あれから川平さん……迂闊に外で生粋の地球人やチェッカーフェイスとは言えないからね。川平さんと話し合った。オレが場所を覚えていたのはボンゴレにいるXANXUSと黒のマフィアを一掃するために調べたエストラネーオファミリーのシマ。一度骸と一緒に行ったから、人体実験をしていた場所はなんとなくわかる。あいつは顔も出さなかったし何も言わなかったけど、ああ……そこなんだなってその時思ったから。
だから先にその2つを川平さんは調べてくれたんだ。XANXUSはもう揺りかご事件を起こした後だった。間に合わないかもとどこかで思っていたのもあったし、たとえ間に合ったとしてもオレも9代目のようにする道しかなかったと思うんだ。次にオレが出来るとすれば、目を覚ましたXANXUSのストレス発散に付き合うぐらいかな。
骸はオレが予想した場所にいた。川平さんも言葉を濁していたから、かなり非道なことをしていたんだと思う。オレは前世を経験してるし、ボンゴレの業も知っている。だから言葉にしても問題ないんだけどと思ったけど、川平さんはオレの見た目が子どもだから言いづらかったみたい。アルコバレーノは自分が赤ん坊にしたから割り切れるらしい……。
それでも復讐者に目をつけられてる可能性があるエストラネーオファミリーに川平さんが動くのは危険で、オレが潰すことになった。川平さんは申し訳なさそうだったけど、そもそもオレのワガママでもあるし、今世はどうかわからないけど、骸はオレの守護者だったんだ。オレが動くのが当然だ。
いろいろ相談した結果、オレは普通に飛行機に乗って移動することになった。川平さんは幻覚でおばあさんと子どもを演じて、孫の友達も一緒に連れて行きたいって母さんを説得したんだ。家綱はオレも行きたいって言ったけど、家綱にかまう余裕があるとは思えないし、川平さんとは初対面。家綱のワガママが通ることはなかった。
家綱には最後までオレに恨み言を言っていたけど、いっぱいお土産買ってくるからと言って振り切った。ランボもワガママが凄かったけど、恨むような子じゃなかったからなぁ。どうすればいいのかわからない。2回目なのにやっぱりオレは不器用でダメツナだよ、リボーン……。
ちょっと落ち込みはしたものの、川平さんのおかげで飛行機に乗って骸のところまでやってこれた。
「大丈夫かい?」
「はい。鍛えてましたから」
フードを深くかぶって、息を吐く。川平さんにそうは言ったものの、不安はある。流石に50歳も生きていれば、死ぬ気丸や小言弾がなくてもハイパー化出来るようになっている。でもずっとハイパー化すればオレは多分筋肉痛で気を失うことになる。性別が違うっていうのも少しはあるけど、オレが幼すぎてそこまで筋肉がつかなかったんだ。そのかわり死ぬ気の炎のコントロールはオレの思い通りだった。だから必要な時だけ一瞬死ぬ気の炎を灯すつもりだ。
一般人には負けないとは思うけど、銃を使われたら避けるしかない。手に炎を灯したいけどグローブもない。XANXUSはどうやってるんだろう。オレ、うまくいかないんだよな。超直感も何も反応しないことから、やり方が間違ってるのか、そもそもグローブがないと出来ないのかもしれない。前は使えたんだけどなぁ……。
「いってきます」
川平さんに声をかけてからオレは進んだ。死ぬ気の炎が飛ばせないから、普通に窓から侵入してバタバタ倒していくけど……この感じヒバリさんっぽい。普通じゃない自覚はあるけど、オレあの人ほど強くないから!ただオレが想像していたよりも弱いだけなんだ。もしかしてオレの基準がおかしいのかも。
「わわっ」
超直感が反応して、慌てて壁の裏に隠れればすぐに銃声の音がした。あっぶねー。相手はマフィアだった、油断禁物。リボーンに知られれば、ねっちょりだよ。また基準をリボーンにしちゃったー!?と心の中でツッコミながらもオレは次々と倒していく。出来るだけ死ぬ気にならないようにしていたけど、徐々に身体がギシギシと痛む。ハハ、懐かしいや。
オレの限界が来るよりも先に、誰も来なくなった。超直感に従って骸達を探す。オレの超直感がここと訴えると同時に、嫌な予感も訴え始めた。骸が危険な気がすると慌てて扉をぶち破った。
「骸……?」
どこかボーッとしながら三叉槍を持った骸がそこに居た。右目は赤く、六の文字が刻まれていた。間に合わなかった……。
「ごめん。ごめん。骸……」
気付いたらオレは骸に抱きしめていた。
「はぁ。相変わらず君は甘ちゃんですね」
「……え?骸?」
「いい加減、離れなさい。邪魔です」
「ご、ごめん」
謝りながらも、問題なく会話が続いていることに疑問を持つ。
「えっと、骸……?オレのことわかるの?」
「ええ。といっても、この目が無ければわかりませんでしたよ」
「あ!六道の力!」
「そうです」
あれ?でも骸は目を得てすぐこのマフィアを潰したんじゃなかった?
「いでででで」
急に骸に頭を掴まれた。なにすんだよっ!
「あなたがボーッとしているのが悪いのです。さっさとここを出ますよ。あなたのことだから憑依弾も壊したのでしょう?」
「あ、うん」
骸が前世の記憶を覚えてるから、すっげー話が楽。またどこからか出てきた人達が骸が幻覚でバタバタ倒してるけどいいのかな。や、でも殺してはいませんよとボソッと言ったから大丈夫かな。しばらく悪夢を見ることにはなりそうだけど……。
「子どもたちはどうするつもりだったんですか」
「ええっとオレが出ていった後、川平さんがボンゴレにタレコミするって言ってたよ。9代目なら動くと思うから」
「……まぁいいでしょう」
気のせいかな。オレが川平さんの名前を出した時に、呆れたような視線を向けられたような……。
「では僕が彼らに助けを呼びにいくと声をかけておきます。外に出れば迫害されるとわかっていますからね。彼らが眠っているとわかっていても、下手に外にも出れないはずでしょうから。人数は多いですが、後はボンゴレがなんとかするでしょう」
「そんなに多いのか?」
「そうですね。今回はそこそこ生き残ってると思いますよ」
骸は間に合わなかったけど、助かった人がいるとわかってホッとした。
「それに僕1人なら何とか生きていけますが、彼らは難しいでしょうから」
「は!?お前、もしかして犬と千種を連れていかないつもりかよ!?」
「当たり前です。彼らは以前と違って、そこまで人体実験は進んでいませんから」
え、じゃぁなんでお前はもう……?もしかしてオレがズカズカと乗り込んで行ったから?慌てて骸だけ実験を進めた……?
「余計なことは考える必要はありません。僕はこれで良かったと思っています。マフィアの世話になるなんて僕が許しませんよ」
「…………わかった」
オレが渋々頷いたのを見て、骸はため息を吐いた。
「いいですか。あなたが来なくても同じことになりました。くだらないことを考えている暇があるなら、手と口を動かしなさい。あなたはこれからどうするつもりですか?」
「くだらないってお前なぁ……。はぁ。どうするって?」
「あなたはマフィアに関わりたくないのでしょう。僕が名前を出さなかった時点で察しなさい」
お前、この状況でよくそこまで気がまわるな。すげー。
「あなたとは頭の出来が違うんです」
「ははっ。オレは今回マフィアになるかなって思ってるよ」
「……なぜです」
「後で詳しく話すけど、ボスになるかはわからない。でもお前と約束しただろ?だからマフィアになる方が都合がいいと思うんだ」
骸の足が止まったので、オレも慌てて止まった。
「骸?」
「僕は散々あなたにバカだの、お人好し、甘ちゃんと言いましたが、死んでも治らなかったのですね」
「そこまでいう必要ねーじゃん!」
「はいはい。……仕方ありませんね、手伝ってあげますよ」
「え?いいの?」
確認すると骸は呆れたようにオレを見た。でもどこか笑ってる気がした。
「随分僕も絆されたものです」
「……そうは見えないんだけど」
骸に倒されて呻く人達を見ながら思わずオレはツッコミを入れた。
この後、川平さんと合流したオレ達はさっさと逃げ出した。2人はオレとは違って幻術を使えるから、簡単にその場から離れることが出来たんだ。
相変わらず骸は暗躍するつもりらしいけど、拠点が欲しいということでオレ達と一緒に日本へ行くことになった。
「沢田家綱ですか」
「そう、オレの双子の兄貴。仲はあんまり良くないんだけど……」
「それは助かりました」
「はぁ!?何でだよ!?」
「仲が良くないということはあなたと性格が違うということです。あなたみたいな人が2人もいれば、虫酸が走ります!」
ヒバリさんじゃないんだから……と思いながらも、オレが2人いることを想像したのか、骸がブルブルと震えていたから声に出すのはやめた。
「そういえば、あなたは誰と結婚するのです?あのボクシング馬鹿の妹ですか?それともマフィアの嫁になると馬鹿げたこと言っていた人ですか?」
え、京子ちゃんとハルのことだよな……?特にハルに対してひでぇ……。
「でも今回は家綱がいるじゃん」
「また甘いことを言ってるのですか。巻き込みたくないと言って、好いた女には手を出せず。かといって、好いた女じゃないと抱けないなんて、馬鹿でしょう」
「そうなんだけどさぁ……。まぁお前の言いたいことはわかったけど、2人は絶対に無理だよ。いい人、頑張って見つけるよ」
どうせ出来ないと思われたのか、肩をすくめる骸にオレも意地になって睨む。
「ってか、川平さん、笑いすぎっ!」
オレ達の会話を聞いてるのはいいけど、笑うのはやめてよ!?
「すみませんね。ですが、彼に教え忘れている君も悪いと思いますよ」
あれ?何か骸に言ってなかったっけ?
「あなたのフルネームは?」
「あ!そうだっ!骸、オレはツナなんだ!」
「はぁ?知ってますよ。髪は違いますが、顔は変わってませんしね」
ええっと、そうじゃなくて!とワタワタしていると、川平さんが口を開いた。
「私は一度も沢田さんに彼とは言ってませんよ」
骸は川平さんを怪しむような目で見ていたけど、オレが言いたいことが伝わったのか、途中からオレを上から下まで見てから言った。
「……僕はお断りしますからね」
「え!?何も言ってないのに、オレ振られたの!?」
今世もモテないダメツナライフなのー!?と頭を抱えていると川平さんが爆笑していた。……川平さんのイメージかわっちゃったよ!?
沢田ツナ
なんだかんだ言いながらも、女ということを受け入れてる。今世もモテないと思い込んでしまった。
チェッカーフェイス
作者によって性格が捏造された人。
ツナの手助けをしたいが、今の段階で復讐者にバレればツナが危険な目に合うため下手に動けない人。
骸が現れて一番ホッとしている。
六道骸
目を手に入れたから、前世のことも思い出した。
そのため守護者の中で一番のツナの理解者になる。本人が一番驚いている。
随分ほだされたとは思ってるが、仕方がないとも思ってる。
そして前世のことを知っているからこそ、ツナの相手はお断り。
他の守護者が相手をするだろうというのもある。またその方が面白いとも思ってる人。