沢田綱吉、逆行。   作:ちびっこ

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あの後すぐに、ヒバリさんから「いつまで油売ってるつもり?」という電話がかかってきて、オレはディーノさんに謝って慌てて本部へ向かって走った。ディーノさん迷惑だっただろうなーとか、また情けないこと言ってリボーンにバレたらボコられるとか浮かんだけど、今のオレの頭の中はヒバリさんの機嫌の方が優先されたんだ。

 

「すみません、遅くなりました!」

 

あんまり怒ってませんように!とオレは祈りながら恐る恐るヒバリさんの様子を窺う。

 

「……君……はぁ。もういいよ」

 

呆れられちゃったっぽいけど、大丈夫そう。助かったーとオレはホッと息を吐き、どんな感じかなぁと体育祭の得点表をみる。並中の生徒も頑張ってるみたいだけど、なんとか勝ってるっていう程度。油断すると簡単にひっくり返っちゃうだろうなー。

 

でもこうみんなわいわいしている感じをみると大変だったけど頑張った甲斐があったなぁって思う。ヒバリさんは勝たないと納得しないだろうけど、オレとしてはみんなが笑顔だったらいいかなって思うんだ。

 

「ツナ」

「山本?」

「差し入れ持ってきたぜ。親父がツナにって」

「うわー、いつもありがとう!」

 

相変わらず、山本のお父さんは太っ腹だ。保冷バッグに入ってるし、朝から作って持ってきてくれたんだろうなー。ヒバリさんも確かお寿司好きだったはずだし、おすそ分けしようっと。オレが喜んでると山本に頭をガシガシと撫でられた。え?なに?なに?

 

「なんかあったんだろ?力になるぜ」

「また顔に出ちゃってたの!?」

「んー。目、赤い」

 

うそーっと顔を隠す。これ、絶対ヒバリさんにもバレてたじゃん!ヒバリさんにも情けないって思われてたんだ……。って、今はオレを心配してくれてる山本に返事しなきゃ。

 

「あ、いや、大丈夫。オレまたパニックになっちゃっただけ。1個ずつ頑張るから」

 

ディーノさんと話してるからマフィアのボスとしての考えが出ちゃったけど、今は何も考えずに炎真と友達になりたいって思いを大切にしたい。

 

「そっか。何かあったら声かけてくれていいんだぜ。力になるのな!オレも獄寺も、ヒバリだってそうだろ?」

 

うぇ!?って変な声が出ちゃったよ。山本急に何言ってんのー!?恐る恐るヒバリさんを見たけど、オレ達の存在を無視してた。ただちょっと機嫌悪くなってるから多分聞こえていたと思う……。

 

「本当に大丈夫だって!……でも、ありがとう。ダメそうなら相談するね」

「おう。もちろんそん時は力になるぜ」

 

ありがとうとオレがもう一度お礼を言えば、山本はもう一回オレの頭をガシガシと撫でてから、クラスのところへ戻っていった。

 

山本ってやっぱいい奴ー!とオレはしばらく感動していたんだけど、ハッとヒバリさんのことを思い出した。いろいろ悩んだオレは、貰ったばかりのお寿司をそっと差し出した。

 

「……なに」

「ヒバリさんもどうです?オレ一人じゃ食べきれないですし」

 

さっきの話題には触れない。ヒバリさんが聞かなかったことにしたんだから。オレもなかったことにする。だから最初の予定通り、おすそ分け。

 

オレが別に機嫌を取ろうとしたわけじゃないとわかったヒバリさんは、椅子に座った。ってことは食べるってこと。こう見えて育ちのいいヒバリさんは立って食べたりしないからなぁ。食べ歩きを意図した料理ならわからないけどね。

 

オレもギリギリお寿司が届く位置の椅子に座って、いただく。昼食の時間じゃないけど、こうやって食べれるのは責任者の特権だ。オレはまぁ選手の方でも活躍しなきゃいけないから昼ご飯の時間は確保させてもらってるけど、ヒバリさんは昼休憩の方が忙しいだろうからね。風紀が乱れるだろうし。だから食べられるタイミングで食べる。まぁヒバリさんに文句を言える人なんていないけど。

 

「そういえば、どこで使うつもりなんですか?」

 

点数から考えて後半まで残しておくのはオレでもわかるけど、結局ヒバリさんはどうするつもりなんだろうね。誰が聞いてるかわからないところで聞いたから、話題をふっただけでオレは答えを期待してなかったんだけど、ヒバリさんは口を開いた。

 

「……君ならどこで使う?」

「え?オレですか?……うーん、やっぱ棒倒しかな。この感じじゃ棒倒しの結果次第になる可能性が高い気がしますから」

 

垂れ幕や応援を入れても、そこまでハッキリと差は感じられない。みんな得意なことを選んでるし、それは向こうも一緒だから。飛び抜けて結果を出してるのはオレ達だけど、そこで一位とっても、他のところで落としちゃ一緒だし。あ、そう思ってるそばからお兄さんが圧勝した。

 

「というか、オレがそう思うぐらいだし、ヒバリさんも似たようなこと考えてますよね?なにか引っかかることでもあるんですか?」

 

オレに意見を聞くなんてヒバリさんらしくないよ。ってことは、なんかあるよ、絶対。

 

「……気にくわない」

 

一瞬、オレに向かって言ってるのかなーと思ったけど、ヒバリさんは黒曜中の方を見ていた。つまり骸の行動が気にくわないんだ。まっ、あいつ競技出てないもんな。ここでオレも棒倒しで投入したら、いくら炎真が総大将でも勝てないだろうし。

 

ちなみに棒倒しに出るオレの知り合いはお兄さんと獄寺君。山本は他の競技を優先して出てもらってた。山本は陸上部より足速いからね。棒倒しに出場するのはもったいなさ過ぎ。

 

お兄さんと獄寺君が揃うと超攻撃型の2人だなーなんて、思ったりする。……やっぱなし。クロームとランボ以外はみんな超攻撃型だった。

 

オレが若干遠い目をしながらも、ヒバリさんの気持ちを考える。相手が余力を残した状態で勝っても嬉しくないんだろうなぁ。

 

「なら、ヒバリさんが出なきゃいいのに」

 

オレが未だ咬み殺されてはないとはいえ、並中の生徒からすればヒバリさんがトップで、柱なのは間違いないよ。ヒバリさんが出なくて勝てば、こっちも余力を残しての勝利だから条件は一緒だ。

 

「あーでもヒバリさんが譲るわけないよなぁ」

 

自分で提案しといて、ないないとオレは否定する。他に何かいい案はないかなーと考えてる間に、黒曜中の方でトラブルが起きたと聞いてオレはそっちに顔を出すことになった。

 

「炎真」

「ツナさん」

 

オレが来たことに気付いた炎真はこっちにわざわざ来てくれた。朝よりもちょっとピリピリしてるもんね。……案内された場所が黒曜中の救護室だから、すぐに理由は察したけど。

 

「……怪我?」

「うん……。骸君がかわりにオレを出すって」

「そう……」

 

誰も怪我なく終わればいいと思っていたけど、そうはならなかった。

 

「相変わらず、君は甘ちゃんですね。敵の心配をしなくてもいいでしょうに」

「敵って……。オレは誰も怪我しないのが一番いいの!」

 

真剣勝負してるとはいえ、相手が怪我したって聞いても喜べないっての。お前が一番オレの性格を知ってるだろとオレはムスッとしながら骸を睨む。

 

「君が心配だけで終わるなら、僕は頭を痛めません」

 

うぐっと言葉が詰まる。何度かやらかした記憶があったオレは睨むのをやめて、そっと視線を逸らした。

 

「……まぁいいでしょう。彼から聞いたみたいですが、ここで僕達は交代の権利を使います。代わりは古里炎真がします」

「わかった。ヒバリさんに伝えるよ」

「そうしてください」

「怪我酷いようなら、救急車の手配するからちゃんと言えよ」

「……ただの捻挫です」

 

あ、そうなんだ。骸がちょっと呆れるのも仕方ないかな。捻挫で救急車はないってオレも思うよ。まぁでも並盛にある病院を教えておかないと。あんまり痛むようなら最後まで見ずに行った方がいいだろうし、体育祭が終わってもすぐ黒曜中に帰れるわけじゃない。片付けを待ってる間に行った方がいいだろうし。オレの考えがわかったのか、骸は軽く息を吐いたけど最後まで聞いていた。

 

「調べる手間が省けました」

 

相変わらずオレに礼は言わなかったけど。




山本武
目が赤くなってることを指摘しようかちょっと悩んだ。
でも自分が気付くぐらいだから、ヒバリも気づいてるよなーと思って、言った。
クラスのところへ戻りつつ、ヒバリもツナのこと気に入ってるよなーっと考えていた。
ヒバリが一度もこっちを見なかったのは恥ずかしがってるツナのためと山本は判断していた。

沢田ツナ
山本には泣いたことがバレても恥ずかしくない。
情けないところを見せるのは嫌なのはやっぱり憧れてる人達。

雲雀恭弥
泣いたことに気づいていたが、めんどくさいので関わるのを全力拒否した。
ただ、マフィア関連ということは察している。
裏とか似合わないタイプだから、パニックになるんだと心の中で思ってる。
壊しちゃえばいいのにって考えてる人。

六道骸
時間がたったのもあり、流石にツナが泣いたことまでは知らない。
でも何か起きたら、一番自分に被害が来ると予想している。
頭が痛い。
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