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オレはひぃひぃ言いながら過ごしたけど、今日始業式が終わってやっとで落ち着いた。卒業式と終業式が終わってちょっとすれば、入学式と始業式って続いたからさ。風紀委員という名の雑用係のオレはみんなにいろいろ頼まれて走り回ってた。まぁわかる気もするんだけどね。オレ、絶対風紀委員の中で一番人当たりいいもん。ヒバリさん以外はみんな大きくてリーゼントだからね。先生にも喜ばれるから、悪い気はしなかったし。
相変わらず合間を縫って、春休みの間はちび達と出かけたり、みんなと遊びに行ったりと忙しく過ごしてた。そのほとんどに炎真も付き合ってくれた。2年にあがると同時に炎真が至門中に戻るのもあったからね。まぁオレが雪合戦に誘ったけど行けなかったのもあるかな。ちょうど家庭科の補習だったらしい……。なんというか運が悪いのも炎真らしいからオレは気にしなかったんだけどね。次はシモンのみんなも誘ってしようって約束した。もちろん真美ちゃんも良ければってね。
春休みってことで今度こそ骸はヴェルデと接触しに行った。どうなったかは知らないけど。その間クロームが1人になっちゃうってのもあって、女の子達とパジャマパーティとかしたりした。意外にも部屋さえ入らなければいいって骸が言ったから、骸ん家でやったよ。クロームのために何日でも泊まってほしいんだろうなって思ったオレは春休みのほとんどそっちに居た。だから夜にリボーンがそばに居ないのもあって、ラルもパジャマパーティに参加したよ。本人は嫌がってたけど、オレの護衛も兼ねてるよねって言えば渋々付き合ってくれたよ。めっちゃ京子ちゃんとハルに可愛がられて、ツンツンしてた。ラルは赤ん坊だけど、大人っぽいから黒川は近づかなければ大丈夫だった。後オレと友達なのもあって、ちょっと耐性が出来てきたんだって。そこまでガキっぽくなければ、なんとかなってきたらしい。
そんな中でも、毎週恒例のヒバリさんとのバトルは継続。あ、でも一回だけバトルじゃなくて花見に付き合ったね。1人で花見したいから誰にも来ないようにしてって頼まれて見張りしたんだよ。前のヒバリさんはサクラが嫌いになったけど、今回はオレ達がケンカふっかけなかったから楽しめたみたい。そして驚いたことにヒバリさんが帰る時、占領した後の場所は好きに使っていいって言ったんだ。まじで!?ってオレは叫んだよ。いやだってさ、オレにそんなこと言ったらみんなと花見するってヒバリさんはわかってると思うんだよ。まぁすぐに睨まれたから口を閉ざして見送ったけどね。その後、みんなに連絡して急遽花見をしたよ。すっげー楽しかったんだ。
始業式が終わってみんなが教室に移動して担任の話を聞いている時間だけど、オレはクラス表を見ながら少し考えていた。家綱も友達もみんな同じクラスだったんだ。京子ちゃんと一緒なのは記憶通りだけど、クロームや家綱も居るんだよ。みんな一緒は無理かなってちょっと思ってたんだ。特に双子の家綱とは。
「さっさと教室行きなよ」
「あ、ヒバリさん」
すみませんとオレは謝る。始業式も終わって雑用がなくなったオレはもう戻るべきなのに、まだこんなところに居たからね。
「自分のクラスがわからないの?」
「見つけましたよ」
2−Aのところにある自分の名前をオレは指をさした。普段のオレなら、すぐに教室に向かうんだけど……。
「あの、ヒバリさん」
「なに」
「ありがとうございます」
ヒバリさんは何も言わなかった。オレのお礼の意味はわかってるけど、肯定する気はないんだろうね。前は多分リボーンがみんな同じクラスになるように根回しした。でも今回は多分……ヒバリさんがした。オレが授業を抜ける可能性もあるから、クラスに馴染めやすいようにって動いてくれたんだと思うんだ。
何を言ってもヒバリさんは認めないだろうなと思ったけど、ヒバリさんにお礼したくてオレはまた口を開いた。でもこれはオレの本心でもある。
「オレ、並中に来てよかった」
この学校に来たのは前と同じだったからのもあるし、家から近いのもあった。けど、もしまた通うならって考えたらオレは並中って即決する。まぁもうないことを願うよ。というか、そうならないようにする。
独り言のようなオレの言葉にヒバリさんは反応しないだろうなって思ったんだけど、ヒバリさんは校舎へ視線を向けて少し口角をあげた。獲物をみつけた時のようじゃなくて、小動物を愛でてる時のような笑みだ。
これにオレはちょっと驚いた。もちろんオレに向けた笑みじゃないのはわかってる。ヒバリさんは自分の今までの行動が誇らしかったから緩んだんだと思う。でもオレの目の前で緩むとは思わなかったんだ。
「なに」
「あ、いえ……。オレ、教室戻りますね」
頭を下げてから歩き出したオレだったけど、ふと足が止まって空を見た。
「ヒバリさん……。もしヒバリさんのいる立ち位置を横から来た奴が急に奪ったら、許せませんよね」
「当たり前だよ」
「……ですよね。オレもそう思います」
それでもオレは奪うしかない。
「何考えてるか知らないけど、それは多分君らしくない」
「え?」
「奪うという言葉が君らしくない。そういうのは南国果実があってる」
ぷっとオレは笑ってしまった。骸はオレの体を奪おうとしてたもんな。いつのまにか眉間のシワが寄ってたことに気付き、オレはもみほぐす。
「そうですね。ちょっと考え方変えます。じゃないとオレは戦えないから」
「そうしなよ」
最近よくヒバリさんに導いてもらってるなぁと思いながら、今度こそオレは教室へと向かう。
今日は骸のとこへ行って相談しよう。さっきまでの考えだったら、骸に怒られていただろうなぁ。君はバカですか、奪うも何も向こうは初めから資格がないじゃないですかってね。頭ではわかってるんだけど、感情はそうはいかないんだってと言ってもあいつはわかってくれなさそうだし。
でもオレらしいってなんだろうね。
うーん、怒られはしなくなっただろうけど、骸にめんどくさい人ですねってまた言われる気がするよ……。
沢田ツナ
雲雀のおかげでうだうだ悩んではいるものの、引きずってはいない。
周りもツナが何かに悩んでるだろうなと気付くが、そこまで心配はしていない。
雲雀恭弥
またツナらしくないから口を開いた。
ツナは手のかかる小動物。
六道骸
まためんどくさいことになっていた。
相手の背景を知っているから、前のような気持ちだけでは戦えないことはわかっているが、めんどくさいのはめんどくさい。
氷漬けのままでいい気がしてきた。
でもそれはそれでめんどくさいことになりそうな気もする。