ビアンキの姿を見たオレは数秒固まった後、どちら様?と呟いた。なんでこのタイミングでビアンキ?骸から何も聞いてないんだけど……。
「紹介すっぞ。こいつはビアンキだ。ツナ、おめーの教育の一部を担当してもらうためにオレが呼んだんだぞ」
「そうなんだ。えっと、よろしくね、ビアンキ」
「ええ。よろしく」
おっかしいなぁ。ビアンキがオレを殺そうとしてない。最初の頃はオレを暗殺しようとしていたはずなんだけど……。
「ビアンキの担当って何?」
「ヒミツだぞ」
自分で考えろってことかな。うーん、今更オレのどこを教育し直すんだろう。うっかりならリボーンで問題ないはずだし……。
「まっいっか。ゆっくりしといて。お茶でも入れるからさ」
ビアンキにはお茶をリボーンにはエスプレッソをいれながら、平和だなぁって思う。ビアンキが普通に来ただけでこんなに違うんだなーって……。ハハハ……オレの前世、人生濃すぎ……。
あ!ビアンキに獄寺君のこと聞けないかな。でもオレがこんなこと聞けば絶対リボーンに怪しまれるよな。獄寺君が来なくなっちゃう可能性もあるし……。
2人に飲み物を渡した後、ちょっと骸のとこ行ってくる!って言えば、リボーンがオレの頭に乗った。
「え?お前も行くの?」
「なんだオレがいちゃマズイのか?」
「そういうわけじゃないけど、せっかく入れたのに……」
「問題ねぇぞ。持って行くからな」
さいですか……。ビアンキはいいの?と視線を向ければ、家で待っててくれってリボーンが言ったから来ないみたい。骸もマフィア関係者が家に来るのは嫌だと思うから助かったよ。
骸ん家につくと、オレは早々「ビアンキって知ってる?」って骸に聞いた。これだけでオレん家にビアンキが来たってことも骸ならわかるだろうし、オレのうっかりを防ぐために少し説明してくれるはず。
「ほぉ。確か毒を操る殺し屋ですよ。間違っても彼女の手料理は食べてはいけませんよ。死にたくなければですが」
「死にたくないっての。骸、サンキュ」
「かまいませんよ。君に死なれたら面白くありませんから」
「あ、うん。気をつけるよ」
随分前にオレの死んだ後のことを聞いたことがあるけど、骸はあれからボンゴレに近づくことはなかったみたい。だから多分オレが死んだら本当に面白くないんだろうなって思う。
「しかし彼だけじゃなかったのですね」
「え?」
「僕が掴んだ情報ではもう1人殺し屋が来ています。君が呼んだのでしょう?」
「まぁな」
「んなっ、誰!?」
オレが骸に聞いても笑うだけで教えてくれない。わかってるなら教えてくれたっていいのに……。
「君には害はありませんよ」
「んーわかった。お前が言うならそうだと思うし……」
にしても害のない殺し屋って誰だろ。彼って骸は言ったよな?死んだフリができるモレッティとか?でもあの人って殺し屋じゃなくて殺され屋だったような……。
「そろそろ戻らないと君の母親が心配するのではないのですか?」
「え?もうそんな時間?」
風紀委員に入ってると放課後が潰れるから時間がないんだよな。骸に会う時間もめっちゃ減ったし、リボーンが来てからは川平さんにも会わなくなったし。何かあった時は来ていいって言われてるけどさ。リボーンは警戒すると思うんだよな。前もそうだったし。呪った張本人だからリボーンの勘は間違ってないんだけどさ。
「あ、でも今日は大丈夫。母さん、町内会の集まりで出かけてるから帰ってくるの遅いって言っ……」
「ツナ?」
リボーンに声をかけられたけど、オレは説明を後回しにした。
「骸、悪い。帰る」
オレの行動に慣れてる骸は気にすることもなく見送った。リボーンもついてきたので、走りながら説明する。
「ごめん、リボーン。なんか嫌な予感がして……」
「よくあることなのか?」
「そうでもないかな?でも外したことはないよ」
それっきりリボーンは話しかけて来ることはなかったから、オレは家まで急いで走った。
リビングに入ってすぐオレの超直感が何に反応したのかわかった。
「家綱ー!?なんで食べちゃったのー!?」
ビアンキの手料理を食べてヒクヒクしている家綱を見て頭を抱える。見た目で絶対食べちゃダメってわかるじゃん!ビアンキも「喜びのあまり気絶しちゃったのかしら?」じゃないよ!?無意識にポイズンクッキングしてるから!
「リボーン、どうしよーー!?」
「心配すんな。こう言う時のためにドクターを呼んであるぞ」
「え?それって……」
オレがもしかして?と思ったところで、チャイムが鳴った。って、ビアンキが見に行っちゃダメだって!
「死ね!」
あーもう!オレのツッコミ追いつかないから!シャマルがポイズンクッキングの餌食になってるじゃん!
オレがオロオロしていると、シャマルはビニールでガードしていたみたいで、普通に起き上がってビアンキの頬にキスをしていた。やっぱシャマルってつえー!
「あ、あの!家綱を診てやってくれませんか?医者なんですよね!?」
「お?こっちにも可愛い子ちゃん居るじゃねーか。どれどれ……」
えっ?とオレが思ってる間に、シャマルの顔が近づいていた。頭ではわかっているのに、身体がすくんで全然反応出来なくて……絶対絶命ー!?
「っと、こえーこえー」
シャマルがピタッと動きを止めたのはリボーンが銃を構えたからだった。安心したオレはへなへなと腰が抜けた。もうちょっとで頬にキスされるところだった……。
「た、助かった……。リボーン……ありがとう……」
うぅ……とオレが情けないところを見せても、リボーンは「オレは女を泣かせる趣味じゃねぇからな」と言って許してくれた。
「あー……すまん。生真面目な子だったのね」
「まったくだぞ。誰にも構わず手を出そうとするのはシャマル、お前の悪い癖だ」
「女の敵よ、敵。ツナ、もう大丈夫よ」
「ご、ごめん……」
ビアンキに背を撫でられるし、オレ本当に情けねぇ……。なんで動けなかったんだろう……。
「嬢ちゃん、怖がらせた詫びだ。オレに診てほしい奴がいるんだろ?」
「そ、そうだった!オレの兄、家綱をお願いします!」
「男は診ねー主義だが、今回は仕方ねぇか……」
良かったー!とオレが感動している間に、シャマルは家綱を治してくれた。やっぱシャマルの能力すげー。
「家綱、大丈夫?」
「っつ、触んな!」
「ご、ごめん……!」
つい心配して揺すってしまった。やっちゃったー!
「おいおい、誰のおかげで治ったと思ってんだ?」
「うるせ!オレは頼んでねぇよ!」
「うん、そうだね。オレが勝手にお願いしたことだから。シャマルありがとう」
オレがそう言ったら、3人揃って溜息を吐かれてしまった。オレ、そんな変なこと言ったかなぁ……。
「ツナ、食事にしましょう。あなたはまだ食べてないんでしょう?作ってあげるわ」
「えっ……。だ、大丈夫。オレ料理できるから自分でつくるよ!ビアンキは座ってて!」
「あら?そう?」
あっぶねー。家綱の二の舞になるところだった。ホッと息を吐いてる間に2階からはドカドコと音が聞こえてきた。うわー、迂闊にビアンキの料理を食べたし絶対怒られてるよ。
「や、やりすぎてなきゃいいんだけど……。家綱はさっきまで死にかけてたし……」
リボーンを止めれないオレを許してっと家綱の無事を祈ってるとシャマルに言われた。
「嬢ちゃんの優しさは美点でもあるが、欠点でもあるな」
「あはは。それ、何度か言われたことあるよ」
よくみんなに苦労かけちゃったよなーと笑ってると、シャマルはオレの頭を撫でて帰っていった。
世界観の補足
ツナが死んだ未来は残っています。過去が変わったので、完全に分断された状態ですが。
原作の未来編の10年後のツナ達の世界みたいな感じです。分断されたからツナの日記の文字が消えましたし。
なので世界が存在しているため、骸は死ぬまでの記憶があります。
まぁその世界は衰退していくしかありませんけどね。
ビアンキ
2人の、特に女性であるツナの抹殺計画を立てている時にリボーンから依頼が来た。
ツナが女性として全く育ってないことを知り、態度が急速に軟化。
女性としての情緒や身の守り方を教えるためにやってきた。
Dr.シャマル
ツナの反応を見て、遊びで手を出してはいけないタイプと察した。
そして帰る前にツナにアドバイスしたつもりが、ツナは自分の甘さから招いた結果で起きた問題は自分で対処する覚悟を持っていた。
どうやったらこの歳でそう育つもんかね……とちょっと心配になった。
リボーン
骸の情報収集能力の高さやツナが超直感に目覚めていることを知った。
ただボスとしては優しすぎる性格から、家光が娘の可愛さだけで反対しているわけじゃないことも理解できる。
しかし家綱は家綱で性格に難ありなので、前途多難。
沢田ツナ
女として生きることを受け入れているが、女としての生き方がわかっていない。
恐怖で身体が竦んだことはあるが、覚悟をもって何度もそれを乗り越えて来ている。
が、今回は今までと違う種類だったので完全に動けなくなった。