに任されてんだ。ただ、ツナは女だからな。ボンゴレNo.2の奴が反対してっけどな」
ああ、やっぱり父さんはそうだよね。9代目が優先されるからオレにも説明はしたみたいだけど。
「……もしオレがボンゴレ継けば、こいつの扱いは?」
「本人に選ばせてやれっていうのが9代目の話だ。兄を支えるためにボンゴレに入るのも良し、護衛はつくだろうが普通に社会へ出るのもいいぞ」
「はぁ!?不公平だろ!?」
「もしオレがツナを選んだら、家綱にも同じことが言えっぞ」
9代目らしいなぁ。オレ達が今までマフィアに関わってなかったのもあると思うけど。
「一応参考までに聞くぞ。おめーらはマフィアのボスになりてーのか?」
「そんなの、知るかよ!?」
あー家綱は考えを放棄したな。気持ちはわからなくないけど。でもオレみたいに嫌って言わなかったな。
「ツナ、おめーはどうだ?」
「んー……オレは……お前がオレを選んだなら継ぐよ」
「……随分、物分かりいいじゃねーか」
……やべっ。骸の言った通りになったよ。オレはリボーンを信頼しているから、どこかでやらかすって。
「えーと、実はオレ……ボンゴレ10代目候補って知ってたんだ」
家綱が叫んでるけど、オレはリボーンが今何を考えているのか気になって仕方がなかった。
「リボーンが近々くるって話も知っていたから、家綱みたいになんでってならないんだ」
「おい、なんで話さなかったんだ!」
「信じられないだろうなーって思って……」
ふんっと家綱はそっぽを向いた。言い返さないってことは自覚はあるみたい。
「……ツナ、おめーは誰から聞いたんだ」
「骸」
「はぁ!?なんであいつが!!」
「あいつ、一応マフィアだから。あ、クロームは一般人だよ」
家綱はホッとしようとしたけど、フラれたことを思い出したのか微妙な顔をしていた。リボーンはオレの友好関係も軽く調べてるはずだから、幼馴染の骸のことも知ってるはず。もちろんクロームが義理の兄妹ってことも。だからオレのフォローは疑問に思わなかったけど、骸がマフィアとは思ってなかっただろうから動揺してると思う。相変わらずポーカーフェイスがうまくて見ただけではわからないけど。
「骸がさ、リボーンに本気で調べられたらバレると思うから言っていいって。ちょっとデリケートな話だからリボーンだけにしたいんだけど……」
「……わかったぞ。家綱、おめーは部屋に行ってろ」
家綱は文句を言っていたけど、リボーンが実力行使に出て外へ追い出した。
「ありがとう、リボーン」
「気にすんな。オレには話してくれんだろ?」
うんとオレは頷いて、骸がエストラネーオファミリーの人体実験の被害者ってこと、その人体実験で能力を手に入れた骸がファミリーをボコって逃げ出したこととか、その時旅行中だったオレが骸と出会ったこととか。ちょっとウソが混じっていたり前世のこととかは黙ってるけど、ほとんどは真実。前世でリボーンにねっちょり鍛えられ、読心術が効かないはずだからリボーンがどう判断するかわからないけど。……まぁ骸の話だと、オレはよく顔に書いてるらしい。オレ、マフィアのボスだったのに……。
「ボンゴレがエスラネーオファミリーの被害者の子ども達を保護したんだろ?それでボンゴレのことも詳しいんだ。あいつ、何も言わないけど見に行ってるんだと思う」
「……そうか」
骸の言う通り話したけど、本当に大丈夫かなぁ。後でバレた時の方が警戒されてやりにくいってあいつは言ったけど、絶対オレが動きやすいようにだと思うんだよ。
「あいつ、わかりにくいけどいい奴なんだ。だからさ、無駄に警戒してほしくないつーか、うーん……」
リボーンの立場上、警戒しなくちゃいけないのはわかるから、なんて伝えればいいんだろう……。
「おめーの言いたいことはわかったぞ」
「ほんと!?」
良かったーって喜んでると、リボーンが真剣な表情をしてオレに聞いた。
「もしそいつが裏切ったらお前はどーすんだ?」
「え?骸が?……ないと思うけど。んー、その時はオレが責任もって止めてみせるよ。友達だから」
「ならオレからは何もねーぞ」
ニッと笑った姿が懐かしくて、オレも笑った。
沢田ツナ
家綱の告白を見て、前世の自分の行動に引いた。
この後、京子の家の方角を向いてこっそり拝んだ。
リボーン
今のところ圧倒的にツナがボスに向いていると判断した。
一応骸のことは調べた。日付けからツナと出会う可能性は確かにあった。いろいろ引っかかるが、矛盾はない。
ちなみにボンゴレへのタレコミは骸がしたと勘違いしている。
沢田家光
リボーンから手紙が届く。
ツナが10代目候補ということを知っていたことに固まり、小さい頃からマフィアと関わっていたことを知り青ざめた。
追伸で「恐らくおめーがNo.2と気付いてんぞ」という内容が書いてあり、泣いた。
その後復活した彼は娘に会いにいくと言って暴れる。10代目については9代目がリボーンへ依頼したので、No.2が出しゃばると問題になるので部下が必死に止めた。