沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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今日はオレの部屋でビアンキと刺繍しながら、昔話を聞いている。ビアンキの場合、ほとんどリボーンの話だけどね。どこがカッコいいとか、こんなところに惚れたとかだけど、オレの知らない話もあるから結構面白い。

 

「出来たわ」

「すげー」

 

ビアンキは料理さえしなかったら、完璧だよな。このスーツもリボーンに贈るために作ったんだろうし。あ、オレはそんな凝ったもの作れないよ。ハンカチにカーネーションの刺繍をするのが精一杯。母の日が近いから母さんにあげるんだ。

 

「ツナも惚れた男のために縫う日がきたら、すぐに上達するわよ」

「あはは。そんな日が来ればいいね」

 

じゃないと、今度こそプリーモに怒られる……。

 

「そうね……。何か贈りたい相手とか居ないの?お礼とかでもいいわ。私達みたいにスリリングな出会いもあるけど、そこから恋に発展するのも多いわ」

 

男の人にってことだよな?えーと、骸?あ、後ヒバリさんにも迷惑かけちゃったし、山本は今度試合って言ってたし、了平兄さんも試合が近いって言ってたよなー。って、オレの元守護者ばっかりだ……。

 

「ビアンキ、オレにはそういうの早いかも……」

 

ファミリーしか浮かばない時点でダメダメだった。

 

「そうかしら?何人か浮かんだように見えたわよ」

「また顔に出てたんだ……。でも友達とか先輩だし、オレが相手だと嫌だと思う」

「……どうして?」

「昔、骸に言われたんだよ。何にも言ってないのに、オレの相手は絶対嫌だって。だからみんなもそうだと思うよ」

 

オレの事、好きになってくれる人が居ればいいんだけど……。前回の経験からすると、裏社会で探した方がいいんだろうなぁ。ただ、オレと付き合いが深かった裏社会の人って、ロクな人居ないんだけど……。

 

「その骸っていう子がそう言ったからといって、全員がそうとは限らないわよ?」

「そうだったらいいね。っと、オレも出来た!」

 

結構、上手くなったよな。後はラッピングして、当日に花を買うだけだ。

 

「ふぅ。……そうね、よく出来てると思うわ」

「だよね!」

 

母さん喜んでくれるといいなぁ。まぁ母さんの性格なら喜ばないことはないんだけど。

 

ドンっ!という大きな音にオレは警戒する。今のは家綱の部屋からじゃなかった。多分庭から聞こえたような……。

 

「ビアンキ、危ないから下がってて。オレがみるから」

「私はプロなのよ?ツナが下がってなさい」

 

ゔ、確かに。つい癖でオレが前に出ようとしたけど、今のオレじゃ説得力がないんだった……。

 

「牛がいるわ。子どもね」

「え?牛!?それも子ども!?」

 

絶対ランボじゃん!こいつも来るのが早いって思ったけど、ランボはリボーンを追いかけてきたんだった。そりゃ来るのが早くなるよ。ビアンキが警戒する必要はないわって言ったからオレも覗き込む。って、大泣きしてるじゃん!

 

「大変だー!!」

 

慌てて一階におりて、庭へと向かう。ランボはその場からまだ動いてなかった。

 

「あーもう!泣くなって」

 

ポンポンと背を叩き、落ち着かせる。こりゃこっ酷くリボーンにやられた後だな……。家綱の部屋がなんか騒いでた気がしてたけど、いつものことだと思って放置してたのが間違いだった。

 

「ラ、ランボさんは、泣いてないもんね……グスッ」

「えらい、えらい」

 

はぁと溜息を吐く。どうすっかなー。ランボはまたリボーンにケンカを売るだろうし……。とりあえずお菓子で釣るかなぁ。

 

「母さん、何か甘いものある?」

 

リビングに戻って、母さんに聞いてみる。でもちょうど運悪く切らしていたみたいで何にもなかった。

 

「ランボ、何が欲しい?頑張って泣き止んだご褒美に買ってやるからさ」

「ほんと!?……お前だれ?」

「ツナだよ」

「ツナ、ツナ、ランボさんはねー、ぶどうが好きなんだもんね」

「わかったから。落ち着けって」

 

懐かしいなぁ。昔はこうやってオレの周りをうろちょろしてたよ。いつの間にかボンゴレ呼びになるし、女の子から奢ってもらってオレには催促しなくなったもんなー。

 

「ちょっと待ってろよ、財布とってくっから」

「ツーちゃん」

「ん?なに母さん?何か買って来るものある?」

「はい。これを使いなさい」

「えっ。わ、悪いよ!オレが勝手に決めたことだし……」

「いいのいいの」

 

結局母さんに押し切られてしまった。

 

「ランボ、オレの母さんが出してくれるって。お礼、言えるか?」

「んー?」

 

あー、ダメだ。まだちゃんと教えてもらってない時期だ。

 

「ありがとうって言うんだ。それを言えれば、また次があるかもしれない魔法の言葉だよ」

「次!?ありがとうだもんね!」

「ふふ。どういたしまして」

「えらいぞ、ランボ」

 

慣れたもんだなーって思う。オレの執務室を何だと思ってるのか、子どもを置いていくんだよ。託児所じゃないから!って何度ツッコミしたか……。

 

オレに抱かれながらランボはここになんで来たのかとか、夢とかの話をした。それマフィア関係者以外に言っちゃダメだからな……。そう思いながらも呆れずに相槌を打っていたからなのか、ランボはオレのことを気に入ったようで部下にしてやるって言った。

 

「オレがランボの部下かぁ。あはは、平和で楽しそうだね」

「ツナ?」

「いや、こっちの話。ほら、あんまり高いのはダメだけど好きなの選んでいいぞ」

「やったもんね!」

 

中学を卒業したら、どっぷり裏の社会につかるつもりのオレからすれば、ランボが眩しく感じるよ。だからこそオレはコイツの未来を守らないとな。

 

「これとこれにするもんね!」

「どれどれ?……うん、これなら大丈夫。ちゃんと考えて選んで偉いぞ」

 

褒められて上機嫌なのか、ランボは買い物中も無茶苦茶なことをしなかった。

 

「せっかくだし、ここで食べよっか」

 

公園のベンチに座って、お菓子の包装を外してランボに渡す。目がキラキラしちゃって、ほんとお菓子好きだよなぁ。

 

って、食べ終わったのはいいけど頬についてるじゃん。あーもう、これからはハンカチとティッシュは必需品だよ。出来るだけ入れるようにはしてるけどさ。

 

「動くなよ。とってやるから」

「んー」

 

絶対聞いてねぇ……と思いながら、拭ってやる。

 

「ツナ!」

「ん?どうした?」

「いいもの見せてやるもんね!ジャジャーン!10年バスーカ!!これを撃たれた者は5分間10年後の自分といれかわるー!」

 

それボヴィーノファミリーの秘宝だから。そんなに簡単に出しちゃダメだから。……なんであそこのボスはこんなチビに渡したのかなぁ。それだけランボが可愛いってことなんだろうけど。

 

ドオン!

 

「え?使っちゃったの!?ってことは……」

 

オレの予想通り、煙がはれるとそこには成長したランボが居た。

 

「お久しぶりです。若きボンゴレ。10年前のオレがお世話になってます」

「え、あ、うん」

 

オレの知ってるランボと変わってねぇと思いながら見てたけど、あることに気付く。

 

「若きボンゴレってことは、結局オレがボンゴレを継いだんだ」

「ええ。あなた以外誰も認めませんよ」

「……そっか。家綱はどうしてるの?」

 

あいつもマフィアになってんのかな?それとも普通の一般人?

 

「家綱さんですか……」

「え?なに?」

「……すみません。オレは幼かったのでよくわかってないんですが、彼はこの時代ではもう亡くなっています」

 

は?とオレはランボの顔を見る。冗談じゃないよな……?

 

「すみません。聞ける雰囲気じゃなくて死因は……」

「あー……うん。オレこそごめん。ランボは悪くないから。それに教えてくれてありがとう」

 

いろいろ思うところはあるけど、今ランボに聞けて良かったと考えよう。

 

「あ、家綱には黙っててくれよ?その話を聞けば気分良くないだろうし、オレがちゃんと守るからさ。お前のおかげだよ」

「はい。……あなたは本当に優しい人だ」

 

10年後のランボに面と向かって言われるとちょっと恥ずかしい……。オレは慌てて話題をかえようと考える。

 

「あ、そうだ。オレって結婚してる?」

「ふむ……」

「誰とかは聞かないからさ。それだけ教えてよ、ね?」

 

ジッとオレを上から下まで見るランボに頼むよっと期待をこめて見つめる。

 

「実は……」

「う、うん」

「……ボンゴレはオレと結婚しています」

「ええええええ」

 

オ、オレとランボが……?泣き虫で、ちっこいランボと……!?

 

「ですから、オレ以外の男と付き合ったり結婚しないでくださいね」

「う、うそだーー!」

 

誰かと結婚しているだろうなぁとは思っていたけど、まさかランボだったなんて……。

 

「ほ、本当にランボとなの!?オレ絶対お前をそういう風に見れないって!」

「ぐはっ」

 

ご、ごめん……。過去のオレに全否定されると傷つけちゃったよね……?

 

「よ、よく考えてください。オレはもうこんなに成長しましたし、身長だって今のあなたより大きい」

「そうだけどさ……」

 

ランボの顔を見ようと思ったら、ちょっと首が痛いぐらいだし……。でもオレがランボとーー!?

 

「そうでした。あなたは少し強引でないと手に入らないんでした。だからあの男が……」

「へ?」

「いえ、なんでもありません」

 

いやでもさっき大事なことを言いかけていたような……。

 

「オレを男としてみてください。お願いします」

「えっ。ちょ、待って。オレ、心の準備が……!」

 

ひぃ!ランボ近いって!オレの知ってるランボじゃない……!

 

思わずギュッと目をつぶると、ドガッという音がした。

 

「大丈夫か?ツナ」

「リ、リボーン!!ありがとーー!!……って、ランボ!?」

 

うわー、リボーンの一撃で完全に伸びてるよ……。

 

「ランボ?」

「ええっと、あれは10年後のランボ。10年バズーカに当たると、5分だけ入れ替わるんだ。あ、ほら」

 

ボフンという音と共にちっこいランボが戻ってきた。あーあ、食べて満足したのか寝ちゃってるよ。

 

「エロガキに成長したのか……」

「いや、でもなんかランボの話だとオレと結婚してるらしくて……」

 

はぁぁと溜息が出る。オレ、こいつと結婚するの……。

 

「……ツナ、おめーからかわれてっぞ」

「へ?」

「このランボが10年たっても、15だぞ。おめーと結婚出来るわけねーじゃねぇか」

「ほ、ほんとだーーー!!」

 

え?オレ、ランボに遊ばれたの!?そ、それはそれでショックなんだけど……。

 

ってか、前世ではオレ、マフィア界の保母さんっていう不名誉な二つ名まであったのに、ランボの教育間違っちゃったの!?

 

「オレがちゃんと育てないと……!!」

「……逆効果だと思うぞ」

「大丈夫!任せて!」

 

オレがランボの教育に燃えていると、リボーンは呆れたのか溜息を吐いていた。

 




沢田ツナ
自分がボンゴレを継いでると聞いて、結局そうなるんだとホッとした。
家綱のことも気になるが、ランボの将来も不安。
ちゃんとした男に育ててみせる!と意気込む。

ランボ(5歳)
優しくてあったかくていい匂いがするツナを気に入った。
ツナにいい男になれよと言われ、よくわからないままも素直に頷く。

大人ランボ
一発逆転を狙った。
ツナのいい男になりたかった。
未来では年齢差で勝負すらできず敗北した。

リボーン
ツナの将来が心配になった。
無防備すぎてロクでもない男に引っかかりそうで。
とりあえずツナを大人ランボに近づけさせないことは決定。
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