GWや母の日も終わって、そろそろ獄寺君が来るかなーと考えていると山本に家へ来て欲しいと誘われた。オレが山本の成績をあげたことを知った山本のお父さんが年に数回奢ってくれるんだけど、この時期じゃない。なんだろう?と思ったけど、あんまり人に聞かれたくない話だと察したオレは山本の家にやってきた。小学生の頃から何度も行ってるし、緊張しないしね。
「わりぃな、ツナ。わざわざきてもらって」
「それは別にいいんだけど……どうしたの?山本」
「お前も気づいてるだろ?最近、打率が落ちてきてるし守備も乱れちまってる……。どうすりゃいいかなって思って……」
オレがずっと野球を見てるから、早めに相談してくれたのかも……。オレの記憶じゃ、山本の自殺騒ぎは獄寺君が来た後だったから。よかったー、仲良くしてて。
「オレ、野球は見るだけだからそんなに参考にならないと思うけどいいの?」
「ああ」
藁にもすがる思いなのかもしれない。じゃなきゃ、あの山本があんなことしないよ。
「まずさ、一年と三年じゃ体格が違うとオレは思う」
「オレは大きい方だぜ?」
「んー身長はあっても筋肉のつき方とはやっぱ違うよ。了平さんは知ってるよね?あの人見てるとよくわかるよ。去年より引き締まってるから」
お兄さんはコロネロが認めたぐらいだしね。
「そんな先輩達から打つのが難しくなるのは普通だと思う。打つ威力が強ければ、守備するのも難しくなるはずだろうし。特に男の人の方がその差ははっきりと出るはずだから」
「……そっか」
「うん。前にさ、山本が言ったことだけど……一個ずつやっていくだけだよ。そりゃ立ち止まる時だってあるけど、そう見えるだけであって、ちゃんと進んでるし、それも必要なことだってオレは山本に教えてもらったよ」
だから追い詰めないでと山本の顔色を窺う。
「……だな。サンキュー、ツナ。オレ考えすぎてたみたいだわ」
山本にポンポン頭を撫でられて、オレは良かったと笑う。
「お?ツーちゃんが来てんのか?」
「お邪魔してます」
山本のお父さんにペコっと頭を下げれば、カッと目を見開いた。ひぃ。オレなんかしたっけ!?
「武!茶ぐらい出さんか!」
「わ、わりぃ、ツナ!忘れてた!」
そんなことで怒ったの!?おかまいなくとオレは慌てて手を振る。
「そうはいかねぇ!ガキの頃から野球ばっかのバカ息子をここまで育て上げてくれたのはツーちゃんなんだぞ!」
「オレじゃないですって!それは山本のお父さんです!」
「それなのに……気がきかねぇで、すまねぇ!」
「だ、大丈夫ですって。オレ気にしてないですし……」
し、知らない間に山本のお父さんがオレを見る目が変わってる……。
「ハハッ。でも親父の言う通りだぜ。オレ、ツナのこと家族みたいだと思ってるのな」
お茶を持って戻って来た山本が、オレに向かってそう言った。家族かぁ……。
「だったら中学卒業すればオレ海外へ行きますし、寂しくさせちゃいますね」
何気なくオレは口にしたけど、山本と山本のお父さんは寝耳に水だったみたいで固まってしまった。言っちゃまずかったかな?
「ツ、ツナ……。海外へ行くのか……?」
「うん。やりたいことがあるんだよね。もしかしたら跡を継がなきゃいけないし、拠点をこっちに移すにしても10年はまともに帰ってこれないんじゃないかなぁ。あー、でもヒバリさんが協力してくれるみたいだし、もうちょっと早くなるかも?」
並盛に被害がない限り黒のマフィアを潰すのは手伝ってくれないと思うけど、オレが拠点を作りたいって言ったら少しは融通してくれると思うんだよね。
「ツーちゃんは跡継ぎだったのか……」
「は、はい。父さんの仕事の方の関係で……、家綱の可能性もあるけど、多分オレが選ばれると思うんだよね」
リボーンのことだからフゥ太からランキングを見せてもらうだろうし。
「他にいい人いないのか?」
「血筋を大事にするところでさ。オレと家綱しか継げる人居ないんだ。父さんも泣く泣くだったみたいで、この前手紙が届いたよ」
その時のことを思い出してちょっと笑ってしまう。その日なんかつけられてると思ってたけど、父さんの部下の人でリボーンには秘密にしてっていうから、バレちゃまずいのに書いたみたいで……。で、肝心の中身は「すまん」の一言だけ。……気持ちはわからなくはないんだけどね。父さん結構不器用だから。いろいろ書きたかったけど、書けなくなっちゃったんだと思う。
「武」
「ん?」
「お前もついていけ!」
「ちょ、何言ってんですか!?」
なんでそうなんのー!?
「オレは真剣だ。ツーちゃんを海外に行かせるなんて心配でならねぇ。今まで受けた恩、ここで返すしかないだろう。そうだろ?武」
「んー……だな!野球はどこでも出来るしな!」
「いやいやいや、ちょっと待ってください。そんな簡単に決めることじゃないですし、危ないですし……」
「危ない……?」
え。オレ、またやっちゃった……?
「武。家族同然のツーちゃんが危ないというんだ。これでいかねぇのは男じゃねぇ!」
「いや、だから……」
「うし。親父、剣道教えてくれよ」
「よく言った!それでこそ、オレの息子だ!!」
なんなのこの親子ーー!?
結局説得できないまま家に帰ったオレはリボーンに泣きついた。
「オレのせいで山本の野球の夢がーー!」
うわあああと嘆いていると、リボーンなら「ファミリーGETだな」とか言いそうなのに、あまりの嘆きっぷりからか、ポンっとオレの肩を叩いてくれた。
山本剛
男手ひとつで息子を育てようと奮闘中にツナがやってきた。
勉強やら何やら世話になるし、娘同然に可愛がってた。
元々もってた親バカ気質に拍車がかかっていた。
山本武
父親に言われたのもあるが、ツナが見てないのに頑張ってもなーと思い、ヤル気の源がツナだったと気付いた。
危ないって聞いたら尚更引くわけにはいかない。家族だから。
沢田ツナ
リボーンに振り回されて山本がファミリーに入るなら……と思っていたところで墓穴を掘った。
天然2人には勝てなかった。
泣きつく場所はやっぱりリボーン。
リボーン
ランキングの結果もあり、家光にもう諦めろと手紙を送ろうと思っていた時に、ツナに泣きつかれた。
嘆くばっかりで説明になっていないが、女には優しくするというモットーのリボーンには怒ることもできず慰めた。