オレは鼻歌を歌いながら、骸ん家でお菓子を作っていた。なんで骸ん家かというと、オレん家は今ランボがいるから。絶対ぐしゃぐしゃにする。別にみんなと食べる分ならいいんだけど、今回はヒバリさんの誕生日ケーキがメインだから、それは阻止しなきゃってことでクロームと骸の許可を得て作ってる。……骸には高級チョコを渡したけど。ヒバリさんのケーキのためだしね。
「クロームも手伝ってくれてありがとう。助かったよ」
「ううん。私も作れるようになりたかったから」
「それなら良かった。あ、骸に言われても作りすぎないようにね」
子どもの頃から頑張った甲斐があったのか、食生活の大事さを知ったクロームは素直に頷いた。いや、ほんとあいつチョコ食べすぎ。
「余計なことを言うんじゃありません」
「はいはい。お前の分もあるから、あとで食べろよ」
「当然です」
こいつの態度を見てるとなんか腹たつ。母さんにはお礼を言うのに、オレには言わねぇもん。
「それにしても、よく誕生日会なんてものを彼が許可しましたね」
「いや、ヒバリさんは許可してないみたいだよ。風紀委員メンバーが勝手に集まって祝うんだって。だから咬み殺されるらしい」
骸がなんとも言えないような顔をしたからオレも頷く。よくやるよなってオレも思うから。
「それであなたも強制参加なのですね」
「強制参加っていうわけじゃないけど、声かけられちゃったからさ。オレ毎年トンファー貰ってるし、それならケーキ作りますよって言ったんだ。後は咬み殺される前に逃げればいいかなーって」
ただなぁ、オレこの前からヒバリさんに全然会ってないんだよ。いや、ケイタイで連絡はとってはいるんだよ。ただ直接会ってないだけ。毎週日曜日のバトルも野球部の応援ってことで一回休ませてもらったし。……ヒバリさんにはため息をつかれたけどさ。
「なぁ骸。オレさ、10年後のランボにオレがボンゴレを継いでるって聞いて、守護者の顔が浮かんだのはみんなだったんだ。だからオレって超ワガママだなーって思った」
「今更でしょう」
「ははっ、だよな」
昔っからオレはウジウジ考えすぎなんだよなぁ。答えはわかってるのに、誰かに背を押されないとわかんないんだもん。
「悪いけど、オレん家の分はまだ冷蔵庫に入れさせて。帰りによって持って帰るから」
「かまいませんよ。……ああ、少し待ってください」
ん?とオレが首を傾げてると、骸は自分の部屋に向かった。しばらくすると戻ってきたけど、骸の手には箱があった。
「ケーキと同じようにあつかってください」
「え。わかった」
あんまり揺らすなってことだよな。オレは慎重に受け取る。
「君からと言って渡してください」
「……もしかしてヒバリさん?」
「ええ」
まじで。すっげー怖いんだけど。いやでもオレからっていうから、そこまで変な物じゃないはず。変な物なら、骸なら自分で渡すと思うから。
「珍しいじゃん」
「……僕も君と同じということですよ」
どういうことだろう?ってオレは疑問に思ったけど、骸は何も言わないだろうなと思ったからオレはそのまま出て行った。
オレが学校に向かってると、「助けて、ツナ姉!」という声が聞こえた。ツナ姉って、もしかしてオレのこと?
聞こえてきた方向に顔を向けると、誰かが腰に抱きついてきた。
「え?誰?」
殺気を感じないから大丈夫だと思うけど、顔を見せてほしい。あれ?でもこの髪色って……。
「やっと追い詰めたぞ!」
「お前、追われてんの!?」
「頼れるのツナ姉だけなんだ……!」
うるうるとオレを見上げたのは、小さいフゥ太だった。
「わかった。これケーキだから気をつけて持ってて」
3人だったのもあって、オレは簡単に気絶させることが出来た。
「もう大丈夫だよ」
「やっぱツナ姉は凄い!僕のランキングで一位が多いんだよ!」
「へぇ?そうなんだ?」
話しながらもコレってヒバリさんより、リボーンに連絡した方がいいよな?と思ったところでリボーンがやってきた。相変わらず情報を掴むの早いよな。
「リボーン、この子知ってる?」
「こいつはランキングをつくらせたら右に出るものがいないというランキングフゥ太っていう情報屋だ」
……骸のせいでランキング能力なくなっちゃったもんなぁ。情報屋としては活躍してたけど。
とにかくリボーンの話で今回もフゥ太がマフィアに狙われてることがわかった。
「心配すんなって。オレが守ってやるから」
「ツナ姉……」
ポンって頭に手を置くと、余程怖い目に合ってたのかフゥ太の目が潤んでいた。
「オレこの後用があるんだけど、一緒に行くしかないよな。流石にまだ居るかもれないし……。リボーン、悪いけどこの人達のこと頼むよ」
「いいぞ」
リボーンのことだから、この人達をボンゴレに引き渡したら追っかけてくると思うけどね。
フゥ太と一緒に学校へ向かってると、フゥ太はいろんなランキング結果を教えてくれた。
「ツナ姉はね、マフィアのボスで総合的な戦闘力が一位なんだよ」
「……そんなに強いんだ、オレ」
ボス限定だから父さんや骸は入ってないんだろうけど、9代目より上だと思わなかったよ……。まだグローブ持ってないのに……。
「そして頼まれたら断れないランキングも野望のないボスランキングでも一位なんだよ」
「え?オレ、一応ボスになったらやりたいことあるんだけど……」
別にボスじゃなくてもいいけど、黒のマフィアはぶっ潰したいと思ってるはずなんだけど。
「僕のランキングは外れないよ。それは野望じゃないんじゃない?」
野望ってどういう意味だっだっけ。身の程を超えた……とかだったかも。戦闘力が一位なら身の程にならないのかもしれない……。
「他にも将来有望なボスランキングや温厚ランキングなんかも一位なんだよ。怒らせたら一番怖いボスもツナ姉だけどね」
「えええ!?オレそんなに怖いんだ……」
やっぱこれも戦闘力のせいなのー!?
「よくオレを頼ろうと思ったな。怒らせたら怖いってわかってたのに」
「ツナ姉が温厚なのはランキングでわかってたし、子ども好きランキングでも上位だったからね!」
ちゃんと考えて来たってことか。じゃないとフゥ太は生き残れなかったと思うし。オレがボンゴレの後継者候補ってのも関係してるんだろうなー。ボンゴレは大きいし、9代目は穏健派だしね。
「怒った……?」
「そんなことないよ。よく考えて偉いなぁって。もう不安にならなくていいよ、オレが守ってやっから」
「ツナ姉!!」
あはは。ぎゅうぎゅうと抱きつかれるのも久しぶりだなぁ。っと、学校についたよ。
「ちょっと怖そうな人達がいっぱい居るけど、その人達は見た目と違って優しい人達だからね」
「うん!わかった!」
寄り道したから遅くなっちゃったかなぁと思いながら、集合場所の体育館に向かう。
「こんばんはー……失礼しました」
オレは何も見てないと開けた扉を閉める。……いやでも流石にほっとけないよな。
「フゥ太。トンファー振るう人がいるけど大丈夫だからね。オレが相手するから」
「はーい!」
これなら大丈夫かなともう一度扉を開ける。……ハハハ、やっぱ見間違いじゃなかった。風紀委員のみんなが山のようになってるし、その上にヒバリさんが座ってるのも……。
「はぁ。君もなの?」
「まぁ。……みんなヒバリさんのことを思って集まったのに」
「僕の前で群れた方が悪い」
「わぁー。すごーい」
フゥ太はいろいろ危ないことも経験してるからか、意外と順応性が高いんだよな。普通、人の山を見て凄いとか言えないから。
「なに勝手にいれてるの」
「すみません。オレの方の関係者で。1人にしちゃ攫われそうなので連れて来ました。一応倒しては来たんですけど……」
「そう」
良かった。ヒバリさん、そこまで怒ってないよ。
「あ、これ良かったらもらってください。下の大きいのはケーキです」
受け取ってもらえそうなのは良かったけど、こっちに来るために何人か踏まれたよ……。いやでもあのままヒバリさんが座ってたら誰も動けなかっただろうし……。
「こっちは?」
「ええっと……開けてみてください」
チラッと視線がきたけど、ヒバリさんはリボンの紐をといてくれた。あっぶねー。オレも何入ってるか知らないから答えられないっての。
「ぶっ」
「……どういうつもり?」
一体何が入ってるんだろうと思って、オレも興味津々で見ていたんだけど、開けた瞬間に飛びだってヒバリさんの頭に乗った。……ヒバードが。
「た、たんまっ。……あはははっ」
いや、無理だって。我慢しようと思ったけど絶対無理。……骸、お前ヒバリさんの頭に居ないのが違和感あって、わざわざ探して連れて来たの!?
「ひぃ、ちょっとむりぃ……」
オレはトンファーを避けながらも、笑い続ける。骸、お前どうやったの!?すっげーヒバリさんに懐いてるじゃん。頭から逃げないし。
「すみませんっ。あはは。すっげー似合ってると思って」
「そうは見ないけど」
「でも、ヒバリさん嫌いじゃないでしょ?オレはいいと思いますよ。ヒバリさんらしくて……好きですよ」
オレの言葉にヒバリさんは呆れたようにため息を吐いてトンファーを直した。
「君と話していると気が削がれる」
「すみません?」
またオレ変なこと言った?
「ねぇねぇ。ツナ姉、今の告白?」
「え……。や、そういう意味じゃないですよ!?」
「知ってる」
「なーんだ。ツナ姉の憧れランキング一位の人だから僕凄いとこ見ちゃったって思ったのに」
慌ててフゥ太の口を塞いだけど、ヒバリさんが聞き逃すはずがない。絶対今オレ顔が赤い……!
「アハハハ。……オレ、帰りますね」
「……今週は見逃さないから」
「は、はい……」
オレ、次にヒバリさんにどんな顔して会えばいいのー!?と思いながらフゥ太と一緒に帰った。
フゥ太
ランキング結果から、ずっと前からツナを頼ることを決めていた。
ツナに後ろ盾が出来たからツナの前に顔を出した。
リボーン
春の子分達から情報で慌ててツナのところへ向かった。
マフィアが倒れてるのをみて、ツナの強さを上方修正した。
この後、フゥ太に見せてもらったランキングで頭を抱えたくなる。
雲雀恭弥
幼少の頃からの付き合いで、ツナの純粋で真っ直ぐな好意や言葉には慣れている。
慣れてはいるが、気は削がれる。
咬み殺せないのは骸と同じだが、骸との対応の違いは主にこれ。
六道骸
あの鳥がいないと、雲雀恭弥じゃないと思って連れてきた。
後日、お似合いですよといい、トンファーを振るわれる。
沢田ツナ
骸の行動に笑うのを我慢できなかった。