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オレの手が治って、テストとかも終わり一学期の終業式を終えた日、ヒバリさんに呼び出された。獄寺君はオレがヒバリさんの下についてるのが気にくわないみたいで怒ってたけど、まぁまぁと落ち着かせてオレは応接室へとやってきた。……まぁ折れたのは一度ヒバリさんに返り討ちにされたのもあるんだろうけど。
ヒバリさんに呼び出されたのは、夏休みの間のことだろうなー。風紀委員なのに、オレよくわかんない立ち位置だしね。と、思っていたんだけど違うみたい。すっげー機嫌悪いし。
「ええっと……どうしました?」
「さっき僕のところにふざけた男が来てね。それを置いていったよ」
視線が机にある紙だったので、オレはなになに……という感じで軽い気持ちで読んで叫ぶハメになった。
「黒曜中と合同体育祭ーー!?」
ふざけた男って絶対骸じゃん!つーか、あいつ何やってんの!?お前、こんなこと企画するキャラじゃないじゃん!
「これから向こうの代表がその企画の説明をしに来るらしいから、君もそこの端で聞いといて」
「えっ」
「やるとなれば、ここの代表は君が適任だろうからね」
……オレもそんな気がして来た。こんな企画を持ってくるんだから、黒曜中のトップにもう骸が君臨してそうだし……。
「ヒバリさんはこの話に乗る気なんですか?」
「…………」
これは悩んでる感じだね。まず骸が持ってきたからこの話に乗るのは癪。でもヒバリさんは売られたケンカは買う主義。ただこんな企画を実行すれば、風紀が乱れるに決まっている。まぁだから話を聞く気になってるんだろうと思うけど。骸の考えも知りたいだろうしね。あいつなんか絶対企んでそうだから。
とりあえずオレは紙に書いてある内容を頭に入れる。うわっ、結構ちゃんと考えてるじゃん。
ますます何企んでるんだろうと思ってると、ノックの音がした。草壁さんが黒曜中の人をここへ案内してくれたみたいだ。
「委員長、お連れしました」
「そう。君はさがってて」
チラッとオレを見たから、今回お茶とかはオレの仕事ね。と、はいはいと頷く。これ以上、人口密度をあげたくないんだろうね。向こうの代表ってどんな人かなーとオレは目を向けて、驚きのあまり名を呟いてしまった。
「……エ、ンマ」
なんでここに……?至門中の制服だし、そもそもオレが見間違うはずがない。なんで黒曜に?とかいろいろ疑問を浮かべていたオレだったけど、ヒバリさんの殺気で我にかえった。
慌ててお茶を出しながら、炎真の様子を窺う。相変わらず怪我をしているみたいだけど、殴られた感じのようなものはない。多分ドジでやった怪我だ。骸は約束通りちゃんと炎真達のことを見てくれていたんだ。
ただ最初にオレを見てから、一度もこっちには視線を送らない。ヒバリさんと話してるのもあるんだろうけど、なんか態とらしくて……見ないようにしている気がするんだ。
炎真の話はほとんど紙に書いてあることだった。これ以上はもっと話し合わないと決まらないのもあるから、仕方がない部分もあるんだろうけど。
「それで、こんなことを企画した理由は?」
うわっ、ヒバリさんズバッと聞いたよ。
「骸君……生徒会長は……他校と交流することで生徒達の意識を高めたいって……」
う、うそくせーーー!そう思ったのはオレだけじゃなかったみたいで、ヒバリさんの機嫌が急降下した。
「生徒会長は1週間だけ返事を待つ、と。では、オレはこれで……」
それだけ伝えると炎真が帰っちゃったのでオレはヒバリさんに「門まで案内して来ます!」と言って慌てて追いかけた。
「ま、待って!炎真!」
ヒバリさんに名乗っていたのを聞いていたから、オレは前みたいに呼んだんだ。すると、炎真も止まってくれた。
「あ、あの……」
「……断ってくれていいから」
なんて声をかければいいのか、躊躇していれば炎真がそう言った。それって合同体育祭のことだよな?
「隠さなくていいよ。君に頼まれたから骸君がシモンを守ってるって聞いてる。父さんからもボンゴレとシモンの関係は教えてもらったから」
「そ、そっか……」
関係って、シモンを陰から支えるとかだよな?そういや、前世では炎真のお父さんは死んじゃったけど、その話を聞いたってことはちゃんと知っていたんだ。正しい歴史を。……ボンゴレはなんで途絶えちゃったんだよ、はぁ。
「えっと、骸はちゃんとしてくれてる?」
「……良くしてもらってるよ。骸君のおかげでシモンの至宝のシモンリングも見つかったから」
「そうなの!?良かったー!」
前は未来の戦いから帰ってきた地震の影響で見つかったんだよね。シモンの土地にあるのは骸も知っていたから、探してくれたんだ。シモンを守るにもリングがあった方がいいっていうのもあるんだろうけど、あいつ本当にちゃんと見てくれてたよ。もっと報告してよ!とも思うけどね。いやでも骸だし……。
「僕は父さんと違って……陰になる気はなかった。完全に覚醒してないとはいえ……リングもあるんだ、表舞台に出たくなったんだ」
「うん!うん!オレもそれに賛成だよ!」
いつまでもシモンが日の目が当たらないところにいるのもおかしいからね。今回は争うこともなく決まってオレすっげー嬉しかったんだ。だから炎真が「でも……」と言って続けた言葉にオレは固まった。
「オレが間違っていた。ファミリーの反対を押し切って、骸君に頼んで1人で転入してまでここまで来たけど……父さん達が正しかったよ」
「な、なんで……」
「君と僕は違う」
え?なんで?オレと炎真は似た者同士だよね?
「骸君が君を知る機会だからと言って、この企画を考えてくれたけど……、ここでちょっと話を聞くだけでわかったよ。日の当たる場所にいる人っていうのは君みたいな人なんだって。オレ達とは違う」
「そんなことないよ!!もしオレがそうなら、君達だってそうだよ!」
オレの必死の訴えも、炎真には届かなくて首を振られた。
「……心配しないで。初代から続く誓いは守るから。君がボンゴレを継ぐなら、シモンは理不尽な扱いは受けないだろうしね」
「ま、待って!炎真!」
オレの言葉に、炎真は止まることも振り返ることすらなかった。
グッと手に力をいれ顔をあげたオレは、応接室に戻ってきた。
「ヒバリさん、合同体育祭の企画、受けてください」
「……ふぅん。マヌケ面じゃないようだね」
あははとオレは笑う。殺気送られたし、動揺してたのはバレバレだったよね。
「いいよ。そのかわり……負けることは許さないよ」
はい!とオレはヒバリさんに返事をした。
古里炎真
本編で度々名だけ登場していた人。
骸のおかげでまともな人生を歩んでいた。
両親と妹が生きてることもあり、ドジでも割としっかりしている。
次期ボスとして、これからのファミリーの行く末に悩んでいた。
ツナを見て、陰で生きていくことを選んだ。
沢田ツナ
今世ではダメダメな人生ではなかったため、炎真には届かなかった。
でもみんながいるから、選択を間違ったとは思っていない。
すぐに炎真と向き合うと決めた。
六道骸
ちょっとめんどくさいことになりそうと察し、ツナを知る機会を与えようとした。
黒曜中との合同なら代表者はツナになるとわかっていたから、計画した。
後はツナ次第。
草壁哲矢
いろんな人がツナを褒めた中、彼が一番ベタ褒めした。